いまの彼は………
砂漠の攻略はあまりしていない、ダンジョンは気を付けている。
さすがにまた進みすぎることは無いだろう。たぶん………
そう思っていると、悲鳴が聞こえた。
すぐにそちらに出向くと、一人のプレイヤー。あれは工匠妖精レプラコーン?
ともかく、ギリギリのようだ。助けても問題ないだろう。
その時、反対側から他のパーティーも助けに駆け付けた。
って、あれは、キリトっ!?
◇◆◇◆◇
それは突然現れた。
三人と一人のプレイヤー。その中で二人の剣士が活躍する。
盾と剣、二つを巧みに扱い、避け躱し、すれ違いざま切る剣士。
もう一人は両手に持つ剣でエネミーを蹴散らす。
「「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」」
赤と黒の剣士が交差して、最後の一体を各々倒した。
「ふう、これで」
「………」
襲われたプレイヤーの方へ、彼ら、キリトたちが話しかけている間、すっといつの間にか、彼は逃げ出した。
なぜキリトから逃げるか………
正直、なぜ逃げたか本人にも分からない。
◇◆◇◆◇
「………」
静かに町に戻り、逃げたのはまずかったかなと今頃になって思う。
正直恥ずかしいし、色々なにかこう、ね。
だって俺からすれば、触れられない存在が実体化したようなもんだもん。
やっと色々終わって考えたら、俺ってなにしてるんだ、オリ主かっ!?
(こんなんじゃ、また夢で訓練が始まりそう)
SAOが終わり、いつの間にか夢を見なくなる。
もう教えることは無い。ってことは無いだろう。
だが見ない、それを寂しく思う。俺はまだ、彼と戦いたい。
そんなことでいっぱいいっぱいになる中で彼らを思い出す。
もう一回彼らに会うなんて、できない、無理、死んじゃうっ。
どうすればいいんだろう、俺のコミュニティ力。
もう無理だ………
「………」
俺はただ、深いため息をつく。
そう言えばルクスたちはなにをしているのだろう。幸せならいいが………
◇◆◇◆◇
「みんな、聞いてくれ。もしかしたら、最初に島を開放したプレイヤーが分かったかも知れない」
「それってホントっ!?」
「誰なのそれ?」
「それは俺たちなら誰もが知っている男………」
その言葉に、クラインたちは首をかしげる。
「俺らが知る、男性プレイヤー?」
「お前、《黒の剣士》じゃないのなら………」
「! それって《沈黙の蒼》ですねっ」
シリカの言葉に、それに合点が行く。
唯一ユウキだけが分からない顔をしている。
「ねえ、その《沈黙の蒼》って」
「俺たちが前にしていたゲームで、とても強い、蒼い衣装を着ていた片手剣、盾、色々なことができる剣士。彼がいまでもそのスタイルなら」
「それなら噂と合致するな」
「実はね」
それはあるプレイヤーを助けたとき、もう一人、助けに入ったプレイヤーがいた。
その動き、赤い服装だったが、彼は、
「彼は間違いない、《沈黙の蒼》、テイルだ」
「っ!?」
ユウキが驚く中、それに気づかず、クラインが訪ねる。
「彼奴もALOをプレイしてるのか?」
「まだ分からないが、俺はそう思う。ソロで俺たちやシャムロックよりも先に攻略した。彼奴の実力なら、な………」
エネミーを倒し切ったら姿を消していた。
「そう言えば攻略記念パーティーの時も彼奴いなかったな」
「彼とは、連絡がな。最後の最後で知り合ったから、どうすればいいかって思っていたんだ」
「確かに、最後の方で世話になったしな……」
クラインはそう言うが、いまからでも遅くは無いだろう。
