ボンクレーが『ときメモ2』の世界に転生したようです 作:越後屋大輔
秋になり文化祭が近づいている。現在のひびきの高校では文化部の場合それぞれの作品発表は勿論だが、運動部も何らかの模擬店を出す事になっている。誰だ、ア○ガ○の水泳部っぽいって言ったヤツ?
で我ら陸上部も何の模擬店を出すか部員総出で話し合っている、しかし3年生にとって最後のイベントが大会や競技と何ら関係ないというのも奇妙な話だよな。
模擬店を設営するには食べ物を扱う場合、衛生上の理由で
「それじゃ陸上部の模擬店は……藤崎さん、何か案はない?」部長が蛍さんに話を振る。まあ飲食店店主の娘だし、頼ろうとするのは当然か。
Trrr…蛍さんはスマホを取り出すと、どこかに電話をかけていた。
「もしもしパパ?」相手はやっぱり忍さんだった。話を聞くと陸上部は去年クレープの店をやったらしくその指導をしたのが忍さんだそう、顧問の先生は蛍さんのスマホを借りて忍さんと会話する。
「藤崎さん昨年はご協力ありがとうございました、それで」電話越しなのに頭を下げたり顔色を伺うような仕草をする先生に一部の部員から失笑が漏れ出す。
「勿論お手伝いするわよ。で、今年は何のお店をやるの?」
「はい、他の部の模擬店と照らし合わせて今話し合いをしている最中です」ここで先生は蛍さんにスマホを返し、再び親子の会話となる。
「まだ日にちには猶予があるから、帰ったら相談にのってねパパ」
「任せなスワーイ」
翌日、赤羽さんと帰りが一緒になった俺はアメフト部はどんな模擬店をやるのか聞いてみた。ここで補足するとひびきの祭では別に模擬店同士で売上を競ったりはしていない、売上金は多かろうと少なかろうと全額募金されるので生徒達に損得は一切ないからだ。だからこんな情報交換も軽くなされているし、それが特に裏切り行為という訳でもない。
「アメフト部は焼き鳥を売る事になったよ、部員の親御さんがお店をやってるそうだから今度私が教わりに行くの」どうやら赤羽さんがメインで売り子をやるようだ。肝心の焼き鳥屋の息子だか娘はどうするんだろう?
そんなこんなでやってきた文化祭当日。我ら陸上部は入口から最も奥に模擬店を構えた、他の部から憐れみの視線を受けたりもしたがこれも作戦の内だ。
各模擬店の営業が始まり、昼前までは閑古鳥が鳴いてた我が部だが午後に入るとお客が押し寄せてきた。
「はい、ホットとアイスを一杯ずつですね。砂糖とミルクはご入り用ですか?」
「こちらはレモネードですね」そう、今年の陸上部はコーヒーとレモネードの模擬店をだす事にしたのだ。
「屋台の食べ物ってしつっこいの多いじゃない?そのせいか喉渇くのよね、そのわりに飲み物を売る店ってなかったから」流石忍さん、学校には自販機もあるけど普段より人が多い文化祭じゃすぐに売り切れが予想できる。ゴミが散乱する可能性は否めないがそこはお客1人1人にポイ捨てをしないように声をかければ多少は効果あるだろう、空のカップはこっちでも回収できる手筈は整っているしな。
「オヤ、ここは中々賑わっているのだ」校長先生が俺達の店にやってきた。傍らには小学3年生くらいの子供を2人、男の子と女の子を連れている。どことなく校長先生に似ている気もするが、敢えてスルーしよう。
「校長先生、いらっしゃいませ‼」
「フム、よい挨拶なのだ。では私はコーヒーを、この子達にレモネード2人分を買わせてもらうのだ」子供達は手渡しされたレモネードを受けとると
「お兄ちゃんお姉ちゃんアリガトー」と嬉しそうにお礼を述べる、こういう屈託のない笑顔を向けられるとこちらも悪い気はしない。
「アラ、アンタも模擬店巡り?」忍さんも
「そうなのだ、我が子達と一緒にな。お前達、母の友人にご挨拶するのだ」やっぱり校長先生の子供だったんだ。
「こんにちは、伊集院セイです」男の子から忍さんに自己紹介する。
「同じく双子の妹、ケイです」
「いいご挨拶ね、あちしは藤崎忍よ。ヨロシク」
「今日は奥方は一緒じゃないのか?」校長先生の問いに忍さんは
「生憎妻の勤めてる女子高も今日文化祭でね」それなら光さんも母校訪ねるどころじゃないか。
店番を交代する時間になって俺は蛍さんと各文化部の展示を見に行く、せっかくだから知り合いのいる科学部と美術部から回ろうか。
次回は文化祭の続編をお送りする予定です。