ボンクレーが『ときメモ2』の世界に転生したようです   作:越後屋大輔

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劉備軍がいよいよ旗揚げです。


第四席劉備、独立するのこと

仗助

「盗賊相手に初陣かぁ……」馬上で呟く俺に隣をいく愛紗が話しかけてきた。

愛紗

「どうかしたのか?」

仗助

「いや……こういうの、初めてだからよ」そりゃゲッターに乗る前から闘い自体は何度も経験しているし、やむなく人の命を奪ったのも1度や2度じゃねぇ。だけどこんな大規模な人間同士の殺し合いなんてな……手を震わせながら、不安な気持ちを正直に吐露する。

仗助

「桃香や愛紗、鈴々だって平然としてるのに……ハハッ情けねぇよな」乾いた笑いを浮かべる俺に

愛紗

「そんな事はない!闘いを恐れるのは人として当然だ」

桃香

「そうだよ。闘うっていうのは人を傷つける事だもん。ホントはやっちゃいけないこと」

鈴々

「それでも不条理な暴力には、敢然と立ち向かうしかないのだ」そっか、そうだよな。なら闘うしかない、か……。現状を認めて、自ら選んだ道だ。俺は改めて自分に気合いを入れ直す。

仗助

「頼りにさせてもらうぜ、みんな!」

愛紗

「ああ♪任せろ!」

桃香

「私も!」

鈴々

「鈴々頑張るのだー!」ガオーッと鈴々が空に向かって吠えていると、伝令役の兵士が後ろから俺達の元へ馬を駆けてきて

兵士(モブ)

「全軍停止!これより我が軍は鶴翼(かくよく)の陣を敷く、各員粛々と移動せよ!」本陣からの指示を伝えながら、更に前線へと走り去っていった。

愛紗

「いよいよだな」

仗助

「ああ、兵の指揮は愛紗と鈴々、宜しく頼むな」

鈴々

「合点なのだ!」

愛紗

「桃香様は仗助と共に」

桃香

「うん、二人共気をつけてね」愛紗は俺達から離れると兵士達に檄を飛ばす。

愛紗

「聞けぃ!劉備隊の兵達よ、敵は組織化すらされてない雑兵共だ。気負うな!さりとて慢心するな!公孫賛殿の下、共に闘い勝利を味わおうではないか!」兵達はこの言葉に力強く咆哮する。

愛紗

「全軍、戦闘態勢を取れ!」愛紗が号令すると兵達は一斉に抜刀する、そこに今度は前から伝令が駆けてきて

伝令

「盗賊達が突出してきました!」そして本陣へ進んでいく。

鈴々

「いよいよ闘い開始なのだ!みんな鈴々に続けーっ!」

愛紗

「我ら関羽隊も行くぞ!全軍、突撃ぃーっ!」応ぉーっと吼えながら愛紗、鈴々についていく兵士達

 

愛紗「よし、敵は総崩れだ!今こそ我らの力を見せつける時!」

鈴々

「みんな、鈴々に続くのだ!」周囲の兵士を激励した2人が戦線を崩壊させた盗賊団に敢然と立ち向かっていく。それに呼応するかのように、中央と右翼の軍も突撃を開始する。大地を揺るがす程の力強い足音が腹の奥底にまで響き伝わってくる、雄壮だがどこか恐怖にも似た感情が込み上げてくる。それは敗者に対する同情なんかじゃない、何せ奴らは暴力を武器に罪も力もない人々を蹂躙し続けてきたような連中だ。それでも無惨に殺されていくのを目の当たりにすれば、冷静でなんていられない。

「辛そうね、仗助」一足先に軍を下げた忍が、俺の顔を心配そうに覗き込む。

仗助

「えっ?」

「辛いなら止める?」こいつ、俺を試してやがる(怒)……なら、答えは1つだ。

仗助

「冗談じゃねぇ!ぶっちぎってくに決まってんだろーが!」

「ふふっ……そうね、野暮な事聞いたわ。忘れてちょうだい」妙にニヒルな笑みを見せて野営地へ戻っていく忍、結局あいつも俺も覚悟を背負うしかねぇんだな。

 

白蓮

「完全なる勝利、だったな。いやぁ、良かった良かった」盗賊の撃退に成功した白蓮はスッカリご機嫌で、一杯()っている。

桃香

「やったね白蓮ちゃん。よっ、流石っ!」あんまり煽るなよ、桃香。

白蓮

「いやいや、桃香達の力があってこそだよ。ありがろぉ~」早くも酔いが回ったみたいだな。

「しかし……公孫賛殿。最近、何やらおかしな雰囲気を感じないか?」星が空を睨み付けながら問いかける。

白蓮

「おかひな雰囲気……?ろうだろ~。わたひは特に感じにゃ事はらいけろ~」あ、これダメなパターンだ。

桃香

「白蓮ひゃん、ベロベロらねぇ~」オイ桃香!お前もか?