彼とは色々と話がしたい。
「それは確かに、最後の戦い、ユイちゃんも何も聞かずに守ってくれたしね」
「確かに、最後だけだけど、彼も仲間よ」
「そうですね、お話してみたいです」
皆、彼と話がしたいのは満場一致らしい。
攻略を進めれば、きっとまた出会えるだろう。
今度は逃がさないぜって。
「そう言えばなんで消えていたんだ?」
「なにか用事があった、からじゃないですか?」
「きゅう」
シリカにそう言われ、それも含めて聞けばいいか。
◇◆◇◆◇
少しだけ彼の話を聞いた。
それはまさに、《沈黙の蒼》らしいやり方であると話し合う中で、ユウキはワクワクして聞いている。
前のゲームのことは詳しくは聞かないけど、彼は凄いプレイヤーなのは知っていたユウキ。
彼とは決着をつけたい。
彼とは、三連敗しているんだからっ。
(勝ち逃げは許さないよ、テイル♪)
そう思いながら、彼は現実でくしゃみをして、怯えていた………
◇◆◇◆◇
絶剣の噂も聞く中、キリトたちの噂を聞く。
もう俺も平気かと、やはり好きな色を着込む。正直サラマンダーなのは、アタッカーとして選んだだけだ。
しかし、
(武器がな)
SAO時、俺は人があまり出入りしないあの子の鍛冶屋で、武器を調整した。
いまはドロップ品や、NPCの店で纏めたりしている。あの子の以外、どうもしっくりこない。
弓矢はサブで用意しながら、ここでは片手剣と盾のスタイル。やはりこれが一番なじむ。
砂漠の島は、キリトたちが攻略した。今度は雪、銀世界の島らしい。蒼がいいだろう。
(武器の整備、アイテムの備蓄………)
色々考え込んでいると………
◇◆◇◆◇
「君!」
「!」
彼は驚き、静かに振り返る様は、あの時代を思い出す。
変わらない彼は、
「テイル、テイルじゃないかっ!」
「キリト………」
彼は静かに頷き、それが彼、俺たちが知るテイルだという証だ。
「君もALOをしていたのか、俺たちもしているんだ。いまはスヴァルトエリアを攻略している。君もだろ」
「………」
彼は何も言わず、ただ黙り込む。
だが、《沈黙の蒼》はまったく変わっていない。
「なあ、もしよければ、一緒に攻略しないか」
「………一緒にか」
「ああ、どうだろうか?」
そう言われ、静かに頷く彼とフレンド登録をする。
彼は、気のせいか少し、慣れていない手つきでフレンド登録をするウインドを操作していた。
◇◆◇◆◇
いまあったことを話すぜ、キリトからフレンド登録しようって言われた。
さすが主人公、そんなことも簡単に言えるのか。
初めての登録をし、俺は軽く彼と話す。
自分は本来人付き合いが苦手で、いまもソロ活動していたこと。
馴染みの鍛冶屋が忘れられず、ドロップ品などをいまは愛用している。
気が付いて山登りしていたら、実は大ボスの部屋にたどり着いたとき、笑ってしまうキリト。
「まさかあの岩壁を上るなんて、凄いなテイルは」
「………そうか………」
そんな会話をしていると、俺が使用する、ドロップ品を扱う店を紹介した。キリトは喜んでくれたようだ。こういう穴場が好きな様子だ。
キリトが買い物をし終え、その帰り道、
「ん………」
「なんだか向こう側が騒がしいな」
そして振り返ると、誰かが走って来て、俺にぶつかり、すぐに倒れそうになるのを支える。
「………大丈夫か?」
「あの、えっと」
なにか慌ててるように周りを見て、後ろにある樽を見つける。
その姿を見たとき、七色・アルシャービンを思い出す。
いや、
(本人!?)
