あれから現場検証を行い、時間は夕方になっていた。
「オーライ!オーライ!ひろみさん!そこで止めて下さい!」
野明はアルフォンスで、壊されたレイバーやトラックをどけ、香貫花はそれを指示している。俺とひろみは、レイバーキャリアで、トラック等を吊り上げている。すると、吊り上げたトラックの下から、レイバーの足跡が出てきた。
香貫花「これって」
「足跡ですね。しかも土木作業用とは別の種類ですね」
野明『ホントだ』
「それに、ボディについてある傷跡も、レイバーの爪痕かも知れませんね」
香貫花「おそらくそうね」
山崎「だとすると、これって1台だけじゃないですよね」
ひろみの言う通りだ。1台だけでは流石に無理がある。
野明『工事を妨害するにしては、やり方が直接的だね』
香貫花「被害も村の中だけみたいだしね」
野明『やっぱり、あの御神木を切らせない為にって事かなぁ?』
「となると、誰かが祟りとみせかけてしたことなのか、それとも…」
山崎「それとも?」
「本当に祟りがあると恐れて言ったのか」
山崎「やっぱり、直江さんだって本当は…」
すると、此方に向かってレイバー走ってきた。
「な、何事です!?」
香貫花「あれって、イタリア製ガンボルギーニね」
野明『げぇ~、趣味悪~い』
野明は、このレイバーは好きではないみたいだな。俺もそう思うけどな。
『デヒャヒャヒャ!やっぱりイタリア製は凄い。パワーとスピードにかけちゃピカ1だでよ♪』
すると、ガンボルギーニに乗ってた老人が窓を開けて、俺達に話しかけてきた。
「いや~ご苦労さんですな。捜査の方は順調ですかな?」
「えっと」
「ワシは、この道路に土地を譲った者でな。売った以上、工事の進み具合が気になりますわい」
野明「じゃあ、あの御神木がある所もお爺ちゃんが?」
「いやいや、あの辺は残念ながらワシの物じゃない。よいか?あの木にだけは手をつけてはならん。あれにはのぅ、大昔から山鬼の魂が住んでおるのじゃ。そこでじゃ、ワシが直接でしゃばる訳にもいかんので、お主ら公団にちと掛け合ってくれんか?あの木を避けて、道路の予定地をもうちっと南にずらしてくれりゃ、ワシがいい値で土地を用意してやると。どうじゃ?」
香貫花「申し訳ありませんが、我々は妨害事件の捜査に来ただけですので、そういう交渉はできません」
「残念じゃのぅ。おもほり様の怒りを買ってからじゃ手遅れなんじゃぞ?邪魔したのぅ」
そして老人は、あっという間に去っていった。
山崎「なんなんでしょうか?」
「なんなんでしょうね?」
俺とひろみは、そう言うしかなかった。そして暗くなり、村が用意してくれた公民館に寝泊まりするため、そこに向かった。
「さて、今日はお疲れ様です皆さん。この公民館には、お風呂もあるみたいですので、先に野明さんと香貫花さん、お2人はお先にどうぞ。私とひろみさんは、夕食の準備をしておきますので」
野明「私は、アルフォンスの整備をしてから入る」
香貫花「私は食後でいいわ」
山崎「なら、お風呂は夕飯の後にしますね」
そして野明はアルフォンスへ。俺とひろみは夕食の準備を。そして香貫花は自分の拳銃を整備していた。夕食の準備ができ、運ぼうとした時、電気が落ちた。
「停電ですか?」
山崎「ヒイイイイイ!!」
んなにビビらんでも、ブレーカーが落ちただけだろうに。
「ひろみさん、すみませんがブレーカーを見てきてもらってもいいですか?私は念のために外にいる野明さんの様子を見てきます」
山崎「わ、分かりました」
