もし、特車二課に凄い人がいたら…   作:シャト6

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第7話

いつも通りにのんびりと待機してる俺達第2小隊。男連中と香貫花は、テレビを見ており、俺は野明がアルフォンスであや取りをしていると聞き、シゲ達とそれを見ている。ついさっきも蝶々を完成させ、今は梯子に挑戦中だ。

 

シバ「そこ違うって。ダメだなもう!だからそこ、くぐらす、くぐらすんだよ。なんちゅうの、中指の第2関節ポリシーがないんだよなぁ。あや取りははっきり言って哲学だよぉ」

 

シゲがあや取りで手こずってる野明にそう言う。

 

「こうでこう…」

 

野明は野明で、まずは自分の手で梯子を完成させ、手順を覚えている。

 

野明「よし!もういっぺんやる」

 

シバ「はいはい、頑張ってね」

 

そして再びアルフォンスであや取りを始める。

 

「というかシゲさん。あまりゴチャゴチャ言わない方がいいですよ。余計混乱しますよ」

 

シバ「甘いね~翼ちゃん。あや取りは哲学!そこは大切にしないと」

 

(哲学ねぇ)

 

野明「できたぁ!」

 

すると、アルフォンスで無事に梯子が完成した。

 

シバ「お上手~!」

 

「凄いですね野明さん」

 

野明「そ、そんな凄いだなんて///」

 

アルフォンスから降りてきた野明にそう言う。

 

シバ「あらら…またなの翼ちゃん」

 

「またってなんですかシゲさん、またって」

 

シバ「いや…だって、ねぇ」

 

すると、特車2課に警報が鳴り響く。現場にすぐに急行する事になった。今回はレイバーではなく、人命救助だそうだ。

 

後藤『現在建設中のタワシティ一番タワーで発生した火災は、液体ガスボンベの爆発を誘引し尚拡大中だ。火災発生箇所は南側、3層目、12階、地上約200m。消防庁のレイバー隊が消化作業に当たっている』

 

香貫花「火災の原因は?」

 

後藤『まだ分かっとらん』

 

進士『初期段階で、自動の消化装置は作動しなかったんですか?』

 

後藤『その点については、よう分かっとらんのよ。ただ、通報があった頃にはもうかなり広がとったようだ。発見が遅れたか、或いは…』

 

「わざと遅らせたか…」

 

俺は香貫花以外に聞こえない声で呟く。

 

香貫花「わざとですって」

 

「そう思いませんか?建設現場程、火災や事故に関しての通報はしっかりしてる筈です」

 

香貫花「確かにそうね…」

 

遊馬『ほんで、警視庁の俺達は何しに?』

 

後藤『火災現場のすぐ近くに、来日中のクラウス外相以下、8名程取り残されている』

 

野明『人命救助』

 

後藤『そゆこと』

 

そしてようやく現場に到着した。

 

後藤『山崎、進士は、南側制御室に行って、データを各指揮車に転送しろ』

 

『『了解』』

 

後藤の指示で、ひろみと進士は南側の制御室に向かった。隊長は消防庁の鈴鹿隊員と話を始める。

 

「それにしても、随分と高いビルを建設していますね」

 

野明「ホントですね」

 

香貫花「何の為にこんなに高いビルを建設したのかしら?」

 

太田「んな事気にしとる場合か!」

 

後藤「仕方ありませんなぁ。通路が使えないとなると、外から直接入り込みますか」

 

遊馬「しかしどうやって?」

 

「隊長、もしかして…あれを使うんですか?」

 

俺は屋上にあるクレーンを指差す。

 

後藤「正解」

 

野明「ええっ!?」

 

香貫花「イングラムなら可能なはずよ?」

 

遊馬「逆に言えば、イングラムでなければ不可能だ。他のレイバーでは、そんな芸当はできない」

 

太田「まっかせなさい♪」

 

嬉しそうに答える太田。

 

後藤「じゃあ早速行動に移ってちょうだいよ」

 

太田「了解!」

 

そして俺達は、屋上に向かうためのエレベーターに移動する。イングラムをデッキアップし、2機は屋上に上っていった。

 

「さてと…香貫花さん、少しだけここを離れますのでお願いします」

 

香貫花「分かったわ」

 

「通信は入れてますので、野明さんの指示は中に入ってからは任せてください」

 

そして俺は隊長がいる場所に向かった。

 

後藤「直江、どしたの?」

 

「いえ、ここからの方が見えやすいので」

 

