ソードアート・レジェンド   作:にゃはっふー

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 セブンから多くの学者、研究者に体験のデータが注目されていることを聞かされたキリトたち。

 飲み物を取りに行き、戻るところから物語は始まる。


第52話・アンノウン

 セブンから彼の体験で得た経験がカーディナルによって保続され、多くの研究者たちが目を見張るものであると聞かされた。

 

 飲み物を取りに行き、ともかく彼と話したが、そのデータを下に作り出されたこの世界の目的。プレイヤースキルの観測と言うものがなんなのか知る為、話の続きを聞くことになる。

 

「それじゃ、どこまでだったかしら?」

 

「その〝アンノウン〟ってのは異世界で生きる人間のデータのよう、ってところだな」

 

 彼がそう言い、セブンも頷いて説明を続けた。

 

「簡単に言えば大型モンスターとの戦闘データ、剣と言う武器による攻撃方法。そう言った日常では得られないデータが精密、かつ精巧な物をカーディナルが保続して管理していた。研究者たちはそのデータの出所はどこなのか、そのデータは正しい情報なのかの論争が始まったの」

 

「セブンからすればどう言える?」

 

「あたしとしてはノーコメントって言いたいけど、カーディナルがシュミレートして出した答えではと思ってる」

 

「剣とかでモンスターと戦うデータがか?」

 

「ええ」

 

 クラインの疑問に頷き、それでもセブンはこの答えには自信が無いと言う。

 

 それは落雷に打たれた人間、崖からの転倒等々。仮想世界だからシュミレートできることではあるが、SAO並びALOで収集したにしては量と密度が濃いらしい。

 

 しかも全てのデータはたった一人の人間の身体能力で行われている。

 

「こういうデータは、複数の人間で取るから正確なの。量や質が良くてもたったの一人の物では意味ないわ」

 

「それじゃ、そのデータは役に立たないんじゃないのか?」

 

「正直に言えばね。だけど、ここ近年のVRゲーム業界は世界に浸透し、明確なプレイヤースキルのデータが集まり出したわ」

 

「プレイヤースキル、個人のプレイヤースキルデータが?」

 

「そう。ALOを初めとしたVR、仮想世界の住人であるプレイヤーたちのデータを、一個人でも収集可能な時代になったの」

 

 仮想世界の運営者たちの下に日々、個人のプレイヤーデータが集まり出して、そのデータの信憑性が高まり出す。再度注目され出したようだ。

 

 その話を聞きながら、少しばかり疑問に思うことがある。

 

「運営会社はカーディナルシステムの情報を閲覧できるのか?」

 

 先ほどから〝アンノウン〟は大勢の人に閲覧されているが、実際はどうなのだろうと聞いてみたら、意外なところから返事が来た。

 

「それはできねえぜ」

 

 その問いに答えたのはバザルト・ジョーだ。それにツェリスカも頷きながら説明する。

 

「ええ。カーディナルを含め、カーディナルシステムが存在するSAOサーバのアクセスはできない。個人運営者はもちろん、一般の会社程度ではSAOサーバに保存されているデータ閲覧は不可能、もしもなんらかの理由で流失したら大問題。おそらく見られたとしたら、七色博士ですら国から許可を得なければできないもの」

 

「? ならそのデータも閲覧できないんじゃないの?」

 

 リズの疑問に最もだと俺は思う。

 

「それは最も規制が厳しいSAOプレイヤーのデータでは無いからよ」

 

「そうなの? けど個人データ、なんでしょ? ALOの中にあるのだって、SAOにあったから」

 

「個人データとして扱われいるのなら、SAOプレイヤーの物じゃないの?」

 

 これまでの話を聞く限り、話の大本である〝アンノウン〟は個人データ扱い。だがいまの話を聞くと、個人データの閲覧ができないとされている。

 

 どう考えても〝アンノウン〟があるのはSAOサーバ、カーディナルシステムの内部だ。話が矛盾していて、シノン、アスナの問いかけにセブンも言いにくそうに目を泳がせた。

 

「言いにくいんだけど。当時〝アンノウン〟だけはSAOプレイヤーのデータでは無いって、だから見ても問題ない。そう研究者たちは研究材料として、その………でっちあげたの」

 

「なっ」

 

 それには俺とシノンは驚く。だが確かに。彼のような経験がSAO内で経験できるスペックでは無い。

 

 SAOプレイヤーのデータでは無い。だからどう扱っても問題ないなんて言うのは、

 

「それって詭弁じゃないですかっ!」

 

「ううっ………」

 

 シリカの叫びにセブンとツェリスカはなんとも言えない顔で縮こまる。

 

 セブンもまた当時、どうあってもカーディナルと言うシステムの情報欲しさにそれに賛同したらしい。

 

「な、七色ぉ」

 

「ごめんっ。だけど個人財産であるSAOプレイヤーのデータは、被害者である人たちのものだから閲覧できない。だけど個人と思われない〝アンノウン〟に関してはどうしても見られる機会があるからつい!」

