ボンクレーが『ときメモ2』の世界に転生したようです   作:越後屋大輔

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クリスマス話です、あの人も登場します。


第11話1stクリスマス

 ~虹野紗希視点~

 成人前に結婚と出産を経験した私。最近は子育ても一段落して、これでやっと解放されると思ったらある日夫が青褪めた顔で帰宅した。

 「紗希スマン!会社が近々倒産する事が決まった」泣きながら土下座する夫。しかしこの人も雇われの身だし、悪いのは経営陣で別に夫に非がある訳じゃないから私も怒ったりしない。幸いこれまでの蓄えがあるから当面の生活は問題ないがそれもやがては尽きる、子供達としばらく相談して私はパート先を探す事にした。

 調理師専門学校を出ているのを武器に翌日から派遣会社に登録して幾つか働き口を世話してもらうも主に労働条件が合わず退職するハメになった、流石に40過ぎた主婦の体に早朝から深夜の仕事はキツい。そんな時、子供達が大きくなって以降疎遠になっていたママ友の皆さんからSunnylightへ行かないかとお誘いがあった。

 

 日曜日だったのもあって久し振りに訪れたSunnylightは相変わらずの賑わいだった、私もこの日は普段の生活を忘れようとケーキとお茶を存分に堪能した。お会計をしようとレジに向かうと手書きポップが目に留まる、そこには『パート・アルバイト募集』と書かれていた。店員の若い娘にお金を払い帰宅してから忍君のスマホに電話する、ちょっと卑怯な気もするがこれも友人特権とコール中に自分を納得させる。

 「アラ紗希ちゃん。何か御用かしら?」

 「忍君、実はね……」私は今の家庭の状況を包み隠さず説明して雇ってほしいとお願いした。

 「履歴書は結構よ、アンタ相手に今更必要ないわ。だけど面接だけはさせてちょうだい」との返事だった。

 そして後日、私はSunnylightの厨房担当に雇われた。忍君が考慮してくれて勤務時間は平日のランチタイムと土日祝日の夜6時から9時まで、あまりお給料は高くないけど夫もなんとか再就職できたし息子も独立しているので2人で働けば暮らしには困らないだろう。

 

 ~衣音視点に戻る~

  さて、クリスマスイブ当日。俺はナゼかSunnylightにいる、話は昨日の終業式から帰宅したところまで遡る。校長先生宅のクリスマスパーティーのお誘いを受けていた母さんが

 「忍君、今年は伊集院家のパーティー行けるの?」と忍さんに電話で尋ねたら

 「今年もムリね、ウチにとっちゃクリスマスはかきいれ時だもん」日本のクリスマスといえば恋人達の季節、Sunnylightは彼らが過ごすのに最適なお店だからこの時期は繁忙期になる。このやり取りは毎年行われているので俺も特に気にしてなかったが

 「それでさ、今年はバイトの子も都合つかなくて人手が足りないのよ。茜ちゃん誰か手伝ってくれる人に当てはない?」

 「じゃボクが手伝いに行こうか?」

 「アラ、いいの?アンタもパーティーに誘われてるんでしょ。だいいち純と衣音君はどうすんの?」

 「そうだねぇ、たまには父子2人で過ごすのもアリじゃないかな」とんでもない提案をする母さん、冗談じゃない!普通の日ならともかく何で親父とクリスマスを迎えにゃならん‼全身から血の気が引く。

 「今、蛍ちゃんと塩原さんは確保してあるのよね。後は……」そこまで聞いた俺は母さんから受話器を引ったくり

 「忍さん、当日は俺が手伝います、パーティーには夫婦で出掛けますから!」

 

 と、いう訳で俺は今Sunnylightのウェイターをやっている。まだ日は高いが店内はイチャつくカップルで溢れ返っている中、1つのテーブルに向かうがイチャつきぶりは目も当てられない。辟易しながらもなんとかオーダーを取り厨房へ向かう、忍さんは手が離せないようなので厨房を担当している虹野さんに伝えておく。

 

 怒濤のクリスマスイブも残り3時間となり主婦及び俺を含めた高校生組のバイトは終了となった。忍さんは閉店まで仕事があるらしく、ここからは入れ替わりで大学生&フリーター組でお店を回すそうだ。

 「この時間からは酔客も増えるわよ」と蛍さんも自宅に帰される、途中まで俺が送っていく事になりみんなに囃し立てられつつSunnylightを後にした。

 「衣音君、せっかくのクリスマスなのにバイト入ってくれてアリガトね」蛍さんにお礼を言われ心中でだらしなくニヤケる俺だがなんとか取り繕って

 「イヤ、結構楽しかったっスよ」とさりげない風を装い隣へ振り向くと蛍さんが無防備なのに気づいて、このドサクサに紛れて手を繋ごうとスッと腕を伸ばす。

 「穂刈君」塩原さんに呼び止められ慌てて腕を引っ込める。

 「あれ、塩原さん何でここに?」蛍さんが若干ムッとした口調で尋ねると

 「ここが私の帰り道ですから。藤崎先輩こそどうして穂刈君と一緒なんですか?」ひきつった顔でやり返す塩原さん、なんか2人共怖い。

 「別にいいでしょ、幼馴染みなんだし」

 「それじゃ一度くらい遠慮してもいいんじゃないですか?」遠慮?一体何に? 

 「「何でもない‼」」声を揃えてそう叫ぶ、結局3人で一緒に帰る事で合意した。

 「「ホンットに唐変木なんだから……」」2人が何か呟いていたが俺には何て言ったか分からなかった。

 

 

 

 




主人公が鈍感なのはときメモシリーズの常でしょうか?
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