「あ、あたしを隠してっ」
「はぁ?」
「いいからっ、あたしは後ろに隠れるからね!」
そう言い樽に飛び込み、その姿を隠した少女。
その行動力は歳相当の女の子として感じられた。
ニュースなどでは感じない、そんな反応に、俺とキリトは困惑する。
困惑する中、背後から気配を感じ振り返った。
「おい、そこの者、この辺りで少女を見なかったか?」
それは強いプレイヤーなのだろう。それくらい威圧を醸し出すプレイヤーである。
「えっ、えっと」
「さっきそこの道を走りって言った。ぶつかって謝る暇も無かったから………知り合いなら申し訳ない」
さらっと流れるように嘘を言い、キリトは驚いていた。
「………そうか」
僅かに考え込むそぶりを見せたが、そう言い、その場を去っていく。
◇◆◇◆◇
「かばってくれてありがとう、私はシャムロックのギルドマスターセブンよ」
それを言われ、色々思い出す。
確かアバターを自身に似せたりしたり、色々活動していたんだったな。
「やっぱり、俺、君に会いたかったんだ」
そうキリトが嬉しそう、俺は面倒なことになったんじゃと内心思う。
「あら、あなた、あたしのファンだったの? じゃあ、お礼はサインでもどうかしら?」
「いや、ファンとかじゃなくって、俺は七色博士として君の話を聞きたかったんだよ」
二人が会話する中、俺はなにもすることはなく見守っている。
むしろキリトはよく話ができるな。
「シャムロックに入隊、とかじゃなくって?」
「ああ」
と、そんな話をしていると、回りというより、向こう側が騒がしい。
「まだ探してる………しつこいわねえ」
「君のギルド奴らって、お付きの人みたいなものだろ?なんで逃げてるんだ?」
「このセブンちゃんだって、たまにはひとりになりたいときがあるわ」
「………大変だな」
少しキリトと会話した後、嵐のように去っていく。
結局なんなんだろうか………
◇◆◇◆◇
彼はいま、勇気を試されている。
紹介されたエギルの店で、新しく開放された島の攻略会議。
待たせてはいけない。そう思い、彼は入る。
「テイル、待ってたぜ」
「キリト」
まだ人が少ないが、工房の中にある店に、何名か驚く。
「テイル、お前さん、やっぱりいたのか」
「ああ、サラマンダーのテイルだ………」
そして彼を含め、多くのキリトの仲間たちと会話する中、ユウキが嬉しそうににんまりと笑う。
それを見て、僅かに彼は困った様子な気がしたキリト。
だがそのままで、彼は武器防具の整備もあり、リズに相談しながら、会議に加わった。
「あの後、レベル上げついでに探索したけど、高度制限で行けないエリアが多くって、ドロップ品は以下のようだ」
「うわっ、これまたレアドロップ多く無い?」
「そうなのか………」
分かっている行けるダンジョン候補を絞り込みながら、高度制限を解除または別口で入れる方法を見つめるが、今後の方針になる。
こうして話し合う中、アイテムや装備の準備に一時解散になる。
そしてそんな中、少しだけ彼の装備の話になった。
◇◆◇◆◇
「テイルは行きつけの店が忘れられないのか」
「ああ………。キリトには伝えたが、俺は、人付き合いが苦手でな………」
「沈黙じゃなくって、ただ口下手なだけだったのかっ」
そうクラインに驚かれながら、少しずつ彼らと会話しながら、リズに武器を調整してもらう。
だがやはり、剣と盾、武器だけがしっくりこない。
「どうかしら?」
「悪い………」
「ううん、謝らなくっていいわよ」
「長く愛用してたからだろうな、そういうの分かるぜテイル」
「ともかく、これからよろしく」
◇◆◇◆◇
「テイル!」
「ユウキ」
一度別れた後、彼女と話し合う。
ユウキからは無論らしき、再度再戦を挑まれるが、
「少し待ってくれ。俺はまだ、本気を出せない」
「あっそっか。武器が手になじんでないんだったよね」
「あの時のように、お前の動きをさばけない。きっと負ける」
「そうか~。なら、手になじんだら勝負だよ!テイル♪」
「………」
静かに頷き、ユウキとも別れる。
◇◆◇◆◇
ゲームを進める中、彼らから詳しい内容を聞く。
「攻略に、最近はシャムロックに先を越されてるのか」
「相手は大手、こっちはギルドってほどでもないから、どうしてもな。だけどレインって言う、俺たちの追っかけのような子が、情報を集めてくれてるんだ」
「レイン?」
僅かに聞き覚えが、まああるか。レインなんてアバター名、意外と多そうだ。
