ソードアート・レジェンド   作:にゃはっふー

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ソードアートオンラインとしてレジェンドは次で最終回にしたいと思います。次の話はもうアリスたちの話しか無い。

ゼルダメインになりますから、タグの変更して投稿します。

それでは、SAOでのテイルの物語。夢をみる島の後日談です。どうぞ。


第70話・夢からの祝福

 それは情報整理の為、いつものように俺たちは集まった。テイル、彼の前世云々の話を知る俺こと桐ケ谷和人。朝田詩乃と彼の三人が喫茶店に集まるのだが………

 

「君、少し老けてないか?」

 

「また精神年齢が増えてな………」

 

 そう言いながらカフェオレを両手で持って静かに飲む。なんていうか老けた。

 

 詩乃もなんだかなにも言わず、その様子を見守る。

 

「ともかく情報整理だ」

 

 俺たちはフェリサからの案内と仮想世界の【セイレーンの楽器】を使い、テイルに知られる前に解決しようとしたのだろう。

 

 彼からセイレーンの楽器を回収できるのなら、歌も知る彼ほど適任者はいない。なのに、彼女は仮想世界の楽器を手に入れた俺たちに助けを求めた。それが答えなのだろう。

 

 だが別の何かが彼を現実のコホリント島へ招いた。彼からすれば少しの仮眠時間の間の事、俺たちは少しの間のVRゲームのプレイ時間。

 

 悪夢に苛まれたプレイヤーは、調べたところ、あの悪夢の剣士に倒されるとその日から、謎の悪夢を見続けると言う噂が流れていた。それも今日で終わるのだろう。

 

「木綿季たちには、まあ深く聞かれていないからこのままでいいか………」

 

「私はあなたを現実に連れて行った第三者が気になるわ」

 

「もういいじゃないか詩乃さんや、ただ俺が精神的に老けただけだよ………」

 

 なんか取り返しのつかないレベルで彼が老けた気がする。詩乃も不満があるのか、睨むように彼を見る。彼はそれを気にせずカフェオレを飲んでいる。

 

「悪夢の原因も、結局は〝アンノウンデータ〟が関係しているってことだけか………その辺は、七色博士に頼むしかないな………」

 

「あっ、ああ。セブンには俺から伝えておいたから問題ない。少し納得してなかったけど、うまくごまかしておいた」

 

 セブンには彼のデータの扱い、研究について色々調べて欲しいと頼んでいる。これ以上、彼のデータで事件を起こさせるわけにはいかない。なんでいまだ研究が続いている事を俺が知っているのか、かなり疑問を持っていたが………

 

 って言うか、ホント彼は大丈夫なのだろうか?

 

「大丈夫だよ………」

 

「それは大丈夫じゃないからな」

 

 そう言って話し合いは終わり、解散するのだった。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

「詩乃さんや、もういい加減に機嫌を直してくれないかい?」

 

「ならじじくさい喋り方するな」

 

 そう辛辣に言う詩乃に、俺はやれやれと思いながら共に帰る。いまだ詩乃は我が母に捕まり、飼い猫が荷物や鞄の中にいることもしばしばだ。

 

 不機嫌なのは理解できる。何者かは知らないが、俺にまた負担を掛けたのだから。俺的には問題ないのだがな………

 

「詩乃さん。俺のこと気にかけるのは嬉しいけど、神様でもトライフォースでも、俺は文句は無いんだよ?」

 

「ミスして殺しておいて、何度も何度も良いように利用されるなんて、私はごめんだわ」

 

 そう言いながら、また神様はやってしまったとおろおろしてそうだ。あの神様には文句は無い。俺の選択ミスが目立つだけだし………

 

 あるとしたら紺野家などだろうが、それも仕方ない、納得するしかないと言い聞かせている。正直こればかりはな………

 

「そもそも、あなたが怒る事じゃないのかしら?」

 

「詩乃が代わりに怒っているから、俺はいいよ」

 

「キリトが移った。これだから男って………」

 

 急に距離を取り始める詩乃は、ゴミを見る目で見る。キリトが移ったって、何が移ったのだろうか?

