ソードアート・レジェンド   作:にゃはっふー

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第62話・出会い

 森の中で武装した化け物たちが木々を倒し、前進していた。

 

 黒い影のように真っ黒であり、影はイノシシ、トカゲ、豚の形をした二足歩行する化け物たち。それらが鎧など身に纏い、武器を取る。

 

 鎧は暗闇の中、はっきりと浮かび上がり、赤い眼光が当たりを見渡す。

 

 松明を振るい、森に火を点け、茂みの中から動物たちを追い払う。

 

【殺せ、全てを】

 

【蹂躙しろ】

 

【この世界は我らの世界なり】

 

 そう言いながら草陰から一つの影が飛び出した。

 

 それは白い動物、ウサギが現れ、影の化け物たちはそれに殺到、武器を振り下ろす。

 

「そう言う弱い者いじめは」

 

「感心しないよっ!!」

 

 黒い衣装で統一された剣士と、黒い剣を振るう少女がその剣を止めて弾く。

 

 続いて侍と金色の髪の妖精が流れ込み、武装した化け物たちは距離を取る。

 

【抵抗する者? 〝目覚めの使者〟か?】

 

【否、この者らにその資格は無い者。外からの者、飲まれた者………】

 

【我らに逆らうな。この悪夢は永劫に続く………】

 

「なに訳分からねえこと言ってんだっ!」

 

「ともかく片付けるぞっ!」

 

 武装した化け物たちは斬られ、蹴散らされる。

 

 ピナとシリカは動物の保護と火を消したりとしながら、化け物の数は減らしていく。

 

【運命に抗うか】

 

【運命はすでに決まっている】

 

【我らこそが、神だ………】

 

 影と成り消えるその様子に、キリトたちは不気味そうにその様子を見続けた。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 黒い影のようなエネミーを倒し切り、全員が落ち着く。

 

「もう大丈夫だよ」

 

 そう言いながら優しくウサギを抱きかかえ撫でる。

 

「ありがとうおねえちゃんたちっ!」

 

 そうウサギが耳をピンと伸ばして話しかけてきた。

 

「え?」

 

 シリカは困惑しながら、ウサギの子はピョンと地面に下りた。

 

 周りのみんなも驚きながら近づき、ウサギの子に話しかける。

 

「すまない、俺たちは外から来たんだが、ここはどこなんだい?」

 

「外? 島の外の人たちなんだっ!? 島の外になにかあるなんて、噂で聞いた通りだっ♪」

 

 びっくりするウサギ。色々話を聞きたいが、森が騒がしくなってきた。

 

「キリト君、ここより安全な場所で話を聞いた方がいいと思うよ」

 

「ああ。すまないが、落ち着ける場所を知らないか?」

 

「うん。いま島の人たちが集まってる集落があるんだ。案内するよっ!」

 

 そう言ってウサギを駆け出し、キリトたち全員が頷くが………

 

「いまさらだけどよお。クエストにしてもウインドウもなにも開かないんだな………」

 

「ああ。敵エネミーの消え方も、ポリゴンが砕けたと言うより、暗闇に溶けたようだ」

 

 クラインたちが困惑する中、ここが仮想世界なのかすら疑いたくなる。気のせいか肌で感じる感覚がリアル過ぎる。

 

 キリトたちは困惑しながらも、ウサギの案内で集落へと向かうのであった。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 ボロボロな場所は木の柵が建てられているだけで、防衛機能は全くない。

 

 洞穴のような場所で動物や人間が驚きながらウサギを出迎え、キリトたちに感謝していた。

 

「すまない、俺たちは外から来たんだが、この島はどうなってるんだ?」

 

 彼らに単刀直入にそれを尋ねると、島は昔から魔物が住み着き、ここ最近は村々を壊し、ついにこんなところまで追い込まれた。

 

 喋る動物と人間の彼らから話を聞きながら、避難地帯にいる人達は今後についての話も聞く。このまま閉じこもっている話や島の外に出る話もあった。だがそれは無理だろう。

 

 ここの防衛は紙くず並みである。外に出る方法も………

 

「私たちは島の外なんて何も無いと思っていた。いまさら島の外に出ることは考えられない」

 

「まあ、この人数で海を渡るのは無謀だなあ」

 

「そうね。せめて船があればいいんだけど」

 

 クラインとシノンの話に、船?と首を傾げる島の住人。キリトは島の住人の様子を見ていた。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

「話を整理しよう」

 

 キリトたちはパーティーで集まり、島の現状など、話を整理する。

 

「この島の名前は〝コホリント島〟。島の周りには何も無く、島の住人たちは外と交流は無し」

 

