硬く柔らかで温度耐性があり鋭い   作:ちゅーに菌

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何故か続いてしまったこの小説。正直、需要は不明ではありますが、楽しんでいただけたら幸いです。

感想は遅れても全て返信いたします。このような小説を評価及び感想を貰えて感謝の極みです。

ああ、後今回はエロくないです(謎の表明)



おるとさんの暇潰し

 月日は早いものでおるとさんがカルデアに来てから5ヶ月程経った頃。

 

 ローマなネロ祭とか、アモーレミオなお月見とか、ハロウィンなエリザとか、サンタオルタなクリスマスとか、是非もないぐだぐだ本能寺とかがあった。しかし、どれもこれもおるとさんは季節のものを食べていたら終了したのでおるとさん的に印象は全く無い。立香は素材とか限定星4サバのために駆けずり回ってたのにな。

 

 ちなみにネロ祭におるとさんは殿堂入りという名の出禁になった。そもそも何故出したし。

 

 第三特異点 オケアノス? ああ、宇宙空間を単独飛行出来るおるとさんを相手に船で海戦を挑むなどあまりに無謀だったということだけ伝えておこう。一切攻撃を受け付けず弾切れも燃料切れもないB-2スピリット戦略爆撃機に、竹槍一本で挑むようなものである。

 

 

(暇)

 

 

 おるとさんは相変わらず、暇を持て余しながらカルデアの廊下をぽてぽて歩いていた。その手にはおっきーの部屋で見つけた武蔵ちゃんクッションが抱えられている。読者からしたら寝るか、おっぱい揉むか、暇するかしかしてないぞおるとさん。

 

「あ、オルトさん。おはようございます」

 

 すると背後から声を掛けられる。おるとさんは即座に看板を生成すると振り向きながら相手があるであろう方向に力強く掲げた。

 

《何いきなり話しかけて来てるわけ?》

 

「す、すみません! 何か気に触るようなことをしてしまったでしょうか!?」

 

 そこにいたのは白衣姿の眼鏡っ娘。マシュ・キリエライトであった。生真面目な彼女は本気でおるとさんに失礼を働いてしまったのではないかと申し訳無さげな様子である。

 

 おるとさんは看板を廊下の壁に立て掛けて武蔵ちゃんクッションを隣に置くと、そそくさとマシュの背後に回り込み、困惑している様子のマシュのおっぱいを後ろから伸ばされた手で優しく鷲掴みにした。

 

「お、おるとさん!?……これはいったいなんの意味がっ!?」

 

 立花立香がいつもやられていることである。服越しなだけ立香よりマシなのだからひどい話である。ついでに手付きが遥かに優しい。

 

(なかなか)

 

 おるとさん的にマシュのふわふわふかふかは高評価だったらしい。そしてしばらくさわさわした後、手を止めてマシュから少し離れたおるとさんは再び看板を掲げた。

 

《今のがリアルでなくて良かったな、リアルだったらお前はもう死んでるぞ》

 

「そ、そうだったのですか!?」

 

《一瞬の油断が命取り》

 

「なるほど……特異点でなく例えカルデア内であってもデミサーヴァントとして精進を怠るなということですね! とても参考になりました!」

 

《ほう、経験が生きたな》

 

 マシュは真面目なのでおるとさんの話をきちんと聞いているようだが、成立しているようで会話が成立していない。おるとさんは狂化EXか精神汚染スキルでも持っているのだろうか。

 

《あげる》

 

「え? あ、ありがとうございます!」

 

 マシュのふわふわふかふかを終えたおるとさんは武蔵ちゃんクッションを渡してその場から立ち去って行った。流石はアフターケアも完璧なおるとさんである。まあ、一点問題があるとすれば武蔵ちゃんクッションは、おっきーの部屋から勝手に持って来たものということだが、些細なことだろう。おるとさんはクールに去るぜ。

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

(暇)

 

 おるとさんはまだ、暇を持て余しながらカルデアの廊下をぽてぽて歩いていた。その手に今度は何処かから拾ってきたカルデアのエロい方の鬼こと、酒呑童子を巻いた海苔巻きクッションが抱えられている。 何だそれ一本欲しいぞ。

 

 ちなみに酒呑童子とは立香がガチャで引いた……もとい召喚に応じたサーヴァントの一体である。サーヴァント召喚システムと書いて、運営の突発的な期間限定ガチャと読むせいでこのカルデアのサーヴァントは時系列とか滅茶苦茶なのである。

 

「あら、おると? 奇遇ねこんなところで会うな――」

 

《さんを付けろよデコ助野郎》

 

「わっぷっ!?」

 

