ソードアート・レジェンド   作:にゃはっふー

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またややこしい話をやらなければいけない………

あの子たちも登場します。どうぞ。


第51話・こうして世界は生まれた

 王国へ《ディンの灯火》が送られた際、姫様が受け取ると言うのは変わらず、城下町は多くのプレイヤーが行き来する。

 

 無論前のフィールドへのクエストは無くならず、むしろ増えたりもするため、こちらを楽しむプレイヤーもいる。

 

 卵をひっくり返したような顔の商人から特別なクエストを受けて、特殊アイテムをゲットするプレイヤー。他にも楽器を購入して楽しむ者、チェスのように石像を杖で動かして、他の石像を攻撃するミニゲーム。

 

 他にも妙な動きをする邪悪な者の配下の敵が現れたりするイベントがある中で、彼女たちが時間を作ってやってきた。

 

「プリヴィエート、みんなっ♪」

 

「妹共々、よろしくね」

 

「撃ちまくりますわよ~」

 

 セブン、レイン、ツェリスカがパーティーに参加して、これでほぼ全メンバーが揃う。

 

 セブンとレインはALO、ツェリスカはGGOでログインする。その中で、

 

「よおテイル、まさかGGO以外のアバターで参加かあオメェさん」

 

「バザルト・ジョー、来たのか」

 

「俺様がいなきゃ、話になんねえからな」

 

「なにを言っているのかしらこの人は」

 

 ツェリスカが呆れながら、ここに豪華メンバーが揃う。

 

「アイドルのセブンちゃんっ!? 話には聞いてたけど本当なのね」

 

「話は聞いてるわよクレハさん、これからよろしくね」

 

「レインの妹って話も聞いてるわ、一緒に戦えて光栄です」

 

 これからのことや疑問に思うこと含めての会議。場所はテイルの大部屋で行われる。これにはプレミアなど食べ歩き隊にも話をしておいて、全員が集まることになった。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

「セブン、スメラギは来られないのか?」

 

 俺はセブンの右腕であり、リアルでも彼女をサポートするスメラギの事を尋ねた。もう一度彼とはデュエルしてみたい。テイルはデュエルはあまりしないが、ユウキ辺りは喜々として賛成するだろうな。

 

「ええ。スメラギ君は今回の仕事で裏方を担当してるから。あたしは看板扱い」

 

「仕事って、このイベントの?」

 

 セブンはええと答え、今回のイベントがどのような目的があるか話してくれた。

 

「このイベントは各VRゲームのプレイヤー、その全ての人たちから『プレイヤースキルデータ』をモニタリングするのが目的なの」

 

「プレイヤーのスキルデータ?」

 

「あら? いいんですかセブンさん」

 

「別にかまわないわよ。正直あたし個人としては、キリト君とテイル君の二人からデータを取りたいんだし」

 

「プレイヤー、個人のプレイヤースキルの取る為のイベントなんですか?」

 

「ええ」

 

 クレハの言葉に頷きながら、セブンは詳しい話をしてくれる。

 

 大きな企業が持ち込んだイベントで、裏には国家企業も関わるだろう話を持ち込んだ彼らは、目的としてVRゲームプレイヤーのスキルデータを測定する目的で企画された。

 

 多くの企業が協力する形で、様々なゲーム要素を混ぜてプレイヤーたちの個人能力を計るのが目的。その為に一時的、もしくばSA:Oなど限定で入口を作り観測する仮想空間。それがここらしい。

 

「このゲームの結果を見れば、その後もこの世界は継続される予定でね。様々なアイテムや仕組みを使って攻略させるのが目的なの」

 

「へえ………」

 

 その話を聞いているとき、俺はどういう目的でデータを取っているのか気になったが、セブンの次の言葉で絶句する。

 

 

 

「あたし自身も、カーディナルが出したデータが気になったし、ちょうどいいかなって思って」

 

 

 

 その時、俺とシノン、彼の表情が変わる。

 

「セブン、いまなんて言った?」

 

「ん? カーディナル、VRゲームの基盤となるシステムが用意したデータが気になったって言ったんだけど?」

 

「それって一体なんなの?」

 

 シノンも身を乗り出し、周りが首をかしげるが俺たちは気になった。

 

 カーディナルが用意したデータ。それはなんなんだ?

