ボンクレーが『ときメモ2』の世界に転生したようです   作:越後屋大輔

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以前別作品で展開した話を若干変えてこちらに載せました。
最近『21世紀のズンドコ節』なる曲を発掘(笑)しました、キングクリムゾンの『21世紀のスキッツォイド・マン』とお馴染み『ズンドコ節』が見事に融合していて思わずニンマリしてしまいました。



ボヘミアン・ラプソディ

 夏休みも終わり、2学期が始まった。ラノベ部の部活も通常運転になり、今日も互いの作品を批評し合っている。

 「それでは私の作品を発表します、今回はあの(・・)名曲をモチーフにしてみました」美帆が挙手した、手にした原稿用紙でトントンと机を叩いて綺麗に揃える。因みにラノベ部には手書き派とパソコン派がいる、琴子、ほむら、美帆が前者であり忍、美緒、矢部、ひかげが後者だ。

 

 「それでは『ボヘミアン・ラプソディ』僭越ながら読ませていただきます」

 「アラ、クイーンの中でも名曲をチョイスしたわね」

 「すみません私、知らないんですけど……」

 「あたしも知らねぇ」

 「ボクはアニソン専門でして」

 「クイーンって、キムタクのドラマのヤツしか知らないっす」美緒、ほむら、矢部、ひかげが順に白状する。

 「じゃ元ネタ分かるのってあちしだけ?」琴子には特に聞くまでもないと、本人も含めて全員が思った。

 

 ~以下、美帆作の小説本文~

 これは現実なのか?それとも幻、中国人がいう'胡蝶の夢'というやつか?僕自らしでかした事なのに思考が追い付かない。物心ついた頃から今日まで出来事が嵐に呑まれた土砂のように崩れていく、しかしこの真実から目を背ける事はできない。

 僕は哀れな男ではある、かといって同情は御免こうむる。所詮お気楽な人生を過ごしてきた身だ、世の中良い事もあれば悪い事もある。つまり、明日は明日の風が吹くってやつさ。

 

 ここはスラム街の一角。僕は相手の返り血に染まったシャツを着たまま壁にもたれかけ、そのままズルズルと腰を落としていく。タバコに火を付けて吸ったあと大きく息を吐く、やがて重い足取りで今は1人暮らしの母の住む家を訪ねに行く。

 

 「母さん、僕は人を殺してしまったよ。銃で撃ったんだ。即死だったよ」僕は母に全てを告白した、遠くから聞こえるパトカーの音が段々ハッキリしてきた。

 「僕はまだ駆け出しの人生をダメにしてしまったよ、母さん。泣かないで、僕はもうこの家には帰ってこられないと思うけど長生きして。僕なんてまるで最初からいなかったんだと感じられるくらいに」それだけ母に伝えるとやがて追ってきた警察に逮捕された。

 この国で殺人犯はまず独房に押し込まれる、そこで裁判を待つ訳だが僕には死刑の判決が下るのは目に見えている。

 

 その日がやってきた。覚悟はしていたもののやはりいざとなると恐い、とはいえ僕はもう行かなければ。刑務官が僕を別室へ連れていく、遂に執行されるのだろう。

 「言い残す事はあるか?」刑務官が僕に問う、遺言なんて大層なモノはない。敢えて言うなら

 「母と友人達に『僕は今から真実と向かい合う』と伝えて下さい」本当は死にたくない。いっそ僕なんて生まれてこなければよかった、そうすればこんな思いをしなくてすんだのに。

 

 1つの部屋の前に辿り着く僕と刑務官、扉を開けると部屋の中が森になっていた。その森はどこまでも続いていて、とても刑務所の一室内とは思えない。

 「これは一体……?」しかも木の葉も木の幹も地面も自然界ではあり得ないサイケデリックな色をしている、気がつくと刑務官の姿も消えていて僕は1人で森の奥へと進んでいった。

 

