ボンクレーが『ときメモ2』の世界に転生したようです   作:越後屋大輔

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『異世界駅舎の喫茶店』を以前少し書いたので今回メインでクロスオーバーします、久し振りの続き物になります。第1回は導入部の為、短めです。


異世界へ家族旅行編
第1話いざ、ハーパータウンへ


 「お盆休みに異世界に?」予報では梅雨明けも近いといわれる7月の始めの『Sunnylight』閉店時間、穂刈茜がやってきてこの店を経営する藤崎忍に話を持ちかける。

 この2人実は高校時代に同じバイト先、洋食屋『ねこや』で働いていた事がある。そこは毎週土曜日になると異世界から訪れる客を相手に商売していて、それは今でも続いている。

 「そう、ボク達とキミ達2家族でさ。日本中はどこも混雑するし、かといって家に閉じ籠ってるのもつまらないしさ」

 「面白そうだけどあちしらはあっちに行けないのよ、大体お盆中はねこやが休みでしょ。あそこを介さなきゃ異世界には行けないわよ」話を聞いた忍は当初、てっきりそこへ出向くのかと思った。こちらからはあの世界に行く事はできず、また異世界の連中もねこやからこちらに来るのも不可能なのである。

 「違う違う。ホラ、この前もう1つの異世界からお客さんが来たじゃない?」

 「あ~ここの営業中、アンタにムリヤリねこやへ引っ張りだされた日ね」あの日、店へ戻ってからやたら残業するハメになったのを思い出す忍。

 「そこなら匠さんにお願いすれば行けると思うよ。ね、行こうよ」

 「お断りよ、お盆は毎年この店営業するし。それより旦那の純に頼みなさいよ」

 「それなんだけどね、旦那も忍君が一緒なら行くって言うんだ」

 (あいつ、あちしに責任転嫁したわね。後で覚えてらっしゃい)

 「え?何ナニ、旅行の話?」夕子も話に加わってきた。

 「アンタは知らない方がいい話よ。後片付けはあちしがやるからもう帰んなさい」

 「それじゃお言葉に甘えて。お疲れ様でしたっ」そそくさと帰宅していった。

 

 結局その後も互いの家族も交えて2、3度話し合い8月の末に出かける事にした。あちらには元こちらの世界の人間、黒金匠が住んでいてハーパータウンという街の駅で駅長代理と構内喫茶店『ツバメ』の主人を兼任している。彼もねこやの常連になりつつあるので茜が土曜日に赴いた匠と交渉する手筈になった。

 「そうですね、私は一向に構いません。このお店を通じれば帰ってこられるし、宿は駅舎の空き部屋を使えばお金もかからないですよ」ここで茜はハッとする。

 「そうかぁ~。こっちのお金が使えないんだった」旅の資金についてはスッカリ失念していた、そこで携帯を取りだし忍に相談する。

 「そりゃ現金はムリよ、金や宝石にしてから向こうで換金しないと」ちゃんと考えていた、情けないやら恥ずかしいやらで縮こまってしまう茜だった。

 

 忍は茜を通じて匠と手紙のやりとりをしている、忍は主に日本のカフェ事情を知らせる。最近某世界的チェーンが日本に上陸してきた事や、しばらく前にネットカフェ難民が社会問題になっていた事などを書いてその手紙を茜に託す。普段は自身の店があるので自身がねこやへ行くのは難しいからだ、今回も茜に郵便局代わりをしてもらい手紙を出した。

 「返事は早くて一週間後、江戸時代の飛脚便より遅いわね」自嘲気味に苦笑する忍、かといって他に手だてはない。

 その晩、茜から預かった匠からの手紙に目を通す忍。ツバメの常連だというご令嬢にローゼスシティなる所へ招待され、地元ハーパータウンとは違う食文化に触れてきた話やようやく冷蔵庫が普及し出した話等中々に興味深い内容が綴られていた。

 「へぇ、なるほどね」読みながらふと閃いた忍、異世界でサプライズを仕掛けようと直近の定休日に幾つか必要なモノを買ってきた。

 

 そしてやってきた8月下旬のある土曜日の午後。例の扉からねこやを訪れた匠の先導でいよいよ異世界へと足を踏み入れる藤崎、穂刈両一家。果たして何が起こるのか?

 




しつこいようですがこちらの匠は坂城匠とは全くの別人です。
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