 おるとさんの真後ろから掛けられた声に対し、おるとさんは瞬時に海苔巻きクッションを投擲する。海苔巻きクッションは声の主の顔面に命中して言葉を止めた。

 

 見れば海苔巻きクッションを顔面に叩き込まれたのは、白いドレスを着て、ぬいぐるみのような物体を抱えた銀髪の女性サーヴァントであった。

 

《こんにちわ、"アナスタシア"》

 

「………………投げる前に言って欲しかったわね……」

 

 悪びれることもなく挨拶をするおるとさんにやや顔をひきつらせる女性サーヴァント。彼女の真名は"アナスタシア・ニコラエヴナ・ロマノヴァ"。最後のロシア皇帝ニコライ2世とアレクサンドラ皇后の第四皇女その人である。ちなみに作者が180連して引けなかったサーヴァントでもある。ほちかった。まじんさんは50連で来たんだけどな。

 

「まあ、いいわ。マスターにいたずらしに行こうと思うんだけど何かいい方法はないかしら?」

 

 その瞬間、真顔ながらもやや口に笑みを浮かべたアナスタシアの目の端がキラリと輝いた気がした。何を言っているんだろうかこの皇女。

 

 おるとさんは少し考える素振りを見せてから看板を提示した。

 

《黒板消しをドアのうえにセット》

 

「やろうとしたけどカルデアはほとんど自動ドアだったからできなかったわ。頑張ったけど私が近づくだけで開いちゃうの。ヴィイにさせても同じだったわ」

 

 ヴィイに黒板消しを持たせて、懸命に自動ドアに挟もうとしている皇女の光景を思い浮かべると非常にシュールである。

 

《ペンでまゆげをつなげる》

 

「前にしたらマスターったら丸1日気がつかなかったわ。他のサーヴァントも職員も誰も指摘しなかったなんてひどい話ね」

 

《下着を全部隠してみる》

 

「それはダメよ。いじめになってしまうわ」

 

 ちなみにアナスタシアとマスターの絆Lvは5である。5でこれなのか、5だからこれなのか。後者と考える方がきっと幸せなのだろう。

《エリエリの手料理をりつかのごはんにひとつだけならべておく》

 

「テロいわね。でも真っ赤ですぐわかりそうじゃないかしら?」

 

《ほんものを食べたことないからボルシチとかブイヤベースとか韓国料理とかいっておけばりつか口につけるまでわからない》

 

「なるほど……」

 

 なるほどじゃないだろこの皇女。あれを食わされた月のマスターは座ったまま人間を止めた機動で宙を舞ったぞ。

 

「でもエリエリさんに協力してもらわなきゃならないから保留ね。今日できそうなのは何かないかしら?」

 

 マスターは今日金星料理を口にすることはないようで一安心である。ちなみにおるとさんやアナスタシアにエリエリと呼ばれているのはもちろん、ドラクルでアイドル(自称)なエリザベード・バートリーその人であり、その呼び方を二人に広めたのは言うまでもなくアナスタシア曰く自称姫である刑部姫のせい。

 

《アボガドディップをわさびにかえる》

 

「それだわ!」

 

 もうダメそうだこの皇女。

 

 どこかのおっきーのような悪戯っぽい笑みを浮かべて、楽しそうな様子で厨房の方へ向かって行ったアナスタシアをおるとさんは小さく手を振って見送った。

 

「見つけたぞォォ!!」

 

 その直後、カルデアのチョロい方の鬼こと、茨木童子が現れた。何やらとてもお冠な様子で、視線はどちらかといえばおるとさんが持っている恵方巻クッションに注がれているように見えた。

 

『ばらきー』

 

 おるとさんはいつも通り、対話のために看板を掲げる。

 

『はなせばわかる』

 

「羅生門大怨起ィィ!」

 

『おいィ?』

 

 ちなみに数十秒でボコボコにされて気絶し、お昼寝の抱き枕にされた方がどちらかなど語るまでもない。後、恵比寿クッションはおるとさんのモノになった。

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

(暇)

 

「あのおるとさんこれはいったい……?」

 

 おるとさんはまだまだ、暇を持て余しながらカルデアの廊下をぽてぽて歩いていた。今度は何処からか拉致してきたカルデアのマスターこと藤丸立香を小脇に抱えている。毎回何かを抱えているおるとさんはモクズショイの仲間か何かなのだろうか。

 

 おるとさんは立香を抱えたままとある部屋に入り、そこにあるベッドに腰掛けて立香を隣に下ろした。

 

 更におるとさんは看板を作り出すと、立香の目の前にずいっと掲げる。その時のおるとさんの目はいつもよりキラキラしているようにも感じられた。

 

《りつか、あそぼう。あそんで》

 

「おるとさんのそういうところが可愛いんだよねぇ……」

 

