ボンクレーが『ときメモ2』の世界に転生したようです 作:越後屋大輔
さて、今日の部活動…とは名ばかりで軽音部の四人はまったりお茶とお菓子を食べている。この部は発足というか再始動以降いつもこんな調子である、唯や律が怠け者な性格である上に紬が毎日持ってくるケーキや紅茶が更に拍車をかけていた。
原作を知らない読者にもお気づきの方はいるだろうが、琴吹紬(通称ムギ)はかなりいいトコのお嬢様である。それがどういう訳かお嬢様学校でもない桜ヶ丘に通い、一般ピープルな唯達と一緒にいるのを好んでいる。
夏休みが近づいた七月のある日、そんな毎日に業を煮やした澪は部室に来るなり
「合宿をします!」と宣言した。彼女とて一緒にお茶しているのがイヤな訳じゃない、ただ部活らしい事をろくにしていない現状には我慢できなかったのだ。
「そんなの勝手に決めていいのか?大体どこでやるんだ?」
「私、そんなお金ないよ?」律と唯に詰め寄られ、現実を知らされた澪はもう一人に話を切り出す。
「ム、ムギ。別荘とかないか?」この問いに対して
「ありますよ」しれっと言ってのけるムギに
「あんのかい?」と心中で突っ込む三人だった。
「合宿?」唯の幼馴染みにして生徒会役員の真鍋
「そうだよぉ。ムギちゃん…琴吹紬ちゃんのおウチが別荘持ってるんだって~」
「陽ノ下先生には話したの?まさかアンタ達だけで行くつもりじゃないでしょうね」和に釘を刺されてハッとする唯、夜になり光へ確認の為電話する。
「多分律っちゃんが話しているとは思うんだけどね…」しかし当の光は
「へ?聞いてないよ」どうやら忘れていたようである、やはり律は律だった。
「まあ、反対はしないよ。旅館とかならともかく琴吹さん家の別荘なら教師がついていかなくても問題はないしね、一応軽音部の活動内容として報告書は出してね」翌日、部室でその話をしたら律の頭に澪の拳骨が落ちたのは言うまでもない。
夏休みに入り迎えた合宿の日、集合時間が近づいても唯はまだベッドの中で夢の世界にいた。
「お姉ちゃ~ん、今日は軽音部の合宿でしょ。早く起きないと」妹の
「もしもし~?」半分寝ぼけたまま電話を取る唯、相手は澪だった。
「お早う」多少イラッとした口調で第一声が聞こえた。
「お早うございます」この瞬間、全てを理解した唯。
「ゴメンなさ~い!」慌てて身支度を整えて駅へ猛ダッシュする、しかし電車の時間には間に合わなかった。
「みんなぁ、ホントにゴメン!」泣きながら謝る唯とため息を吐く律達だったが、そこに女神が舞い降りた。
「アレ?みんなまだ駅にいるの?」顧問の光が
実は報告書を提出する時に、部活動の一環なら引率者は必須とされたので元々光とは合宿所で合流する手筈になっていた。あった方が何かと都合がいいだろうと考えた光は自動車で現地へ向かう途中、たまたま駅近くを通って唯達を見つけたのだ。
そして自動車は五人を乗せて海沿いの道を進んでいる。
「いやぁー、光ちゃんが顧問でよかったなぁ」
「おかげでドライブしながら合宿に行けるモンね」自動車内でハシャぐ律と唯。
「光先生、ありがとうございます」対してキチンと礼を述べる澪、後部座席では紬が寝息を立てている。
「ムギも昨夜は眠れなかったんだな」
「ウフフ、ゲル状がいいの…」意味不明な寝言を発する紬、律は寝顔を写真に収めようとカメラを手にする。
「オイこら」本気で止めようとする澪。
「止めなよ、可哀想だよぉ♪」口ではそう言う唯はちっとも悪びれてない、光は自動車を運転中なので苦笑いしかできない。
「これも思い出だって」シャッターを切ろうとしたら紬が目を覚ました。
「悪ぃ、起こしちまったか?」律は頭を掻きながらこの場を誤魔化す。
「大丈夫、それよりもうすぐ着くわよ」紬は景色の中に見える今回の目的地を指差す、やがて自動車はそこに辿り着いた。
合宿所となる別荘は外観も立派だったが室内も豪華絢爛だった、ベッドはフカフカで寝室は一人ずつに割り当てられていた。勿論、練習用のスタジオも完備されていたがそこには澪と紬と光しかいない。
「オーイ、澪ぉ!」律の呼ぶ声に振り向くと唯と二人、水着に着替えて海水浴に繰り出そうとしていた。
「二人共練習する気あるのか?」澪は一応怒ったものの光と紬に宥められた。
「少しくらいはいいんじゃない?」
「そうだね、せっかくの海だし」
「ヘッヘー、光ちゃん話せるぅ」律と唯はとうとう海へ走っていってしまった。
「私達も行こっか」顧問の許可がでた以上、澪も海で遊ぶのはやぶさかでない。
「私も行くぅ」着替えを積めたスポーツバッグをかき回し水着を探す澪だった。