そしてひろみは、ビビりながらも外にあるブレーカーの様子を見に行った。俺は野明の元へ向かう。すると…
野明『誰だ!』
野明が何者かと会ってるみたいだ。急いで向かったが、そこにはアルフォンスしかいなかった。
「野明さん!何かあったんですか!」
俺は大きな声で言うと、アルフォンスから降りてきた。
野明「ついさっき、赤外線センサーが出て、レイバーの熱分布反応ががあったんだけど…」
「熱分布ですか?」
野明「けどすぐに逃げられちゃって」
「……」
俺はその言葉を聞いて考える。多分だが、そのレイバーは今回の事件に関係してるな。
山崎「わひゃあああああ!」
すると今度は、ひろみの叫び声が聞こえた。急いでそこに行くと、ブレーカーに蛇が2匹絡み付いていた。
「蛇…ですか」
俺はゆっくりと蛇に近づく。そして、2人に分からないように威嚇する。
「邪魔だ。とっとと消えな」
俺の殺気に怯えて、蛇は森の中に消えていった。そしてブレーカーを上げ電源を入れた。
「さて、電源も無事に点きましたし、夕食にしましょうか」
そして俺達は中に入り、夕食を食べたのだった。野明や香貫花は普通だったが、ひろみだけは食欲がなかった。
「取り合えず、明日辺りに行動を起こしてみるか」
山崎「直江さん、お風呂空きましたのでどうぞ」
「ありがとうございます。野明さん達はもう入ったんですか?」
山崎「泉さんは入ったみたいですが、香貫花さんはまだみたいです。先に入っていいそうですよ」
「そうですか。ではお先にいただきますね」
そして俺は、着替えと銭湯用具を持って風呂に向かった。ここの風呂は、普通の一軒家にある風呂より少し大きい。2人では少し狭いが、1人ならゆっくりと入れる。ひろみですら余裕だな。浴室に入り頭を洗っていると、浴室の扉が開く音が聞こえた。目を開け見てみる。
「…気のせいか」
特に扉が開いた形跡らしきものは見当たらなかった。そして頭を流し、体を洗おうとした時…
ふにゅん
「!?」
背中に何か柔らかい物が当たる。何だ一体?慌てて振り返ると、そこにいた人物に驚いた。そこにいたのは…
香貫花「Hello」
香貫花だったんだよ。ってか何でお前がここにいるんだよ!ひろみに、今俺が入ってること聞いてる筈だろうが!
「なな!何してるんですか香貫花さん!」
香貫花「フフッ♪久し振りに、貴方と一緒に入りたくてね」
「久し振りって、あの時は仕方なかったからそうしただけですよ!」
香貫花「あら?1度入ったなら、2回目だろうが同じでしょ?」
「『同じでしょ?』じゃないですよ!あの時と違って素面なんですから!!は、早く出てください!」
俺はそっぽを向きながら、さっさと香貫花に浴室から出るように言う。だがこいつは、出ていくどころか更に俺に抱き付いてきやがった。
香貫花「流石にそれはないんじゃないかしら?湯冷めして任務に支障が出てしまうわ」
任務に支障って…分かってて言ってやがるな。
「はぁ…分かりました。私は体を洗ったら出ますので、先に湯船に浸かってて下さい」
俺はなるべく香貫花を見ないようにして、体を洗い始めた。すると香貫花が、俺が持ってたハンドタオルを奪う。そしてそれを自分と俺の間に挟み、俺を洗い始めた。あの部分を使って。
「か、香貫花さん!?」
香貫花「たまには、私からもしてあげたいのよ」
そしてそこから、香貫花は更に暴走したのだった。
「……」
山崎「ど、どうしたんですか直江さん!?」
野明「なんだか少しやつれてる様な…」
「だ、大丈夫ですよ…大丈夫」
あんなの言えるわけないだろが!