 

 正直あのフラグ生産機のような主人公、キリト君と俺とは全く似ていない。俺は彼女らしい人の影も形も無い。正直告白らしいものすら無い。出会いそのものがないのだから当たり前だが………

 

(こいついまルクスたちにケンカ売っている気がするわ………)

 

 妙に睨む詩乃の様子を見たウチの飼い猫は、高い運動神経を使い、飼い主の一人である俺に蹴りをかました。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 ボクのお兄ちゃん。でいいのかな? は、とても変わっています。

 

「テイル~今日はクエスト行かないの~~?」

 

「俺はのんびりやるさ。ユウキが行きたいところに行こうか」

 

 そう言って気が抜きすぎてふにゃふにゃになっているテイル。これでも凄い時は凄いんだけど、いまみたいな状態だと、大抵手を抜く。

 

 本気の時は物凄く速く、凄い剣士。キリトも本気な時は凄いけど、キリトの本気は、本当に手を抜けない時にしか相手にできないから、むしろ機会が無い方が良い。

 

 だけどテイルは違う。オンオフの差が激しいけど、自由に切り替えできる。本気の彼には全然勝てないんだよね。

 

 そんなテイルは仮想世界に来ても、みんなに合わせているだけで、自分で動こうとしない。どうしてか聞くと………

 

「俺はみんなが楽しそうなのが好きだし、楽しそうに笑っているユウキが好きだからだよ」

 

 そうボクの顔を見ながら言う。こんなんだからアスナとかからキリトが移ったって言われるんだよね~………

 

 テイルは自分の楽しみを持たない。全部他人の為に使う。

 

 色々な秘密を抱えて、それを面と向かって話してはもらっていない。何時か話してもらうつもりだ。

 

 さて、今日はみんなとアスナにお願いして、テイルと二人っきりにしてもらっている。テイルには内緒。

 

 頃合いを見てテイルに話す。ボクの口から、ボクが直接話すんだ。

 

 とりあえず、なんでもいいからテイルとボクはクエストを受ける。いつものように目新しいクエストや新フィールドを巡ろうと思う。いつもそう、そうでない時もあるけどね。

 

 探索の中、ボクらはいつものようにALOで楽しむ。テイルの相棒であるアファシスは、同じアファシスであるデイジーと買い物だ。

 

 アスナはもう話していて、せっかくだからキリトとデートだし、ボクもデートしたいなと思ったら、相手がいない。今の状態は二人っきりでレインたちに申し訳ないけど、別にいいよね?

 

「なんか島があるぞ」

 

「ホントだっ♪ こんなところで新フィールドっと」

 

 そう言って、ボクらは『名の無き島』へと足を踏み込んだ。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 丁度いいや、ここで何かクエストを受けて〝あの事〟を話そう。そう思い、島を探索する中で、一人の剣士がいた。

 

 アンデッドなのだろう。彼は鎧姿で椅子に座り、マフラーを首に巻き、兜の奥から赤い瞳がちらついている。まるで待っていたように剣を抜いたまま、こちらを見つめる。

 

「………おいおい」

 

 その時、テイルの雰囲気が切り替わった。

 

 いつの間にボクの前に立ち、鋭い目で剣士を見る。

 

「っ!?」

 

 その時、なぜかテイルの前でウインドウが開く。クエスト名、『古の勇者』と言うクエストだ。

 

 YES/NOボタンを見ながら、テイルはため息を長く吐いてボクを見る。

 

「ユウキ、悪いが一対一でやりたい。いいか?」

 

 その雰囲気にボクは理解はできなかったけど頷いてしまい。それに微笑みながら

 

「ありがとうユウキ」

 

 そう言って前を歩く。それに鼓動するように剣を抜き、盾を構えて立ち上がる剣士。まるでデュエルをするように待機する。

 

(まだクエストを受託してないのに………)

 

 まるで彼と戦う為に待っていたように、彼と戦う為だけにここにいるように、彼らは剣を構え、クエストを受託するテイル。

 

 デュエルのようにカウントダウンが始まる。それに伴い、二人は剣を振るい甲高い音を鳴らす。

 

「行くぜ、古の勇者様」

 

『来い、力の勇者ッ!!』

 

 カウントダウンが終わった瞬間、閃光のように駆けだした。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 それは凄い速さでフィールドを駆け巡り、ぶつかり合う。

 

 全身と言う全身をバネのように動かして食らいつくテイル。巧みに動き、それを捌く剣士。

 

 どちらも楽しそうな気がする。

 

「凄い………」

 

 テイルの本気も凄いけど、あの剣士の動きも凄い。凄いったら凄いっ♪

 

 ボクはそれを見守る中で、火花を散らして、テイルが吠える。

 

「Aアぁあァァぁぁaaaァaaぁぁaaa―――」

 

 限界の速度を超えたテイルの剣は、残像を残して三つに見えた。

 

 三つの斬撃を受けて、剣士は吹き飛び、地面に叩き付けられる。

 

 その瞬間、戦闘はデュエル扱いだったのか、テイルが勝者として戦いに勝った。

 

「はあはあ………やばい、レインに殺される」

 