 扉の先には小さな人影が見える。

 「私は道化師(ピエロ)。名をスカラムーシュといいます、早速タンゴを踊ってご覧に入れましょう」それまで空は快晴だったのに、道化師が踊り始めると同時に雷鳴が立ち込めて稲妻が落ちる。そのあまりの大音量に僕は思わず耳を塞ぎしゃがみこんだ、するとスカラムーシュが何かにとり憑かれたように、踊りながら妙な言葉を叫びだした。

 「ガリレオ、ガリレオ、そしてフィガロ、高貴な人よ!」すると雷が止んで今度は辺り一面真っ暗になったが月の明かりがスポットライトのように僕を照らし出す、いつの間にかスカラムーシュに合わせて知らないハズの歌を一緒に口ずさんでいる僕がいた。

 「僕は哀れな身、今まで愛された事なぞ1度もない!」僕の声に共鳴するかのようにスカラムーシュの後ろから沢山の人が現れて僕らと共に歌い出す、その声が大合唱になり一斉に響き渡る。

 「彼は哀れな身、どうか助けてあげて欲しい」彼らの中から1人飛び出してこう続ける。

 「お気楽な人生を過ごしてきた身ではあるが、僕を助けておくれ」それに答えるかの如く、他のみんなが声を揃える。

 「ダメだ!神に誓って絶体お前を許しはしない」

 「助けてくれ!」

 「ダメだ!」

  助けてくれ!」

 「ダメだ!」

 「助けてくれ!」ソロをとっていたスカラムーシュとは別の男の歌声は歌う毎に高くなり最後は金切り声で叫ぶ、合唱しているその他大勢は力強くそれを否定する。

 「何が何でも絶対にダメだ!」このやり取りを聞いている内に僕の意識は混濁して母を助けを求め、叫び続けている。そんな状況に於いてもスカラムーシュ達の大合唱が耳から離れない、その歌声で頭に痛みが走り破裂しそうになってきた。

 「魔王よ、この悪魔を引き取ってくれないか。これはあなたの部下が寄越したモノだろう?さあ早く、さあ早く、早く、僕の目の前からけしてくれー!」

 

 僕は今、警官隊に追われて夜の街を駆け抜けている。途中何度も捕まりそうになるが、手にした銃で抵抗しながらその場を逃げのびる。刑務所を脱走した時看守を殴り倒して奪ったモノだ、やがて空き地へ追い込まれ互いに撃ち合いながら舌打ちして警官隊に毒づく。

 

 「お前達も僕をあざ笑ってバカにするつもりなんだな。石をぶつけて唾を吹き掛け足蹴にしようとしているんだろう?逃げてやる、なんとしてもお前達も誰もいないトコまで逃げおおせてやる!

 

 ~ここから『僕』視点でなくなる~

 「あの男はどうかね?」刑務所長が彼の執務室で精神科の医師に質問する、先日スラム街で殺人を犯した男を診てもらったのだが

 「ダメだね、完全に妄想に取り憑かれている。あれでは裁判も出来んよ」医師はかぶりを振って答える。

 「そもそもナゼあいつは人を殺したか?怨恨と営利の両方で調査したが全くわからん、被害者とも面識がなかったそうだし」

 「精神科医の観点でいわせてもらうと、母親を早くに亡くしたのが一因とも思えるね」2人がそんな会話をしている頃、刑務所から警察病院に移された男は誰に聞かす訳でもなく1人ベッドに横たわって呟く。

 

 「大した事じゃない。本当に些細な事だったのさ、少なくても僕にとってはね。つまり明日は明日の風が吹くのさ……」

 

 「で、結局何を伝えたいの?」読み終えた美帆に琴子が尋ねる。

 「白雪先輩、今回もシュールなの書いてきましたね」ひかげは眉をヒクヒクさせている。

 「まあ原曲からしてイミフだしねぃ」この中で唯一元ネタを知っている忍がフォロー?する。

 「では今日はここまでにしましょう」美緒の仕切りでこの日のラノベ部の部活は終了した。

 

 

 

 




本作はウンガロ及びジョジョシリーズとは一切関係ありません。
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