ソードアート・レジェンド   作:にゃはっふー

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限界と言うものはある。自分にだってそんなものがあると思いながらミルクを一気飲みする。少しこぼれた。

彼はここしばらく眠りもせず、まずは友人たちの学校からの課題や宿題、分からない範囲を全て把握して教える準備。ちなみに何名か学校が違う。

次にVRゲームにて、可愛い妹やサポートキャラたちと共にクエスト攻略。無理矢理心拍数など抑えてログイン。三日くらいから困難になり、断るようにした。安全装置の正確さが憎い。

セブン、七色博士からの頼まれごとの整理整頓。あれ? なんで俺がここまでしているんだろうと思われる仕事もあるが、気にしなかった。

自身の大学での課題とレポート。

知り合いのアイドルのCDを購入して聴く。

家事。

「………寝よう」

死んでしまう。さすがになぜ自分はここまで仮眠すると言う当たり前なことをしなかったか分からない。ふと、居候の部屋を意識した。彼女はいまは仮想世界で楽しんでいるのだろう。

少し寝ればまたユウキに会えるだろうか? 病院だけでなく、仮想世界のあの子にも会わなければいけない。どちらも大切な妹なのだから。

こうして少し仮眠したら………

「次の瞬間、気が付くと砂浜にいました」

そう言って立ったまま気絶して、しばらくして行動する………


第64話・その頃の彼は……

 ほんの少しの休憩で、少し仮眠する程度のはずだった。

 

 昔は仕方ない。少し眠り出すと時間が来た言わんばかりに〝体験〟しなければいけなかったのだが、現状もう意味は無いはず。だから少しの仮眠でしっかり眠れて休められる。

 

 そう言えばSAO事件が終わってから、一度寝たら起こされるまで眠っていた気がする。まあいまでは好きな時間まで寝て、時間が来ると自動的に起きると言う特技になったし、何日寝なくてもテンションはともかくちゃんと活動できる辺り助かるが………

 

 だが問題はそこではない。

 

「なのになんで俺、気が付けば見知らぬ場所で黄昏てるんだ?」

 

 武器にレインが打った片手剣に盾。海水は透き通るほど綺麗であり、刀身に映る自分の顔は、GGOかSA:Oのテイル。

 

 鎧もこれまたレア装備の鎧、片手剣盾の自分に合わせた物。荷物袋を背負い、腰にも荷物袋を下げていた。

 

 元々テイルと言うゲームキャラは一歩間違えれば器用貧乏になるステータスだ。ほとんどが装備など、その時その時の役割に必要なパラメータを底上げしている。魔法防御用のマントを着込み、装備一式はALOらしいことを確認する。

 

 ウインドウは開かないところを見ると仮想世界ではない。感覚的には体験だが退魔の勇者でないことが疑問だ。

 

「黄昏ていても仕方ない。探索でもするか」

 

 そう呟き、剣を背中に背負い、適当に歩き出した。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 歩いていると人の声が響き、港町が見える。

 

 耳は長い人から普通の大きさの人。外国人とその町と言う印象であるが、どの仮想世界、どの世界とも一致しない。

 

「???」

 

 眠い頭で適当にぶらつくと、ルピーで買い物している様を見て、ここは〝あの世界〟である可能性に気づく。だがどの世界、時代であろうと見たことが無い。

 

 ますます訳が分からないし、自分は無一文だろうと腰回りを確認すると、ルピーが入った袋があるので、そこで買い物しながら町の事を調べることにした。この辺りは仮想世界で鍛えていた。

 

「旅しててあまり気にせず船に乗ったりしてたけど、この島ってどんな島かな?」

 

 そんなことを言いながら調べると、ここはハイラル王国と別の国と海路を繋ぐ中間地点であり、多くの人が行き来するらしい。

 

 勇者のリンゴ園で作られたリンゴ、それを使ったアップルパイがあり食べる。材料のリンゴも食べさしてもらう。うん、記憶通りだな。パイを売るおばちゃんと楽しく会話しながら、久々の味を楽しむ。

 

「あんた運が良いね。もうすぐ祭りの季節で、ハイラル王国から『ゼルダ姫』がお見えになるらしいぜ」

 

「ふーん」

 

 その他にも魚介の串焼きを食べながら、島の由来について色々聞く。元々無人島だった島が開拓されたのは確かであり、何年かして祭りごとをするようになった。

 

「祭りがどんな切っ掛けでやるようになったか不明ねえ………」

 

 最近、島での話題は『ゼルダ姫』が来るらしい。

 

 ゼルダと言う名前は設定上、女神の生まれ変わりがゼルダと言う名前であったり、各伝説の姫がゼルダであることから付けられるケースがある。

 

(だから俺の知る『ゼルダ』に当てはまるかどうか不明。勇者もリンクの名前は聞くが、現代の『勇者リンク』がいると言う話は無し、か………)

 

 串を加えながら海を見て考え込む。その場合でもこの世界はどの世界軸なのかにも考えなければいけないし………

 

(なぜ俺がここにいる?)