山崎「そうですか」
野明「逆に香貫花は、なんだか艶々してるね?」
香貫花「そう?」
俺とは真逆の状態の香貫花。取り合えずもう今日は寝てしまおう。疲れたよ…主に香貫花のせいで。で、今度は寝るのにも気を使う。何故なら、公民館には部屋が1つしかないから、ひろみ、俺、で少し空けて野明、香貫花という感じで寝ることになった。一応、俺と野明の距離は結構空けたから、大丈夫とは思うがな。
「それでは、電気消しますよ」
電気を消し、各自自分の布団に入る。
「では皆さん、おやすみなさい」
山崎「おやすみなさい」
野明「おやすみ~」
香貫花「Good night」
そして俺達は眠りについた。香貫花の事もあってか、俺はすぐに眠りにつくことができた。そして翌朝、俺は目を覚ます。すると、俺の布団の中に違和感を感じた。
「なんだ?」
俺は布団をめくるするとそこにいたのは…
野明「Zzz…」
野明だった。俺に抱きつきながら寝ている。
(まずい!こんなところを香貫花に見られたら!)
既に俺の隣で寝てたひろみはおらず、台所から音が聞こえた。おそらく朝食を作ってるんだろう。
(って!今はそんなのどうでもいいわ!)
俺は取り合えず野明を起こす事にした。
「野明さん、起きて下さい」
野明「うぅ~ん…」
しかし野明は、全く起きる気配がない。頼むからさっさと起きてくれ!!マジで。
「起きて下さい野明さん。朝ですよ」
野明「もう少し寝かせてよアルフォンス…」
俺はアルフォンスじゃねぇ!!今度は体を揺するが、それでも起きない。
「まずいですね…こんなところを見られでもしたら」
「何がマズイのかしら?」
俺の後ろから、やけに威圧感のある声が聞こえた。恐る恐る振り返ると、そこにいたのは香貫花だった。
「お、おはようございます。香貫花さん」
香貫花「ええ、おはよう。ところで、私に何を見られたらマズイのかしら?」
笑顔でそう言う香貫花。顔は笑ってるが、目が完全に笑っていない。それに、後ろに物凄いオーラを感じるんですけど…
山崎「皆さん、朝食の準備…」
すると、ひろみがいいタイミングでやって来てくれた!!
山崎「えっと…用意できてますので、待ってますね」
そう言って、扉を閉めて部屋から離れていく。ひろみさ~ん!カムバック~!!
香貫花「で、私に、何を、見られたら?」
「えっと…」
野明「うぅ~ん」
するとこのタイミングで、野明が起き俺の布団から出てきた。
野明「あれ…私、何で翼さんの布団に?」
「それは此方の台詞ですよ野明さん。私が起きたら、野明さんが横で寝ているんですから驚きましたよ」
香貫花「理由を聞こうかしら?」
香貫花は起きた野明に事情を聞く。
野明「あ~…夜中にトイレに起きたんだけど、少し寒くてその上寝ぼけてたから、多分間違えて入っちゃったんだと」
「そうですか。確かに昨日は珍しく寒かったですね」
香貫花「なるほど」
野明「ごめんね翼さん」
「いえいえ、気にしないで下さい。理由を説明いてくれたので」
ホント、野明の説明がなかったら、俺マジで刺されてたわ。
野明「けど翼さん優しかったなぁ。私が寝るまで頭撫でてくれたから」
「「えっ!?」」
はっ?頭を撫でた?寝てるとき?俺全く記憶にないんですけど。
野明「少しびっくりしたけど、気持ちよかったからそのまま寝ちゃたんだと思う///」
香貫花「……」
ヒィィィィィィ!!香貫花の目が、完全に視線だけで殺せる状態にぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!
野明「さて、ご飯の用意手伝いに行くね」
「ちょっ!野明さん!待って!!」
香貫花「翼」
出ていく野明を追いかけるが、香貫花に肩を掴まれる。
香貫花「少~し、話を聞かせて頂戴♪」
「か、香貫花さん!話せば!話せば分かります!!」
香貫花「ええ。だから
「変なルビ打ってる!?」
香貫花「さ、朝食まで少し時間があるわ」
「お、おち…あああああああああああ!!!!!!」
そして、俺の絶叫が木霊したのだった。
山崎「直江さん…御愁傷様です」
ひろみは、翼の叫び声が聞こえた方を向いて、合掌していたのだった。
野明「なんだろう。翼さんの顔を見ると、顔が熱くなる」
野明は野明で、翼の事を思いだし顔を赤くしていたのだった。