病気が治るかもしれない。そう先生に言われた。
ボクの病気が治るかもしれない手術、骨髄移植というものがあると聞かされる。
そのお兄さんは、ある事件に巻き込まれ、しばらくして登録したらしい人。
事件の時や登録で発覚して、それで手術可能。
その人はボクの話を聞いて、すぐに話を聞きに来るらしい。
その人は前向きに手術を、骨髄移植をしてくれる。
だけど………
ボクは手術を受けたくない………
◇◆◇◆◇
『やあ』
それは神様だった。
『まず安心してくれ、君は死んでない』
それにホッとしながら、色々なことが走馬灯になる。
時間が合わず、裏世界進出の乾杯にも参加できず、少し落ち込んでいた。
それなのに死んだのなら、もうどうすればいいんだ俺の人生。
だが神様は何のために?
『君の願いを、正しく叶えることができないことを伝えに来た』
えっ………
それに愕然となる。
『すまないが、君が結果を知れば、悲しむと思い、伝えに来た』
そ、そんな………
『ユウキに家族はもういない、彼女は一人だ』
それに愕然となる。それで生きていても、彼女は幸せか。
『だから、あなたに託したいの………』
えっ。
別の声を聞き、そして後ろを振り返る………
◇◆◇◆◇
「………」
ピピピピッと言う音と共に、目が覚める。
朝日が差し込む中、俺は涙だけが流れた。
「………」
なにができた。
できなかった。意味が無かった………
「………ぁ………」
その日俺は、何もする気が起きなかった………
◇◆◇◆◇
「………」
「よ、よぉ~テイル? どしたのお前」
ログインして裏世界攻略の中、エギルの店で、クラインが心配して話しかけてきた。
「………リアルがうまくいかなくてな」
素材アイテムやらを渡しに来た。
ここ最近そればかりだ。
「キリトたちは」
「いやユウキのギルド、《スリーピングナイツ》ってギルドの手伝いよ」
「そう………」
それに俺はハッとなる。
スリーピングナイツ、手伝い、ギルドの思い出作り。
何があった。
何かあったッ!!
俺は思い出し、店を飛び出した。
「お、おいテイルっ!?」
◇◆◇◆◇
空を飛び、ウインドを開き、ここ最近発表されているクエストを確認する。
思い出せ、確か思い出作りで、何か障害があった。
「そうだ」
思い出作りは、ギルドによって阻まれたはずだ。
その時、颯爽とアスナを助けに、キリトが仲間と共に駆けつける。
今回もそうだろう。
だが、
「だけどッ」
だけど止まれるはずがないじゃないか。
あの子は俺、SAOのテイルが、存分に遊べた相手。
彼女には恩がある。
それだけで終わらす気は無い。
ホームページから情報を得て、俺は飛ぶ。
その途中で、ユイちゃんからメッセージが届く。
『パパたちがシャムロックのギルドメンバーにイベントクリアを妨害されてピンチですっ、どうか助けに来てください!』
そしてそのイベントの場所は、ユウキの思い出作りのための場所であると知る。
なぜだろう、こんなに強く思うのは。
俺は………
◇◆◇◆◇
「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
「くっ、やるな………だがここまでだっ」
「! しまったっ」
その時、奥から大勢のシャムロック、ギルドメンバーがこちらに向かって走っているのが見えたキリト。
他のスリーピングナイツのメンバーも、絶望してしまう。
「ふっはははは、弱小ギルドが、大手ギルドに歯向かった事、こう」
その次の瞬間、何かが切り刻みながら、ギルドメンバーを吹き飛ばした。
「えっ………」
「はっ………」
「なっ………」
そこにいた全員が驚き、戦闘が一度止まる。
中にはHPが0になり、倒されたプレイヤーが出る中………
翻る蒼いコート。
地面に突き刺さる、大剣。槍を背負い、持てるだけの装備を持って、一人の戦士が現れた。
「だ、誰だお前はッ!」
「シャムロックに、たった一人でたてついて、ただですむと」
「知るかあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ―――」
それは沈黙や、物静かな口下手の青年から発した声にしては、大きな声。
空間を震わせる意思と声に、数が多いシャムロックはひるむ。
「悪いが、ここから先は通行止めだ! これ以上先に行くのなら、消えてもらうッ」
蒼いコートを翻して、片手剣を構え、サラマンダーの剣士が二つの間に現れる。
「おいっ、彼奴の持ってる武器っ」
「まさか、レア武器かっ!!?」
驚く中で、それでも彼らは数の優位は消えない。
「いくら現れたところで、メイジっ」
メイジ職のプレイヤーが魔法の詠唱に入る、だが、
「っ!?」
瞬間、彼らの眉間が射貫かれた。
剣士はいつの間にか弓矢を装備していて、瞬時に放たれたらしい。
