ボンクレーが『ときメモ2』の世界に転生したようです 作:越後屋大輔
伊集院家のデカい門の前にはかなりガタイのいい護衛が立っていてあちしらを品定めするように見つめてきた。
「結構です、どうぞお入り下さい」言葉の使い方も知らないのこいつは?この場合の『結構』はホスト側から言うセリフじゃないわよ、カチンときたけど腹を立てても面白くないから無表情で会場に入る。
公人が同じ学校の友達を探すとの事で一旦離れた。あちしは両手に花の状態になる、これが普通の男なら天国よね。でも周りに敵を作りそうな気もするわ、つまりはケースバイケースね。
「皆さん、本日は伊集院家のクリスマスパーティーにようこそ。日頃の現実を忘れて大いにお楽しみ下さい」
「あれが伊集院君よ」詩織ちゃんが教えてくれた、何かスカした
「やあ、詩織君。パーティーは楽しんでいるかい?しかし隣の男は君には不釣り合いじゃないかな」大きなお世話、アンタにそんな事言われる筋合いないわよ。その一瞬後驚きの光景が!なんと光ちゃんがグラスの中身を伊集院の顔にぶちまけちゃったわ。眉をつり上げ本気で怒ってる、あちしもこんな光ちゃんは見た事ないわ。
「何よ、金持ちのボンボンだからって偉そうに!忍君はアンタなんかよりず~っと何百倍も何千倍も格好いいんだから!!」あまりの出来事に会場が凍りつく。SPの男が光ちゃんに手を伸ばしてきた、無意識にバレエ拳法でそいつをはねのけるあちし。
「止めてっ!」詩織ちゃんが間に入る、伊集院は男達を下がらせるとあちし、というより光ちゃんに頭を垂れて詫びた。
「ゴメンね、パーティー台無しにしちゃって」帰り道で詩織ちゃんと公人とあちしに目を潤ませて謝る光ちゃん、ああン、もう!可愛いわね!
「俺の為に怒ってくれたんだろ?アリガトな。それに俺も一暴れしたんだ、同罪だよ」今考えるとやり過ぎた感はあるわね。
「悪いのは伊集院だよ、あいついっつも
「そうね、今日の事で少しは懲りたんじゃない?これを機に態度を改めてくれればいいけど」2人はあちしらをフォローしてくれた、夜空を見上げると雪がちらつきだした。
「ワア!」
「ホワイトクリスマスだねっ」女子2人は笑顔を取り戻したわ、サンタクロースに感謝しなくっちゃねい。
「交通事故が増えるのよね」誰よ?ロマンティックな雰囲気に水を差すのは!
「あなたが藤崎忍ね、さっきの暴れぶりは中々のモノだったわ」妖しげな女があちしらの行く手を阻む。
「何者だ、お前は?!」女は臆する様子もなく名乗る。
「きらめき高校科学部の紐尾結奈よ、人体実験に付き合ってくれるかしら?」何なのこいつ、頭オカシイんじゃない?
「ヤなこった、お前こそ病院行け」冷たくあしらって毒づくあちしにニヤリと不敵な笑みを見せる紐尾、よくみれば美人、けどそれが却って不気味さを際立たせている。
「今日は挨拶だけにしとくわ、次に会った時こそ。ウフフフ…」紐尾はその場を悠々と立ち去っては…行かなかった、雪に足をとられて思いっきりズッこけて顔面を強打する。勿論大笑いしたわよ、ガーハッハッハッ。
余談だけど後日、伊集院家当主から我が家へ正式に詫び状と謝罪の品が届いたわ。詩織ちゃんと光ちゃんの家にも同じモノが送られたそうよ、カレンダーに目をやるともうすぐ1999年も終わりね。