妄想墓場   作:ひなあられ

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ヘタレクソ雑魚男の暗殺

 俺には自慢出来るような特技がない。

 

 勉強が出来るとか、運動が出来るとか、そういう類の才能が無い。だけどそれに対する焦りも無い。なんとなく、周りの指示に従って生きているだけの人形のような生き方をしている。

 

 だからまぁ、俗に言うお受験というヤツをして、名門の中学に入ったのも別に他意はない。親からそう言われて入っただけだ。

 

 そんなモチベーションで入った中学に、思い入れなど起きる筈も無く。

 

 部活にしてもクラブにしても、どれもこれもがガチガチのガチなやり方だし、勉強に至っては一つ抜けるだけで一切付いて行けない。当然と言えば当然だがやる気はカケラも起きず、テストではいつもドンケツ。

 

 結果、E組という最底辺のクソ雑魚クラスに追い落とされた。

 

 親からは勘当的な宣言を頂き、自分の全財産と多量の荷物を持って追い出され、割と底辺彷徨った一年の夏休み。親曰く『A組になるまで戻って来るな』との事。

 

 普通に育児放棄じゃないのかと思ったが、案外なんとかなったので良しとする。元々自炊もしてたくらいだし、今の懸念なんて貯金や保険が効かないとかそんな程度だ。

 

 そんなもん成人すればどうにでもなるだろう。ならなかったら適当な人を頼れば良いし。

 

 他の人から見れば甘ったれたクソ野郎みたいな目で見られるのは百も承知だ。しかしモチベーションが全くない。むしろ生きる事にさえモチベーションが持てない。

 

 もう高校卒業したら普通に就職しよ。そんで底辺の生活でも最低限生きてればそれで良いわ。

 

 割と社会から見放されたような生活を送る内に、反抗する気概すら失せてしまい、そんな破滅的な考えを持つようになった。それでも何かしようとする気力も湧かず、最近の悩みといえば高校の学費をどうするかと言うことぐらいである。…バイトか、それとも奨学金で何とか行けるか…。でも勉強する気は全く無いしなぁ…。

 

 サボるために入った物置小屋の隙間の空いた天井を眺め、先の見えない未来を漠然と思ったが、やはり何も思い浮かばなかった。

 

 

 

 

 そんなこんなでのんべんだらりと春休みを過ごし、三年新学期初日の今日。いつものように机に座って退屈な授業を受けようと教科書をだしていたら、なんかとんでもない物が入ってきた。

 

 一言で言おう。タコだ。しかも真っ黄色で人の背丈ほどもあるタコだ。何故か服を着ている上に、頭の部分に顔の付いたタコが入ってきた。

 

 …なんだアレ。いや、待ってくれ。…なんだアレ。

 

 多分五度見くらいした。それでもタコはそこに存在している。ここから建てられる推論を述べよう。

 

 1.ここはまだ夢の中である

 2.俺の頭がトチ狂って見せた幻

 3.冗談ではなく新種の生物

 4.キャトられた前任の先生

 

 …よし、大分落ち着いて来たぞ。まず1と2は有り得ない。それなら他の奴らも同じように狂っている事になるからだ。残るは3と4。果たしてどちらなのだろう。

 

 

「初めまして皆さん。私が月を殺った犯人です」

 

 

 はい決定3ですねー。キャトられたってそんな事しないでしょ普通。マジモンの新生物かよ。いやその前に2、3個突っ込ませろ。何で当たり前のように日本語喋ってんだコイツ。

 

 

「来年には地球も殺る予定です。君達の担任になったので、どうぞよろしく」

 

 

 もう5、6個突っ込んでもいいか?うーん、ダメだ。全っ然理解が追いつかない。もう脳味噌パンク寸前なんで寝ても良いですか?