後藤「あっそ」

 

すると隊長は、煙草を吸い始める。

 

「けど、わざわざ広報課長まで出てきて、評価を上げたいんですね。上の人達は」

 

後藤「ま、仕方ないさ」

 

南雲「呆れて何も言えないわ」

 

「ま、所詮私達は本庁からは嫌われてたり、お荷物扱いですからね」

 

俺達3人は、テントにいる報道陣を入れたであろう上層部の連中を見る。

 

「しのぶさん」

 

俺はしのぶの事を名前で呼ぶ。普段は南雲隊長と呼ぶけどな。

 

南雲「!!」

 

「そんな顔をしてはダメですよ。そういう顔は似合いません。きっちりするのは大切ですが、時には力を抜かないと身が持ちませんよ」

 

俺はそう言いながら、隊長には見えないようにしのぶの手を握る。

 

南雲「…そうね。ありがとう」

 

「いえいえ。最も、ウチの隊長みたいに年がら年中気を抜くのもどうかと思いますけどね」

 

南雲「確かにその通りね」

 

後藤「そこで俺の話はせんでいいでしょうに」

 

そうこうしている内に、野明と太田が屋上にあるクレーンから降下しようとしている。

 

(あれは2号機だな。先に2号機を下ろすのか)

 

そしてゆっくりと降下していき、第3層、11階にある外部デッキから入ろうとしている。だが、入り口は爆発の影響で鉄骨で塞がっており、イングラムでも取り除くのは難しそうだ。

 

太田『このやろ~!ぶっ飛ばしてやる!!』

 

すると2号機は、壁を蹴り後ろに飛んだ。そのまま蹴り飛ばすのかと思ったが…

 

太田『銃は?俺の銃が!ああああああああ!!!!』

 

見事に壁にぶち当たった。ま、そのお陰で塞がってた鉄骨は取れ落ちてきてるけどな。

 

太田『何で銃が入ってないんだ』

 

遊馬『バカか!人命救助に銃なんかいらんだろうが!』

 

太田『なんだと!現場の判断で必要な時があるんだ!ボケぇ!!』

 

遊馬『おっ、言ったな』

 

太田『おうよ!現場に出てないお前に何が分かる!』

 

香貫花『Shut up!!2人とも止めなさい』

 

2人の言い合いを香貫花が止める。

 

後藤「全く、何やってんだ太田は」

 

「けれどそのお陰で、邪魔な報道陣はいなくなりましたけどね」

 

太田が壁にぶつかって、鉄骨等が落ちてきたため、周りにいた報道陣の連中は逃げていなくなっていた。

 

太田『ああああああああああ!!!!』

 

すると再び太田が叫んでいた。見ると、ワイヤーが絡まって動けなくなっていた。

 

「ん~…あれではもう2号機での救出は難しいですね」

 

後藤「そだね。直江、泉の指示、頼んだよ」

 

「了解です」

 

俺はその場を離れ、指揮車に戻り香貫花と交代する。

 

「お待たせしました野明さん。それでは、今から太田さんが開けてくれた外部デッキから中に入ってください」

 

野明『りょ、了解』

 

流石に、地面に足が着いてないから不安がってるな。

 

「野明さん、怖いのは分かります。それが当たり前です。ですがイングラム…アルフォンスと野明さんの絆を信じてください」

 

野明『…はい!』

 

そして野明は、見事にワイヤーをつたって中に入っていった。中の様子は、アルフォンスの外部モニターを指揮車でも見ることができる。奥に進んでいくと、シャッターが閉まってる場所に到着した。

 

野明『シャッターが閉まってる』

 

「野明さん。その奥に逃げ遅れた人達が取り残されています」

 

香貫花「だけどそのシャッターは、対テロ対策でレイバーでも壊せない強度を持っているわ」

 

野明『ええっ!じゃあどうすれば』

 

「シャッターの近くに、手動で開けるレバーみたいなのはありませんか?」

 

普通シャッターの近くには、手動で開けれるレバーが備え付けてあるはずだ。

 

野明『えっと…あった!これを回せばいいんだね』

 

香貫花「待ちなさい野明」

 

イングラムを降りて、シャッターを開けようとする野明を香貫花が止める。

 

野明『どうしたの香貫花』

 

香貫花「おそらくそのレバーは、物凄い高温になっているはずよ。赤外線モニターを使いなさい」

 

香貫花の指示で、野明は赤外線モニターを使う。すると、レバー付近は200℃以上になっていた。

 

