ボンクレーが『ときメモ2』の世界に転生したようです 作:越後屋大輔
「ねっ、和ちゃんもクリスマス会に参加しない?」部活の帰り、ほぼ同時に生徒会の仕事を終えた和を誘う唯達軽音部。
「えっ私、部外者だけどいいの?」
「大丈夫だよ、ヒカちゃん先生にも許可済みだし」
「人数増えれば会費もそれだけ増えるし…」
「それを何に使うつもりだ?」律の呟きを澪はしっかり聞いていた。
「クリスマス会楽しみぃ!」一方やけに興奮気味な様子の紬がいた。
「という訳でヒカちゃん先生のお家でクリスマス会をやります!」帰ってくるなり憂に宣言する唯。
「分かった、それじゃ私、ケーキ作って持っていくね」
「私も手伝うよ」
「うん!(あ、でもお姉ちゃんが怪我したら大変…)お姉ちゃんはプレゼント用意してて(焦)。ケーキは私一人で作るからっ」姉に対して過保護な妹であった。
次の日は日曜日だったのでそれぞれ澪と律、唯と和の幼馴染みコンビ2組はプレゼントを買いに学校近くの商店街に来ていた。
「律ぅ、小学校の時みたいなプレゼントは止めろよ。ビックリ箱とか…」昔、律に貰ったモノを開けてそのまま気絶した過去を持つ澪が念を押すと
「お~この骸骨いいな!あっそこのゾンビも!」またもや拳骨を食らう律、そこへ唯と和が偶然通りがかった。
「ねえ唯、田井中さんってホラーグッズが好きなの?」
「つーか怖がる澪ちゃんをからかうのが好きみたいだね」
「どっちにしろ悪趣味ね…」
「和ちゃ~ん、これ可愛くないぃ?」唯が小さな子供みたいにヌイグルミを眺めてニヤけていると
「プレゼント交換用でしょ?普通自分のが当たったらやり直しよ」
「じゃーこれでいいや」
「オイ」安っぽいダサいキーホルダーに手を伸ばす唯に突っ込む和。
そしてクリスマス会当日、光達が住んでいる借家にきた一行、呼び鈴を鳴らすと光がドアから現れて唯達を招き入れる。
「みんな来たね、さあ入って入って。彼もいるから」光に招き入れられるとエプロンを腰に巻いたイケメン男性が料理の手を止めて唯達と対面する。
「初めまして。あなた達が光ちゃんの教え子ね、あちしが光ちゃんと付き合ってる藤崎忍よ」オカマだった。律、唯、澪、和はズッコける。憂はポカーンとしてしまい紬はナゼか嬉しそうだ、つくづく不思議なお嬢様である。
「あ、あのこれケーキです。今日の為に作ってきました」何とか持ち直した憂が箱を差し出す。
「アラ、女子高生の手作りなんて嬉しいじゃない」忍が冗談めかして受けとると
「憂は一個下の中学生だよ~」唯はもう慣れたのか、お気楽な口調で忍の言葉を訂正する。
「そうなの?そっくりだから双子かと思ってたわ。ゴメンなさいね」
「「イエイエ」」
((順応性高いな、この姉妹…))同じ感想を持つ律と澪だった。
「「「「ウワーッ!どれも美味しそうぉ‼」」」」スタッフドチキン、鱒寿司、ビーフシチュー、サンドイッチ等、今日のクリスマス会用に忍が腕を奮ったご馳走に目を奪われる一行。
「さっき頂いたケーキは真ん中に置くわね。誰か乾杯の音頭とってちょうだい」忍が促すと
「それじゃ私が」唯がグラスをとって
「せーのっ!」
「「「「カンパーイ‼」」」」学生組はジュースを、大人二人はビールを手にしてパーティーが始まる。
「いやーっ、今年も終わっちゃうねぇ」律がしみじみ言うと
「ヤーネェ、親父臭い」いつの間にかさわ子がパーティーに加わっていた。
「誰よ?!」当然ながら忍は追い出そうとするが光がさわ子を紹介してみんなに拝み倒されて何とか思いとどまる。
「いいわねぇ、陽ノ下先生は料理上手な彼がいて…」どうやら日本で一番カップルが盛り上がるこの時期に失恋したらしい。
「吹奏楽部はパーティーとかしないんですか?」光の問いに
「各自それぞれ用があるって来年まで解散したわよ」曇った表情で語るさわ子。だが一瞬後不敵な笑みを浮かべると、どこに隠し持っていたのかセクシーサンタの衣装を取り出して光にあてがう。
「陽ノ下先生には今からこれを着てもらいます!」
「何で私?!」
「ウルサイ!この幸せモノめ‼」完全に僻みである、多少酔ってもいるようだ。
「そう。じゃお預かりしとくわね」忍はその衣装を素早く回収すると奥の部屋にしまった。
「二人っきりになったら、あちしにだけ見せて❤」そっと光に耳打ちする、歯噛みして悔しがるさわ子に
「それ以上フザけるとホントに追い出すわよ」真顔で睨まれて怯えるさわ子、忍本人も覚えてないが前世は裏社会の人間だけあって迫力が違った。
「それじゃ気を取り直してプレゼント交換するかぁっ」律が珍しく空気を読む。
「でも山中先生は?」和の疑問は尤もである。
「私も持ってきてるわよ。ホントは今日、彼氏に渡すつもりのプレゼントだったんだけど…」
((((重たい…))))さわ子以外が首をガックリ落とす。
ステレオから流れるのは『ふわふわ時間』この曲に合わせてさわ子の仕切りでプレゼントを回していく、自棄気味のさわ子に紬以外は脱力していた。
曲が終わったところでそれぞれにプレゼントが行き渡る、手元を見た律が
「あ、これ私が用意したヤツだ」と呟くと
「はい、交換交換」さわ子がルールも何も無視してさっさと自分のモノと取り替えてしまった、そして一人で盛り上がって箱を開けると…やはりビックリ箱だった。しかもバネの人形がちょうど顎にヒットしたさわ子、完全に壊れた…。
「ア、アッハッハーッ!最高のクリスマスだわ~っ‼」最後は忍によって寝室へ放り出された。
本当に気を取り直して改めてそれぞれのプレゼントを開けるさわ子以外の面々。紬には澪が選んだマラカス、和には紬から高級クッキー詰め合わせ、忍には和から焼き海苔。
「お歳暮じゃないんだから」みんなして朗らかに笑う、さわ子がいないので。
澪には光からガラスのスタンプ、押印すると★が映るウサギ型の取手がついた可愛いモノだ。
「どう澪ちゃん、気に入ってくれた?」
「ハイ!大切にします」律には忍から文庫本、イギリス一有名な探偵小説だった。
「ゲッ!」
「ゲッってなによ、それハマると面白いわよ」
「ちゃんと読めよ、律」釘を刺す澪。因みに忍にはさわ子からデスメタルのCDが当たった、ホラー系が大の苦手である光と澪はジャケットを見ただけで泣き出す。
「これを彼氏に渡そうとしたの?そりゃ振られるわ」受け取った忍は呆れ返ってそのCDをさっさと自室へ片付けた。
そして憂には唯からマフラー、唯には憂から手袋。
「憂、マフラー飛ばされたって」
「お姉ちゃん、手袋片方なくしたって」
「「言ってたから‼」」顔を見合わせて同時に話す姉妹。
「アンタ達、ホント仲いいわね」クスクス笑う忍、他のみんなも二人に温かい眼差しを向ける。この後も軽音部と光、忍はクリスマス会を大いに楽しんだ。