 

 反応する気力すら失せて、呆然と事の成り行きを見守っていると、となりに立っていた男から説明が入った。

 

 男は防衛省に所属していて、名前は烏間。なんでも、ここにいるタコもどきを殺して欲しいそうだ。それも秘密裏に。つまり暗殺しなければならないと言う。

 

 理由はさっきタコ本人が語った通り。地球を破壊されたらたまったものでは無いからだ。

 

 で、何でそんな事になったのかと言うと。

 

 このタコ、殺せないらしい。各国の政府が総力を挙げてこのタコの殺害を試みたのだが、その悉くが失敗に終わってしまった。その理由はタコの恐ろしい程の速さ。

 

 速いなんてモンじゃ無い。マジの瞬間移動に等しい速度だ。その最高移動速度は驚きのマッハ20。現に烏間さんがナイフを振り回しても、まるで当たる事なく避けられていた。それどころか眉毛の手入れまでされている始末である。

 

 いや、うん、無理だろ。つまりこの世に存在するあらゆる兵器の速度を超越した速度で避けるって事だろ?弾丸を追い越す速度を叩き出せる相手にどう渡りあえと。しかも無力に等しい中学生が。

 

 そんな超生物がわざわざこんな所に来た理由。タコ曰く、面白くないからだそうだ。普通に逃げ回っていたら誰にも捉える事が出来ない。そして一年後に地球を爆破…。それじゃダメらしい。

 

 なのでこの教室の担任をする事にしたとか。いやはや、ホント訳分からん話だよ。しかも俺たちが卒業するまでの一年の間は、逃げ出さない上に俺たちに危害を与えないと確約したとの事。

 

 そして暗殺成功の報酬は100億円。みんな頑張って殺してね♡

 

 …うぉえ気持ち悪。やらなきゃ良かった。

 

 

 さて、そんな訳でこの後の俺らの授業は完全に潰れる事となった。このふざけた超生物は国家機密級の存在であり、俺たちは暗殺を実行するが、それにあたって色々と制約があるらしい。

 

 今は個人ごとに呼び出されて契約書的なものを書かされている最中だ。俺は出欠番号が真ん中くらいなので、呼ばれるのはどっちにしろ少し経ってからだ。

 

 タコは相変わらずヌルヌルしている。当然だが誰も話しかけず、会話らしいものは成立しない。それに横に立つ男から尋常じゃないプレッシャーを感じる…。普通に怖いんですがそれは。

 

 しかしやることも無くて暇だ。本でも読んでるか、別に何も指示されてないし。

 

 だがいざ読み始めてみると、あのタコがどうにも気になってしょうがない。存在感が強過ぎて本に集中しきれないのだ。無駄ににゅるにゅる動いてやがるのも一役買っている。

 

 

 イマイチ集中しきれない本の文字が目を滑って行く。代わりに思うのはあのタコの事だ。ヤツは一体何者なのか、そんな事をぽつぽつと空想してしまう。

 

 …現状、分かっている事を纏めてみようか。

 

 ポケットに突っ込んでいた黒いメモ帳を開く。新しく何も書かれていない白紙のページを出して、思いついた事を書き連ねてみた。

 

 まず、タコについてだ。奴は地球生まれの地球出身と名乗っていた。つまり宇宙生命体ではない。…となると、何故あんな生物が生まれたのかって話になるよな。

 

 考えられる可能性その一、自然発生。

 

 いや、無いな。その可能性は限りなくゼロだ。自然発生であんなモン生まれるかフツー。それに烏間さんとのやり取りや、政府相手に交渉した事を考えると、人間としての常識を弁えているという事になる。

 

 自然発生した超生物が理性を持っていて尚且つ対話による交渉をした?そりゃ一体何の冗談だよ。どう考えてもあり得ない。次。

 

 可能性そのニ、人工的な生物。

 

 …これだよなぁ。パッと思いつくストーリーとしては、生物兵器の実験で人間並みの知性を持つ生物を作り出そうとして失敗、脱走した超生物は人間の子供の形態に興味を持ち、この学校にやってきた…とかそんなんだろうか。

 

 いやいやいや、今時B級映画でもねーよそんな事。そもそもアイツ、人間に対して明確な殺意持ってんじゃねーか。初っ端から色々破綻してるし。

 

 

「竹林孝太郎、竹林孝太郎は居るか?次だ」

 

 

 あ、呼ばれた。…良かった、なんかヘタレそうな眼鏡だ。あの烏間って人、めちゃくちゃ怖そうだしな…。

 

