ボンクレーが『ときメモ2』の世界に転生したようです   作:越後屋大輔

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霊媒師の正体は(設定上)いつまでも年齢を取らないこの人です。


第20話文化祭の幽霊騒ぎ 後編

 ~その頃、閻魔庁では~

 「お盆に現世へ帰っていった霊がまだ地獄に戻ってきていない?」部下の鬼から報告を受けた閻魔大王の第1補佐官を勤める鬼灯(ほうずき)は第5補佐官の赤井ひとみと犬獄卒のシロを連れて急遽現世に訪れて、その霊が現れるというひびきの高校にやってきた。

 「えっ、幽霊を退治して下さる?」鬼灯達が突然訪問したにも関わらず手厚く出迎えたひびきの高校校長の伊集院メイにひとみが現世用の偽名で挨拶する。

 「こちらは高名な霊媒師の加々知(かがち)先生です、わたくしはその部下で名前は……」

 「何か面白い事を言おうとしてるようですが思い付かないなら止めておきなさい」鬼灯に突っ込まれるひとみ。

 「冗談はさておき、その霊が現れた場所に行きましょう」鬼灯の後にひとみ、シロの順に現場へ向かう。

 「ここで間違いなさそうですね、確認の為に第1発見者の方をお呼びして構いませんか?」 緋美子は鬼灯が立っている、自身が幽霊を見た場所に呼び出された。

 「確かに幽霊の痕跡を感じます。では伊集院校長先生、斜森さん、ご協力ありがとうございます。改めて今夜0時に祓いに来ますので万事私達に任せて下さい」

 

 ~?視点~

 アッハッハ!斜森のヤツ、泡吹いて気絶してやんの。いい気味!今年こそ文化祭を台無しにしてやるわ、文化祭自体よりダメになって悲しむ連中の泣きっ面を眺める方が楽しいモンね。

 去年は文化祭前日に学校中のあちこちにゴキブリを巻いてメチャクチャにしてやるつもりだった。ところがどこからかネコの大群が来て私のゴキは一匹残らず退治されてしまった、歯噛みして悔しがっているとご先祖様の霊が現れて私の意地悪に協力してくれるそうだ。よーし、それなら今夜は校長が雇ったという霊媒師も脅かしてやろう。私には本物の幽霊がついてるし、あの手の輩は大抵インチキだからすぐ逃げ出すに決まってるモンね。ンフフフ、見てなさい♪

 

 そしてその夜午前0時に件の幽霊が再び現れた、鬼灯はため息を1つ吐くと呆れた様子でこう話しかける。

 「幽霊に成り済まして皆さんに迷惑をかけるとは随分悪趣味ですね、伊知割椎奈さん」幽霊の正体はかの有名な[いじわるばあさん]の子孫の椎奈であった、因みに彼女はこのひびきの高校の2年生である。

 「ひとみさん、椎奈さんを伊集院校長に引き渡してきて下さい」

 「はい、鬼灯様。さあ覚悟なさい偽幽霊さん、退学処分されるといいわ」閻魔庁の役人であるひとみ相手では逃げる事も出来ず椎奈は校長室へと引き摺られていった。

 「さて、主犯の伊知割石さん」こちらは本物の幽霊にして地獄から逃げ出したいじわるばあさん本人である。

 「さっさと地獄へ帰りますよ」

 「ヘッ!冗談じゃないよ。あたしゃ生前やり残した意地悪を全部やるまで現世に留まるよ」鬼灯に毒づく石は浮遊して逃げようとしたが……ガブッ!飛び上がったシロがその腕に噛みつきそのまま地に叩きつけ前足で取り押さえる。

 「シロさん、お手柄です」

 「このくらい訳ないよ。オレこいつ絶対逃がさないからね、鬼灯様」地獄犬シロ、大恩ある鬼灯には忠実である。

 

 「で、貴様は去年ゴキブリ騒ぎを起こして今年は先祖の幽霊の悪趣味に協力していたのだな」伊集院校長から尋問を受ける椎奈は正直に頷く。あの加々知とかいう霊媒師(自分を引き摺ってきた女にはほうずきと呼ばれていたが)は全てお見通しらしく最早言い逃れは出来なかった、伊集院校長は椎奈に最後の引導を渡す。

 「ただ退学させるだけでは罪が軽すぎるのだ、あの女王様に貴様を凝らしめていただくのだ!」この先は本編からの読者ならお察しだろう。

 

 伊知割椎奈は衣音達とは違うクラスだったが先祖譲りの意地悪ぶりで酷い目に遭った教師や生徒は数知れず、学校中の嫌われ者だった。しかもやたらと知恵も回り一歩間違えれば伊集院財閥を没落させるくらいの算段も持ち合わせていた、その為彼女の意地悪には誰も対抗出来なかったのだ。 

 「そっか、あの伊知割の仕業か」次の日には幽霊騒ぎの真相があっという間にクラス中に知れ渡った、今度ばかりは椎奈も退学は免れないだろうと学校中がホッと胸を撫で下ろした。

 

 「ヤダヤダ、あたしゃ地獄になんて戻りたかないよ!」縄で縛られながら尚も抵抗を続ける石を鬼灯が金棒で殴り付ける。

 「ちょっと!悪人や囚人だって人権ってモンがあるんだよ、暴力は許されないよ」

 「許されないのは貴女の方です。確かに悪人や囚人には人権はあります、しかし死人の貴女にそんなモノはありません」鬼灯に冷たく説かれてガックリ項垂れる石、最後は一切抵抗せず地獄へ戻っていった。

 

 後日爆裂山にお礼に伺ったメイは彼の口から意外な事実を聞かされた。

 「スマンのぅ。この前話した霊媒師の先生、もう亡くなったそうじゃ」

 「えっ加々知さんって人は先代が呼んだ人じゃないのか?」メイは幽霊騒ぎが解決したのを伝えると爆裂山と2人で首をかしげた。

 

 ~衣音視点~

 そして文化祭当日、美術部の展覧会は中々の賑わいを見せた。休憩中に様子を見にきたら斜森さんが俺の手を握る、その瞳には涙を滲ませていた。

 「高校最後の文化祭、私にとっていい思い出になったよ。ありがとう穂刈君」泣き笑いで感謝の言葉を送られた。

 「俺は何にもしてないよ、お礼なら校長先生や件の霊媒師さんに言うべきだ」

 「でも穂刈君が幽霊の事を話してくれたから校長先生も信じてくれたんだし」

 「それだって両親のおかげだよ」そこに俺を呼ぶクラスの男子の声がした。

 「穂刈ーっ、交代の時間だ。模擬店に戻ってくれ」

 「おう!分かった、すぐ行く」斜森さんに後夜祭にまた、と告げて俺は自分の持ち場にむかった。

 

 




という訳で[いじわるばあさん]とのクロスオーバーでした。
次回はクリスマスを予定してます。
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