ボンクレーが『ときメモ2』の世界に転生したようです 作:越後屋大輔
~圭介視点~
「佐倉、藤崎さんはどこだ?」
「ひょっとして別の大学か?当サークルは他校生も受け入れているぞ」どうも蛍ちゃんを自分達のサークルに引き入れたいらしい、俺は不本意ながら真実を伝える事にした。
「えっと、蛍ちゃんなら進学しないで、親父さんの知り合いの店で働いてますよ」そう告げた途端、ガックリ肩を落とし蜘蛛の子を散らすように俺から離れていく先輩方一同。そりゃ蛍ちゃんは可愛いから気持ちは分かるけどさ、嘘をついても仕方ないからな。さて暑苦しい男性陣も去った事だし、お姉様方の多いサークルにお邪魔しようかね。
~時は流れて12月、衣音視点~
大晦日の夜、圭介さんから久し振りに3人で初詣に行かないかと誘われた。
「それじゃ蛍ちゃんと一緒にひびきの神社で待ってるからな」神社へと真っ暗な道を進む。
神社に着いたら青色の晴れ着を着た蛍さんがいるだけで、圭介さんはどこにもいなかった。
「あ、蛍さん。こんばんは」まだ年は明けていない。
「こんばんは衣音君、圭介君に会わなかった?」
「えっ?一緒じゃないんですか?」
「私が来た時からいないのよ、携帯も繋がらないし」試しに俺も圭介さんに電話してみたが
《お客様の携帯は電波が届かない場所か電源が入ってない為、かかりません》との事だった。
~圭介視点再び~
よし、衣音はウマく誘い出した、次は蛍ちゃんを呼び出して2人っきりにすれば作戦成功だ。全くあいつら互いに好きなクセに見てるとホントじれったいんだよな、どっちからでもいいから告白して付き合っちゃえよ。
とにかく後は本人達次第だ、俺は一足先に境内で女子を引っかけるとしよう。あ、一応携帯の電源は切っておくか。
~衣音視点~
俺達は12時まで圭介さんを待っていたが年が明けても姿を見せない、とりあえず蛍さんと改めて新年の挨拶を交わす。
「明けましておめでとうございます、蛍さん」
「明けましておめでとう、衣音君」何となく気まずくもあるが、これは蛍さんと2人っきりになれる千載一遇のチャンス!俺は思い切って提案してみた。
「せっかく来たんだし2人でお参りしましょうか」冷静を装ってみたがホントは心臓バクバクだ。
「そうね。誘っといて来ない圭介君が悪いんだし」O.K.貰えた、ヨッシャー!会話しつつ階段を登って拝殿を目指す。
「そういえば素敵な晴れ着ですね」これは本心からの言葉だ。実際スゴく綺麗だし似合ってるよな、柄もいいし。
「エヘヘ、ありがと。これ元々ママから譲り受けたの」へえ、親子2代に渡って受け継いでいるんだ。大事にされて晴れ着も幸せだろうな、拝殿の前に立ち鈴を鳴らすと手を合わせてお祈りする。
「どうか蛍さんともっと仲良くなれますように……」
《その願い、叶えてしんぜよう》ウン?何かその気になってきたぞ、ところで誰だこの声?
「何をお願いしたの?」
「言うと叶わないらしいから内緒です」
「そう、じゃ行こっか」やっぱりおみくじは引いていかない蛍さんと境内の広場に甘酒を貰いに行く、まだ夜中だがこの神社では年が明けると同時に参拝客に甘酒を振る舞うのが慣わしになっている。
~蛍視点~
衣音君と二年参りを済ませた翌日の正月2日は土曜日、つまり現在勤めている『洋食のねこや』の特別営業の日。世間一般には内緒にしているがある事がきっかけで事情を知っている私も出勤する。何せ
「お早うございます」裏口から入ると店主と若店主の早希さんが今日の仕込みをしていた。
「「お早う」」2人共仕込みの手を休める事なくいつも通り挨拶を返してくれる。
「お早うございます」
(お早うございます)土曜日だけのウェイトレスであるアレッタさんとクロさんも
この日最初にやって来たのはナゼかあちらからではなくこちらの世界のマリネラ王国在住の日本人、海老名姫菜さん。今はかの国で高校教師をしているそうだが
「マリネラはいいのよぉ、リアルBLの宝庫だし」ウチのお祖母ちゃんか!