「島には魔物たちがいて、ここ最近になって村まで襲うようになって、ついに村が壊されてここまで避難したんだよね」

 

 アスナが困惑しながら考え込む。何かがおかしい。

 

「おかしいよね? だって」

 

 島の人間は〝人間〟なのだ。ALOに人間はいない。妖精がそれに近い者なのだ。

 

「動物の人たちは分かりますけど、人間の人たちは分かりませんよね」

 

「後はあれだ、この島には守り神さまがいるって話だぜ」

 

「〝かぜのさかな〟。この守り神が眠りについているから、島に魔物が現れて、暴れ回っているって話だな」

 

 キリトがそう締めくくると、少しだけ引っかかることがある。

 

 まずウインドウが開いて、クエスト発生が起きない。誰に話しかけてもそう言う〝ゲーム〟的なことが起きないのだ。

 

 それとここまで情報を集めても、攻略の糸口が見当たらない。目覚めの使者と言う言葉を使っても、誰もなんのことか分からないらしい。

 

「まるでゲームクリアするための何かが欠けているようだ」

 

 そう呟いたとき、彼らに近づく者たちがいた。

 

「すまない、君たち……? も、気が付いたらここにいた者かい?」

 

 彼らは服装はまだらであるが、一人兵士と呼べる格好であり、彼らは不思議そうにこちらを見ていた。

 

「あなたたちは?」

 

「まずは私から……。私は『ハイラル王国』の兵士です」

 

「『ハイラル王国』?」

 

 その言葉に反応したのはキリトとシノン。残りは少しだけ首を傾げる。

 

「確かそれってあの大型コラボの舞台だったよね? これって大型コラボのイベントなのかな?」

 

「そう言われてみれば、あの兵士さんたち、あの舞台の人たちにそっくりですね」

 

 リーファとシリカの言葉に、みんなその話で進む中、二人のプレイヤーだけ内心汗を流しながら考え込む。

 

 彼らの話では王国の兵士から不思議な影により、多くの人間が攫われたらしい。大抵気が付けばここにいたと………

 

「コホリント島……? ともかく、救助が来ればいいのだが………」

 

 そう言って兵士たちは此処を守るために動いているらしい。詳しい話を聞きながら、様々な人間はこの島に連れられているらしいが、プレイヤーはいないようだ。

 

「キリト」

 

 話を聞きこむ中、シノンが話しかけて来る。

 

「キリト、気付いてる?」

 

「………この世界はVRゲーム、仮想世界じゃないことか?」

 

 キリトの言葉に、シノンは重々しい表情で頷く。

 

「この世界は、どちらかと言うと彼の話で出て来る世界に近い。けど………」

 

 キリトも考え込む。この世界の雰囲気は彼の話で出て来るどの世界かと言われれば、闇の世界と言うものに近い。

 

 魔王によって変貌した聖域。そちらの方が話だけを聞いた彼らは納得ができるが………

 

「彼からコホリント島って名前の島は聞いてないわよね?」

 

「ああ。島となると」

 

 キリトは思いつく物語を指を折りながら数える。『夢をみる島』、『風のタクト』などだろう。

 

「そういえば、夢をみる島だけざっくりだったな………」

 

 そこで眠っている神様を起こす話。他の話はしっかりと登場人物や舞台など話してくれたが、その物語だけざっくりだった。違和感を感じたが、彼からしたら話したくないことなのだろうと納得していた。

 

「あの兵士も、この島の事を聞いたら首を傾げてたし、何かあるのかしら?」

 

「これならちゃんと聞いていればよかったな。シノンはなにか知っているか?」

 

「えっと………楽器がどうとか、目覚めの歌だったかしら? ごめんなさい、どうも話したくない話だったから、詳しくは聞いてないわ」

 

 そう考え込んでいると仲間たちが近づいてくる。

 

 いまはまだ彼らに話すつもりはない。キリトたちはそう考えを切り替えようとした時、ユイがキリトの懐から出て来た。

 

「パパ、またメールです。相手の方は例の差出人不明の人です」

 

「っ!? 開いてくれ」

 

 ウインドウを操作して、メールを開く。

 

【気付いたね

 

 その世界はただの世界じゃない。なにより、あるはずのものが欠けた世界。欠けたものが何なのか、それを知るにはこの座標にある神殿で、島の秘密を知って】

 

 そのメッセージを見ながら、しばらく考え込むキリトたち。

 

「どうする?」

 

「ここまで来れば、どこまでも付き合うさ」

 

「アンタらしいわね」

 

