ボンクレーが『ときメモ2』の世界に転生したようです   作:越後屋大輔

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今回もシリーズの外伝です、色々考えながら書いてたら最長文になりました。


匠アンジェリーク外伝 チョコレート毒殺事件の真相

 かつて高校時代を共に過ごし、今でも仲のいい藤崎忍、佐倉賢、穂刈純一郎の3人組はある年のバレンタインデーに忍が経営するカフェSunnylightに集まっていた。ここは夜になると酒を楽しめるバーになる。

 「いらっしゃいご注文は?」店主の忍が二人に問う。

 「とりあえずビール」

 「アテは任せる」友人を信頼してかあまりこだわりがないのか、あるいはその両方か声を揃えてそう伝える。

 「ちょうどいいわ、あちしが自分で漬けた紅しょうががあるのよ。天ぷらでだすわね」忍も慣れているらしく有無を言わさず調理したモノを提供しつつ、営業時間も過ぎたので自分もグラスを煽る。

 「しっかしバレンタインデーに男3人で呑んでるとはな」

 「いいじゃない、みんな既婚者だし」

 「今更だな」この3人、少なくてもハーレム願望はないようである。

 「バレンタインといえばさ、匠の死因だけど」

 「そういやあれって犯人は見つかったのか?」

 「結局事故で処理されたらしいわね」3人の話題は高校の同級生で卒業間際のバレンタインデーに毒殺された坂城匠の事になった。女子にも間違えられそうな外見ながら中身はゲスだった匠は、高校生活最後のバレンタインデーに貰ったチョコレートを食べて死んだ。遺体を解剖した結果、毒物が検出された為、警察もり捜査したが決定的は証拠は全く見つからず最後は打ち切られた。

 「まあ、あちしは見つからなくてもいいけど」

 「可哀想だが自業自得だしな」

 「もう時効だろうしな」

 「アラ、殺人の時効は廃止されたわよ」

 「じゃ犯人は今頃気が気じゃないな」

 「まあ、この話はよそうぜ」

 「そうだな、酒がマズくなる」

 

 ~ここから忍視点~

 それから2日後、あちしが一人で店を回していると燈馬一が来店していつも通りコーヒーを注文してきたわ。

 「そういえば2002年のひびきの高校でバレンタインデーに起きたチョコレート毒殺事件ですが」口火を切る一。

 「まさか犯人見つかったの?」あちしはは軽く驚いて尋ねる。

 「ええ。当時同級生だった氷室梨恵と辺見典子の両容疑者が一昨日の晩、出頭してきました。今は捜査一課が事情聴取しています」一昨日の晩といえば賢と純と3人で呑んでた日じゃない、こんな偶然ってあるかしら?何か後味が悪いわね。

 「ところでアンタ、そういうの喋っちゃっていいの?守秘義務とやらはどうしたのよ」

 「一応は逮捕してますから。てゆうか今朝の新聞にも載りましたよ」生憎今朝は新聞を読んでないわ。涼しい顔で言ってのける一だけど、あちしは匠が死んで清々したからむしろ犯人には逃げ延びてほしかったのよね。

 「それで、氷室と辺見はどうなるの?」

 「それを決めるのは裁判所です。但し、物理的な証拠がないので求刑までは長くなるでしょうね」そう言ってコーヒーを飲み干した一は代金を支払って帰っていった。

 

 ~視点なし~

 拘置所で裁判を待っていた氷室と辺見は拘置期間中のある夜、夢を見た。そこはまるで雲の上に存在する世界で胡座を組んでいる巨人とヴェールを被った人がいた、その2人がこんな会話をしていた。

 「あの者らをこのまま咎人(とがにん)としてよいのであろうか?」

 「これも人の世の為にございます、せめて来世で幸多い生を与えてやればよろしいかと」

 「しかし此度の事件はいわば我らのマインドコントロールによるモノ。本来ならば罪など犯さずに済んだのじゃ」

 「ならば彼奴めと同じ世界へ送られてはいかがでしょう?」

 「ウム、それが最善じゃな」そこまで聞いた氷室と辺見は目が覚めると全く見覚えのない街の片隅に立っていた。

 「ねえ氷室、ここどこ?」

 「知らないよ、日本じゃない事は確かだけど」回りを見渡すと看板等には見た事すらない文字が並び、行き交う人々も一見外国人風だが服装とかは絶対に現代のモノじゃない。パニックのあまりキョロキョロする2人を見かねたのか1人の女性が声をかけてきた。

