ボンクレーが『ときメモ2』の世界に転生したようです 作:越後屋大輔
「さて、
「接客業なんてどうかしら?」紬が切り出し、律は想像する。…皿やカップを割りまくる唯と恥ずかしくて人前に出られず端っこで踞る澪が頭に浮かぶ。
「却下」そして散々あーでもない、こーでもないと言い合って結局交通量調査に落ち着いた。
バイトは二日間、交通量調査は二人ずつ交代で行う。まずは唯と紬の組み合わせでカウントする、自分の為のバイトだというのに欠伸ばかりの唯に対して紬はどことなく楽しそうだ。
「ムギちゃん、疲れない?」
「全然」
「眠くない?」
「ちっとも」律と澪はワゴン車で待機していた、その間車内でクロスワードをしている律。
「これ、賞品はギターだってさ」
「その方が手っ取り早いな」全問正解すればの話だが。
そんな訳で初日は特にトラブルもなく終わった。
「帰る前にさ、楽器屋さんでギターを見にいかない?」澪が提案して全員で楽器屋へ立ち寄る、初めて入る場所にワクワクしている唯。
「お~ギターがいっぱいだねぇ」
「そりゃ楽器屋だからな」律が突っ込む。
「ねぇ、これカワイくない~?」唯の目に留まったのはギブソン・レスポール・スタンダード、ギター好きなら誰もが知っている超有名モデルである。
「いいな~、これ欲しいなぁ」だが値段を見て愕然とする。
「25万円かぁ」
「バイト代だけじゃ足りねーな」澪と律もため息を吐いて唯に諦めさせる。そんな中、紬は
(このお店、父の会社の系列よね。いざとなったらムリにでも値引きさせましょ)などと店員泣かせな事を考えていた。
バイト二日目。律がカウンターでビートを刻み、数値がいい加減になるといったトラブルがあったものの概ね無事に終わり調査会社からバイト代を受け取った。四人で稼いだ総額は一万六千円、25万円のギターには程遠い。
「やっぱり足りないか」
「後何日かバイトしようぜ」
「はい、唯ちゃん」三人は封筒ごと唯にバイト代を渡す。
「あ、あのね…」一度は受け取ったバイト代を返す唯。
「みんな、このお金は自分で使って。ギターはもっと安いヤツを探すよ、お母さんにお小遣いの前借りを頼んでみるから気にしないで」三人も納得して一同、夜も近づいたのでそれぞれの家路につく。
帰宅するなり母親に土下座する唯、日頃の行いをよく知る母は中々首を縦に振らず渋っていたがめげずに交渉していると家の電話が鳴り一旦席を離れる。
「もしもし、平沢でございます。まあ先生!いつもお世話になっております、はい唯ならおります」母は電話を保留にして唯を呼ぶ。
「唯!陽ノ下先生からよ。何かご用があるらしいわ」
「もしもしお電話代わりました」
「平沢さん、ギターが手に入るよ。私のか…友達がさ、知り合いから貰えるって」あまり生徒にプライベートな事は言いたくないのでその辺りは誤魔化した。
「ホントですか?ありがとうございます!」そして翌日の放課後、前述に語られた出来事が起きたのである。
中間テストが終わり、唯は澪の指導と音楽室の棚にあった古い教則本で基本的なコードをなんとか覚えた、しかし一週間後テストが返されて唯に再び悲劇が起きる。
「テストどうだった?」澪は紬に結果を尋ねる。
「高校生になってからいきなり難しくなったわね」
「何だよぉ、私には聞かないのか?」律はニヤニヤしながら会話に加わろうとするが
「テスト前日、私に『勉強教えてくれ』って泣きついたのは誰だっけ?」澪の厳しい目付きをスルーして口笛で誤魔化す律だった。
「唯ちゃんは残念だったわね」
「ああ、一人だけ追試で部活禁止になっちまったからな」
「確か今日、返されるんだっけ?」三人が話していると唯が部室に現れた。
「あっ唯、追試の結果どうだった?」ドヨーンとした顔で俯きがちな唯。
「まさか、またダメだったのか?」唯は震える手で答案を澪に見せる。
「ひゃ、百点取っちゃった…」テスト用紙には赤い字で『100-』とハッキリ記されていた。
「極端な
「これでやっと部活に集中できるね」
「じゃ唯、ギター弾いてみな」
「うん」唯は再びギターを手に取り演奏した…チャルメラを。
「何でチャルメラなんだよ!」
「エヘヘ、コード忘れちゃった♪」
「笑顔で言うな!」今度はギターの弾き方を思い出すのに苦労しそうな唯だった。