 そう言ってテイルが持つ剣がポリゴンに変わる。刀身が折れたみたい。盾も消えていた。

 

 剣士が起き上がり、静かにテイルを見る。

 

『見事だ。もう教える事は何も無い』

 

「もう目的が達成してるんだからいいと思うが……まあいいか」

 

 煙のように消えようとする剣士。うっすらと消えていく中で、彼は言う。

 

『勝った褒美に、あの樹の花が咲くまでここにいろ。それが賞品だ……さらばだ、力の勇者よ』

 

 そう言って霧が出て来てそれと共に姿を消す。テイルはそれと共に辺りを見渡して、樹らしいそれを見た。

 

 つぼみのようなものがあるその樹を見ながら、なんだったんだろうと首を傾げる。

 

「ともかく疲れた~」

 

 その場に座り込み、ボクは近づいていく。

 

「お疲れテイル」

 

「ああ、なんとか勝てたよ」

 

 そう言いながら、花が咲くまで待つ話になった。ボクは丁度いいかと思いながら、地面に座り込んで待っている、テイルの後ろから抱き着く。

 

「テイル。ボクね、テイルに話があるんだ」

 

「どうした?」

 

 それは………

 

「ボク、もう無菌室から出て、普通の個室で治療しようって言われた」

 

 それはボクの病気が治り、後は体力を回復させるだけと言う話。それを聞いたテイルは驚いてボクの顔を見る。

 

「………最近忙しかったからな………」

 

「うん。テイル以外だと、アスナとおばさんたちかな? 内緒にしてほしいってお願いしたからね♪♪」

 

 そう言いながらギュとテイルに抱き着く。

 

「ボクの病気は治るし、スリーピングナイツのみんなもね、回復に向かってるって話なんだ」

 

 それは全てテイルが望んだ願いのおかげ。きっとそうだとボクは思う。

 

 テイルの、この人の願いは自分が知る事件で、誰かを救い、救われる事。

 

 だからボクの病気が治ったのは、テイルのおかげでもある。きっとそうだ。

 

「ボクはテイルに元気付けられた。なにより、姉ちゃんたちに会うこともできた」

 

 夢の中ではあるけど、確かにあったのだ。

 

 だからボクは幸せになる。みんなの分まで、彼がくれた時間を生きる。

 

「みんなと一緒に、ボクは生きるよテイル」

 

「………そうか」

 

 そう言いながら彼は微笑むと、樹のつぼみが開き、花びらが舞い上がる。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 まるで祝福するように花が舞い、綺麗な光り輝く花弁の中、光からそれは俺の前に下りて来る。

 

 光の集まり。それが徐々に弱まり、一人の妖精へと変わる。小さな小さな妖精に………

 

「君は………」

 

「ナビゲーションピクシーよ。始めましてでいいわよね?」

 

 そう言いながら胸を張りながら、それは強気に微笑み、俺を見る。

 

「これからよろしくねテイル。もう一人の目覚めの使者にして、力の勇者さん」

 

「………ああ、改めてよろしく。フェリサ」

 

 後日、隠しイベントの中にナビゲーションピクシーが手に入るクエストがいくつかあるとネットの片隅で見つけ、そして………

 

「マスターにはもう相棒は必要ありませんっ! そうですよねマスター!!」

 

「はあ? なに言ってるのよダメピクシーっ!? こいつの面倒を見るの私よっ!!」

 

「テイルッ!! 久しぶりにメール出したと思ったらなにしてるのよこのバカッ!!」

 

「お兄さん、どうしてこんなことに………」

 

「………どうしてこうなったんだろう」

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 彼はレインに怒られ、クレハに呆れられ、彼の相棒だと叫ぶ二人に彼は疲れた顔をしていた。

 

「ごめんなさい、キリト君が移っちゃったみたい………」

 

「仕方ないよアスナ。テイルとキリトって、仲良いもん」

 

「まあそうよね~……」

 

「キリトさん、テイルさん………」

 

「お兄ちゃんったらもう………」

 

 仲間たちからクレームを付けられながら、なぜか俺とテイルでユウキ回復のお祝いをすることになる。俺たちのおごりで………

 

「なんでこうなるんだろうな」

 

「俺が聞きたいよ………」

 

 二人の剣士はため息を付き、それでも楽しそうにみんなで騒ぐのであった………




謎の苦情により、エギルの店(リアル)で金を出し合うテイルとキリト(テイルが多めに払う。バイトしていて年上だから)

アスナ「キリト君、テイルさん。次はALOでパーティーだからね」

キリト、テイル「「えぇ………」」

お読みいただき、ありがとうございます。
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