 そういいながら満更でもない様子で立香は何をしようかとおるとさんに返し、二人はてふてふでも飛びそうな朗らかな雰囲気で何か始めようとしていた。

 

「ちょっとアンタら……」

 

 しかし、そんな二人の空間を遮る黒い影があったのである。

 

「突然来るなり何勝手にしてるのよ!? ここは私の部屋よ!」

 

 それは第一特異点で敵であったジャンヌ・オルタその人であった。どうやら彼女は、負けたらギャグ要因というこの世の摂理(FGOでよくあること)を知らないらしい。

 

 彼女は運営の突発的な起算限定ガチャではなく、福袋ガチャと書いて3500円と読むガチャから召喚されたサーヴァントである。ちなみに作者はアラフィフであった。

 

 贋作イベとかあったが、作者はもう我慢できない。BBちゃんに言われなくても溢れ出るリビドーが抑えきれないのである。

 

 おるとさんは看板の文字を変えるといつものように掲げた。

 

『でゅへいん』

 

「でゅへいーん」

 

「わかったわ……アンタらそんなに燃やされたいのね……!」

 

 ジャンヌ・オルタは炎を手に作り、デュへる(動詞)寸前になったが、おるとさんは気にせずにジャンヌ・オルタのクローゼットの前に立って中身を漁る。

 

「ちょ……」

 

 何に使っているのか、可愛めなイルカのぬいぐるみだの、ピンクの寝間着だの、Busterと文字の入った赤いTシャツ等が出てくるが、おるとさんは特に気にせずに捜索を続ける。

 

 もちろん、おるとさんはきっちりと出てきたモノは元あった位置に戻しておくことも忘れない。えらい。

 

 おっきーが不在の時に、唐突におるとさんがおっきーの部屋を善意で片付けていた時も、大量に出てきた薄い本はちゃんと炬燵の上に揃えて置いておいた。むごい。

 

『あった』

 

 おるとさんはジャンヌ・オルタがクリスマスにサンタ・オルタから貰った双六のボードゲームを取り出した。

 

「何よ。それやりたいの? でも残念。それルーレット壊れてるわよ。アイツ交換はしてくれなかったですし」

 

 それを見てか、少し乗り気になっているボードゲーム好きのジャンヌ・オルタ。わざわざ欲しいものに"皆で出来る"とか書いていたのは伊達ではない。彼女はどちらかといえばチョロい部類である。

 

『問題ない』

 

 それを聞いたおるとさんはカルナさんのような返答をしながら机に双六を並べてルーレットに手を掛けた。さらにおるとさんの水晶にルーレットの表面が覆われる。

 

『なおった』

 

 そして、おるとさんがルーレットを回すと、くるくるとルーレットは回り出した。そんなことに使っていい能力なのかと思わないでもないが、看板とか作っているし、おるとさんがいいならそれでいいのだろう。

 

『でゅへいん』

 

「な、なによ……?」

 

 ルーレットを直したおるとさんはジャンヌ・オルタに駆け寄る。そんなおるとさんに対して、ジャンヌ・オルタは少し面食らった様子だ。ジャンヌ・オルタは第一特異点で昼寝出来ずに虫の居所がやや悪いおるとさんにボコボコにされたので若干トラウマなのである。

 

『あそぼう?』

 

「くっ……し、仕方ないわね」

 

 おるとさんは瞳は子供のように輝いて見えた。ジャンヌ・オルタはそんな様子の子を無下に出来る程外道ではないのである。根はロジカルだものな。

 

 このような何気無い時間がおるとさんのカルデアでの過ごし方なのであった。おるとさんが生きてきた生涯の中である意味一番充実しているかも知れないが、おるとさん自身はそれを気にしてはおらず、そのことに気がつく者もいないのであった。

 

 

 

 

 

 




以下、なんとなく書いたおるとさんの絆礼装。効果の方は妄想してください。

ちなみに今のおるとさんの絆Lvは1と半分ぐらいです(マシュ仕様の伸び方)。




絆礼装
"いつまでも一緒に"

詳細

 きれい? ここがわたしの水晶渓谷 わたしの始まりの場所 わたしの生まれた場所

 あなたには見てほしかった あなただけには見せたかった

 もうわたしは満足 だからこれは聞かないでかまわない

 これはきっと気の迷い わたしに生じた小さな不具合

 小さなあなた わたしの小さなあなた

 だいすきなあなた かわいらしいあなた

 大きなわたしはずっとずっとなにもかわっておりません

 かわったのならきっとあなたです かわっているのもあなたです


 けれど けれどね


  わたしに芽吹いた小さな夢は


    あなたより先に死ぬことです


       あなたに看取られ死ぬことです
   






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