最初の三話は早くだします。
話を大きく編集しました。矛盾点があった場合はできるだけなおしていきたいと思います。
ガチャーチャリンチャリン
「いらっしゃいませ」
「どうも、マスター」
日が流れるのも早いが、俺は彼女、花崎一句と出会ってから二ヶ月が過ぎていた。彼女はというと、今では同じアパートの隣に住んでいる。今は仕事探しをしている最中だが、この二ヶ月で仕事を探したが受け入れてくれるところはなかった。そんなわけで今は息抜きとして、今では行きつけとなったあんていくへと足を運んだ。
「ブレンドコーヒーを一つ、ホットで」
「かしこまりました」
今日の時間帯は人が混む時間帯だったため、賑やかな空間になっていた。
な空間になっていた。
注文のコーヒーが来ると、俺は少し飲み、口に入ったコーヒーの熱を外に出した。
「ここのコーヒーはやはりどこのお店でも負けない美味しさがあるな」
「恐縮です。それより、以前より顔が疲れているように見えますが、その様子では」
マスターが俺の顔を伺い、そう言った。マスターとは、この二ヶ月の間にここに通うようになってから
「わかりますか、また就職の面接に落ちてしまって」
「なるほどそうでしたか」
マスターは手を顎に持っていくと、何か考えたような顔になった。
「鎌犬さんもしよければ少しお話をしたいのですが、お時間よろしいかな?」
「大丈夫ですが」
「では、円児くん後は任せたよ。それではついてきてください」
「了解です」
俺はマスターと共に店の奥へと入った。
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「そこに座って。君は、確か仕事を探していると言っていたね。私はもし君がよければ、君を雇おうと思っているのだが」
「俺を雇う…ですか?」
「ああ、君は私が見た所、コーヒーの知識だけでなく、その豆との向き合い方も中々のものだ。私は君の腕を見込んで雇いたいのだがどうかな」
マスターはシワのよった顔を笑顔にし、俺を雇うと言ってきた。
あの時以来だ、俺にとっては父親の言葉と同じ
『いい味だ、これなら父さんがお前を雇って、世界一のコーヒー屋ができるぞ』
『父さん、それってカフェだって』
『ははは!!そうだな!』
俺はここで今、必要とされている。なら、なら…?
『亜人だ!』
『お前らに居場所なんてないんだよ』
『古門逃げろ、父さんは大丈夫だから…』
「……」
「君はどこか私と似ている。君からは何かを背負い、自分の幸福を受け入れてはいけないという心がでている」
何かを背負う心…?
「実は私が君を雇いたいといったのはコーヒーの腕だけではない。君からは昔出会った友人に似た雰囲気を感じたのだよ」
「……」
「君は亜人という人種を知っているね」
「……!!マスター、なぜそれを!?」
俺は驚いた。この世界でその単語を知っているのは他でもない前の世界のことを知った人物がいるということだった。
「その顔だと君は向こうの世界の人間だね。実は私は5年前、亜人という種族にあったことがあるのだよ。確か名前は…柴崎幸助」
「柴崎幸助…!?」
俺は更に驚いた。それは俺の父親の旧名だった。
「君は知っているのだね」
「はい、その人は俺の父親です。その人は今どこに?」
「二年前に行方を眩ましてしまったよ。すまないな、だがまさか君が彼の子供とは」
まさか、俺以外、ましてや自分の家系の人物がこの世界に来ていたとは思わなかった。
「君の父とは多くのことを話したよ。君のいた世界のこと、そして亜人という存在のことも。私は最初は空想の話だと思っていたが、ある事件がきっかけでその話が虚言ではないことを理解したよ」
「事件?」
父親も亜人だというのは家の家系しかしらない事実。父親もそう人に簡単に教えることはない。
何故知られたんだ?
