ボンクレーが『ときメモ2』の世界に転生したようです 作:越後屋大輔
「この無人島に流されて三日、最初は不安だったけど…」
「いざ暮らしてみると何とかなるモンだね」
「あっ大物発見…」浜に打ち上げられた海草を拾う律
「ごっつぁんです…」
「何、サバイバルごっこやってるんだ?二人共」澪が仁王立ちで突っ込む。その胸元には広大な山岳地帯がそびえている、律は自分の更地と見比べるとビーチボールを思いっきりぶつける。
「唯、泳ぐぞ!」半ば自棄になって移動する。
「うん、行こう律っちゃん!」律よりは起伏があるものの澪に比べるとハイキングコースな唯も同意した。
「賑やかだね」光と紬も水着に着替えて浜へでてきた。澪に負けず劣らずの山脈を携えた紬に、成人して以降益々標高が上がった光。この後五人で海を満喫して夕方、日が沈みかける頃まで本来の目的を全員が完全に忘れていた。
ようやく思い出した澪から練習するように促されて練習スタジオにて楽器のセッティングを開始する、光も顧問として立ち合う事になった。
四人でほぼ初めて音を合わせる。思いの外というか意外というか、中々に一体感があるサウンドを奏でた四人。
「先生、どうですか?」光は四人から感想を求められた。
「う~ん。今更だけど私、あんまり音楽には詳しくないんだよね」大学時代、教育学部に在籍していた光。保育士免許を取得する為、一時ピアノを習いはしたが実際知識は少なかった。
「それでも、敢えて言わせてもらえば…」ゴクリッ、緊張して息を呑む四人。
「ボーカルはいないの?」
「「「「あっ…」」」」極めて根本的な質問だったが誰も答えられなかった。
「それじゃボーカル決めようぜぇ」一応部長の律が言い出す。
「でも歌詞がないよ」
「O.K.!誰かが書こう」自分でやるつもりはないらしい、光を含むみんなの目の回りが青くなる。
「そしてボーカルは澪ぉ!」
「イ・ヤ・ダ!」即答された、澪はあまり目立つのが好きではない、大体最初は文芸部希望だったのを律が強引に軽音部に引き込んだくらいなのだ。
「ムギはどうだ?」
「私はキーボードで手一杯だから」その側で唯が無言でモノ凄く自己アピールしている、ウザい程歌いたいオーラを発するのを無視できず
「じゃ唯がやるか」と話を振るが
「え~、どうしよっかなぁ。そんなに歌上手くないし~、そもそもちゃんと務まるかどうか…」
「そんじゃいいや」
「嘘です!歌いたいです、やらせて下さい」という訳で唯がボーカル兼ギターに決まった。
…カポーン!練習も一通り終わり、今五人は露天風呂にて入浴中である。ジィ~ッ、光はさっきから唯に見つめられている。
「どうしたの?平沢さん」
「先生って髪をショートにしてますよね?」大学生の頃はロングにしていた時期もあった光だが教師になってからは高校時代と同じショートヘアに戻していた。体育教師である以上、髪などすぐに乱れるのでこの方が整えずに済むので楽なのだ。
「まあ、いちいちお洒落に気を使う
「そんな事言ってると彼氏とかできないんじゃない?」律が茶々をいれる。
「か、彼氏?」ナゼか澪が真っ赤な顔になった。
「え?私、彼氏いるよ」一瞬沈黙が流れるも
「「「「え~っ‼」」」」四人揃って光に詰め寄る。
「そこまで驚く事ないでしょ!みんな酷くない?」
「ち、ちょっとどんな人?」
「まさか、他の先生?」
「男性ですか?女性ですか?」
「見えない!聞こえない!」
「別に怖い話じゃないし、何か変な質問も混ざってたけど…(あ、ある意味的を得ている)ウチの学校にはいないよ、つーか教師でもないし。今は喫茶店で働いているの」隠す必要もないだろうと、ありのまま話して聞かす。その内澪の顔がみるみる赤く染まっていって、とうとう目を回して意識を失った。
「秋山さん!湯あたり?」
「あ~、澪は恋愛話に免疫ないからなぁ」こうして最後までドタバタしっぱなしの合宿は終了した。
後日、合宿の模様を撮影した写真が出来上がったと澪の家に訪れた律だったがその中に就寝しているあられもない澪の姿が写っていた為、首根っこを掴まれつるし上げられたのは二人しか知らない。