ボンクレーが『ときメモ2』の世界に転生したようです 作:越後屋大輔
こちらは基本、主人公となる穂刈衣音を語り部としてお送りします。
入学式から数日、下校時間に圭介さんが俺を迎えに1年1組の教室にきた。
「今日は蛍が部活だからよ、2人で帰ろうぜ」途端に女子4、5人に囲まれる質問攻めに遭う俺。
「穂刈君、佐倉先輩と知り合いなの?」
「どういう関係?」実は圭介さん、かなりのイケメンで性格も砕けた感じで男女問わない人気者だったりする為俺はやっかみの対象になったようだ、しかし男に嫉妬してどうすんだか。
「尊い!この組み合わせ堪んない」1人の女子がそう叫んで鼻血を吹き出して床に倒れる。
「親の代から仲のいい幼馴染みだよ」簡潔に説明してその場を去ろうとする、尚も食い下がる女子は圭介さんの取り成しでどうにか引っ込んでくれた。
そして帰りの道すがら圭介さんにこんな事を聞かれた。
「衣音、お前好きな娘とかいる訳?」
「何ですか?藪から棒に」
「イヤ、壁から釘と言ってくれ」
「落語ネタはいいですから。それで話の続きですが……」
「オウ、何かあったら俺に連絡よこせよ。できる範囲で力になっから」
「ハア、ありがとうございます。ところで圭介さんは?蛍さんと付き合ってるって噂を聞きましたよ」
「俺と蛍ちゃんはそんなんじゃねーよ」顔を背けて否定する圭介さんだけど、どうも怪しい。ひょっとして片想い?ともあれ俺もそれ以上は聞かず、この日は圭介さんと楽しく下校した。
家に帰ると母さんが珍しくお洒落している、そうだ確か今日は親父との結婚記念日だったっけ。
「衣音お帰り。悪いけど…」母さんよ、みなまで言わずとも分かっているぞ。
「大丈夫だよ、毎年の事だから」年に一度の事なんだから遠慮する事ないって、それにこの日は俺にもちょっといい思いが出来るし。
母さんを送り出してしばらくすると夕食の時間になったので俺は待ち合わせ場所に向かう、今年は蛍さんが先に来ていた。
「蛍さん、お待たせしました」
「こんばんは衣音君、じゃ行こっか」2人であるオフィス街にある店に入る。
「いらっしゃい、衣音君に蛍ちゃん」ここは『洋食のねこや』。昔、母さんと蛍さんの父君、忍さんがバイトしていた洋食屋だ。小さい頃に両親が2人きりで結婚記念日を祝えるよう、お邪魔虫な俺達子供を蛍さんの母君の光さんが連れてきてくれた。それ以来家族でたまに訪れるようになり、中学生くらいから毎年この日は蛍さんと2人でここへ夕食を食べに来ている。
お水を持ってきてくれた店主の姪御さんの沙紀さんに料理を注文して食事して帰宅する、それだけの事だけど蛍さんと同じテーブルに座って向かい合っているとちょっとしたデート気分になれるのが嬉しくて俺は毎年この日を楽しみにしてる。
こうして今年の両親の結婚記念日は終了した。
入学式の翌日から始まった各部による新入生への部活勧誘が今日も行われている、何部に入ろうか迷う俺。そもそも俺、蛍さん、圭介さんの3人の両親はみんなこのひびきの高校の卒業生でウチの親父は剣道部に所属していたそうだが今は廃部になっている。大体剣道ならずっと親父に叩き込まれていたからな、部活でまでやりたくないのが本音だ。
「よぉ衣音、部活決めたのか?」圭介さんだ、確かこの人は帰宅部だったよな。
「イヤァ、親父には野球部に入れって言われたんだけど。俺才能ないみたいでさ、3日で退部しちまったよ」そうだ!圭介さんの父君って昔ひびきのが甲子園で優勝した時のキャプテンだっけ、その息子となりゃプレッシャーも大きかったろうな。挫折したのもその辺が原因の1つなんだろう、俺は返事をしないで愛想笑いだけを圭介さんに向けた。
「ま、お前は好きにすればいいさ。じゃあな」立ち去る圭介さんを見送り再び部活を選択する俺、蛍さんは何部かな?
「あっ衣音君」蛍さん❤ジャージ姿も素敵です!
「ねぇ部活まだ決まってないなら陸上部に入らない?」蛍さん直々に勧誘された、その眩しい笑顔の前で断る術を俺は知りません。
「は、はい!宜しくお願いします!」こうして俺は陸上部に入部した。
~ここからは視点なし~
その翌日、会社帰りの穂刈純一郎は親友が営むカフェバー『Sunnylight』に立ち寄った。
「そう。衣音君が陸上部にねぇ」店主の忍は小さく微笑みながら呟いた。
「部活にないなら家で剣道を続けてほしかったがな」純一郎はため息を吐いてそう語る。
「衣音君だって別に『剣道なんて2度とやらない』とか言ってないんでしょ、悲観的になる事ないわよ」
「蛍ちゃんに誘われたそうだが」
「アラ、ウチの娘も中々やるじゃない」
「陸上部はお前が勧めたのか?」
「かつて
「そうか……下手に反対しない方がいいかもな。それじゃ失礼する」代金をカウンターに置いて席を立つ純一郎。
「ありがと、今度はゆっくり来なさいな。またアンタと賢とあちしの3人で呑みましょ」代金をレジにしまいながらそう声をかけ見送る忍。そんな父親の悩みなぞ知る由もなく衣音は自分の部屋で
「えへへ、明日からは毎日蛍さんに会えるんだ。イヤッホー!」若干気味悪い笑顔を浮かべて興奮していた。
「衣音!静かにしなさい!」下のリビングから茜の怒号が響いた。
次回から他の女子も出す予定です、もうしばらくお待ち下さい。