こちらの反応にどうかしたか聞かれたが首を振り、静かに話を聞く。
そしてその情報を元に、俺たちはダンジョンへと向かう。
その時、
「こんにちは」
「………」
レイン、紅い髪のレプラコーンのプレイヤーがそこにいた。
「………?」
その顔を見て、僅かに何か引っかかる。
「? 新しい人かな?」
「ああ、テイル紹介する。レインって言う、新しい仲間だよ。レイン、彼はテイル。凄腕のプレイヤーで、このスヴァルトエリア最初の島、その最初の攻略者だよ」
「へえ、すっごいね~」
そう嬉しそうに言われる中、静かに頷く。
「? テイルさん、どうかした?」
アスナに話しかけられ、静かに顔を上げる。
「どこかで………会わなかったか?」
「えっ、そ、それは………」
「ああきっとあの時ですよっ」
リーファから、自分らしい人物が、一緒にHPが僅かなプレイヤーを助けたことを言われ、レインも、
「そ、そっかっ。君に会ったことあると思ったけど、あの時の」
「そうか………。あの時は、その………みんなと再会して、どう話せばよかったか分からず、逃げたんだった………。すまない」
「そう言うことだったのか。気にしなくていいぜ」
「ほんと、口下手なのね、あなた」
「………」
静かにシノンの言葉を聞き、気を付けるよう心がけよう。
そしてパーティーを組み、ダンジョンへ向かう。
◇◆◇◆◇
「最近、セブンファンしか、フィールドを見かけないな」
「セブンファン………ああ」
確かに、フィールドのほとんどのプレイヤー。すれ違った者たちは、セブンファンの証を付けていた。
それ以外の、攻略をしているプレイヤーの方が少ない気がする。
そしてダンジョン奥地で、エリア解放ではないものの、ボスがいる。ほぼ初めてのレイド戦だ。
どうにか仲間たちを守るのだが、攻撃はやはり、手ごたえは微妙。
いまいち乗れないまま、ボスは倒すことには成功する。
「すまない、足を引っ張った………」
「えっ、なにを言っているんだ?」
俺はボス戦の感想を伝えながら、片手剣を何度も手首で回す。
どうにもこうにも、少し違和感を感じる。
「重心が足りないんだよな………」
「それ以上大きくしたら、カテゴリーが両手剣になるわよ」
「知り合いからもそう言われたんだ………」
「テイルは片手剣、それで威力をギリギリまで求めるタイプなんだな」
キリトは感心しつつ、リズは新たな客の注文に頭を悩ませるが、本人は楽しそうだ。
そんな会話の中、後ろから気配を感じた。
「誰が来る」
「!」
その言葉と共に、ウンディーネの青年。あの時の青年が現れ、キリトが会話する。
彼はスメラギと言い、シャムロックのメンバーで、セブンに頼られている男だ。
さすがの俺もそれくらい分かり、キリトと会話を続けている。
◇◆◇◆◇
どうもキリトはセブンと交流があり、クラスタ、ファンであるクラインをなだめている。
キリトはセブンと言うより、七色博士の提唱する考え方に興味があるらしい。
確か他種族との交戦がメインのこのゲームで、共に攻略を謳っている。
その話をしながら、古代文字が書かれたレバーがあり、それを読む。
「えっと………閉ざされし入口を開けんとする者、氷の封を解き放つ火の宝玉を渡そう」
「分かるのテイル?」
「勉強の暇に、古代語の大本を調べたんだ。そうしたら意外と分かる」
「へえ、凄いよテイルさん」
手に入れたのは、滅茶苦茶熱い宝玉で、箱の中から取り出せない。
使えそうなところ、氷の封印だろう。
「フィールドに、凍り付いた滝がある………。もしかすれば」
「ほんとか!?」
「ああ。ただなにか奥があるか分からないが、隠しダンジョンの可能性はある」
「なら案内を頼むよ」
「テイル、意外とダンジョン探索の才能ないかな? わたしと一緒にトレジャーハンターやらない?」
「それよりも俺は……、手になじむ武器を探す方が先決だな……」
「へえそうなんだ」
「彼奴の作ったオーダーメイドなら、いいんだが………」
「………」
レインがこちらを見る中、滝がある場所へと歩き出す。
◇◆◇◆◇
「………」
レインは静かにテイルを見ながら、また静かに歩き出す。
「まったく、変な注文ばっかりなんだから………」
そう呟き、妖精たちは空へと飛んでいく………
キリトくんとフレンド登録して、彼は友達が増えた。
いまのところ、槍などは時々使い、片手剣と弓のスキルを上げているところです。
それではお読みいただき、ありがとうございます。