 教室を出て、向かう先は使われていない空き部屋。言われるままに椅子に座り、早速説明が始まる。

 

 

 

 ー数分後ー

 

 

「…となります。宜しければこちらにサインを」

 

「すいません、少し考えさせて貰っても良いですか?」

 

「はい、どうぞ。決めるのは貴方自身になりますので」

 

 

 ふー…。落ち着け?まずは落ち着こう。ちょっとマジで予想外にヤバくてドン引きなんだが。うわ、震えが止まんない。足ガックガクじゃんかよ。

 

 色々言いたいが、これだけは言わせてくれ。

 

 

 記憶消去ってなんだよ!?

 

 

 き、きき、記憶消去だぞ!?せいぜい口止め料握らせる程度だと思ってたら、予想以上のとんでもない提案ぶちかまされたよ!

 

 何?何故そんなに動揺してるのかだって?いや考えてもみろよ!ここで仮に俺がこの提案を断り、記憶消去を受けたとするだろ?するとあら不思議、いつのまにか俺は同意書にサインして暗殺を行うハメになる。

 

 記憶を消すって言うのは、『消された間の記憶が全くない』って事だ。今ここで俺が拷問されて、無理矢理に同意書を書かされたとしても、その記憶を消されてしまうと何も言えなくなる。どんなに記憶に無いと言い張っても、物的証拠は揺るがない。ついでに世間一般的には記憶消去なんて技術の情報は全く無いと来た。

 

『記憶消去という技術がある』という情報さえ消してしまえば、完全犯罪なんて幾らでも可能だ。記憶消去ってのはそういう事だ。

 

 …しかもコレ、どう考えてもウソじゃ無いんだよなぁ…。世間一般に知られてない技術という事実が、この上ない証拠になっている。その事を口外しようとしたヤツは、例外なく記憶を消されたんだろうよ。そうすれば技術の漏洩なんて絶対に起き得ない訳だからな。

 

 

 どうにかしてこの状況を回避できる方法を模索してみたが、俺の貧相な脳味噌では解決策を思いつく事が出来なかった。どう考えても詰み。王手。チェックメイト。

 

 同時に、それだけ今の状況がヤベーって事になってくる。こんな幼気な中学生如きにここまでの圧力をかけてでも、暗殺を成功させなければならない。俺が一生掛けようとも届かないであろう人達の、焦り具合が伺えるようだった。

 

 俺たちが一番チャンスがある、か。烏間さんの言ってた事は、どうしようもなく事実らしい。

 

 

「……あの、少し相談があるんですが」

 

「はい、何かご不明な点でもございましたか?」

 

「この暗殺、命の危機があるとかそういうのは無いんですか?」

 

「…そうですね…絶対に無い、とは言い切れませんが、私たちも全力をもってサポート致します。その可能性はかなり低いと思われますよ」

 

 

 …よし、感情に変化は無い。ある程度の質問なら大丈夫そうだ。疑問を持った時点で、問答無用に記憶を消されたらたまったもんじゃ無いからな…。

 

 これは賭けだ。しかも恐ろしく分の悪い賭けになる。目的は武力の所有を認めさせること。いざというとき反抗出来る武力が無ければ、なす術なく記憶を消されてしまう。

 

 いや、結局変わらないのかもしれないが、無いよりは絶対マシだ。考えろ、目的を達成させるに当たって必要な事は何だ?

 

 武力…つまり実弾の入った拳銃が理想的。それをどう揺すり取るか…。必要なのは最もらしい真実と、本音を隠す忍耐。迂闊に本音を喋れば俺の負け。その瞬間に何をされるか分かったもんじゃ無い。

 

 

「この生命保険に関する事なんですけど…。ここに『死亡理由が何であれ、全て事故死で処理される』って書いてありますけど、これはどんな死にも適応されるという事ですか?」

 

「…はい、この暗殺はどうしても機密が第一になります。仮に君たちが死亡した場合、例外的な超法的処置を行ったのち、保険の限度額に近い金額が貴方達の親御さんに振り込まれる事になりますね」

 

