「いやー助かりました。これ、お礼です」
「あ、どうも」
「学生さんも大変ですね。こんな仕事普通引き受けないでしょうに」
「んー、そうでもないですよ。自分の本職でもありますし」
「はい?」
「いや、此方の話です。それでは」
下水管の清掃はたしかに学生の仕事じゃ無いよね。この都市ならではと言うか何というか。
数日前、この近くで能力者同士が争ったのか下水管が破裂した。その影響で流れ出た汚物の清掃に各地の職員はてんやわんやの大騒ぎ。自分も近所に住んでいたので、その手伝いをした次第だ。
それに色々とお世話になっている。何せ僕の能力の起点となる存在だしね。これが無いと不便なんだ。
特徴的なエンブレムの付いた緑の帽子をかぶり直し、他人よりも大きな鼻を弾く。一仕事終えた後のルーチンという奴だ。
明日はいい日になりそう。空は快晴だし、都会にしては珍しく星も見える。良いことをしたと言う実感もあるし、スッキリとした気分である。また明日も頑張っていこうか。
「おっと、危ない」
目の前に黒猫が飛び出して来た。僅かに靴が滑ったけど、幸いにも止まる事が出来た。黒猫の方はビックリして立ち止まっている。
しゃがみ込んで目線を合わせ、手を開いてみせた。意味は伝わらないだろうけど、こういうのは気持ちが大事。動物にだって心はあるんだよ。
「ほら、怖くないよ。そんなに慌ててどうしたんだい?」
「…にゃー」
「ふむふむ」
「にゃにゃにゃ!」
「ほうほう」
「にゃぁー!にゃっ!」
「ごめんね、流石に猫語は習得してないんだ」
「にゃぁ!?」
「でも何となく言いたい事は分かったよ。友達がピンチなんだね?」
「にゃあ!」
「それじゃあ案内してくれないかい?もしかしたら力になれるかもしれないよ」
「にっ!」
付いて来いと言わんばかりに威勢良く走り出した黒猫を追うべく、能力を使いながら走り出す。この子にこんなにも思われている人が、何かしらの助けを必要としているなら助けてあげるべきだ。その人はきっと良い人だろうから。
表の通りを抜け、踏み入れたのは薄暗い裏路地。何処かすえた臭いの漂うその空間に、嗅ぎ慣れない臭いが混じる。
鉄の混じった命の臭い。それは嗅ぎ慣れずとも分かる臭い。誰かが助けを求めて足掻く証。
それが分かった時点で、いの一番に駆け出す。懐から禍々しい色のキノコを一本取り出してすかさず飲み込む。グンと加速する足、靡く風がより強くなり、抵抗を受けながらも更に加速する。
やがて暗闇の中に倒れ臥す栗色の髪の毛と、白く嗤う人影が見えた。迷う事なく飛び出し、倒れている人を助け起こして飛び退く。今はこっちが最優先。足元で心配げに鳴く黒猫をよそに、首筋に手を当てた。
「……あァ?誰だお前ェ…」
「しがない配管工さ。それよりも、この状況を説明してくれると助かるかな」
腕に抱き抱えた人影…まだ幼さの残る少女は無残に事切れていた。息を引き取ってから然程時間は経っていない。それは目の前の人間が、彼女に手を出した事に他ならなかった。
「キヒッ!愉快な野郎だなァ?そいつを見てそんな事言えるなんざァ、お前ェ大した奴だぜェ?」
酷い、いや酷い。手足は潰され、胸に穴は開き、顔は判別出来ない程削られている。正直、どうしてこんな事が出来るのか不思議なくらいだ。
それでも僕にとっては些細な事。大丈夫、この程度なら『生き返る』。
懐を漁って取り出したのは、緑に光る禍々しいキノコ。それを開いた胸に押し当てる。
ピロリロリーン!