「テイル、お前」
「ここは俺に任せて、先に行け!」
「くそぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」
向かってくる敵プレイヤーに、瞬時に剣を抜き、切り払い、喉元を貫き、切り払う。
その瞬間的にプレイヤーを討つ姿に、全員が戦慄した。
「いまの動きなんだよっ」
「ただのプレイヤーじゃないぞ! ぜ、全員でかかれッ!!」
「………来いッ!」
蒼い炎が舞い上がる。
向かってくるプレイヤーが炎と変わり、様々な武器を巧みに変え、瞬時にHPを0にした。
その中に、瞬間的に防御力が高いプレイヤーに、連撃が叩き込まれる。
「な、なんだあのスキルっ、まさか」
「OSSっ、オリジナルソードスキルっ!?」
このゲームには、オリジナルのソードスキルを作るシステムがある。
それにより、再現された、授けられた剣技だ。
オリジナルソードスキル。その衝撃に彼のソードスキルの硬直が解ける隙を与えて、そして彼は一歩前へ乗り出す。
「おっらあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!」
剣が発光し、交差するように突進して、周りを飲み込みながらプレイヤーを切り刻む。
一気に隊列が壊され、その後も彼は隊列の中で暴れ狂う。
「ははっ、なんかすごい援軍を呼んだようだ」
「キリトくん、まさか」
「いや俺はそこまで知らなかったよ、あとで問いただそうぜ」
そしてキリトたちは、いま対峙するシャムロックを見る。
増援がたった一人に踏み散らされる様子に驚愕している好機を、キリトは見逃さない。
「さあ、ここを突破してっ、ボスに挑むぞ!」
そして彼らをボス部屋に入れた後、一人の番人が守り通した。
◇◆◇◆◇
「まったく、一人で片付けたわね………」
シノンがそうぼやく中、レア武器を持つ仲間に愚痴る。
「ってかお前さん、物凄すぎだろこれ!」
「そうですよ、凄すぎです」
シリカの問いかけに、静かに座り込む。
「隠してたわけじゃない、タンクとして活躍が多いから言う必要はなかったからだよ」
「OSS、オリジナルソードスキルは?」
「それは………やっぱり、そのな………」
剣を振りながら、レア武器だが、もう使えそうにない。
だいぶボロボロになり、ギリギリの戦いだった。
攻撃をギリギリで避け、矢や投げ槍、剣技。
持てるすべてを持って防衛し、クラインが自分の知り合い、ギルドを連れて防衛に来たり、仲間たちが駆けつけたりした。
「お前さんが血相変えて出て行って、心配したぞ」
「悪い……。そう言えば、どこかのギルドが、クエストにチャレンジするって聞いていて………」
「もしかしてって思ったのね、それでこれってあんたは」
シノンが呆れながら、俺は黙り込む。
仲間たちには悪いが、こう言いまわすしかない。ギルドはどこがは知らないが、シャムロックに変わっていて、俺はどうにか間に合ったようだ。
多くのレア武器がダメになったが、後悔は無い。
「………」
ともかく、いまはこれで防衛成功した。
そんな話をしながら、やっと一息つく。
◇◆◇◆◇
「………」
あの後、なぜかキリトたちと連絡がつかない。
「ボスは倒したんだよな?」
「だと思うが、だが連絡が無いのはどういうことだろう」
疑問に思う中、誰かが店に入ってくる。それは、
「あれ、あなたは」
「すいません、連絡がついていないと思いまして」
◇◆◇◆◇
エギルの店で、とあるプレイヤーが訪ねてきた。
彼女は、
「私はスリーピングナイツの一人、シウネーと申します」
「シウネーさん、ボス戦はどうなったんですか」
「それは、皆さんのおかげで勝利を収めることができました」
「そうですが、ですけど」
「はい………」
そしてしばらく考え込むが、意を決して、シウネーさんはスリーピングナイツのメンバーのことを教えてくれる。
それは重病患者たちの集まりだと言う事。
そして、ここ最近、治療のことなど考えて、解散する。
そのことがあり、自分たちがここにいた証の為、今回のクエストだ。
「確かクエストクリアの証で、名前がゲームの石碑に刻まれる。だっけか?」
「はい、他のギルドメンバーと組むと、リーダーだけですが、一組で攻略すれば、メンバー全員の名前が残ります」
「そして、ユウキ、あの子は」
アスナは解散するギルドと知りながらも、仲間に入りたいと言う意思で、側に近づこうとした。
だがユウキはそれを拒んでしまう。
「ここ最近、あの子は少し。なにか思い悩んでいる様子で」
「病気が悪くなったりですか」
「それは分かりません、ですけど、ここ最近、みんな集中して治療すれば治る話は、最近出始めてます」
それに俺は驚いた。彼らのその後は、ただの記憶の為、思い出せなかったが、そんな偶然あるのか?
