ボンクレーが『ときメモ2』の世界に転生したようです 作:越後屋大輔
アンジェが飛空都市にきて数ヵ月、ふと疑問に思った事がある。
「ここって季節感がないよな」普通に考えればそろそろ夏がきてもいい頃だ、そもそもここへやってきたのは春の浅い時季だったにも関わらず全く寒さを感じなかった。一体どうなっているのか、ディアに尋ねると
「この飛空都市は女王陛下のお力で一年を通じて過ごしやすい気温を保っているんですよ」との返事だった。
「過ごしやすいのはいいけど主星はそろそろ夏、元の世界じゃ水着の季節なんだよね。ハアーッ、ロザリアの水着姿とか見てみたい…」不純な動機満載のアンジェが帰宅するのをみたディアは
「ひょっとしてアンジェリークはホームシックなのでしょうか?」またもや変な勘違いをしていた。
その夜、クローゼットの着替えをチェックするアンジェ。殆どが今の体の元持ち主のモノだ、当然といえばそれまでだが。
「こ、これは…?」中から女物の水着を発見した、しかもかなり派手なデザインのビキニである。
「新しい母さんが用意してくれたのか、それともこの娘の趣味なのか」その時妙な衝動にかられた。
「着てみたい…」とうとうおかしくなったと思いがちだが、今のアンジェは正真正銘の女の子。普段はスモルニィ女学院の制服を着てるし、下着だって女物を使っている。大体彼女の正体を知るのは本人以外ではお釈迦様だけだ、故にこの水着を着たところで咎める人もいない。
「アンジェリーク、入るぞ」外からクラヴィスの声がした。夜も遅いこんな時間に何の用だろうか、慌てて服をしまいドアを開けて出迎える。
「アンジェリーク、こんな時間にすまない、お前に見せたいモノがある」普段の無気力なクラヴィスとは違う真剣な眼差しを感じたアンジェは着いていく事にした。
クラヴィスに連れてこられたのはいつもの公園だった、だが夜だけあって昼間とはうって変わってどことなく不気味である。
入り口近くに植えられた低木がガサガサと揺れる。
「ワッ」思わず声をあげ隣を歩くクラヴィスに抱きついてしまう。
「どうした?」相変わらず言葉少なではあるが彼なりに気遣ったのだろう、アンジェを庇う格好で植え込みの低木を調べてみる。
「安心しろ、何もない」静かにそう伝える、ホッとするアンジェだったが
「気が削がれたな、帰ろう」結局特に何も見る事ができないまま帰宅した。
「こんな時間に連れ回してスマない、今夜はゆっくり休んでくれ」ワザワザ部屋まで送ってくれたクラヴィスはそれだけ言うと、自分の執務室に帰っていった。
「クラヴィス様、一体何を見せたかったんだろう?」アンジェの頭には疑問が残るがこれ以上気にしても仕方ないと思い直して床についた。
アンジェの願いは意外な形で叶う事になった。ある日の曜日、ディアが珍しく部屋を訪ねてきたので用件を聞くと
「この飛空都市に温泉施設ができたのですよ、今からロザリアと三人で行きましょう。そうそう、水着を忘れないで下さいね」この世界の温泉では水着着用が義務付けられている。
「温泉なら全裸だろ?折角の水着もありがたみが半減…」気をとり直してクローゼットから水着を取り出す。
「かなりセクシーだよな、この水着。守護聖様にこんなの着てアピールとか」変な考えが浮かんだ、頭を激しく振って打ち消そうとする。
「マズい、このままじゃ本物の女の子になっちまう!」この日も二つの感情に心を乱されていた、その後三人で温泉に入る。ディアは白い清楚なワンピースタイプの水着だが体にピッシリとフィットしておりスタイルの良さがはっきり分かる、ロザリアは紫色のビキニで想像以上にグラマーだったがアンジェはいざ二人の水着姿を見ると何も感じるモノがなかった…。