ボンクレーが『ときメモ2』の世界に転生したようです   作:越後屋大輔

149 / 280
ジョセフ・ジョースターが無謀な真似に出ます。
このシリーズ、改めて見返すと光のセリフが全くなくて純一郎も一言くらいしか話してなかったので今回は2人の視点を入れます。
今回もシリーズ分けしてサブタイ全部変更しました、今話のサブタイは本家『異世界駅舎の喫茶店』に準じてます。


第7話ジョセフの決意と秋の新スィーツの試作

 ~純一郎視点~

 大騒動の末に今度こそ事態は収束した、忍が連れてきた助っ人はそれぞれ本来の居場所に帰ったけどジョセフ氏だけ未だに残っている。

 「まさかこの年齢(とし)で異世界に来れるとは思わなかったからのう、せっかくじゃからエンジョイするぞい」異世界に来るのに年齢はあんまり関係ないと思うが。

 「まさかとは思うけど異世界に来てまで株の買い占めとかするんじゃないでしょうね?」忍はそう呟いていたけど地球の現金なんてこっちじゃ紙くず同然だからムリだろう、ホント苦労性なヤツだよな。

 

 今回の件で誤魔化し切れなくなったのもあって匠さんは自分の出自をロランド君やソフィア嬢等この場にいた親しい人達に明かす事にした、当然俺達も正体を知られる事になったのだが

 「なるほどね、今までの事も納得だわ」

 「俺、たまにねこやに連れていってもらってて何となく気づいていたっす」思いの外すんなり受け入れられた、何となく拍子抜けした気分だな、そんな光景にジョセフ氏はカラカラ笑っている。

 「案ずるより産むが易し、とはよく言ったモンじゃのう」

 「何よ、ジジイが居つかなきゃ匠さんも話す必要なかったのよ。いい加減さっさと帰んなさいよ」忍はムッとしてジョセフ氏に噛みつく。

 「まあそう邪見にするでない、一緒に帰ればよかろうて」それで忍はジョセフ氏の居残りに反対してたんだな、やっぱ異世界人って受け入れづらいのか。でも茜はむしろ大歓迎してたな、どういう事だ?

 「みんな上手く言いくるめられちゃったのね、流石元世界的企業のトップだけあって話術にも長けてるわ」仲が悪いって訳じゃなさそうだがやたらジョセフ氏に食ってかかる忍、俺にはこの2人の関係がよく理解できない。

 

 俺達は改めてハーパータウン観光へ巡る事にした、すると匠さんから提案される。

 「公園の広場で楽団が演奏してますから出掛けてはいかがですか?」と勧められたので2家族総出で見に行った。

 意外に人の多い公園の中央に行って見ると楽団が演奏している音が聞こえたからそこに行ってみる、そこにも結構人が集まっていて音楽を楽しんでいた。ブラスバンドをメインに俺達の世界でいういわゆるカントリーやクラシックの楽団なんかが出演していた、当然だがロックバンドやシンセサイザーを駆使したグループなんていない。ま、こういうのも好きだし無い物ねだりしてもしょうがないけどな、それに子供達も喜んでいたからよしとするか。

 

 ~光視点~

 ツバメに戻ってくると匠さんがみんなにコーヒーを淹れてくれた。こちら流の、ミルクから淹れたお砂糖多目の甘いシナモンコーヒー。私達の世界でいうカプチーノに近いのかな?

 「決めたぞい」それを飲みながらジョセフさんがポツリと呟いた。

 「またとんでもない事しでかすつもりじゃないでしょうね」ジョセフさんはジト目を向ける忍ちゃんをスルーして匠さんと向かい合うと

 「匠君とやら、この世界では小麦粉(アリーナ)が不足しとるらしいのう」さりげなくこの世界の言葉を使う、匠さんは質問に真摯に答える。

 「ええ、大昔の大災害が原因だそうで。数少ない小麦(トリゴ)産出国も輸出を渋っているのが現状です」

 「それならワシが商会を起こす、地球(向こう)からなら安価で仕入れるのも可能じゃ」

 「やっぱ碌な事考えてなかったぁーっ!フザケんじゃないわよジジイ!大体お金もなしにどう起業するのよ?!」忍ちゃんてば、そんなに怒らなくてもいいんじゃないの?でも確かにあっちに幾ら財産があっても意味ないよね。どうするのかな?

 「お前さんと同じ手段で必要な資金は既に調達できとるぞ」そっか、現金を宝石なんかに換えちゃえばいいんだよね。

 「仗助にも唯ちゃんをSPWにヘッドハンティングするよう伝えておる」そういえば唯ちゃんフリーターしてたなあ。しかもこの前バイト辞めたって言ってたし、元担任としては今後が心配だったんだよね。イヤあ、就職が決まって良かったね。私も一安心だよ。

 「そんな深刻にならなくてもいいんじゃないか?忍」純君が忍ちゃんの肩に手を置いて宥めようとする。

 「アンタはジジイの本性知らないからそう思えんのよ」ため息を吐く忍ちゃん。

 「そう目くじらを立てんでもよかろう、扱うのは小麦粉だけじゃ。下手に文明のバランスを壊す真似はせんよ」忍ちゃんは頭痛がすると言って先に部屋へ戻ってベッドに倒れ込んでいた、元気だしてね。後でキスしてあげるからっ❤

 

 ~忍視点~

 ジジイの決意は固いみたい。ありゃあちしが今更何言っても効果なさそうだわ、仗助にもジジイが余計な事しないように釘を刺してもらわないとダメね。そういえば聞いた話だとジジイの奥さんが前世の記憶を持ったまま最近転生したらしいわ、その人にもよく頼んでおきましょ。ドアがノックされた、開けてみると匠さんがその前に立っていた。

 「お休みのところすみません、実はご相談したい事がありまして」そうなの、一体どんな用件かしら?ジジイ関係なら後回しにしてほしいけど。

 「ジョセフさんとは直接関係ありません、実は秋に向けて新作のお菓子を作ろうと考えてまして」そうね、夏ももうすぐ終わり。日本じゃコンビニなんかは早くも秋のスィーツが出始めてるわ、あちしも帰ったら試作するつもりだったしちょうどいいわね。

 

 そしてあちしは匠さんと秋のスィーツ試作会を開く事になったわ。

 

 

 

 

 

 

 

 




異世界駅舎の喫茶店』原作では匠が正体を明かす事はありません(駅長だけは知っている)。
ジョセフは何を考えてるんでしょうか?(このエピソード、よろしければご自由におパクリ下さい)。
今気づいたんですが私の中で誘拐とサルがナゼか1セットになってますな(笑)。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。