ボンクレーが『ときメモ2』の世界に転生したようです 作:越後屋大輔
本作に意外と多い幽霊ネタ、3年目の文化祭でも使います
秋も深まり今年も文化祭の季節がやってきた。夏休みで部活を引退した俺達3年生もこの期間だけはそれぞれ己れの部で模擬店準備に精をだす、陸上部も俺と酒々井さんが中心になって計画を進めている。因みに去年は『ライオンカツ丼』なる料理を出す店(と、いっても実質普通のカツ丼だが)をやった、なんでもあの『洋食のねこや』が関係しているらしいが俺も詳しくは知らない。その辺りは当時プロデュースしてくれた忍さんに今度聞いてみよう、それより今年は何を出そうか決めないとな。
そんな文化祭準備期間中の月曜日に斜森さんが沈んだ表情で教室に入ってきた。
「お早う斜森さん、元気ないね」俺がいつも通り軽い感じで挨拶したらいきなり抱きつかれた。
「穂刈く~ん(半泣)」まるで何かに怯えて煎るようだ。あれ、他の女子達の視線が妙に痛いんだけど?なんとか落ち着かせると俺から離れて今度は手櫛さんの胸に顔を埋める。
「ふかふかだぁ……腹立つけど」そこは敢えて突っ込まないぞ。
改めて話を聞くと斜森さん始め美術部はこの土日に展覧会の準備をしていたそうだが……
~斜森緋美子視点~
私達美術部は文化祭で自分達の作品の展覧会を実施しようと土日返上で準備に追われていた、特に私達3年生は今回が高校生活最後の文化祭というのもあって気合いが入っていた。
土曜日の夜も更けた頃、キリのいいところまで進んだので帰宅しようと美術室を出ると廊下で見覚えのない女子生徒とスレ違う。ナゼか
「ねぇあなた、あなたは何の為に絵を描いてるの?」唐突な質問で答えにつまる私の返事を待たず、彼女はまるで絵の具が水に溶けるかの如くその場から消えてしまった。その先は私もよく覚えていない、気がついたら保健室のベッドに寝かされていて、スマホをチェックすると日曜日の朝になっていた。
~吉岡視点~
文化祭準備をしていると校長先生がまだ学校に残っている生徒に校内放送で呼びかける。
《間もなく21時になる、宿泊申請を出してない生徒は速やかに帰宅するのだ》僕ら男子美術部員の内、数名は既に許可をもらって泊まり込む事になっていた。
作業を切り上げて2時間ほど雑談等して僕らは部室で睡眠をとっていた。1時間くらい経って目を覚まして喉の乾きを感じた僕はお茶でも飲もうかと1階にある自販機へ買いにいった、その途中で泡を吹いて気絶している斜森さんを発見した。
生憎、腕力に自信がなく1人で斜森さんを運ぶのはムリなのでスマホで宿泊仲間を起こして現場にきてもらってみんなで保健室へ連れていく。幸いこの日は養護教諭の先生が宿直だった、事情を説明するとベッドに寝かせるように指示された。
「ご家族には私が連絡しておくから君達は戻りなさい」そう言われたので後は先生にお任せして僕らは部室に帰って再び眠りについた。
~衣音視点~
「それって幽霊じゃ……」赤羽さんがポツリと呟き教室全体がゾワッとした空気になる、そ知らぬ顔をしていた別のグループもこっちの話をそれとなく聞いていたようだ。
「と、とにかくそうと決めつけるのは早すぎるぜ。まだハッキリしてないしさ」そろそろ授業の始まる時間になるのもあって俺はどうにかみんなを宥めて話を切り上げさせる、しかしこういうのはやはり校長先生に相談するべきだろうか?
「ウム、実に不思議な話なのだ」斜森さんと吉岡を連れて校長室を訪れ、俺からこの事を相談してみると校長先生は意外にも乗ってきた。
(流石、持つべき者は校長先生の友達の子の友達)誰かが微妙な一人言を言った気がするが放っておこう。
「制服が旧形式だったのは確か15年前までのハズなのだ、それに対して我が校の美術部が創立されたのが7年前だから時期が合わないのだ。ウ~ン」そうか。幽霊の正体が元美術部員なら現在と同じ制服だし、旧制服時代の生徒だったなら美術部に現れる理由がない。
「私から前校長に何か知らないか聞いてみるのだ、君達はいつも通り文化祭の準備に取り組むといいのだ」確かにこれ以上俺達に出来る事はないし、よろしくお願いしますと言い残し校長室を後にした。
翌日の放課後、先代校長爆裂山和美の自宅をを訪ねた伊集院メイ。既にかなりの高齢だが未だ足腰はしっかりしていて豪快な笑い声も健在だ、この日もメイに手ずからお茶を差し出すなどしてもてなした。
「がはははは、幽霊騒ぎか。そりゃ興味深いのう」
「笑い事ではないのだ!おかげでこっちはいい迷惑なのだ。全く、他人事だと思って……」
「まあひびきの高校はお前さんに任せてあるからのう、まさに他人事じゃな」
「先代、相変わらず元気なのだ。まさか死ぬのを忘れた訳ではあるまいな?」
「がはははは、死ぬのを忘れたか。面白い事を言う奴じゃ」
「もうよい、メイは帰るのだ!」
「まあ待ちなさい、そういう事ならワシの知り合いに霊媒師がおる。明日にでもそちらへ向かわせよう」
果たして幽霊の正体は?そしてどうなる?