ボンクレーが『ときメモ2』の世界に転生したようです 作:越後屋大輔
6月、高校生になって初めての体育祭がやってきた。このひびきの高校は全校生徒が紅白に分かれての2チームで優勝を競い合う、これは創立した頃からの伝統との事だ。因みに俺も蛍さんも圭介さんも紅組になる、まあそれはさておき……
「何で2人は観にきてるんだよ?!」両親に突っ込む俺、小学生ならいざ知らず高校生ともなれば我が子の体育祭を観覧しようなんて親はまずいない。そう、たった3組6人を除いて。
「そういうな衣音、俺達もたまには昔を懐かしみたいんだ」
「グラウンド、ボク達が通っていた頃と全然変わってないよね、タイムスリップしたみたい」母さん、自分をボクと呼ぶのは家庭内に止めてくれ。
「パパ!ママ!今年は来ないでって言ったじゃないの!」
「父さん、母さんもう帰ってくれ!」蛍さんと圭介さんもご両親の来訪に困惑している様子、ホン…トにやりづらいよな。
ともあれ俺が最初に出場するのは借り物競走、今は隣で走っているのは透加さん。今年からルールが変更になりお題は一戦につき1つだけ。しかもスタート直前に発表される、お題のモノを見つけて真っ先にゴールに入り審判に認められたら勝利だ。
俺は来客席にいた忍さんの手をとると、走りながら事情を説明して急いでゴールに向かう。
『ただ今1年1組、穂刈衣音君がゴールしました。あれ?誰かを連れてきてます、お題は人間じゃないハズですが…』アナウンスが響く中、審判が眉をひそめる。
「えっと穂刈君、お題は『釜』なんだが」
「はい、分かってます」
「だから『オカマ』のあちしが連れてこられたのよ」忍さんも審判に掛け合うが
「そういうのを認めるのは……今だけフリをされている可能性とかもありまして」
「認めるのだ!」あっ校長先生。
「イヤ~ン、アンタ話がわっかるじゃなーい」校長先生にじゃれつく忍さん、そういや2人共ここのOB、OGだったっけ。
「ち、中年め!ウザいのだ、じゃれつくんじゃないのだ!」
「何よ、アンタだって中年でしょ!」
「え?は、ハア。校長先生がそうおっしゃるなら穂刈君を1着としましょう」審判が折れて俺の1着が有効となった。
『次は父兄参加のムカデ競走です』アナウンスに敏感に反応する親達。親父と母さんは忍さん、光さん、圭介さんの両親の賢さん、楓子さんと互いの足を紐で束ねてスタンバイする。
「ムカデ競走か、私達の時代にはなかったよね」既に競技は始まっていて進みながら会話をしている3組の夫婦。
「ねぇ、『いっちに』より『ワン・ツー』の方がやり易くない?」
「あちしは『アン・ドゥー』の方がいいわ」
「昔、二人三脚やった時は『左・右』じゃなかったか?」
「えっさほいさとか?」
「サルじゃないんだから」
「「「「アハハハハ」」」」雑談しながら順調にゴールへ向かう6人、一方で白組の父兄は足がもつれて何度もこけている。
「何であれでこけないんだろう?」
「ホント仲いいよな、ウチらの親達」
「お姉ちゃん、ユキもあれやりたい」蛍さんと10才違いの妹である雪ちゃんの声がした、圭介さんの弟の浩二君(14才、中2)が競技の様子が見られるように肩車している。
「ムカデ競走はパパママしか出られないの、雪はまだ小学生でしょ」蛍さんに嗜められて納得したらしい雪ちゃん、素直なよい子だ。浩二君もご苦労様、こんな時1人っ子は妙に寂しい。
午前中のプログラムが終了して昼食の時間になる、全校生徒で俺達3人だけ家族揃って食事を摂るハメになったのが恥ずかしい。母さんと楓子さんはおにぎりに唐揚げに卵焼き等のド定番な弁当を作ってきていた、まあ好きだからいいけどさ。
「今日の為に張り切ってお弁当用意したわよ」こういうのは藤崎家では忍さんの役割みたいだ、飲食店
「あ~あ、私立場ないなぁ」光さんが冗談めかしてボヤくと大人達は笑いだす。
「はい、ご飯の他に鰆の塩焼き、えのきのバター炒め、イカの西京焼きに大根のサラダ、デザートに杏仁豆腐もあるわよ。名付けて『白を喰らえ弁当』よン♪」これでもかっていうほど見事に真っ白だな。
「待て、貴様もし自分達の子が白組だったらどうしたのだ?」校長先生がそこにいた、何で?
「そりゃ別のモン考えたわよ、ケチャップライスに赤パプリカ炒め、人参のサラダとか」動じる事なく校長と話す忍さんだが
「せっかくだから伊集院校長も一緒に食べない?」母さんが校長を誘う。
「い、いらないのだ!メイにはちゃんと……グゥ~」言いかけた校長の腹の虫が鳴る。
「ホラ、座って座って」こうして校長先生を交えた昼食になった、心なしか俺達以上に親達が楽しそうなんだが……。
ともあれ体育祭は特に大事もなく紅組の勝利で幕を閉じた、来年、再来年もこの調子で勝ちたいな。あ、でも蛍さんや圭介さんと違うチームにはなりたくないかも。
忍が用意した弁当のくだりは『ひだまりスケッチ』を一部パロってます。