「はぁ、成る程。……では僕が死んだ時はこの住所の家主に振り込む事は可能ですか?超法的処置というのがどこまで適応されるのかはわかりませんが、流石にウチの親にそんな大金やるのは癪なので」

 

「…えぇ、構いませんよ。辻褄合わせの為、少額ですが振り込ませる事になると思いますが、それでもよろしいですか?」

 

「辻褄合わせ以外で活用しないのであれば、それでお願いします」

 

 

 よし、一先ず仕込みは出来た。超法的処置の適応がどこまで及ぶか、その範囲がよくわからなかったが、どうやら割と広く適応されるらしい。

 

 人の生き死にを簡単に隠蔽できることを匂わせてくる辺り、なんとも嫌らしいやり方だと思うが、今はそんな事に苛立っている暇はない。この分厚い資料から穴を見つけ出さなければならないからだ。

 

 …ありがとう正人。君の将来の夢について散々調べた事が、こんな所で役に立つなんて思いにもよらなかったぞ。ただ正人君よ、散々自衛隊と警察官と弁護士について調べさせた挙句、一月経って宇宙飛行士に鞍替えすんなよ。虚無感半端無かったぞ、アレ。

 

 資料に書かれた項目を確認し、目的のページから攻撃材料を抽出する。急げ、時間があるとは限らないんだからな。

 

 

「それと…この項目なんですけど」

 

「はい、『例外的に外部の講師を呼ぶ事も可能』…あぁ、これは」

 

「生徒の技術向上における、外部講師の導入…。ぶっちゃけこれ、その手の人達を招き入れる口実ですよね?」

 

「そうですね、残念ながら否定は出来ません。具体的には殺しに特化した職業、暗殺者の方々を招き入れる事になります」

 

「そうですか…」

 

「当然ですが、人物は厳選いたします。過去の素行に問題のある方や、人格的に問題のある方は書類の選考でふるい落とします。それに、防衛省より選りすぐりのエリートを護衛に付けますので、危険性はかなり低いかと」

 

 

 はいはい言い訳乙。そりゃ平和そのものな日本で過ごしてきた中学生より、そういう奴らの方が暗殺の成功率が高いのはわかる。それに自衛隊は組織力によって防衛力が維持されている組織だ。こういう状況では真価を発揮できないんだろ?

 

 暗殺者…そんな奴が本当に居るのかどうかは別にして、そういう道のエキスパートを呼び込む理由。そんなもん、あのタコへのプレッシャーの為に決まっている。

 

 万が一にもタコが遠くに逃げ出した時、交渉を有利に進めるには何かしらの材料が必要になる。俺らは都合のいい人質って訳だ。クソッタレ。

 

 …くそぅ。どう考えても逃す気がないぞコイツら…。こりゃ何が何でも自衛手段を確保しないと。ええいままよ、多少のリスクは承知の上。ぶっちゃけもうちびりそうだが、ここが正念場だ。耐えろ膀胱。

 

 

「んー、流石にそれはちょっと厳しいと言うか、あまり気が乗らないというか…。いやね、分かるんですよ。あのタコが提示した条件に、『生徒に手を出した場合には賞金が出ない』ってのがあるのは。それがある限り、自分達に手が向く可能性は低い。それに加えて、国が全力で守りに付くならその可能性は更に下がる…」

 

「はい、その通りです。現時点でこれ以上の安全の確保は難しいと思われますが…」

 

「普段の状況ならこの条件で幾らでもサインするんですけどね…。でも今の状況って、かなり特殊ですよね」

 

「確かに、それは否めません。なにせ相手はあの超生物ですから」

 

「……そんな特殊な状況で説明が口頭と書類のみ。猶予もありませんし、断れば記憶消去の処理が施される」

 

「…」

 

「残念ながら、僕は貴方たちを信用できません」

 

「…理由をお聞かせ願っても?」

 

「記憶消去なんて脅しをかけておいて、その発言は些か配慮に欠けるのでは?どうせこの会話も録音されているのでしょう?不利な発言をするつもりはありませんよ」

 

「申し訳ありません。意図した訳では」

 

「それはそれで問題だと思うんですがねぇ…。まぁ、話を続けましょう」

 

 