 

 セブンも驚きながらも、俺たちの疑問に答えてくれる。

 

「カーディナル、茅場晶彦が創り出したこの未知のシステム、VRのエラーチェックやゲームバランスを自己管理するこのシステムに、不可解なデータがあったの」

 

「不可解なデータ? それはなんなの?」

 

「研究者の間では〝アンノウン〟と呼ばれている。そのデータが確認されたのは、あのデスゲーム。VRの暗黒面であるSAOのデータ」

 

「『ソードアート・オンライン』って奴だな」

 

 バザルト・ジョーはテイルの事件で彼を始め何人かがその事件に関わることを知っている。ツェリスカやクレハもそうだ。

 

「もう一つ存在が確認されたのはALO、SAOサーバーのコピーであるゲーム」

 

「そう言えば、SA:Oも関係してるよね?」

 

「ええ。そこからもそのデータは確認された。これによりカーディナルは〝アンノウン〟を重要データとして扱っていると判断されたわ」

 

 アスナの問いかけに頷いて《ザ・シード》も話に出るが、これは家庭サーバでも使用可能にされているため、把握することができないので外された。

 

 ただ《ザ・シード》も恐らくは目を通していないだけで、そのデータが使用されている可能性があるらしい。

 

「とにかくあの茅場晶彦、あたしが光として扱われて彼は闇として扱われてるけど、実際は彼の方が上であると言えるわ。いまだ〝アンノウン〟はその言葉通り不明のままなの」

 

「そのあり得ないデータってのは」

 

「色々なものかしら? ただ普通はあり得ない、それこそVRで無いとあり得ないもの。んっとどう言えばいいのかな………」

 

 セブン自身思いつかないと言って悩む中、一言呟く。

 

「〝体験〟って言えばいいのかしら、うんそう、そう言うデータ」

 

 それに俺とシノンは黙り込む。体験と言う言葉は彼が言う、特典の言い回しだ。

 

 俺たちが黙っているとクラインが口を開く。

 

「体験って、どゆことなんだ?」

 

「登山データを始め、色々な不可解なデータ。SAOやALO、SA:Oも含めてそんなデータ量が取れないほど、膨大な個人データなの」

 

 それは溶岩に落ちたり、吹雪や白銀の世界に肌を焼かれ、砂漠を走り、雷に打たれたり、あり得ないほど個人のモニタリングデータ。

 

「どのゲームだろうと観測することがあっても、個人としてはあまりに膨大過ぎておかしいの。ただ学者としては無視できないものなんだ」

 

「そのデータとこのイベントは、どんな関係があるんだ」

 

「〝アンノウン〟は一つに纏められていたわ。その纏わりの中に、ここに関するデータがあったの」

 

 やはりここは彼の体験より生まれたデータから作り出された世界らしい。予測はできていたがこうもはっきりするとなんても言えない。

 

「そのデータはすでにSA:Oにも使用されているわ。そしてそのあまりにリアルなデータに、学者たちの間でどう言った経緯でカーディナルが会得したか関心が向いた」

 

「それは、学者たちはそのデータがなんなのか知りたいってことか?」

 

「あたしもその一人ね。正直あのデータは個人データとしては疑うけど、プレイヤースキルとかゲームとして見ると凄いデータだし、なにより公正を貫くカーディナルシステムがどう言った経緯で得たのか気にはなる」

 

 おそらく誰だろうと正解にはたどり着かないだろう。だがそこまで欲しがるものなのか?

 

「セブン、そのデータってそんなに凄いの」

 

「凄いって言うより、精密なデータなんだよね。環境、人が怪物に挑む様、道具の使用方法。プレイヤースキルと言う個人の力のみで道を切り開く、ゲームと言う点で見るとそう言ったデータであり、カーディナルがゲームバランスを確認する際の基盤として扱っているのかもしれない。そんな結論も出ているわ」

 

 それが俺たちの中で決定的になる言葉。

 

 

 

「仮想世界のような現実染みた世界で生きる、たった一人の人間データ。ってところかしら」

 

 

 

 セブンは自信が無い顔でそう言い、他のみんなも首をかしげた。

 

 だが俺とシノンは彼を見る。

 

 彼は座ったまま顔を手で覆い隠す。その下でどんな顔をしているか、俺に確認する勇気はなかった。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 リアル過ぎるデータ、学者たちはその一点に興味を持った。

 

 怪物たちが住まう世界で、その世界で生きる人とデータに。

 

 まさに異世界の人間の情報だ。学者たちは頭ではあり得ないと否定するが、それでもリアル過ぎるんだ。

 

(当たり前だ、彼はリアル、現実で勇者の道のりを体験した。そのデータがカーディナルの下にあるのは知ってた、何よりそのデータはすでに運営する人間が見ていることも知っていた)

 

 だけど、こんな物珍しく物として扱われているなんて考えていなかった。

 

 彼がどれほど狂うような人生を歩んだか分からない。学者や研究者たちの扱いや反応に、俺は、おそらくシノンも、なんとも言えない感覚を味わう。

 

「そのデータはザスカーでも話題になっているわ。一部のデータ、移動するダンジョンやそのボスエネミーとかがそうね」

 

「そうなんですか?」

 

「それは知ってます、皆さんの記録ですとラクダのようなダンジョンですね」

 

「それはわたしも知ってます。マスターたちがテイルさんのスコードロンで攻略したダンジョンですね」

 

「ええそうねレイちゃん、デイジーちゃん」

 

「それってなんで採用したのか分かりますか?」

 

 俺はついそれを聞いてしまった。ツェリスカは少しばかり悩むが、

 

