ソードアート・レジェンド   作:にゃはっふー

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第61話・謎

 ALOのクエスト帰り道、俺たちは謎の黒いエネミーと出会う。

 

 それはHPゲージすら無いバグかウイルスか不明の謎のデータ。その正体を知るため、俺たちはセブンに連絡すると共に、情報を集めることにした。

 

『キリト君たちも会ったのね。亡霊剣士に』

 

「亡霊剣士?」

 

 セブンの話では、ここ最近、VR空間内に現れる謎のデータ。

 

 なぜかウイルス、バグなどに適応されず、他のオブジェクトを初めとしたデータの破壊する。

 

 亡霊剣士は名称すら無いところ、遭遇したプレイヤーたちが付けた名前であり、正式名は不明。

 

 プレイヤーは蘇生無しで倒され、中にはストレージ内のデータが壊されたと苦情が運営に送られる。目下原因捜査中。

 

『しかも噂の尾ひれに、この亡霊剣士に倒されると意識を失って、永遠にゲームからログアウトできないとか言われてるわ』

 

「もうそんな騒ぎになっているのか………」

 

 そんな会話をしながら、セブンにあのことを伝えられなかった。テイルと亡霊剣士が似ていることを………

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

「結局なんなのか分からないままか………」

 

 和人が現実世界で考え込む。ネットなど見てみるが、レアモンスターやPKプレイヤーの変装などと言う噂。

 

 セブンが言っていたように、亡霊剣士に倒されると二度とログアウトできないと言う噂まである。

 

(カーディナルシステムがある以上、こんなことは長く続くはずはない。なのになんだこの胸騒ぎは……?)

 

 なぜか放っておくことはできない。目撃して対峙したあれは、テイルと戦う時の行動にどうしても重なるからだ。

 

「それに見つけたか……何を見つけたんだ?」

 

 最後にあれが呟いた言葉も気になる。現状分からないことだらけだ。

 

 そう思いながらパソコンを閉じようとした時、メールが届いた。

 

「メール? 誰からだ?」

 

 和人はメールボックスを操作して、それを開いた。

 

【彼の仲間へ 

 

 ALOのこの座標へ向かって。そこで悪夢を、彼の絶望を止めて】

 

 そのメールは誰が送ってきたのか、その全てが分からない。差出人不明のメール。

 

 だがその文章を見ながら、和人は何度も見直す。

 

「彼の仲間? なんなんだ?」

 

 キリトは首を傾げながら、それを見つめていた。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 彼はカタカタとキーボードを叩き、レポートの整理していた。

 

 眠い目をこすり、睡眠時間を削る。正直色々断らなすぎたと反省している。

 

 徹夜は慣れている。たかが三日程度、不眠不休で行動はできるので問題ないのだが、この状態で仮想世界には行けない。こういう場合、安全装置の発動基準を緩めて欲しいと思う。ツェリスカなど、運営の人はどうやってるんだろう?

 

「ん? 詩乃?」

 

 それでも気配など、少しの音にも反応する。人の気配ならなおの事。

 

 扉を少し開き、中の様子を見ているのは、飼い猫を抱き上げている居候。朝田詩乃。

 

「ごめんなさい、ノックはしたのだけど」

 

「にゃ」

 

 そうだぞと言わんばかりに鳴く猫にそうかと頷き、彼女と向かい合う。

 

「どうした? 仮想世界で何かあったのか?」

 

「ううん。そっちは平気」

 

 そう言いながらただの世間話をする。

 

 ALOでユウキの様子など、心配ないと言う話をしながら、少しだけ彼の様子を見た。

 

 彼はずっと自分の宿題やアルバイトのデータ整理などしていたと言いながら、詩乃はそうとホッとする。

 

「どうした? なにかあったのか?」

 

 彼はそう聞くと、そっけなく彼女は猫の手を持ちながら、

 

「なんでもないわよ」

 

「にゃ」

 

 そう言ってその肉球を彼の頬に押し付けておく。猫の方もぺしぺしと本来の飼い主を叩きながら、なんとなく気になりながらも納得する。

 

「そうか。ならいいよ」

 

 そう言って部屋を後にして、自分が借りている部屋へと入る。わざわざ鍵を付けてくれた部屋ではあるが、この猫はドアを引っかいたりして中に入る為、いまではもう中に入れておく。

 

「………彼の方に変化はない」

 

 そう詩乃は考え込む。

 

 あの謎のエネミー。その動きが指摘されてから彼、テイルと重なる。

 

 念のために彼の様子を確認したが、何事もないようだ。こちらでなにかあったのかと心配されたが、関わって欲しくない。

 

 彼は背負い過ぎる。自己責任と言うより、目をそらすことすらできない。簡単に言葉にできないような何かを背負っている。

 

「にゃ~」

 

「………関係ないと良いんだけど………」

 

 そう言い猫を撫でながら、彼女たちは明日に備える。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 ――壊れていく――

 

 地下らしき場所で息を引き取る男性。彼から剣と盾を受け取り、先へと進む。

 

 ――知っていて変えられない――

 

 誰かが死ぬ。助けられたり、身代わりに成ったり、彼らは目の前で眠りにつく。

 

 ――何が勇者だ――

 

 ――何もできないのなら知りたくない。何もしたくない。そんなもの(英雄)になんか成りたくない――

 

 ――だから救わせろッ!! 守らせろッ! 知ってるんだその先をッ!!――

 

 一つの大きな卵を中心にした島が現れる。

 

 ――嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ――

 

 そして彼は………

 

 絶望の中で己を睨む。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 その日のユウキは驚きと共に目を覚めた。夢の内容なんて覚えていない、いないはずなのに………

 

(なんでこんなに、悲しいんだろう………)

 

