ボンクレーが『ときメモ2』の世界に転生したようです   作:越後屋大輔

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突然ですが次回をもってラノベ部編を一旦終了とします、次々回からは新シリーズを始める予定です。


UMAとクリスマス 

 2学期の終業式が終わり、明日から冬休みに入る。そして明日はクリスマスイブである、日本では恋人同士の季節(シーズン)だが我らがラノベ部にはそんな話は縁遠い。何せ1人を除き誰もお相手がおらず、唯一の彼女持ちの忍もイブはバイトで丸一日潰れるらしい。

 

 今年も彼氏ができないクリスマスイブを迎えようとしていたラノベ部部長の如月美緒はあまりにも寂しいので気晴らしに誰かと出掛けようと、同じくラノベ部部員の水無月琴子を誘った。

 この年のイブは金曜日であった、ひびきの駅で待ち合わせた美緒と琴子はよくいえば気のおけない女同士、悪くいえば侘しい女2人連れで街を練り歩いてカラオケや買い物を楽しんだ。ショッピングモール内のト○ザラ○で小さい子供と一緒に玩具に夢中なほむららしき人物を見たり、ラウン○○ンでアニソンを大合唱していた団体の中に矢部の声が混じっていた気がするが美緒も琴子もおそらく何かの見間違いや聞き間違いだろうというと自分に言い聞かせた。

 

 その日大分遅くなってから美緒は琴子と別れ、果物屋『フルーツの如月』を営む家へ帰宅した。家族が玄関にしている勝手口の前に立つと、問屋から仕入れたオレンジの木箱が1つ手付かずなのに気づいた。

 「ただいまお父さん、この箱開けなくていいの?」店じまいの準備をしていた父親に尋ねると

 「おお美緒か、お帰り。それは明日の朝一番に開ける分でな、そのままにしておいて構わんぞ」

 「そう?じゃ私自分の部屋に行くわね」家の中に入ろうとしたら木箱が風もないのにガタガタ揺れだした、驚いて足を滑らす美緒。木箱の異常に気づいた父も釘抜きを手にそっと近づく、夕食の支度をしていた母も飛び出してきた。

 「あの木箱は父さんと母さんに任せて美緒は部屋に行ってなさい」木箱は尚も震えている、中に怪しげなモノが潜んでいるのは明らかだ。

 「お母さん待って!」その場から逃げるように自分の部屋に駆けていった美緒は携帯で誰かに連絡する。

 

 時間にして僅か10分後、ひびきの高校の教師でありラノベ部の顧問にして伊集院家に並ぶ大財閥のトップである破嵐万丈が美緒から連絡を受けてフルーツの如月を訪れた。

 「で、これが君の言っていた木箱だね。美緒君」

 「はい、何だか不気味で(怯)変なモノでも入っていたらと思うと怖くて……」美緒が恐怖に震えながら説明する。

 「万丈様、X線検査の用意が整いましてございます」ギャリソンは木箱を用意してきたトレーラーに運ぶよう、部下に指示する。その時、木箱から声が聞こえた。

 「ねぇ、ここから出してよぉ」声の主は小さな子供のようだった、その場にいた全員が驚くが万丈はすぐ我に返ると

 「ギャリソン、急いでくれ!もしヤツら(・・・)に閉じ込められていたとしたら……」万丈の指示で木箱は丁寧かつ迅速に解体され、中には身丈60cm程のヌイグルミが一体入っていた。思わず手にとって抱き寄せる美緒だったが次の瞬間、ヌイグルミは目を開いて美緒の腕の中でモゾモゾ動き出した。ビックリした美緒は手を離してアスファルトに落とすところだったが、そこを万丈が拾い上げ安全な場所に座らせる。

 

 耳の大きく毛むくじゃらな見た事のない、可愛らしいが変なその生き物。あまりに意外すぎる展開に万丈とギャリソン、如月一家も唖然とする。木箱の底にはオレンジの皮が無造作に散らばっていた、おそらくお腹を空かせたこの生き物が食べ尽くしたのであろう。

 「ここはどこ?」生き物はキョトンとした顔で辺りを見回して誰ともなしに尋ねてみる。

 「え~っと、君は何者?ナゼ木箱の中に入っていたの?」何とか気を取り直した美緒が生き物に問う、万丈はX線で撮影した画像をチェックしている。例の連中(・・・・)と違いちゃんとした生き物の骨格を持っている、どうやらヤツらとは無関係のようだ。

 「分かんない」生き物はそう答えた。自らの出自を理解してないらしい、美緒パパによると木箱の入荷元はロシアという事だが

 「では、君が生まれたのもやはりロシアなのか?」万丈も問うて見るが返事はこれまた

 「分かんない」の一点張りで埒が明かない。

 「万丈様、これはいわゆるUMAの類いではございませんか?」

 「ああ、おそらくね。しかし本人が分からないのでは元いた場所へも送り返しようがないな」

 「すみません、もしよければ私がお預かりしても構いませんか?」美緒はこの生き物の愛らしい姿が気に入ったのか、自ら飼育を申し出たが

 「美緒君、せっかくだがUMAを一般家庭に預けるのは問題がある。もしマスコミが嗅ぎ付けたら守りきれないし、解剖目的で誘拐する輩も出てこないとも限らないからね」万丈から正論を言い渡され

 「そうですね、軽率でした」反省する美緒。

 

 それから1時間ほど経った頃、忍がバイトを終えて家路に着こうとしていた。帰り道にはいつも如月家の前を通るのだが今日は何やら騒がしいのに気づく、怪訝に思いながら美緒に声をかける。

 「美緒ちゃんこんばんは。これは一体何の騒ぎかしら?」

 「藤崎君、実はですね……」美緒は忍にオレンジの木箱に潜り込んでいたUMAについてザックリと説明する、話を聞いた忍は少し考えると

 「つまり、あの毛むくじゃらを絶対に安全な場所で保護すればいいのね。あちしに心当たりがあるわ」

 「「本当」」

 「ですか?」

 「かい?」

 「何で万丈先生まで乗り出してくるのよ?ま、どうせ通り道だし明日の早朝迎えに来るわ」さて、この毛むくじゃらの生き物の正体は?そして忍は生き物をどうするつもりなのか?それはまた次回。

 

 

 

 

 

 




まあ生き物の正体はともかく、本編含めてこれまで読んで下さってる方々はどこへ連れていくかは見当がついているでしょうね。あ、美緒の家が果物屋というのは言うまでもなくオリ設定です。
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