 

「それに関してもザスカーも同罪ね。SAOのデータはVR活性化の為に必要だからって、参考資料として見られないか色々こじつけて閲覧したって話ですもの」

 

 つまるところ、帰還者(サバイバー)のデータを始め、SAOのデータやカーディナル。そのデータをできれば見たいVRを研究する者にとって〝アンノウン〟は保護されないデータ。

 

 どうあっても閲覧して研究材料にしたい彼らは、様々なこじつけをして、カーディナルシステムからそのデータを閲覧しているらしい。

 

 正直そのデータがなんなのか言いたい。それは彼がデスゲームに生き残るために選んだものであろうと、その経験で多くのプレイヤーを支えたものだ。

 

 それを研究資料として簡単に扱われるのは我慢できないが、彼と僅かに目が合い、言うなと言わんばかりに首を振る。

 

 シノンもそれに納得できない様子だが、俺も黙るしか無かった。

 

「話は戻るけど、そうしたデータを巡って論争はいまだ起きてるわ」

 

 曰くSAO帰還者(サバイバー)のデータなら、個人財産を本人からの許可なく扱っていいはずは無い。

 

 曰くこのようなデータは個人のものではなく、カーディナルが設定したシュミレートデータであるだろうと。

 

 曰くこのようなデータは正確では無い。

 

 様々な意見が出て来る中、ならばと言う声があがった。

 

「このデータ通りの環境を作り、数多くのプレイヤーをモニタリングして検証してみればいかかですか?」

 

 それも多くのプレイヤーを集めるため、コラボと言う形にしてより多く集め、SA:Oのようなテスト目的であるのなら、そこで観測したデータは研究に回しても問題ないと言う結論。

 

 これがここ《ハイラル王国》を作った理由であり、かつそのデータを下に反映させた世界であるとセブンが言う。

 

「そんな裏事情があったのか………」

 

「あたし的にも、VRのさらなる発展に繋がるもの。あのデータがシュミレートなのか別にしても、この世界でモニタリングされたものは次の仮想世界に繋がるもの」

 

「ザスカーもそう言う方針ね。プログラマーとしては、あのデータはカーディナルがどう言った経緯で手に入れたか気になるけど」

 

「そうなのか………」

 

「それはSAOプレイヤーの人たち。彼らが望まない世界に囚われて、望まない場所で生きた証なら、いまのような扱いでいいはずがないからね」

 

「まあね、唯一SAO関係で一番閲覧されているものだもの。あたしからすれば個人なのか云々も含めて、もう少し丁重に扱うべきものなのに」

 

 セブンとツェリスカの話を纏めると、彼のSAO内での体験は、個人データであるがSAO帰還者(サバイバー)の物では無い扱いらしい。

 

 しかもサーバ内のデータでは一番人の目に、一企業でも見られるようだな。

 

 そしてこの世界はそのデータを下に創り出され、そのデータが正確かどうかテストしながら、同じようなデータを集め、今後のVR発展の為の糧にするか。

 

(ともかく彼のデータが使われた件や、この世界や他の世界で起きたこと。彼の記憶や情報通りなのもこれで納得がいった)

 

 まさかこんな扱いなのかと思いながら、こうしてセブンから裏事情を聞き終えて、俺たちはしばらくして自由行動に移る。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 体験のデータへの扱いに関して、俺が思うことはそれが悪用されないかと言うことだけ。それ以外に思うことはない。

 

 そもそもな話、本来睡眠時間内で夢として訓練を受けていたのだ。それが個人データとして見られないのも納得がいく。

 

 明らかに睡眠時間以上、勇者の物語を体験していた。個人の物としてか知らないがカーディナルが管理していること自体驚きだ。

 

「とはいえ、この世界がそのデータが正確かどうかの為に創り出されたのは複雑だ」

 

「テイル………」

 

 夢の中では彼らは本当にいた、本当に生きた生命なのだ。仮想では無い世界。

 

 ただそれでも疑問に残る。

 

「カーディナルはどういう風に体験データを管理している」

 

「えっ」

 

「それは君が見聞きした情報を、あっそうか」

 

 キリトは気づいたように手を叩き、すぐに答えを言う。

 

「セブンの口ぶりじゃ、人間が剣を持って大型のモンスターと戦う、その際の情報みたいな口ぶりだ」

 

「ああ。特定のアイテム、武器などを利用して、ゲームのような仮想モンスターたちと戦う情報だ。だがこの世界にはゼルダ姫などの、向こうの世界の住人ですら再現されている」

 

「確かミファーさんみたいなNPCは、人間じゃなくその世界特有の種族なのよね? 彼女たちは人間に変換されているのはゲームに合わせたからよね?」

 

「ゾーラ族やゴロン族なんて言う、種族情報もカーディナルが管理して、研究者たちや運営者が見ているんだろ? もっと言えばストーリーだ」

 

 つまるところ俺の知る『ゼルダの伝説』と言う物語を、カーディナルが管理して誰かがSAOサーバにアクセスして閲覧しているのか?