神様が、手を貸してくれたのだろうか。そうしなきゃいけなかったのか、いまは分からない。
「………ユウキはどうですか」
「それは………そう言えば」
話を聞くと、ユウキは最近、自分の病気のことを話していない。
「なにかあったのでしょうか」
「悪くなる話という訳は」
「それはない………」
その時、何か思いついた顔になる。
彼女から詳しい話を聞くと、ユウキには姉がいた。
いた、なのだ。
自分と同じ病気で、双子の姉がいた。
俺の願いは届かなかったのだ。
いまのユウキは一人で闘病生活している。
ユウキが何を抱えているか分からない。現実で会うことできない。
「………ユウキとはちゃんと話さないとな」
キリト、アスナが先だろう。
俺に………会う資格は無い。
◇◆◇◆◇
それから少しして、ユウキと仲直りできた。
私はユウキからマザーズ・ロザリオを受け取り、スリーピングナイツのみんながやってくる。
そして、
「みんな、聞いてほしいんだ」
全員が集まる中、ユウキは自分のことを話しだす。
スリーピングナイトと、私たち。
その中に、炎のように荒れ狂った彼もいる。
実は特殊な手術方法で、仮想世界に意識をフルダイブし、身体をその間治すという、簡単な説明をスリーピングナイツのみんなと共に、私たちに説明してくれた。
そして、
「実はね、最近になってボクと骨髄移植できる、ドナー登録者さんが現れたんだ」
「それって!」
「うん、もしかすればボクの病気、治るかもしれないんだ」
「それならユウキっ」
「受けるべきですよリーダー!」
「俺らだって治るために離れたりするんですよ、リーダーも治るために受けるべきです」
そんな話の中、ユウキは僅かに身体を震わす。
「ごめん、怖いんだボク」
「手術が怖いの」
「それもある、けど、その人に迷惑をかけるんじゃないかって」
「ユウキ」
「その人、病院から連絡を受けたら、説明を聞きに来てくれた人だけど。怖いんだ、自分の病気に巻き込むのが」
そう言うユウキ、いまそのことで、かなり先生と話しているらしい。
◇◆◇◆◇
気のせいか、どこかで聞いた話だ。
「………」
そう、聞いた話だ。
今朝も親と共に、受ける子が決心したらすぐに受けないとねとか話して、
「手術は一応するから、体力作りのために肉食いなさい」
とか母親に、熊肉とか食わされたっけ。
………ははっ………
だからあんな夢を見たのか………
「ユウキ」
「? テイル?」
「………手術を受けよう、ユウキ」
「………ボクは」
沈む顔をするユウキへ、俺は一歩踏む出す。
「俺はお前を救いたい」
「テイル?」
「お前を助けたい」
そう言って、ユウキの手を握る。
「………『神様は、私たちに耐えることのできない苦しみをお与えにならない』」
その時、ユウキの目が見開き、俺は静かに抱きしめる。
「ドナー登録で、ある患者に手術拒否されたけど、準備だけはお願いしますと言われてから、変な夢を見たんだ」
これで変な奴として見られたっていい。
「それ………って」
涙目で聞き返すユウキに、その涙をぬぐいながら、
「夢の中で、親子が出てきた。妹を、娘をお願いしますって……」
「そ、んな、けど、あの言葉は」
首を振り否定しそうになるが、その手を握りしめながら伝える。
「ユウキ、俺とお前が出会ったのは、神様が出会わしてくれたからだ………」
「そんな、けど、だけど、テイルが?」
首を振りながら、それでも静かに話しかける。
「俺は夢の中で出会った親子の願いを、お前を救いたいと言う願いを叶えたい」
「てい、る………」
涙を流す少女と共に、俺は俺の願いを、みんなの願いを叶える。
◇◆◇◆◇
翌日、透明なガラスを隔て、一人の少女と青年が向かい合う。
その側に両親もいて、ユウキ、彼女と向かい合う。
『テイル、なんだよね?』
「ああ、リアルネームと同じだったんだな。ユウキ」
いまユウキは仮想世界にアクセスし、そこからスピーカー越しに話をしている。
母さんと父さんは医師の先生と、詳しい日程などの話をしていた。
「お前だと知った以上、無理してでも受けるよ………」
『………けど』
「俺は手術をいつ受けてもいいようにって、母親に毎度肉類食わされたり、野菜食わされたりしてな。さすがにマグロの目玉は飽きた」
『どんな食事情!!?』
「ウチは自分より他人のことばかり考えるんだよ」
そんな話をしながら、透明な壁に手をかける。
「ユウキ、治ろう」
『………テイル』
「………俺の、俺の名前は―――」
◇◆◇◆◇
ボクらの手術は滞りなく進み、成功。
テイルや、テイルのご両親、アスナも駆けつけてくれてました。
そしてボクはその日、夢を見た。
「っ!? 姉ちゃん………。それに」
二人と出会い、ボクはテイルが会わせてくれたと聞いてから、いっぱい、いっぱい話し合った。
全てが終わり、時間が来るまで、ボクは夢を見続けた………
◇◆◇◆◇
こうしてユウキ、紺野木綿季の手術が終わり、俺はぼーとしていた。
これからログインとかどうするかとか、色々考えていると母親が、
「木綿季ちゃん引き取るかもしれないからね」
「はい?」
そう唐突に言われた………
本気、なのかな。少し不安だ………
彼の願いを変えて、少しでも良くなるようにとかえられた願いです。
後書きもここで、お読みいただきありがとうございます。