ボンクレーが『ときメモ2』の世界に転生したようです 作:越後屋大輔
先述の通りルナは現在匠達と暮らしている、今よりも幼い頃に両親を亡くし祖母に引き取られたはいいがその祖母も亡くなり叔父夫婦に預けられたがそこからの境遇は悲惨だった。毎日強制労働を強いられ食事も禄に与えられず気に入らない事があればDVの餌食になるのも当たり前、この秋の収穫祭(こちらでいうハロウィン)の日にニャーチが声をかけなければ彼女の母の遺産目当てで叔父夫婦に殺されてもおかしくなかった。最後は駅長の尽力により夫婦は逮捕されてルナは匠達が預かり今に至るのだが、その2人が脱獄してハーパータウンを彷徨いているらしい。
「ご、ごしゅじ~ん」情けない声を出すニャーチ、ルナに万が一の事がないかと心配なのだろう。
「探しに行くべきじゃな。あの2人ならルナちゃんを逆恨みしているかもしれん」駅長の一言に匠の額から一筋の汗が伝う。
「それじゃ手分けして探しましょう。入れ違いに成らないよう、ニャーチはここで待っていて」
「あちしも行くわ。妻と娘、ダチ一家もルナちゃんと一緒のハズよ」
「私も協力するわ、従兄さんも手伝って!」
「わ、分かった」こうしてツバメにいたニャーチを除く全員が捜索に乗り出した。
人間とサルの亜人というこの世界では大して珍しくない2人連れが夜のハーパータウンの港沿いを歩きながら雑談している。
「
「いえ、異世界産の金塊じゃ税務署が出所を突き止めるのはムリでしょうし、僕がルカさんから預かったと言えば警察も取り締まりようがないし」
「墓ァ掘りおこして骨壺を連行する訳にもいかないしな(笑)」
「そんな事よりどうして僕をこの世界に連れて来たんです?普段は別の異世界に暮らしてますよね」
「この世界に転移した日本人がいるみたいなんで探してるんだ、場合によっちゃ保護して送り帰してやろうと思ってな。お前が一緒なら先方も気を許すだろ?」人間の名は越後屋大輔、日本で育ての親が営んでいた居酒屋を継いでいる気のいい青年で藤崎夫婦とも親しくしている。亜人はルカといい元は日本人だったが落石事故で死んでから孫悟空の能力を得て異世界に転生していた、この2人実は高校、大学時代の同期である。
店を継ぐ前に大輔は育ての親の熊実から知り合いの店『洋食のねこや』に料理人修行に出された。ある土曜日にそこの秘密を知ったのだが、同じ日に訪れたお客の1人が他ならぬルカとその冒険者パーティー仲間であった。以降大輔は彼の元妻や子供達を始め、誰にも内緒でルカと交友関係を続けている。
「事情は分かりました、でも他人の世話を焼くくらいだったら初美さんと復縁したらどうです?」
「あのなー、俺は一度死んでるんだぜ。復縁するといっても法律やら何やら手間がかかるし、大体人間でなくなった夫をあいつが受け入れると思うか?」
「う~ん、それは何とも言えませんね」
「だろ?そうだ大輔、お前が貰ってやってくれないか。子持ちの出戻りだがいい女だぜ、元夫の俺が保証する」
「ムリですよ!僕には決まった
「そっか、残念だな」そんな2人の耳に古いコンテナから物騒な会話が聞こえてきた。
「全く!何で関係ないガキ共まで拐ってきたのさ、変に足がついちまうだろ!」
「仕方ねえだろ!ルナにしっかりくっついて離れようとしねんだから!」
「それなら手を切るなり刺すなりすりゃよかったんだ!」
「冗談じゃねえ!もし死なせちまったら今度は監獄どころか
「ヨッシャ、一暴れするかっ!」
「あまり派手な行動は慎んで下さいね」早速会話のする方へ向かったルカと大輔だったがその必要はなかったらしい。
「何だありゃ?!」予想外の光景に唖然とするルカ。
「何であの2人がこの世界に?」そこにいたのは大輔もよく知っている
「よくもウチの子を拐ったね、只じゃ済まさないよ」
「
女の方は茜に締め上げられてそのまま泡を吹いて気絶している、男の方も忍に腹を蹴られて呻き声を上げている。コンテナには他に3人の子供が縄で縛られて地面にヘタリ込んでいた。
「ルナちゃん、怪我はない?」男を蹴り倒した忍が年長の少女の縄を解きながら問う、おそらく誘拐犯が言っていたルナとはこの娘の事だろう。
「ハ、ハイ!私は平気です」ルナは精一杯気丈に振る舞い立ち上がろうとするが
「あ、あれ?立てない……」
「腰が抜けちゃったんだね、あんな目に遭ったんだもん。仕方ないよ」茜は締め上げた女を雑に投げ捨てると
「ボク一度ツバメに戻るね、みんな無事なのを知らせてくるよ」忍は頷き
「子供達も連れていってくれるかしら?それと湾岸警察をここに寄越してちょうだい、このバカ共はあちしが見張っとくわ」
「うわぁ~ん!ルナちゃんもみんなも無事だったのなー、よかったのなあーっ」歓喜のあまり泣き出すニャーチ、他の大人達もみんな涙ぐんでいる。
「さあ、今夜はもう寝るとしよう。シノブ殿とアカネ殿には明日詳しい話を聞かせていただきますぞ」ソフィアとカルロスはホテルに帰り、残りの面子は駅長に促され全員床についた。
「あっちは心配なさそうだな、それじゃ当初の目的を果たすとするか」
「もう真夜中ですよ、探索は明日にしませんか?」
「それもそうだな」これまでの様子はルカの魔法で大輔のスマホにずっと映されていた、それを眺めていたルカと大輔は一安心して一旦日本へ帰っていった。
このシリーズ、我ながら気に入ってるのでもう少し続きます。この話の中に割り込みたい方はご一報を、歓迎致します。