「私はその日彼が喰種を殺しているところを見たのだよ」
「……」
「私の店の裏は路地裏になっていてね。路地裏というのは喰種の多発地点でもあるのだよ。彼はその日どうやら喰種に狙われたらしく。やむを得ず力を出してしまったらしい。その時に私が目撃してしまったのだよ」
そういうことだったのか。ということはマスター自身は父親と話して理解しあえたのか。
「君からは彼と同じ匂いがする。喰種とも人間とも違う匂いが…」
匂い…?マスターは俺が亜人とわかる何かを隠している。そう感じた。今のマスターの言いぐさから導きだされる答えは一つだった。
「はい、俺は父と同じ亜人です。家の家系は少なくとも俺と父親だけでした。それと、マスター、あなたも人間じゃないでしょう。話からあなたからは人間という存在を客観的に見ている言い方をしている」
俺は核心的なことを言った。間違っていたとしても、マスター自身は亜人のことを知り、それをおおやけにばらすようなことをしないはずということを踏まえ言った。
「ああ、君の言うとおり私は喰種という人間ではないものだよ」
やはりそうだったか…。だがこれで、喰種事態でも社会に溶け込みながら生活している俺達のような存在がいることはわかった。
「君はどう考える。喰種という存在を、私達のような人間と共存する喰種を…」
共存する喰種…俺もほかの亜人の中でも同じようなことをしていた。なら…
「俺は、この世界と俺がいた世界と同じ感じがします。俺達亜人の中には、人間と共存を望むものがいました。マスター、あなたは俺達と同じ、人間と共存を望むほうでしょう。俺は共存しようとする喰種がいてもいいと思います。亜人も喰種も全て人間と同じようなものです」
マスターは真剣な顔でみていた。
「君の事情も少なからずわかった。それを踏まえてだが君を雇いたいと思うのだがどうだろうか?彼の息子の君なら確かな舌、それに信頼もできる」
亜人を知り、理解してくれる喰種。俺はまだこの世界も、喰種についても知らない、なら…
「マスターの言葉感謝します。ここでは俺も何か感じられるものがあると感じました。是非、お願いします」
俺は手を前に出すと、マスターも同じように手を差し出し、強く握手を交わした。その時の顔は、両者ともに笑顔だった。
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今日は俺にとってもいいものとなった。仕事もそうだが、それよりも、喰種でも人間と共存しようとしている人がいた。どの世界でもこの思想を持つものはいるのか。
ピンポーン
『鎌犬さん、花崎です。おかずを少し作りすぎたのでよかったら』
俺は玄関の扉を開けると、隣に住む人であり、俺がこの世界で初めてであった人である花崎一句がおかずが入っていると思われるパックを持ち立っていた。
「夜分どうも、ありがとう花崎さん」
「いえ、本当に余ってしまったものですから」
頬を少し赤らめながら笑顔でそう答えてきた。
丁度よかった。帰る途中で買ったものをいつものお礼で渡そうと思っていたが、手間が省けたな。
「少し時間あるか?実はいつものお礼に渡そうとしていたものがあるんだがどうだ?食べ物なんだが、一人で食べるのも少しあれなんでな」
「ほんとですか、こちらこそお礼なんて、すいません」
「じゃあ、あがってくれ」
俺はそう言うと、花崎さんを家へとあげた。
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「鎌犬さん、あんていくで働くことになったんですね」
まさか、あの最初に行ったあのカフェが鎌犬さんの仕事先になるなんて、でも確かあの時のマスターも鎌犬さんを気に入っていたから、勧誘されたのかな?
私は鎌犬さんからもらったケーキを食べながらそう思った。
「ようやく仕事につけて一安心って所だな。本格的に仕事をするのは来週からだから、来週に向けて気合いをいれていかないとな」
「そうだ、来週私、休みなので仕事先に行ってもいいでしょうか?」
「俺は別に構わないが、ただ最初だからあまり動けてない残念な姿を見せることになるが」
「いえ!絶対そんなことは、私、鎌犬さんにガッカリするなんて…」
え、私何言って…。顔が急激に熱くなり、先ほどの勢い余った発言に、恥ずかしさがこみ上げてきた。
「花崎さんどうかしたか?急に顔が…」
「す、す、すみません!ケーキご馳走さまでした!ま、また明日、おやすみなさい!!」
私は恥ずかしさを押さえるために、急いで自分の号室へと戻った。
私、何であんな風に……顔が熱い、心臓の鼓動が強く感じる。やっぱり私…
その後、突然部屋を飛び出していくのを見ていた鎌犬は数十分の間そのまま呆然としたまま硬直していた。