ボンクレーが『ときメモ2』の世界に転生したようです   作:越後屋大輔

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2XXX編ももうすぐ最終回です、次回作は何にしよう?
前話の①を前編に変更しました。


第22話サーカス団、クリスマスにやってくる 後編

 ~視点なし~

 12月24日のクリスマスイブ、藤崎光はタケヒロサーカスに来ていた。夫の忍がここの団長からペアチケットを譲られたが生憎今日は仕事が忙しく、長女の蛍も高校を卒業してからその手伝いをしている。なので小学生の次女、雪を連れて観にきたのだった。光も今の団長、野咲すみれとはサーカス団がお別れ公演からの奇跡の復活を果たした時以来会っていない。

 「ママ、サーカス楽しみだね」雪が笑顔で光の服の裾を引っ張りながら言う。

 

 ~その頃衣音は~

 結局女の子は誰も誘えず吉岡と一緒にサーカスを観にきた俺、早速葵ちゃんを訪ねて楽屋に行くと光さんと雪ちゃん親子とはち合わせた。

 「光さんに雪ちゃん、2人共どうしてここへ?」

 「私は団長と知り合いなの、衣音君は?」そこへ会話を聞き付けた葵ちゃんが姿を見せる、彼女をそのまま大人にしたような女性と一緒だ。おそらく葵ちゃんのお母さんだろう、女性は光さんに気づくとお互いに挨拶を交わす。

 「光さん、わざわざ来てくれてありがとうございます。こっちは娘の葵です」

 「葵ちゃん初めまして。藤崎光よ、すみれちゃんもお久し振り。今日は娘と楽しませてもらうね」

 「こんにちはーっ」雪ちゃんは相変わらず元気だ、俺は光さん達に葵ちゃんに出会った経緯を説明する。

 「へぇ、偶然というか奇妙な縁もあるんだね」感心していた光さんだが、葵ちゃんの肩に乗っていたひなぎくに目を移すと何かを思い出したように団長さんに耳打ちする。

 

 ~光視点~

 すみれちゃんから娘の葵ちゃんを紹介された、やっぱりよく似ている。

 「キキッ」動物の鳴き声が聞こえてその方向に目をやると

 (あれ、デイジー?)もう20年以上昔、すみれちゃんの誘拐事件の時に出会ったメガネザルのデイジーが葵ちゃんの肩に乗っていた。でも待って、メガネザルの寿命って確か15年くらいじゃないっけ?なら既に天に召されてるハズよね。

 「あっこの子は亡くなったデイジーの娘でひなぎくと言います」私の疑問を察したすみれちゃんが答えてくれた、しかしまだ気になる事があったのですみれちゃんにコソッと耳打ちして問うてみる。

 《まさかあの子も人間の言葉を喋ったりするの?》

 《それは私も探ってみましたがどうやらないみたいです、やっぱりデイジーが特別だったんでしょうね》確かに親子二代に渡って喋るサルがいるのは微妙だよね。

 

 ~衣音視点に戻る~

 大人2人の内緒話はスルーして俺は改めて吉岡をみんなに紹介した。俺以外女性OR女子ばっかりなせいかこいつ照れまくってんな、免疫はあるハズなんだが。

 

 「メリークリスマースッ‼本日は我らがタケヒロサーカスクリスマス公演にお出で下さり誠にありがとうございます、日頃の現実を忘れて大いにお楽しみ下さい!」団長のすみれさんがステージの中央でスポットライトを浴びながら客席に挨拶していよいよサーカスが始まる。それにしてもすみれさん、スゴいハイレグ(死語)の衣装だな。しかも中々にセクシーな美脚だ、あれで40ウン才なんだから……

 「衣音君、何か変な事考えてない?」光さん、笑顔が怖いです。

 「そ、そんな訳ないじゃないですか。ア、アハハ」乾いた笑いを浮かべる俺、顔がひきつってるのが自分でも分かる。

 

 ステージの上では次々とパフォーマンスが披露される、熊の玉乗りや虎の火の輪潜りに的の前に目隠しした美女を立たせてのナイフ投げ。一見するとド定番だが本物を間近で観るのは初めてだな、アニメは当然として実写映画でも最近は殆どがCGだったりするし。