 

 私達の住む世界と坂城匠が転生したこの世界は時間の流れがリンクしていない、更にこの世界の地上と天空都市も時間の流れる速さが違うが今はそれは置いておこう。

とにかく氷室と辺見に声をかけてきたこの女性こそかつて2人に毒殺された挙げ句にこの世界に転生した坂城匠イヤ、元坂城匠のアンジェリーク・リモージュだった。

 

 ~アンジェ視点~

 新しい宇宙の女王の座をロザリアに譲った私は主星に戻り、守護聖の務めを終えたオリヴィエ様とファッションブランドを立ち上げてお店を営みながら暮らしている。

 ある日開店準備をしていたら見覚えのある女性が2人、挙動不審な行動をとっていた。あれって確か氷室さんと辺見さんじゃない?しばらく見ない内に随分老けたわね、それはさておき何でこの世界にいるのかしら?とりあえず2人に声をかけて店に招き入れる。

 私は正体を隠して事情を聞く、すると昔私を殺したのはこの2人だと分かった。けど私は生きてるし今の人生、とっても幸せだから恨んでもいない。それで拘置所にいたハズがいつの間にかこの世界に転移したらしいわ、これってお釈迦様の仕業かしら?ともあれこのまま放ってもおけないわね。オリヴィエ様と相談してしばらくウチで働いてもらう事にした。え?言葉遣い?私あれからスッカリ女の子になって自然と変わっていったわ。さっき2人に会うまで自分が男の子だったなんて忘れてたくらいだもん、何か文句ある?

 

 ~燈馬一視点~

 「一体どうなっているんだ?!」捜査一課は大騒ぎに包まれる、先日出頭した殺人の容疑者2名がまた変死したと僕の所属する鑑識課にも伝達があった。何なんだ一体、最近の殺人犯の間で変死が流行っているとでもいうのか?警察は至急、記者会見を開いて度重なる不祥事を頭を下げて詫びた。胃を押さえる上司にいたたまれない気持ちになりながらも、僕は忍さんが舌を出して嘲笑う姿を想像した。

 

 ~再び忍視点~

 氷室と辺見が変死したとテレビのニュースで知ったあちし、店が定休日の今日は越後屋で呑んでいる。

 「しっかし拘置所内でまた(・・)変死事件ですか」大輔君が厨房で嘆息する。実はこの拘置所内の変死事件は今回で2度目、死亡者は3人目なのよね。

 「ごめんください」美緒ちゃん?旦那さんも一緒ね、珍しい場所で会ったわ。

 「今日は氷室さんと辺見さんを偲んでお酒をと思いまして」美緒ちゃんって体があまり丈夫じゃないけどお酒呑めるのかしら?

 「少しくらいなら構わないと医者から許可されてます」あちしの表情から察した旦那さんがフォローする。

 「確か1人目は青木幹人でしたね」そうだったわ、美緒ちゃんを轢き逃げした奴、あの男にはホント腹立ったわ。ウチの蛍ちゃんも殺されかけたのよ、たまたま幸太君が日本に帰省していて助けてくれたからよかったけど。結局あいつ事故って人1人死なせたのよね、被害に遭った方には気の毒だけどザマーミロって思ったわ。

 「うえ~ん!藤ぴー‼」美幸ちゃんまで泣きながら来店した。

 「りえぴょんとのりっぺ死んじゃったよぉ~、うわ~ん‼」

 「アンタ泣くなら他所へ行きなさいよ、迷惑でしょ」

 「忍、ここにいたのか」純夫婦も来た、そして我が愛妻の光ちゃんも。まるでお通夜みたいになっちゃったわね、大輔君には後で謝っときましょ。

 

 ~視点なし~

 後日2人のお葬式が密かに行われた、実際には異世界で生きているのだが当然誰も知っているハズがない。 

 

 




氷室と辺見は本編にもモブで登場しています、読んで下さった方がニヤッとしてくれたら嬉しいです。
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