 

 それが理解できず、大型船が港に来るのを見て、多くの人が歓迎している。王家関係だろうか? あの紋章があるからその可能性がある。

 

 そう思いながら、島の探索に移った。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 歩いていると港町はそこそこ広く、適当に歩く。

 

「ん~」

 

 水の都、海外に来た感覚だが、正直旅行などしたとしても日本のどこかなので、あまり実感が湧かない。

 

 彼は正直に言えば家でのんびりするか、日差しの下、草原の上で寝転んで寝るのが好きなのだ。

 

(それでよく強制ログアウトされたっけ)

 

 そう思いながら歩いていると、妙な気配に気づき、足を止めた。

 

(?)

 

 串を加えながら気配がする方を見る。木箱の山があり、一つだけ蓋がズレている。

 

「すまない」

 

 それに気づいたとき、背後から衛兵が話しかけてきた。

 

「はい? なんでしょうか?」

 

 衛兵なら仕事か何かだろうか? そう考えながら二人の衛兵と向き合う。

 

「この辺りに誰か来なかったかな? 年頃の娘さんなんだが………」

 

「娘さん?」

 

 その時、一部の場所の空気が変わる。

 

 それに内心気付きながら、考え込むそぶりを見せて、串を空になった袋に詰めた。

 

「その娘さんがどうしたんですか?」

 

「あっいや、もうすぐ行われる祭りに関することでね。準備が終わってないんだけど」

 

「『あたしもお祭りを楽しみたいっ!!』って言って、抜けだしててね。村長に探してくれと頼まれてるんだ」

 

 嘘は感じ取れない。それでも………

 

「少なくてもすれ違ってませんね。向こうかもしれませんよ?」

 

「そうか。ご協力感謝します」

 

 そう言って二人の衛兵が歩き出して、その後ろ姿が見えなくなり、鎧の音が聞こえなくなったところ、木箱、ズレた蓋をどかす。

 

「もう行きましたよお嬢さん」

 

 そう言いながら、我が目を疑った。

 

「えへへ………庇ってくれてありがとう」

 

 そう言い微笑むのは、あの『夢』で出会った彼女と瓜二つ………

 

「あたしは『マリン』。この島の子なんだ、あなたはどこから来たの?」

 

 そう微笑む姿に、内心何が起きてるんだと困惑した。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 マントを貸してあげて、彼女の案内で町を見て回る。

 

 色々見て回る中、マリンから島の歴史を教わった。

 

「この島はね、長い海路の中、たまたま見つかった島なんだ。開拓された航路でだんだんと発展していって、いまじゃ大事な町に成ったんだよ」

 

「祭りも開拓されているうちにできたのか?」

 

「うん♪ いつしか守り神様の話や、歌が生まれて、伝え始めたんだ」

 

 それを聞いたとき、俺は一体どんな顔をしただろうか?

 

 そう思いながら彼女と話をしながら、彼女はそろそろ戻らないといけなくなる。

 

「今日はごめんね、途中からルピーも出してもらって」

 

「いや、町のことを知れたし、この島のことも知れたからいいよ」

 

「そう言ってくれれば嬉しいな。お祭り、楽しみにしててね。守り神様へ捧げる歌、あたしの好きな歌、あなたにも聞いてほしいから」

 

「………ああ」

 

 マントを返してもらい、彼女は笑顔で町に帰る。

 

 夕闇の中、マントを着込み、町の外へと視線を移す。

 

「………行くか」

 

 そう呟き、俺は俺にとって悪夢でしかない遺跡があった場所へと進む。

 

 ここが〝あの島〟だとしたら、もしかすればと思う。

 

 そこに行き、何がどうなっているか、どうでもいい。

 

 理由も無くただ向かう。あの石碑がある遺跡へと………

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 別段エネミー、モンスターと出会うことも無く、島を探索する。

 

 かなり広いと思いながら、なぜか彼はそこに行きついた。

 

 古い遺跡であり、無人島云々はどうしたんだろうと思いながら、明らかな人工物を見ながら奥へと進む。

 

「………」

 

 その時、彼はなんで自分は奥に進むでいるのだろうと思いながら、足が自然と奥へと進む。

 

 着いた先は何かの石碑がある部屋なのだろう。壁や天井が崩れていて、石碑も何なのか分からないほど風化している。

 