 そしてこの日のメインイベントというかタケヒロサーカス一番の目玉である空中ブランコが行われる、出演するのは葵ちゃんとひなぎくだ。会場が一瞬暗くなりドラムロールが鳴り響く中、再びライトが照らされると葵ちゃんの足がジャンプ台から離れた。反対側からひなぎくも飛ぶ、客席全体もヒヤヒヤしながら上空を眺めている。

 空中ブランコは見事に成功、一転して会場が沸き上がる。客席からの拍手も鳴り止まないまま、サーカスは大盛況のうちに幕を閉じた。俺達は楽屋に行ったがこの後は片付けや何やらで忙しくなるそうなので軽く挨拶を済ませてお暇した。

 

 翌日の25日、Sunnylightの前を通りがかると1枚の張り紙が目に留まる。

 『本日は夜間貸し切りの為、通常営業は17時迄とさせていただきます』と記されていた。

 「アラ、衣音君。昨日は妻達が世話になったわね」

 「イエ、俺は特に何もしてませんが……それよりお店を貸し切りなんて、珍しいっすね」

 「そうね。今まではやってなかったんだけど、昨日の反動でこの日は毎年暇になるし……」そこまで語ると急に黙り込んでしまった忍さん。

 「どうかしましたか?」

 「あっゴメンなさい、ちょっと考え事してたの。そうだわアンタも昨日のお友達連れて今夜ウチに来なさい」

 「え?だって貸し切りですよね」何を言ってるんだ、この人は?

 「いいの、くれば分かるわよ」

 

 その夜、吉岡とSunnylightにやってくるとタケヒロサーカスの面々と藤崎家のみんなが揃っていた。

 「それじゃタケヒロサーカスクリスマス公演の成功のお祝い兼クリスマスパーティーを開催しまーす、せーのっ」蛍さんのかけ声を合図に全員グラスを高々と上げる。

 「「「「乾杯!」」」」どうやら忍さんはサーカス団の為にSunnylightを貸し切りにしたようだ。大人達は酒を、俺達を含む未成年は食事をそれぞれ楽しんでいる

 「すみません、わざわざお店使わせていただいて」すみれさんが葵ちゃんを伴って忍さんに感謝を述べる。

 「いいのよぉ。せっかくだもん、これくらいさせてちょうだい」

 「公演が成功して何よりね、団長」すみれさんに近づく1人の女性、誰だっけ?見た事ある気もするんだけど。

 「あ、あ、あれ琴吹グループ副総裁の琴吹紬女史じゃないか!」吉岡が口をアングリと開けてビビっている、お前顎外れるぞ。

 「これはオーナー。ご足労恐れ入ります」タケヒロサーカスは琴吹グループの傘下だったのか、すみれさんは深々とお辞儀をする。

 「ムギちゃん、こんなトコで油売ってていいの?」すみれさんとは対称的に副総裁と気さくに話す忍さん、そこに少し酔った光さんが副総裁の肩に手を回す。

 「あ~れ~、ムギひゃんひはし振りぃ。ねぇパーティーなんらから~ひょっと一曲弾いてよ、そこにピアノあるはらさ」そういやこのお店の隅にピアノあったな、てっきりただのオブジェだと思っていたけど。

因みに光さんは忍さんに担がれてお店の奥に消えていった、ただ2人共しばらく出てこなかったんだけど何があったんだろう?

 

 それはさておき琴吹副総裁はピアノの前に座り、懐かしのクリスマスナンバーを奏ではじめた。あの電車のCMで使われていた曲だ。サーカス団のみんなもピアノに合わせて口ずさんでいる、そして曲は木の人形を主役にした有名なデ○ズ○ー映画のモノに移りパーティーの盛り上がりは最高潮に達した。勿論俺達もお開きの時間までこのクリスマスパーティーをメッチャ楽しんだ、高校生活最後にしてスゴく想い出深いクリスマスを過ごせたな。

 

 

 

 

 

 

 




次回、新年~卒業をお届け。ひょっとしたら最終回になるかも?
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