 

 それにキリトは待ったをかける。

 

「それだと〝勇者リンク〟と言う物語事態、セブンたちが知ってるってことだろ? ならデータじゃなくてシナリオ、ゲームの設定って言いそうだ」

 

「訳が分からん。俺らでそのデータ閲覧できないか?」

 

「さすがに俺たちじゃ無理だろうな………」

 

 シノンが考え込みながら、静かに呟く。

 

「分けられてるのかも知れない」

 

「それって」

 

「まずあなたの情報、体験をジャンル分けしてみて」

 

 それを言われて俺はまず物語、冒険、知識に分けてみた。

 

 物語はゼルダとリンク、仲間たちの物語、冒険はその過程。後は物語や冒険で得た知識。この三つだろうか。

 

「もしかしたら研究者たちが見ているのって知識と過程だけなんじゃない?」

 

「そうか。カーディナルが『ゼルダの伝説』として君の体験データを管理していても、全く知らない人間が見れば物語より、冒険の過程や、その中の知識、行動データしか興味が無いのか」

 

「ああ。まあ火山地帯を進んだり、上空でパラシュートだけで滑空やらなんやらしたりしたからな………」

 

「少し気になるなそれ」

 

 シノンがキリトに肘打ちして、まあまあと言っておく。

 

「だから別にいいっての。俺だって本当として見ていないことを、本当として体験させられただけだ。思い入れは確かにある、だけど今回のような扱いされても別に構わない」

 

 言うなれば劇場だろう。死ぬ思いをした勇者の体験であるが、向こうでも本当に起きたそれらの物語を脚色して後世に伝えることはしているだろう。演劇にもなるしな。

 

 だからこそこの世界事態嫌いでは無い。ミファーの領地やアイテム、ガーディアンの扱いにも不満は無いのだ。

 

 データの扱いも、テイルと言うプレイヤーデータであるものの、俺がSAO内で体験したものであると言う証拠は無い。

 

「ともかく氷解した。運営側は単純にカーディナルがどうして俺のデータを管理しているか知りたいと」

 

「まあ、誰も答えは分からないだろうな」

 

「生まれ変わった人間がプレイヤーで、その彼が睡眠時間、元いた世界のゲームの主人公になって経験していたなんて、誰も信じないわよ」

 

「おかげで剣だのなんだの、誰よりも早く仮想世界に適応できたけどな」

 

 だがこれで問題があるとしたら、おそらく俺はこの先のフィールド攻略戦の答えを知っている。これだけは果たしてどうすればいいんだろうか。

 

「別にいいんじゃないか? それを言えばもしかしたらセブンたちだって知ってるかもしれないし」

 

「そうね、そんなに他の人より飛び出てもあなたなら納得できるし」

 

 色々やらかしたのだがな。ともかく話し合いは終わり、次のボス攻略戦は2パーティーで行われるだろう。

 

「そう言えば図書館で、ディンとかの三女神の情報もあったぜ。ただ三人の女神がいただけだ」

 

「フロルの名前は無しか。気を付けないとな」

 

「あっ、女神の名前はあったから問題ないぜ」

 

 そんな会話の中、ともかく残るフィールドは一つのみ。

 

「ともかく攻略してこの世界のゼルダ姫に会ってみようかな」

 

「そうだな、俺も気にはなる」

 

 そんな会話、ともかくおかしなことにはならないだろう。

 

 そう思い、ふと考える。

 

(データをもとにしたか)

 

 なら先日のミファーはなんなのだろうか? そう思うが考えない。

 

 所詮はデータ、記憶の中の世界は偽物。それは揺るがないだろう。

 

 そう考えていると、

 

「ねえそこのあなたたち」

 

 その時、誰かに話しかけられると共にウインドウが開く。クエストらしい。

 

 振り返るとそこにいたのは本を抱える少女とボウガンを腰に下げた少女がいた。

 

「NPCか? イベント?」

 

「これは」

 

「あなたたち異世界の冒険者でしょ。あなたたちにお願いがあるの」

 

「どうかわたしたちを秘宝探索に加えて欲しいの、お願い!」

 

 彼女たちは知っている。そう思っていると、シロが手を前に出してウインドウを押した。YESのボタン。

 

「なっ」

 

 キリトが驚く中、まるでプレイヤーが選択したように、彼女たちは挨拶を続けた。

 

「その猫は? ああ、わたしは『ラナ』。この子は『リンクル』です」

 

「よろしくお願いします♪」

 

 その仮想世界に起きる、不思議な事件。それが起きる可能性と出くわした。




昔のセブンちゃんならSAOサーバごと、データ欲しがるでしょうね。

学者がシナリオ、物語の情報を閲覧できてたら、それをそのままゲームにしてそう。

またややこしい裏設定、けど仮想世界に関わる大人ならやらかしそうなのでどうしても必要でした。

それではお読みいただきありがとうございます。
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