「ハァそうですか」店主と早希さんに呆れられてアレッタさんに同意を求めようとする海老名さん。
「ねえ、貴女もBLは好きでしょ」……海老名さん、その人BLの概念自体持ってませんよ。キョトンとしているアレッタさんだったけど次のお客さんの来店に気付いてその場をそそくさと後にした。
そしてこの日の営業が終わり私は裏口から、アレッタさん達は例の扉からそれぞれの帰途についた。地下1階のねこやから地上に出る階段の先に衣音君がいた、因みに彼も土曜日のねこやの事情を知っている。
「蛍さん、お願いがあるんですけど聞いてもらえますか」緊張した面持ちの衣音君は私の顔をジッと見て尋ねる。
「えっ私に?何をすればいいの?」
「3月1日、ひびきの高校の卒業式に来て下さい!それじゃっ!」衣音君はそれだけ言うと反対側を振り向いて駆け出していった、そっか卒業式かぁ。もうそんな季節なんだね、あれから1年経つのか。
~衣音視点に戻る~
「衣音君、卒業おめでとう」蛍さんは来てくれた。
「ありがとうございます、それであの……中庭までついてきて下さい」2人で中庭の搭の真下に来た、俺は精一杯の勇気を出して蛍さんに伝える。
「……俺、蛍さんが好きです!」搭にある鐘は鳴らなかった、俺は振られる運命なのかと諦めたら蛍さんはこう言った。
「ねえ、知ってる?鐘が鳴るのは女の子から告白した時だけなんだよ」えっ?
「私ね、小さい頃は君の事を弟みたいに思ってた。そしてこれからもずっとこの関係が続いていくと……違うわね、続いて欲しいと思ってた。だけどあなたは少しずつ男の子らしくなって、他の女の子があなたに近づくのが悔しくって辛くって……いつからかあなたを1人の男の子として見るようになっていたわ。恥ずかしいけど勇気を出して言うね」黙り込む蛍さん、一瞬の沈黙がスゴく長く感じた。
「私もあなたの事が好き……世界中の誰よりも」搭の上から鐘の音が聞こえる。え?ウソ?
ガラガラドッシャーン‼何かが崩れる音がした、目をやると親父と母さん。それに
「パパ!ママ!何してるの?!」忍さんと光さんも一緒だ、顔を真っ赤にして怒る蛍さん。
「スマン、俺らも見てた」佐倉家の皆さん!しかもこちらは圭介さんと浩二君と家族総出で‼この後、俺の卒業祝いが行われたがハチャメチャだったのはいうまでもないだろう。
~エピローグ~
こうして俺の高校生活3年間は幕を閉じた、思えば色んな事件に巻き込まれた気がするな。
何はともあれ無事に卒業できてよかった、
蛍さんは美人だし忍さんには中々認めてもらえないけどいつまでも2人で歩んでいけると信じている。この学校の伝説が永遠に語り継がれるように、俺達2人の愛も永遠なのだから……。
~エンディング~
♪あ~な~たに~会~え~て、本当~に、し~あわせ~感じ~て~る~♪
※ここから先は本家ED曲を聞きつつ読んでいただけると嬉しいです。
~それぞれの卒業後~
赤羽一美……一流大学でもアメフトチームの敏腕マネージャーとして頑張っているらしい。
甘野梨絵……マスコミ系の専門学校に進んでフリーライターを目指すらしい。
酒々井香奈……体育大学に進み、陸上を続けているらしい。
塩原範子……大学に通いながらモデルとしても活躍しているらしい。
手櫛雅美……アメリカへ留学、その後は永住するつもりらしい。
透加茉莉……二流企業に就職して化学部門に配属、色々発明して業績を上げているらしい。
斜森緋美子……大方の予想通り美大に進学、日々絵画の腕を磨いているらしい。
吉岡
最終回なので吉岡に名前をつけました(笑)。
次回から新シリーズスタートさせます、登場人物は既存のキャラを使いますが時代や年齢等の設定を全て一新する予定です。