ボンクレーが『ときメモ2』の世界に転生したようです 作:越後屋大輔
敗北してうちひしがれる静留。
「そ、そんな目に見えないチャイルドなんて聞いた事あらへん…」
「だからチャイルドじゃねぇよ!俺達のこれは『スタンド』ってんだ、見えねぇのは手前ぇが『スタンド使い』じゃねぇからだ」
「そうでっか。別もんやったら勝てへんのも納得やわ、ほな諦めますえ。迷惑かけて堪忍な」ボッロボロになった静留はよろけながらその場を去る、仗助達はその憐れな姿をみて追いかける気にならなかった。
「高坂君、大丈夫?怪我してない?」
「俺は全然平気だよ、佐倉さんこそ大丈夫だった?」
「うん、あの時スグに逃がしてくれたから…あっ」途端に真っ赤な顔になる楓子、さっき賢にお姫様抱っこされて安全圏へ逃げていったのを思い出した、冷静になって考えるとあんな恥ずかしいモノはない。
「えっと…私、重くなかった?」
「重い訳ないだろ、むしろそれだけはラッキーだったよ」
「もう、知らないモン!」そっぽを向く楓子を賢は後ろからそっと抱きしめ
「佐倉さん、好きだよ」遂に告白した。
「私も…好き」楓子も想いを伝え、互いの気持ちを確認し合う。とにかく二人の修学旅行はこうして幕を閉じた。
きらめき高校では文化祭の準備が進んでいた、ひびきのは文化部の生徒以外文化祭準備とは無縁だったので楓子は新鮮な気持ちで手伝っている。
「楓子、これ似合ってる?」詩織と楓子のクラスは喫茶店をやる事になっている、ウェイトレスの制服を着た詩織が一回転して聞いてきた。
「ウン、スッゴく似合ってる」ジィーッ、ずっと詩織を眺め続ける楓子。
「ナ、ナーニ?」
「詩織ちゃん、スタイル良くて羨ましいなぁ」
「そう?楓子だって綺麗なラインしてるわよ」
「そんな事ないモン!私太目だし…」
(もしかしてこの思い込みがイジメられてた原因なんじゃ…?)詩織は楓子の唇に指を当てると
「ダメよ、もっと自分に自信を持たなくちゃ。卑下も一歩間違えば他の誰かを見下すのと同じになるわ」詩織に諭され楓子はやっと目が覚めた。
文化祭当日、私服で賢がきらめき高校に訪れた、この日はひびきの高校でも文化祭が行われている。通常の授業がないとはいえ学校行事を欠席すればそれなりの罰則はあるハズ、それでも楓子と文化祭を過ごそうとサボッてやってきたのだ。
「しょうがないわね、楓子いってらっしゃい」紗希に背中を押され賢の元へ駆けつける楓子、詩織はため息を吐いて
「忍ちゃんにアリバイ工作してもらうしかないわね、帰ったら電話しなきゃ」と口ではボヤいていたがナゼか頬は緩んでいた。
ここから話は飛んで三年生に進級した賢は甲子園最後のチャンスにむけて尚一層の練習を続けている。それにしても最近外野が煩い、主に女子が。
「キャー高坂く~ん!」
「かっとばせぇ!ホームラン‼」今日は試合じゃなくて普通の練習日なんだからそこまで熱の入った応援されてもあまり意味がない。
「はいはい、部外者はあっち行って」顧問教師と男マネがギャラリーの女子を追い返す。
そんなある休日に楓子の家に招かれた賢。
「この日、家に両親いないの…」そう聞かされて一瞬、思春期男子特有の邪な気持ちが沸き上がった賢は振り払うように首を振る。
「ダメダメ!そういうのはちゃんと責任とれる大人になってから!」やはりヘタレというか、堅物な賢だった。
当日佐倉家を訪ねた賢は玄関でいきなり賑やかな洗礼を受ける。
「ゴッドパーンチッ!」
「ゴッドキーック!」
「ゴッドヘッドバーット!」小学生くらいの男の子が三人、賢に突進してきた。
「おっと。全く!危ないだろ」三人を難なく受け止め安全に床へ下ろすと楓子が玄関にでてきた。
「コラァーッ、アンタ達はまたぁ!」
「ゲッ、姉ちゃんだ!」
「ヤベェ逃げろ‼」蜘蛛の子を散らすようにバラけて逃げる子供達。
「もう!逃げるなぁ!弟達がゴメンね、高坂君」
「構わんよ、しかし賑やかだな」両親がいないってこういう意味か、心の中で乾いた笑いを浮かべる、しかし安堵したのも事実だ。
「あ~あ、こんなトコ見せたくなかったのになぁ」ガックリする楓子に
「家族なんだからしょうがないさ、それに将来を考えるなら今の内に隠し事とかない方が…」言いかけて顔が熱くなる賢、楓子の顔も真っ赤に染まっている。さっきの弟達が賢の前に出てきた、今度は飛び付いたりせず三人並んで正座して
「姉ちゃんをよろしくお願いします」
「ふ
「どうぞお
「
(ああ、いつか必ず)声には出さず弟達に返事をする賢、その後しばらく佐倉家で楓子と楽しく過ごした。余談だが後に坂城匠にも同じように飛びかかった三人は心ならずも匠に骨折等の重症を負わせてしまいそれを知った藤崎忍は大爆笑したそうだ。