ボンクレーが『ときメモ2』の世界に転生したようです 作:越後屋大輔
二年生になってからも高坂賢と佐倉楓子は友達以上恋人未満な状態が続いている。これは神のみが知るところだが初めてあったあの日以来、楓子も賢に惹かれていたが自身のコンプレックスのせいで思いを伝えられずにいた。
春もうららのある第三日曜日、賢は部活の練習の合間に他の部員の目を盗み楓子と一ヶ月振りにデートの約束を取り付けた。
「来週、動物園に行かないか?」
「勿論O.K.!」楓子も誰にも気づかれないように返事をする。尤も周りには既にバレバレであった、この二人が互いに惹かれ合っているのはひびきの高校野球部にとって公然の秘密で顧問の教師を含め全員が黙認していた。
やってきた翌週の日曜日、動物園で待ち合わせた二人。この日は生憎の雨だったが予め天気予報をチェックしていた賢には想定内である、デートに動物園を選んだのも雨の日も充分楽しめるからだ。
「雨だし、屋内展示を見ようか」
「ウン、実は楽しみなんだ~」ここで想定外な事が起こった、屋内展示の中でも賢は出来るだけ哺乳類の可愛らしい生き物を見られるように配慮したのだが
「見て高坂君、あの子可愛い~」楓子の指差す方に顔を向けるとイグアナがいた。
「さ、佐倉さん?」
「はい?」
「もしかして…イグアナ好き?」
「うん!私、爬虫類大好きだよ❤」堂々と宣言したところでハッとする楓子。
「えっと、その…私ね」慌てて取り繕おうとして余計変になる。
「いいんじゃないかな」確かに女子で爬虫類が好きというのは少ない。寧ろ苦手とする方が大半だろう、しかし賢はその手の事は気にならない
夏休みを迎える少し前、賢は帰宅中に坂城匠が怪しげな男と会っているのを目撃した。二人は二、三言葉を交わすと通学路にある食堂へ入っていった、元々匠には第一印象からいい感情を持っていなかった賢は怪しいと見て後を追おうとしたが
「確か同じクラスの藤崎がバイトしてる店だよな、明日にでも何があったかアイツに聞いてみるか」と思い直してそのまま家へ帰った。
翌日、朝日奈夕子と匠が何か話しているところへ出くわした賢。
「ホントに?代わりに夏休みの宿題、全部やってくれるの?」
「俺じゃなくてそういう人がいるんだけどさ、頼んでみるか?」二つ返事でお願いしようとした夕子に賢は、殆ど無意識にチョップを食らわした。
「ゲッ高坂君じゃん、何するのよ?!」
「宿題くらい自分でやれ!」
「何だよ、堅物め」賢をジト目で睨む匠だが刹那、一文字茜にスリーパーホールドで絞められる。
「オ、オイ一文字!それ以上は坂城が死んじまうぞ」泡を吹いて気絶した匠を放した茜は賢に愚痴る。
「聞いてよ高坂君、こいつ宿題代行と引き換えに援助交際の斡旋してたんだよ」
「マジかよ?!さては昨日の奴が取引相手だったのか」つまり宿題をやりたくない娘がいる、高校生の宿題をやる代わりに相手とどうにかなりたい大学生がいる、匠がその間に入り斡旋する、という人仕組みを作っていたらしい。賢は昨日匠と一緒にいた男の事を話した。
~回想シーン~
「それじゃ
「ああ、しかし現役女子高生とデキる作戦とは上手い手を思い付いたな」
「何人か成功したら俺にも一人くらい回してくれよな」
「分かってるって」
~回想シーン終わり~
「ゲッ、何それ?」露骨に嫌な顔をする夕子、匠はいつの間にか目を覚まし逃げ去っていた。
「止めておこう、証拠はないし。もう一人は藤崎君がボッコボコにしたからさぁ」茜に止められてやむなくこれ以上の追求は諦めるが、釈然としない賢だった。
夏休み、今日は河川敷で花火大会が行われる。楓子を誘って二人で出掛けた、まだ早い時間だが既に人でごった返していた。
Hyu━━━━━Do.Don!Pack.Parn!
「何て綺麗なんだろう…日本人に生まれて良かったなんて思わない?」
「世界に誇れる技術だな」
「そうだね、時間だって忘れそう。綺麗だな…」
「花火も終わったしそろそろ帰ろうか、送っていくよ…佐倉さん?」急に賢から目をそらし振り向こうともしない楓子。耳の端から何かが小さく光る、涙だ。
「どうした?何で泣いてるんだ?」
「な、泣いてなんてないモン!そ、それじゃ!」賢を残して走り去っていく楓子、彼女が転校したと知ったのは九月に入って新学期が始まった日の事だった…。
「坂城なら何か知ってるかもしれない」あのクズに頼るのはしゃくだが他に手はない、しかし奴の情報網にも未だ引っ掛かってないようだ。落ち込む賢に意外にも藤崎忍が話しかけてきた、これから従姉妹が住むきらめき市に行くからつきあえと言う。
渋々ついていくとその家に楓子がいた、忍は従姉妹からひび高からきら高に転校生がくると聞かされてそれが楓子だと知り賢をここまで連れてきたらしい。ところで何で隣町なのに転校するハメになったのか?