 俺は説明の時に渡された、ゴム製のナイフとエアガンを机に置く。それぞれの側面には英語でロゴが入っており、オモチャのような外見に反して、政府公認のマークすら入っている。

 

 対超生物武器。これらにはあのタコの細胞をグズグズに溶かしてしまう特殊な素材が使われており、例えBB弾一発でも触手を分断出来てしまえるらしい。

 

 

「このプラスチック、どの様にして作られたのですか?」

 

「…はい、これは予めあの超生物の成分を分析し「嘘」…。」

 

「嘘、と言ったのですよ。貴方達はこう言いました『超生物は殺せない』と。それは攻撃が全く当たらず、当たったとしても損傷すら与えられない。それなのに対抗できる素材は揃っている……。矛盾、していますよねぇ」

 

「…」

 

「隠蔽があまりにも必死過ぎる事も気にかかります。他国の牽制にすらなり得る記憶消去という技術。それがどの様なもので、どの様に作用するかはわかりませんが、強力なカードには違いない。そうまでしてたかだか中学生の口を封じる理由……」

 

「…」

 

「匂うんですよねぇ、これはかなり危ない嘘の匂いです。底が知れないにも程がある。きっと僕には想像も出来ないような陰謀が渦巻いているんでしょうねぇ?」

 

「貴方はとても頭が回る方のようだ。…どうすれば貴方の信用を得ることが出来るのでしょうか?」

 

「……では銃を下さい」

 

「…はい?」

 

「銃ですよ。貴方たちが常に持ち歩いているであろう銃です。僕はそれが欲しい」

 

「…それがどうして信用の回復に繋がるのですか?」

 

「おや、理由が必要ですか?信用できない貴方たちに対する牽制ですよ。どんなに鍛えられた人間でも、銃口を向けられれば躊躇する…。貴方たちに無抵抗で捕まる気は無いと言うことです。それが許可されるのなら、僕はサインしましょう。

 

 

 …クソ、やられた。暗殺者の厳選方法まで事細かに記してやがる。それが正しいのか正しくないのか、今の俺には判断出来ない。ていうかそんな特殊過ぎる状況の対処なんてすぐに思いつかねーよ。

 

 本当なら『そんな信用もクソもない暗殺者と日常を過ごせるか、なんでもいいから自衛の手段を寄越せ』とか揺さぶるつもりだったのに、これじゃ手出しが出来ない。

 

 その『暗殺者』が、本当に政府公認の合法組織だった時、完全に手詰まりになるからな。そこから『国そのものが信用できない』なんてほざいても、悪足掻きにしかみえないだろ。

 

 …それにこいつ、ポーカーフェイス上手いな!反応が全く読み取れないぞコレ。…俺のハッタリ、ちゃんと通用してくれよ…。

 

『嘘の匂い』とかカッコ付けたけど、ぶっちゃけなんで隠すのか見当も付かないし。それっぽいこと並べただけだ。まぁ、怪しいのは確かだし、当たらずとも遠からずって所だろうけど。

 

 とにかく、もう行く所まで行ったんだ。もうなるようになるしかない。懸念は勢いあまって本音まで語ってしまった事だ。もう少しやりようがあるだろ俺。

 

 

「…いいでしょう。銃の携帯を許可します。ただし、保管方法や銃弾の管理については烏間1佐に一任いたします。それで宜しいでしょうか」

 

「ダメ元でも言ってみるものですね。……僕はどうしようもなく臆病でしてね、こうでもしなければ安心出来ませんでした。……もしや、怒ってます?」

 

「いえ、至極真っ当なご意見でしたので。こちらとしても配慮が足りず申し訳ございません。ほかに質問はございますか?」

 

「他には特に無いです。ここにサインすれば良いんですか?」

 

「はい、こちらにフルネームでお願いします」

 

 

 こうして俺は、途轍もなく異常な教室で勉強する事となった。一年後の未来が読めない世界で、謎の超生物を教室で暗殺するという日常。

 

 暗殺が成功しなければ俺の寿命が一年以内という事実に、キリキリと胃が痛くなってしまった。…なんでもいいから平和な日常を下さい。割と切実に。

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