 だがその光景を見ながら、彼は一向に動かない。

 

「………」

 

 石碑を見て僅かに分かる、クジラらしきそれを見て黙り込む。

 

 ただそれを見つめながら、時間だけが無駄に過ぎていく。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 なにしてるんだろう。彼はそう思いながら月明かりを見る。

 

 ここから動く気が起きず、だからと言って何かしたいわけでは無い。

 

 その場に座り込み、ただずっと、目の前の石碑を見続けた。

 

「………」

 

 そして………

 

「!?」

 

 敵意を感じて、盾を振るい払う。

 

 金属音が響き、月明かりの下に人影を見て、瞬時組み伏せた。

 

「誰だ」

 

 組み伏せた時、盾を相手の首に当て、片腕で心臓がある胸を抑えた。

 

 盾の周りに刃でも付けてもらおうかなと思いながら、馬乗りになり襲撃者を睨むと………

 

(!?)

 

 赤い目に金髪、小柄な体躯であり、顔のほとんどを布で隠す耳が長い人間。

 

「………いきなり刃物で攻撃して、お前は何者だ」

 

「………」

 

 立てないように押さえつける中、胸を押さえる手の感触がおかしい。

 

「………盗賊だと思った。すまない。だから手をどけてくれないか?」

 

 そう襲撃者は静かに、冷静に言う中で俺は………

 

「………女の子?」

 

 そう指を動かしながら呟いたら、何かが迫るのを感じた。急に痛みが走り、乾いた音が夜の遺跡に鳴り響いた。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 頬を押さえる彼は盾と片手剣を持つ剣士。本人が言うには旅人らしい。ここにはたまたま来て、時間を過ごしていたらしい。正直信じられない。ここに人がいる時点で不自然だ。

 

「………」

 

 だけど、彼は叩かれる時、避けることもせず諦めた顔で叩かれた後、こちらを開放した。

 

「俺はテイル。君は?」

 

「………『シーク』」

 

 こちらはそう名乗り、頬を押さえながらこちらを見る。

 

 こちらは顔を布で隠している、口元を隠しながら横目でテイルを見た。正直勝てる気はしない。

 

 いまだって叩いただけで許す気は無い。だが隙が無い。短剣で斬り込む時も、自然体で隙だらけだったはずなのに………

 

(斬り込んだ瞬間、変わった)

 

 一瞬で全てを理解して何が起きたか分からないうちに地面に倒されていた。

 

 さ、触られたことだって、しばらくして気づいた。正直まだ叩き足りない。

 

「君はどうしてここにいる?」

 

「………あー………」

 

 目が泳いで、周りを見渡す。

 

 彼は嘘を付く気は無いのか、明らかに怪しい様子の彼は、遠い目をしながら………

 

「なんとなく」

 

「なんとなく?」

 

「………嫌な記憶がある。ここは、そこに酷似し過ぎている」

 

 ………嘘は言っていないのだろう。納得はできない。

 

 月を見ながら彼はそう呟く。ただの嘘を言うにはあまりに現実味は無さすぎる。あまりにも不審過ぎて、警戒はするが行動に移るほどではない気がする。

 

「君はどうしてここに?」

 

「………探し物がある」

 

 もしかしたら彼は持っているのかもしれない。

 

「探し物?」

 

「………楽器だよ」

 

 彼はそれを聞き、一瞬戸惑うが、それは言葉になる。

 

「『セイレーンの楽器』か?」

 

 それにこちらの方が驚く。その言葉は誰も知らないはずだ。

 

「あなた、どうしてそれを知ってるの?」

 

「………」

 

 こちらはどうあっても彼を逃がすわけにはいかなくなった。

 

 彼はこちらを見ながら、しばらく考え込む。

 

「この島の守り神の名前は」

 

「黙れ」

 

 勝てなくてもこの男を野放しにはできない。

 

「どこまで知っている」

 

 こちらが殺気を出しながら聞いているのに、彼は変わらず月を見ている。

 

「………何が起きている?」

 

 そう聞く彼はこちらを見ていないが、その目は真剣なものである。

 

「………」

 

 何者か分からない。ただこの島の歴史を記していたはずの遺跡にいた旅人、テイル。知られているはずの無いことを知っていて、かなりの腕前を持つ男。

 

「………知っていることを教えてくれ、シーク」

 

 その怪しい男は覚悟を決めたようにこちらに振り向き、彼の真っ直ぐな目が自分を見る。

 

 それが彼と自分と出会いの夜であった………




ここのシークは女の子っぽいです。

テイル(正体はきっと知っている人だろうな………)(遠い目

次回もテイルサイトの話。この世界は何なのかな?

それではお読みいただき、ありがとうございます。
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