 リズたちも呆れながら、キリトは真剣な顔になり、その座標にある神殿へと向かう。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 森を抜けて、島の周りを確認すると、夕焼け空のように真っ赤な空が広がっていた。

 

 枯れた木々ばかりであり、荒れた地面しかない。ここに誰かが住んでいる、そう思えないほど酷い島である。

 

「あの人たちは、この島で暮らしてるんですよね?」

 

「そうね。快適に過ごせるとは到底思えないわ」

 

 シリカとシノンがそう言い、キリトたちも同意する。あまりに酷い島だ。

 

 座標にある神殿にたどり着くと、なんとも不気味な神殿であり、薄暗い雰囲気の建物。

 

「ここか。気を付けていくぞ」

 

 キリトが戦闘に中に入り、奥へと進む。扉は開いていて、敵も何も出てこない。

 

 だが………

 

「ひぃっ!?」

 

 アスナがあまりの光景にキリトに抱き着く。クラインも顔が引きつり、ユウキも嫌な顔をする。

 

「な、なんだこの部屋?」

 

 壁と言う壁、床と言う床に引っかいたような跡がある。

 

 指先から血が流れ出ていようと関係なく、指で引っかき続けた跡。そして石板が奥にあり、それには血の付いた指で触れたのか、血の跡がこびりついていた。

 

「これは………」

 

「解読してみます」

 

 そう言いユイが近づき、その石板を見る。

 

 フクロウとクジラ、そして文字が書かれていて、ユイは神妙な顔で文字を読む。

 

「【コレニ フレシ モノニツグ コホリントハ シマニ アラズ】」

 

「コホリントって、この島の事だよね? ここが島で無いって………」

 

「【ソラ ウミ ヤマ ヒト マモノ ミナ、スベテ ツクリモノナリ】」

 

「作り物……?」

 

「【カゼノサカナノ ミテイル ユメ ノ セカイ ナリ】」

 

「かぜのさかなってこの島の守り神だったな、どういうことだ?」

 

「【カゼノサカナ メザメル トキ コホリントハ アワ ト ナル】」

 

「この世界が消えるってことなのかな?」

 

「【ワレ ナガレツキシ モノニ シンジツ ヲ ツタエル】」

 

 各々が石碑に掛かれた言葉に反応し、そうユイが喋り終わると今度はメールが届く。

 

「パパっ」

 

「例の差出人か」

 

「読み上げます」

 

【真実にたどり着いたね

 

 この島は夢から覚める為に、外から人を招き入れる。その人間は〝目覚めの使者〟と言う使命を背負う。彼は最初は外に出る為に使命を果たそうとした。だけどその先に起きるその真実に打ちのめされ、一度は使命を放棄した。

 

 だけど彼は魔物の脅威から島を守る為、島の守り神、この世界を見続けるかぜのさかなを目覚めさせると決意したの。

 

 ………だけど彼はできなかった。

 

 彼は初めから全て知っていたから。

 

 誰が勇者を庇って命を落としたり、誰が傷付き、大切な人がいなくなると知っていた。

 

 だけど彼は勇者の軌跡を追わなければいけなかった。彼にとって勇者の軌跡は〝夢〟そのもの。

 

 彼は全て無視することもできた。だけど彼は優しすぎた。

 

 それが〝夢〟であろうと、〝ゲーム〟のように物語を途中で止めておくことができなかった。物語を終わらして、その〝夢〟を平和にする選択肢を選んだ。

 

 でも、それでも、この物語は彼にとってその世界の住人全てを滅ぼすだけ。

 

 彼は優しすぎた。彼の〝悪夢〟だけがこの部屋に置き去りにされて、彼らが去った後もここに在り続けた。

 

 真実、現実、何もかも受け入れられず、終わりの日までここにいたの。

 

 そして全てが終わり、消えたはずだった………】

 

「これは」

 

 キリトが驚く中、僅かに気配を感じて入口の方を見る。

 

 それは羽ばたきながらそこにいた。

 

「君は………」

 

 それはユイのように小さな妖精、ナビゲートピクシーのような妖精。

 

 金色の髪をなびかせ、静かにそこに飛んでいた。

 

「私は『フェリサ』。目覚めの使者と共にかぜのさかなを目覚めさせる手伝いをした妖精よ」

 

 そう悲しそうに部屋の様子を見て微笑んだ………




記憶に頼れ、つい最近読んだはずだろ? 買い揃えようと思ったら高過ぎだろ………。新しくリメイクされて出ないかな漫画版。

出したかったんや、出したかったんや。アリスたちが出せないんだから彼女くらい出したかった。

それでは、お読みいただき、ありがとうございます。
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