ボンクレーが『ときメモ2』の世界に転生したようです 作:越後屋大輔
光が軽音部の顧問になった翌日、平沢唯が職員室を訪ねてきた。彼女は光の担当クラスの生徒ではないので用があるなら部活関係だろう、いつになく深刻な表情の唯に光は優しく微笑んで聞いた。
「平沢さん、何か悩み事?」
「あのですね、陽ノ下先生…」その時、職員室の出入口の隙間から律、澪、紬が顔だけだして覗き込んでるのが見えた。
「みんな、入ってらっしゃい」軽音部全員を職員室へ招き入れる。
「それで本題は?」改めて問う光に
「あのですね~、ギターを購入するのに部費で落ちないかなあと」話を総括すると澪と律は中学生の頃から音楽をやっていたのでそれぞれ自前のベースとドラムセットを持っていて紬も四才からピアノを習っていて為キーボードも所有しているが今日まで楽器未経験の唯だけ、担当はギターに決まったものの肝心のギターを持っていないというのだ。
「私、相場にはあんまり詳しくないけど数千円くらいで買える安いモノじゃないよね。そうなると難しいよ」
「私達ザッと調べたんですけど安くて一万円台、一般的には五万円くらいしますね」
「五万円…私のお小遣い十ヶ月分だよぉ」ガッカリして情けない声を出す唯。
「仕方ない、バイトしようぜ。と、いう訳で
「せめて光先生と呼べ‼」苦笑いを浮かべる光に詰め寄る律。
「痛ててて…バイトの許可下さい」頭のたんこぶを撫でながら光に頼む、唯のギター代をみんなでバイトして稼ぐつもりらしい。
「それならすぐ出せるよ、それと私もツテを当たってみるね」
「ありがとうございます、では失礼します」光は職員室を出る四人を見送りながら
「友達のギターを買う為にみんなでバイトかぁ、いい娘達だね」そう呟いた。
光から今回の軽音部の事情を聞かされた藤崎忍は
「アラ、ギターなら手に入るあてがあるわよ」意外な事を口にした、忍は大学卒業後、将来は自分の店を持ちたいと考えていて今はその資金を稼ぐ為に知り合いの喫茶店で働いている。そこの店主が昔、ギターを弾いていたが今は手に取りもせずホコリを被っているそうだ。
「捨てるのも惜しいから誰かに差し上げたいそうよ、古い型けど悪いモノじゃないらしいわ」そこまで話すと光が首に腕を回してきてキスをした。
「忍ちゃん、ありがとう!やっぱり大好き!」
そして遂に唯は自分のギターを手にいれた、ギブソン・レスポール・スタンダード。一目見るなり
「カワイイ~♪」と抱き締めた。
「良かったね平沢さん。それ、元値は30万円するらしいから大切にね」値段を聞いた紬以外が青褪める。
(((楽器屋さんで見たヤツより高い…)))
「それじゃ唯、折角だし何か弾いてみろよ」律に促された唯はピロピ~ロ、パラリロピロ~とギターを鳴らす。
「「「「ナゼチャルメラ?」」」」その場にいた四人、全く同じ事を考えていた。
「ま、まあとにかくギターが手に入って良かったね」紬がフォローする。
「これで軽音部もいよいよ本格的に始動だな」律も苦笑いしていた。
「唯はまずコードを覚えないとな」いちばんまともな発言をした澪だったが
「明日から中間テストで部活禁止だよ」教師としては当然だが生徒達には残酷な事実を伝える光。
「そんなのないよぉ~」唯の空しい雄叫びが音楽室にこだました。