 その後は仮想世界、キリトのホームで情報交換。その中でキリトは例のメッセージをみんなに話す。

 

「それでそれが例のメッセージ?」

 

「ああ」

 

 アスナたちがメッセージ、ウインドウを覗き込み、ユイは難しい顔でそれを見る。

 

「差出人不明のメッセージ。文字化けしていて特定はできません」

 

「デマってことは無いの?」

 

「ああ、それも考えた」

 

 マップ座標は何も無い海の上。そこに行ったところでクエスト発生も何も無いのは調済み。

 

 正直どうするかキリトは悩んでいたが………

 

「そこに行く気なのキリト君?」

 

 それを聞かれ、静かに頷く。

 

「この問題は、どちらかと言えば運営が解決する問題なのは分かっている。だけど、このまま放っておくことはできないんだ」

 

「………テイルが関わってるから?」

 

 ユウキの言葉に、キリトはしばらく考え込んだ後、静かに頷く。

 

「あの時に出て来たあの亡霊剣士。あの動きは間違いなくテイルの物だ」

 

「それじゃ、誰かがテイルのデータを使ってる。ってこと?」

 

 リズの言葉にユイは首を振る。

 

「いえ。個人データであるアバターデータのコピーはできません。バックアップなどはあると思いますが、ウイルスのように使用することは考えられません」

 

「ともかく、ここで考えていても仕方ない。みんなには」

 

「ここで待ってて欲しい。なんて言わないわよねキリト君?」

 

 その言葉に言葉を積ませらせて、クラインは呆れてしまう。

 

「お前な。テイルの野郎が一人で抱え込むのは知ってるけどよ。オレらまで抜け者にするなよな」

 

「そうですっ。テイルさんにはいつもお世話になってるんですから」

 

「きゅう」

 

 シリカとピナがそう言い。周りのみんなの準備は終わっている。

 

「分かったよ。それじゃみんな、行こう」

 

『おうっ』

 

 こうして謎のメッセージに誘われて、彼らはその座標まで移動する。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 海の上、マップの端まで飛ぶ一向。しばらくするとユイがキリトの側を飛ぶ。

 

「パパ。もうすぐ指定された座標です」

 

「どうなるか………」

 

 見渡す限り海しかなく、白い雲と空が広がる。ただ妙だとキリトは思う。

 

「エネミーがいない……?」

 

「お兄ちゃん、海中にもエネミーがいないよ」

 

「生き物もいないよ。これっていったい………」

 

 ここに来たのはキリト、アスナ、シリカ、リズ、リーファ、シノン、ユウキ、クライン。

 

 そしてピクシーであるユイとピナ。その時、キリトのメッセージボックスにメッセージが送られてきた。

 

「パパ、例の差出人不明の方です」

 

「?」

 

 キリトがウインドウを操作して、そのメールを確認する。

 

【来てくれたんだね

 

 いまからあなたたちを島へ飛ばす。そこで島の秘密を追って】

 

「目覚めの使者?」

 

 キリトがそう呟いたとき、辺りの空間にノイズが走る。

 

「キリト君っ!?」

 

「みんな固まれっ!」

 

 0と1、様々な景色に誰かの悲鳴。

 

 それが聞こえ出すと共に当たりの景色が落ち着きを取り戻すと………

 

「これは……?」

 

「すなはま?」

 

 ユウキの言葉に、全員が空を飛ぶのを止め、砂浜に降り立つ。

 

 そこに見知らぬ島ができていて、そこに降り立った後、すぐにマップを確認しようとウインドウを操作したが………

 

「現在、パパたちの位置が特定出来ません。ここはALO、アルブヘイム・オンライン内ではありませんっ!」

 

「なんだって!?」

 

 ユイの悲痛な叫びに驚き、辺りの様子を見る。

 

「アバターはALOのまま。装備とかも大丈夫そうよ」

 

「だけどログアウトボタンが………機能してない?」

 

 シリカから血の気が引く。ここにいるのは元SAOに捉えられていたプレイヤー。その事実が全身を恐怖で振るわすには十分だ。

 

「だけどわたしたちの付けているのは〝ナーヴギア〟じゃなく〝アミュスフィア〟よ。それなら安全装置が発動しそうだけど………」

 

「アスナの言う通りだ。ログアウトボタンの他は………通信もできないか」

 

 ともかく色々試してみたが、まるで外と連絡が付かなくなった。

 

 そう考え込んでいると、森の方が騒がしくなる。

 

「なんだっ!?」

 

「行ってみよう。ここで考え込んでいても先には進めない」

 

「そうだね」

 

 全員が頷き合い、島の奥へと進む。

 

 その様子をどこからか覗き込む者がいた。

 

「………お願い、彼奴を止めて………」

 

 そう小さく呟き、それは姿を消した。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

「ん?」

 

 懐かしい声が聞こえた気がした。俺はなんとなく振り返り、誰もいない部屋の中、パソコンを閉じ、背筋を伸ばす。

 

 詩乃か誰かが来たのだろうかと思ったが、この時間帯ならまだ仮想世界か。

 

「少し仮眠するか。はあ」

 

 そう言い横になり、目を閉じる前に我が家の飼い猫が見下ろしているのを見つけた。

 

 珍しい。詩乃の側から離れて自分の側にいるなど。

 

 そう考えながら両目を閉じて眠りにつく。もう特技になった。ただそれだけで眠りについた………




テイル「徹夜なんか何日でも平気平気………」(ミルクを一気飲みして眠気を吹き飛ばす

詩乃「………」(申し訳ないと思うが、頼らないとVRできないので何も言えない

和人たち「………」(以下同文

木綿季「病気治ったら夜食出してあげよう」

そんな日常です。

お読みいただき、ありがとうございます。
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