ボンクレーが『ときメモ2』の世界に転生したようです   作:越後屋大輔

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サブタイには二重の意味があります。


第8話心変わり

 28日に一度の監査の日、大陸の育成は相変わらずアンジェが優勢であった。ロザリアは膨れっ面だが女王陛下にはお誉めの言葉を頂いた、そして今日もトーキョーの様子を見にやってきた。

 「天使様、今日もご苦労様です」大神官に目通りする。

 「うん?」アンジェは大神官を見て些か妙に感じた、確か今までトーキョーを訪れるのは五回ほど、つまりまだ半年も経ってないのに大神官が少し老け始めていた。

 「やっぱり時間の流れる速度が違うみたいだな」キョトンとした顔をした大神官に尋ねられる。

 「天使様如何なされましたか?」

 「ううん。な、何でもないよ」大分開発の進んだトーキョーを観察すると民達の会話が聞こえた。

 「もっと美しさが欲しいですぅ」

 「私達は知恵が必要ですぅ」これを聞いたアンジェが考えを巡らせる。

 「オリヴィエ様とルヴァ様に頼もうか、しかし力を送るとその分更に求められるんだな。配分難しいぞ」一頻り地上を見渡して飛空都市へ戻った。

 

 それから更に七日経ってそろそろ寝ようかという時間、オリヴィエが訪ねてきた。

 「アンジェリーク、夜更かしはお肌によくないぞって、いつもなら言いたいトコだけど今日はアンタに見せたいモノがあるんだ」言われるままついていく。

 再び夜の公園にきた、アンジェはこの間の植え込みに目をやる。

 「何かあった?」気を遣うオリヴィエに苦笑を返すアンジェ、以前クラヴィスにも連れてこられたとは言えない。

 「オリヴィエ様とクラヴィス様はあまり仲良くないんだよな、だったらバレる心配もないだろう」とか考えてると公園の端に立ってる一本の古木のそばにきた。

 「ねぇアンタ、歩いてる間に空を見上げた?」

 「空…ですか?」そう言われて夜空を見上げると月が出ていない。

 「そ。今夜は月のない夜だよ、いわゆる新月ってやつ」もう一度改めて見ると空一面満天の星が輝いている。

 「すごい星!」前世で暮らしていた所は夜でもこんなに星がハッキリ見えなかったしアンジェ(匠)自身そんなゆとりのある人間じゃなかった、そんなのは時間のムダと決めつけていたのだ。

 「新月の夜は月の光がないから星がよく見えるのさ」オリヴィエはアンジェを見つめるとこんな話を語る。

 「毎日姿を変えるから月は不実だっていう詩もあるよ、でも私はそうは思わない。月はいつも存在している、それを感じ取れない奴がそんな勝手な事を言うんだ。目に見えるモノしか信じる事が出来ないからさ、そういう奴は目に見える美しさしか信じられない。美は、夢は、いつでもどこにでもあるのにね。アンタにはちゃーんと見えてるって知っているけどさ」アンジェは前世での生き方を恥じた。

 (オリヴィエ様、ゴメンなさい。俺、そんな大層な人間じゃありません…)涙が溢れそうになる目をオリヴィエが指で優しく拭う。

 「帰ろうか。送っていくよ」オリヴィエに付き添われ自分の部屋へ戻ってきたアンジェ、少し頭がボォーッとしている。

 「夜中に引っ張り回してゴメンね、それじゃいい夢を。お休み」オリヴィエは帰っていった。

 

 翌日の日の曜日、今日は大陸の育成もしなくていいので部屋でゴロゴロして過ごしていたらまたオリヴィエが訪ねてきた。

 「何でだろう?最近、オリヴィエ様に会うのが嬉しくなってきている…」自分でも不思議に思いながらもオリヴィエを迎え入れる。

 「ハーイ、アンジェリーク。日の曜日だし二人で出かけない?今日はいいトコに連れてってあげる」

 オリヴィエに案内されたのは普段立入禁止とされている公園奥のテラス、そこはさながらオープンカフェのようだった。

 「ここは私達守護聖の為に特別に作られた場所、だからいつもは他の誰も入れないんだ」

 「そうなんですか」

 「何で連れてきたか分かる?分かってほしいなぁ。まあそれは追々ね」会話を楽しんでるとウェートレスらしき女性がメニューを持ってきた。

 「ホラ、好きなモノを頼んで」メニューには紅茶類とジュース、コーヒー系の飲み物が並んでいる。

 「じゃあオリヴィエ様と同じモノを」そう言うとウェートレスはオリヴィエには注文を取らずに下がっていく、直後にストレートの紅茶が二つ、それぞれの目の前に給された。

 「アンジェリークもストレートティーが好きなんだ、私と一緒じゃない。レモンやミルクもいいけど私はこれが一番のお気に入り」守護聖全員の好みを予めリサーチしていたアンジェは当然知っていたがそこはとぼけて

 「光栄です」とだけ言っておいた。

 

 いつものようにアンジェを部屋まで送り、帰っていくオリヴィエ。

 「俺、オリヴィエ様の事…好きなのかもしれない」精神がほぼ女性化しているアンジェ、それもいいかと思うようになっていた。

 「そうだ、せっかく滅多に入れない場所へ招待してもらったんだからお礼状を書こう。そうすれば心証もよくなるし」そのまま机に向かいお礼状をしたためる、因みにこの飛空都市にはポストも郵便局もない。彼らが手紙のやり取りをする場合、書いたモノは全て精霊によって届けられる。

 

 その夜、ベッドに入ってもアンジェは眠れないでいた。

 「女王になるのは止めようかな?今の俺は女の子なんだし、いい男と恋に生きるのもアリかもしれない…」やがて微睡み、夢の中で男に寄り添う。相手の顔は判別できないが、アンジェは幸せを感じていた。

 

 

 

 

  




当初はクラヴィスをお相手にする予定でしたがこれを書く為にアンジェリークをプレイし直していたら故塩沢兼人さんの声を聞くたび切なくなって…変更しました、後任の田中秀行さんも素敵なんですがね。
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