ボンクレーが『ときメモ2』の世界に転生したようです   作:越後屋大輔

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朝日奈夕子が「Sunnylight」の副店長になった経緯の話です、しかし何だこのサブタイ?


朝日奈夕子の人生大逆転

 軽い気持ちである男と夜を過ごした朝日奈夕子。何ヵ月か経って子供が出来たと分かり籍を入れたのはいいが、その男は働くどころか酒とギャンブル、他所の女にのめり込む最低な奴だった。とうとう頭に来た夕子は旦那に離婚届を叩きつけると、幼い我が子の手を引いて実家に帰ってきた。

 

 「さて、まずは子供を預かってくれる保育園を見つけて…それと職探しね」とはいうもののこのご時世、中々思うようなトコは見つからない。仕方なく両親に頼むと

 「孫は可愛いねぇ」二人してデレデレしっぱなしである、昔は娘をほったらかしで仕事一辺倒だったくせに変われば変わるモノだ。

 

 ある日、面接に行ってその場で不採用を告げられた夕子はトボトボと重い足取りで実家へ帰宅していた。ふと周りを見渡すとオープンしたての新しいカフェを目にした。

 「そういや、忍君が今年中にカフェを開くって言ってたなぁ。あれがそのお店か」お正月に華澄の家で再会した友人を思い出す。

 「あ~あ、私忍君を好きになればよかった。あわよくば光ちゃんから奪って…なんてね」口に出してすぐに自嘲する、生憎不倫の趣味も癖も夕子にはない。

 「ン?従業員募集中?よし!」新年会では今の自分の状況は恥ずかしくて誰にも知らせなかったが、もう形振り構ってはいられない、飛び込むようにそのお店『Sunnylight』の入り口を開けた。

 

 忍は接客中の様子だったのでとりあえず客として待つ事に決めた夕子、適当な席を探しているとまたも元同級生の如月美緒に出くわした。

 「雨の夜、淋しさのあまり…これは違うわね。アドレスを開いて、あなたの名前、探します…ここはもっと主観にした方がいいかも」プロの作詞家である彼女、どうやら仕事中らしい。パソコンとにらめっこしながら書いた文字を自分で呟いている、しかも丸聞こえ。そこへ忍がランチを持ってきたがすぐに去っていった、美緒は四人掛けのテーブルに一人で座っていたので向かいの椅子に腰を下ろすと美緒に話しかける。

 「ナニ何?新曲の歌詞?誰が歌うの?」敢えてあの頃のままの口調で美緒に話しかける夕子。昔と変わったとは思われるのは何となく癪だし、変に気取られて心配されるのも嫌だ。

 案の定、こちらの事情など気づきもしない様子でパソコンを体で覆い隠そうとする美緒。夕子は画面をみた訳ではない、美緒が自分で呟いたのを聞いただけなのだが。

 

 店の混雑が一段落したらしく忍が再びこちらに伝票を持ってやってきた、コーヒーとシナモントーストを注文しつつバイト募集の件を尋ねる夕子。最初は渋っていた忍だったが夕子の粘り具合に何かを察した、実際勤め口のアテがなくなった夕子は何とか雇われようと必死に粘っていた。

 「じゃ後でいいから一応履歴書だけ持ってきて、いくら元同級生でも把握しておかなきゃならない事も色々あるのよ」

 「それがいつも持ち歩いてるんだよね」バックパックから履歴書を取り出す夕子。

 「アンタ、実は確信犯?」

 「まあ、話せば長くなるけどね」

 

 それから5年程が過ぎた。バイトの店員達の面子は常に入れ替わっていく中、夕子だけはお店の定休日と決まった休暇以外は毎日出勤している。

 「夕子、ちょっといい?」開店前の朝、忍にお店の奥にある事務室兼休憩室に呼びだされる。

 「どうしたの?店長」

 「この店も軌道に乗って年商も安定してきたわ。あちしも曲がりなりにも一端の経営者になれたし、アンタを正社員として改めて雇いたいの」

 「ホント?ラッキー!」つい昔の口癖が飛び出す。

 「フーッ、まあいいわ。その内細かい手続きとかあるから、覚悟しておいて」

 

 そして現在はSunnylight副店長として、また一児の母として公私共に充実した日々を送る夕子。尚、余談だが密かに再婚相手を募集中との事である。

 

 

 

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