「まあセブン、七色博士がいるのですし、少しだけね。そのデータがあまりに精巧にできていたからよ」

 

「精巧ですか?」

 

「ええ。古代兵器、ガーディアンの動きね。あの蜘蛛みたいな子」

 

「ああ、あの目ん玉からビーム出す、厄介な奴だな」

 

「バザルト・ジョーが言ったように、あれに関するデータが面白いと言う意見が出たのよ。プレイヤーがどういう風に動くとどう動くか精密に、まるで現実にあったかのようにどう動くか客観的に揃っていたの。プログラムに組み込むのもGGOに合わせる作業だけで、実際テストプレイしてみたら凄かったわね」

 

「テストプレイですか」

 

「ええ。仕組みはどうなのか分からないけど、本当に人を倒すため、的確に動くのよね。オリジナルデータは少し過剰だったから押さえて、ビームに関するデータはそのままの威力ね。変にいじってないわ」

 

 彼はガーディアンは盾でビームを跳ね返して攻略するのが初歩と言っていた。ビームを反射することが可能だったのは、彼のデータが元だからか?

 

「もしかしてビーム兵器全部、そのデータを下に作ってるんじゃないかしら? 仮想で作られた動物エネミーの動きの参照にもなってるもの」

 

「ノーコメントさせていただきます七色博士♪」

 

 プログラマーと学者であるツェリスカとセブンは笑い話として話しているが………

 

「キリト君どうしたの?」

 

「アスナ………」

 

「なんだか顔色悪いよ? 大丈夫」

 

「あ、ああ。俺は、平気だよ………」

 

 おそらく血の気が引いてるんだろう。間違いない、セブンたちは、

 

「まるで本当に異世界ってものがある、そう感じられるデータなのよね」

 

 そう、ツェリスカが言った通り、異世界の剣士、勇者が辿った軌跡を追うデータだ。

 

 分かっていても、こうはっきり言われると、俺たちは戸惑うしかない。

 

「………少し飲み物取ってくる」

 

「俺も行くよ、この人数じゃ大変だ」

 

「なら私も」

 

 そう言って彼の言葉に続いて、俺たちは部屋を出た。

 

 しばらく歩いてから、彼は深くため息をつく。

 

「まさか俺のデータが仮想世界を作る軸にされているのか。まさか」

 

「………君は」

 

「念のため言っておくが、俺の体験を遊びに使われて不愉快ってことは無い。そもそもあれは現実であって現実ではない。ただそれでバカなことが起きないかの方が気になる」

 

「異世界の情報、まあ普通なら信じないけどね」

 

 彼はそう言い、シノンも納得する。俺は………

 

(彼はああ言っているけど、彼にとっての現実世界を面白く扱われている)

 

 分かっているが納得できていない。そんな複雑な心境だ。

 

 ともかくこの世界ができる切っ掛けは知った。後はなぜそうしたか。

 

「俺が気になるのは、なんでそのデータを下にこの世界を作ったかだ。この世界を作る理由がロクでも無いものだと、さすがに嫌だ」

 

「それには俺も賛成だ」

 

「私も。もしも死んで神様にでも会ったら一発殴るわ」

 

「いや、あの神様は悪くないよたぶん」

 

 彼はそう自信なく言って、俺たちは飲み物を取りに店に下りて行った。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

「キリト君たち、なにか隠してる」

 

 それはアスナだけでなく、レインも同意見だった。

 

「たぶんだけど、彼奴が絡んでると思う。彼奴の雰囲気、少しだけSAO、あの中にいた頃に似てた………」

 

「おいおい、まさかと思うがその正体不明なデータに心当たりがあるって言うのか?」

 

 エギルの言葉にアスナとレインはなにも言わず、ユウキも少しだけ気にはなる。

 

「あの、レインさん。あの雰囲気、あれが昔SAOにいた頃、なんですよね?」

 

「クレハ? うんそうだけど………」

 

「その、テイルお兄さん。あたしの小さい頃は時々あんな感じでした」

 

 クレハの言葉に全員が首をかしげ、話が分からなくなる。

 

「この話もうやめにするか?」

 

「それだと、あの三人だけで解決しようとすると思うんだよね」

 

「はい、キリトやテイルはそう言う人です」

 

 クラインの言葉にフィリアとプレミアが否定し、クラインもそうだよなと納得する。

 

「なんだか、気楽なお話のはずが、重々しいことになっちゃったな………」

 

「ともかくキリト君たちに問い詰めるためにも、詳しい話を聞かせて」

 

 アスナの言葉にセブンとツェリスカは頷き、彼らが飲み物を持ってくるのを待つ。

 

 彼らが、彼が抱える闇がどんなものか。それは誰にもわからないだろう。




キリトたちの反応入れたら文字数が。

申し訳ない、ただここの長話しないといけない。この世界が作られた理由の説明しないとね。

それでは、お読みいただきありがとうございます。
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