「……こほっ、けほっ!…ここは…?とミサカ00002号は疑問を呈します…」
「なんっ!?」
「やぁ、目が覚めたかい?君はもしかしたら悪夢でも見ていたんじゃないかな?酷く魘されていたよ」
「そんな、そんな筈はありませんとミサカ00002号は困惑します」
「こんな夜更けまで遊ぶのは感心しないなぁ。さ、あっちに行けば表通りだ。歩けるかい?」
「…わかりました。親切にありがとうございますとミサカ00002号は報告が先だと判断して立ち退きます」
パタパタと走っていく少女を見送り、クルリと闇の方に向かい直る。驚愕に眼を見開きながらも、油断なく構える白い男…。さて、どうしたものやら。
「…テ、メェ、なンだ?何の力だそりャ?」
「さあなんだろう?実は僕もよくわかっていないんだ。だけどそうだね…まるで『ゲーム』の様だと、僕は思うよ」
「ざけんじゃねェぞゴラ!」
白い男がダンッと地面を踏む。するとアスファルトが次々とめくり上がり、僕に向けて殺到するではないか。
どんな能力なんだろう?でもきっと強力な能力に違いない。今の一撃で、僕は一回『死んだ』。
てぃうんてぃうんてぃうん…
「ん、と。危ないなぁ…。普通だったら死んじゃうよ…」
「…あァ!?んだそりャ!」
「ここまでされたら黙っていられないね。ちょっと御免よ」
「にゃっ!」
足元に縋り付く黒猫を拾って、懐に『仕舞う』。明らかに物理法則を無視した挙動の筈なのに、とても自然に黒猫は懐に消える。
さっきの一撃で跳ねた緑の帽子を被り直し、オーバーオールの内側から奇妙な花を取り出した。花らしく極彩色でありながら、どう見ても花と言うにはファンシー過ぎるソレ…。顔ついてるけど花だよね?うん、キノコも顔ついてるけどキノコだし問題はない。
その奇妙な花は左手の平の上で弾ける様に消え、オーバーオールと服の色を反転させる。青かったオーバーオールは緑に、緑の服は白に。
そして…。
豪、と手の平から炎の玉が飛び出した。グッと腰を捻り、ボールを投げる様にして火の玉を投げる。
相変わらず物理法則の物の字も無い挙動を見せる火の玉。地面の上をボールの様に跳ねながら白い男に向けて飛んで行く。
「マルチスキル…か?益々訳分かんねェなこの野郎!」
再び突風が吹き乱れ、火の玉は呆気なく四散。しかしその突風は、火の玉に当たったところでピタリと止んでしまった。まるで攻撃同士が相殺してしまったかの様に。
もう一度眼を見開く男目掛けてダッシュ。舌打ちと共に放たれた金属の柱がすっ飛んで来て腹に突き刺さる。…が、気の抜けた音が辺りに響くとアッサリ再生。色の反転は元に戻ってしまったが、速度だけは落ちる事なく向かっていった。
「ンの、野郎がァ!」
ガバリと突き出された手。触れた途端、全身に感じた事も無い激痛が走り、視界が真っ赤に染まる。皮膚の下に蠢く血管が破裂した感触を直に感じながらも、右の手をグーの形に握りしめた。
テレッテテレッテテー♪
復活。
その場でギュンと一回転。スピンアタックと呼ばれるその攻撃は、白い男の下顎にクリーンヒットして吹っ飛ばす。
一回、二回とバウンドして、地面にぐったりと伸びる男。きっと訳が分からないだろう。何をされたのか、何をしたのかすら分からないと思う。安心して欲しい。僕も原理は全く分からないんだ。
でもこれだけは言える。僕はきっと不死身に近い身体を持っていて、攻撃だけでなく相手を癒す事すら出来てしまう。大抵の物事は器用にこなせるし、こなした物は不思議な力が宿る事さえある。
この街では原石と呼ばれていて、僕自身は『ゲーム』と認識している力。大体の人はその訳の分からなさに戸惑う事だろう。そりゃそうだ。僕だって戸惑う時があるし。この前なんて紙みたいにペラペラになった。ワケガワカラナイヨ。
「あぁそうだ。言っておくけど、僕を殺したかったら後99回殺さないと駄目だよ。さっき一回死んだから後98回だね。…あれ?」
動かないよ…?ヤバ、もしかして今のでダウンしちゃった感じ?どうしよう、この時間まで病院やってるかなぁ…?
診療時間外だけど、取り敢えず行きつけの医者の所まで運んで行こう。きっと表の病院だと断られてしまうだろうし…。
うーん、軽いなぁ…。ちゃんと食べてるのかなぁ?そりゃ打たれ弱い訳だよ。やった事は許される訳じゃ無いけど、かといって放っておくのもねぇ。
「…あ、晩御飯どうしよう…。カップ麺でいいかな…」
そんなどうでもいいことを呟いて、暗い裏路地を抜け出した。空の星は都市の明るさに塗り潰されてしまっているけども、遠くの月が眩しく輝いて街灯の侘しい光に色を添えている。
暗がりより明るい方が歩き易いねぇ…。うん…なんだか面倒事が起こりそうな予感がするよ…。
という訳で、とあるとマリオのクロスでした。しかもルイージだし…。
理由?マリオよりルイージの方が好きだからです。あまり深い意味は無い。
色々チート系の能力ってあるけど、多分マリオシリーズよりチートな物って無いんじゃ無いかなぁ…?そんな事を考えて書きました。概念を力にする奴ら相手には丁度いいんじゃないですかね?
ざっと思いつくだけでも、巨大化、発火能力、発冷能力、極小化、岩石化、召喚能力、亜空間能力、透明化、無敵化、etc…。RPGも合わせればもっとですよ?その上で車も医者もゴルフもテニスもバスケもサッカーも出来るって…。
あ、ちなみにアクセラレーターを殴れたのは、ダメージ後の無敵時間によるものです。どのシリーズでも一貫したシステムなので、攻撃に使えるんじゃ無いかと。