野明『ホントだ。200℃を超えてる』

 

「仕方ありませんね。野明さん、アルフォンスで作業を行いましょう」

 

野明『了解』

 

そして野明は、あや取りで使ってた方法で、シャッターのレバーを回すこととなった。

 

野明『うっ…折れちゃいそう』

 

だよなぁ。アルフォンスの力じゃ、油断するとポキッって簡単に折れるだろうな。

 

「大丈夫です野明さん。あのあや取りを思い出して下さい」

 

野明『…フゥ』

 

俺の言葉に、今日の昼休憩の時にしてたあや取りを思い出したみたいだな。

 

『ああっ!』

 

香貫花「なに?何か起きたの?」

 

野明『アルフォンスがまた汚れちゃった』

 

その言葉を聞いて、香貫花は頭を抱えた。

 

香貫花「貴方ね~…今はそんな場合じゃないでしょう!」

 

野明『だって~』

 

「野明さん。この任務が終われば、私達1号機のメンバーで洗うのお手伝いしますので」

 

香貫花「ちょっと!?」

 

野明『ホントですか!』

 

「ええ。ですから、今は集中しましょう」

 

そして野明は、再びレバーを回し始めた。

 

香貫花「翼!」

 

「すみません香貫花さん。ですが、今一番大変なのは野明さんです。私達は安全な場所で指示を出すだけ。でしたら、任務が終わった後の掃除くらい手伝ってあげましょう。それに、1号機の班全員ですれば、親睦も少しは深まると思いますしね」

 

香貫花「…全く。分かったわよ」

 

何とか香貫花も説得できたな。そしてようやくシャッターが開き、中に閉じ込められていた8人全員が無事に救出されたのだった。任務が終わった俺達は、屋上でワイヤーでがんじ絡めになってた2号機を助けだし、特車二課に戻った。掃除は整備や修理があるから、明日することになった。因みにひろみは、皆でアルフォンスを掃除することに、快く参加してくれた。そして翌日、俺は隊長に呼ばれたので、今は隊長室にいる。しのぶも一緒だ。

 

後藤「来たか直江」

 

「はい。それで隊長、呼び出しの内容は?」

 

後藤「ああ。クラウス外相が、勇敢に救助してくれたパトレイバー隊に感謝しててな。そして、こんな物を送ってきてくれたんだよ」

 

取り出し机に置いたのは、タワシティの上にポーズを決めたイングラムがあるトロフィーだ。

 

後藤「もし1号機班の連中が要らないんなら、しのぶさんにあげようと思ったんだよね。しのぶさんは欲しい?」

 

南雲「欲しいわ」

 

いや、何でもかんでも欲しがるなよ。そもそも、あんたんとこの第1小隊と機体が違うだろうが。

 

「後藤さん」

 

俺は隊長の事を名字で呼ぶ。こういうときの俺は、少し怒ってる事を意味する。

 

「何でもかんでもあげないで下さい。聞きましたよ?イングラムも南雲隊長に欲しいか聞いたそうですね?そんな簡単にホイホイあげないで下さい。せっかくクラウス外相が、私達第2小隊の為にくれたんですから、キチンと飾りましょう。只でさえ、ウチの小隊はトロフィーや賞状等は滅多に貰えないんですから。いいですね?」

 

後藤「はい…」

 

「後南雲さんも南雲さんです。後藤さんが欲しいと聞いて、何でもかんでも欲しがらないで下さい。そもそもイングラムは、上の命令で配置されたんですから。そして、このトロフィーも貰ったところで、南雲さんが使ってる第1小隊の機体とは違うんですから。貰ったところで、すぐに第2小隊と分かりますよ」

 

南雲「ごめんなさい」

 

俺に説教された2人は、少し小さくなっていた気がした。

 

「とにかく、これはウチの所に飾っておきますからね。今度場所を作っておきますから。それと、次はこんなことが無いようにしてくださいね」

 

「「はい」」

 

ホント、これじゃどっちが隊長かわかんねぇよ。で、俺は隊長室を後にし、アルフォンスの掃除をするためにハンガーに向かった。

 

「お待たせしました」

 

野明「翼さん」

 

山崎「お疲れ様です」

 

香貫花「やっと来たわね」

 

「すいません。それじゃあ、始めましょうか」

 

『はい!』

 

そして全員で、汚れたアルフォンスを洗うのだった。たまにはこういうのも悪くないな。

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