ボンクレーが『ときメモ2』の世界に転生したようです   作:越後屋大輔

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サブタイに悩みました、Google様に感謝です。


その名は「Wedding bell sweet」

 「それじゃ、今日は宜しくお願いします」清川望に頭を下げる某芸能事務所のマネージャー、担当している女優に水泳のコーチを演じる話が舞い込んできてその役作りの為に元競泳選手の望に指導を頼みに来たのである。今は実業団時代のスポンサーだった企業でOLをしている望だが上役からこれも仕事の一環で給料も出ると事前に聞いていたので

 「是非やらせていただきます、鏡さんは高校時代の同級生だし」と、快く引き受けた。その女優は今、海外ドラマにも出演する程の人気を誇る鏡美羅だった。

 

 「ご指導お願いね、清川さん」美羅がロケ場所のプールに現れた。かつての高慢さはないが、それでもトップ女優が放つオーラに周りは(おごそ)かな空気に包まれる中撮影は始まった。

 「えー、ではシーン18、鏡さんの演じるヒロインがゴールに手を付くところから。じゃ鏡さん、プールの中に…」監督が指示すると望が割って入る。

 「いきなりプールに入っちゃダメよ!まずは準備体操してから」

 「しかしそういうシーンは…時間もないし」

 「撮影しなければいいじゃない、命に係わる事なんだからそっちの方が大切よ!」

 「イヤ、しかし」

 「アンタ、もし誰かが亡くなったらどう責任取るって言うの?!」監督に噛みつく望、元本職だけに言葉に重みがある。

 「監督、私も清川さんに賛成するわ。水泳のプロのアドバイスに従いましょう」主演女優の意見なら反対も出来ず監督も渋々折れて撮影は一時中断、出演する役者陣は準備運動に(いそ)しむ。

 

 「ア痛タタタ…私もだらしないわね、スッカリ体が硬くなってる」望に手を添えてもらいながら柔軟体操をする美羅が情けない声を出す、尤もそんな姿すら艶っぽくて人目を引いたが。

 「仕事柄仕方ないのかもしれないけど運動不足だろうね、ストレッチくらいは普段からやっといた方がいいよ」既に選手は引退したが体を折って手が床に届く程度の柔軟さは未だに失っていない望が美羅の今後の事も考えてそう勧める。

 「そうね、健康な体を作らなきゃ真の美しさは得ないわね」今後は外見以外にも磨きをかける事を自身に誓う美羅であった。

 

 夕方になり、その日の撮影を無事に終えてスタッフを引き連れて帰っていった美羅。先程せっかく久し振りに会ったのだからどこかへお酒でも、と望を誘ったが約束があるからと断られてしまった。その望は肩を(ほぐ)そうと腕を大きく伸ばすと恋人との待ち合わせ場所に向かっていく、何年か前に越後屋で再会してその後メガノイド騒動にも一緒に巻き込まれた飯塚三流(みつる)から紹介された彼の野球部時代の後輩と最近付き合い始めたのだ。

 

 その三流はたった一人でSunnylightに来店して淋しく水割りを呑んでいた。

 「ナゼだ?どうして僕はこう女運がないんだ!」グラスを手に管を巻いている。

 「アンタ、もっと静かに呑めないの?」ここの店長の忍が三流を諌める。

 「君に僕の悔しさが分かるか?高校時代は佐倉君に振られて、大学では藤崎君に見向きもされず…」

 「あちしも藤崎なんだけど。後詩織ちゃん、その時既に今の旦那と付き合ってたから」忍が突っ込むが三流は聞いてない。

 「最近はたまたま紹介した後輩に清川さんを持っていかれる始末。僕の何がイケないんだ?自分で言うのもなんだが見た目は悪くないし、経済力だって金持ちって訳じゃないがそれなりにあるのに!」

 「そればっかりはしょうがないわよ、また次の機会を待ちなさい。案外すぐに訪れるかもよ」

 「慰めはいらない、と言いたいところだが今日のところは受け止めておこう」ドアのカウベルが鳴る、お客が来たようだ。

 「忍さんこんばんは」早乙女好雄の妹の優美である、友達らしき女性数人を連れてやってきた。

 「ねぇ優美、あの人が店長?」

 「結構イケメンじゃない?」

 「残念、もう奥さんいるよぉ」

 「なぁんだ、つまんない」女同士の会話を弾ませていた優美だが三流に気づくと

 「あーっ飯塚先輩、お久し振りで~す」

 「優美君か。君はこの店によく来るのかい?」

 「はい、今日は別の友達の結婚式に出席した帰り道なんです」

 「この人も知り合い?」友達の一人に尋ねられる。

 「知らない?元きら高野球部のエース、飯塚三流さん」

 「ホント?私、甲子園の試合観てた」

 「私も。対戦相手の主将がプロ入り蹴ったんでしょ」盛り上がってる中、忍が注文を取りにきた。

 

 「優美ちゃんいらっしゃい、何呑む?」

 「式場でも呑んでるんであまり強くないヤツを。後私、席移動するね」優美は友達から離れて三流の隣に座る。

 「飯塚先輩、あの頃とお変わりないですねぇ」

 「そうかい?君こそ今でも愛らしいじゃないか」

 「そんなぁ。私もうアラサーですよぉ」

 「それなら僕だって髪も薄くなりかけて中年の域に達してるさ」会話の内容は自虐的ながらいい雰囲気な二人を見つめながら優美の友達は口々に囁き合う。

 「「「また結婚式に呼ばれる日もあまり遠くないみたいね」」」そして忍は二人にさりげなく鮮やかな紅い色のカクテルをサーヴした。

 

 

 

 

 

 

 

 




このカクテルは実在します、興味のある方はWikiでの参照がお勧めです。
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