白蓮

「むむっ。……てゃしか(確か)にベロベロかもしれらいが、桃香にひわれるのは無性に腹立つ~」

桃香

「あ、ひろぉい!わらしは白蓮ひゃんみたいにヘロヘロになっれないもんれ!」

鈴々

「そう思っているのはお姉ちゃんだけなのだ!」くっくっ、と喉を鳴らして笑う鈴々と呆れ顔で額に手をやる愛紗。最後は酔い潰れて寝ちまった2人をほっとく訳にも行かず、俺と愛紗が桃香を、白蓮を忍と星が担いで天幕まで運んでいった。

愛紗

「しかし、星の言う事も尤もだ。最近、特に匪賊共の動きが活発化しているように感じる」愛紗が至極マジメな顔でポツリと呟いた。星も同調したらしく、その言葉に応じる。

「お主もそう思うのか……」

愛紗

「ああ。ここしばらく、匪賊は増加の一方だ。奴らが村を襲い、人を殺し財貨を奪う。地方では既に飢饉の兆候すらでている」話を聞いた俺達はどことなく嫌な予感がしていた。

仗助

「なあ忍、ひょっとしてよぉ……」

「あいつら……この世界にも現れるつもりかしら?」

鈴々

「あいつらって誰なのだ?」鈴々に質問されて答えるべきかどうか、悩む俺。

「あちしらが本来闘っていた敵、鬼と呼ばれる奴らよ」忍はあっさり答えた。

仗助

「お、おい忍。教えちまっていいのかよ?」

「これから共に闘っていくんでしょ?なら隠し事なんてダメよ、それに現れたなら現れたであちしらがこの娘達を守る。そうじゃない?仗助」そうだな、現れないに越した事はないが。

 

 大勝利で初陣を飾った俺達は城の一角に部屋を与えられて、請われるままに公孫賛の下に留まっていた。その間も盗賊退治の日々は続いて、最近では劉備及び、関羽と張飛、天の御遣い2人組の武名を知らぬ者は殆どいない……ってまでの活躍をしていた。やっぱり歴史に名を残す人間(異世界だとしても)ってスゲェな……と心底感心しちまうぜ。

愛紗

「仗助、何を他人事のように言っている?」愛紗が相変わらず鋭い眼差しで俺、イヤ俺と忍を睨んでいる。つーか本人はそんなつもりはないんだろうけどな、その愛紗が俺達に詰め寄る。

 そうだ。最近は相対する盗賊団の規模がデカくなってきて、公孫賛から借りた兵士達だけでは手が回らなくなった。そこで俺のクレイジー・ダイヤモンドと忍のバレエ拳法で蹴散らす作戦に出た。結果、盗賊団を一掃するには成功したが……俺と忍はちょっと暴れすぎちまったようで……

鈴々

「奴ら、このところ全然尻尾を掴ませないのだ!」鈴々は膨れっ面になっている、敵が姿を眩ますようになったのが不服みたいだな。

桃香

「確かに、あれと闘おうなんて愚かな盗賊はいないよねぇ」桃香がため息をついてボヤく。

 そんなある日、朝廷からの使者が黄巾党を名乗る大規模な盗賊団を討伐しろという命令を伝えにきた。俺達の周りはともかく、最近の大陸の様子はどこかおかしい。匪賊の横行に大飢饉、極めつけは疫病の猛威。暴力に晒されても慎ましく生きる決意をしたにしても日々の食べ物に困り、しかも病に倒れる……それじゃあ人々の心が安定するハズもねぇ。動乱が動乱を呼び、暴力が暴力を招く―大陸全土は混沌とした空気に満たされていた。それはドンドン人々の心に重くのし掛かり、沈殿していく。揉め事も日に日に増えていき、刃傷沙汰も起きて……街を警邏する兵達にもイライラが積もっていくのが肌で感じられる。ピリピリした雰囲気が村を、街を、城を覆い尽くし……やがて大陸中へ広がっていくのではないかと思われたある日。

 地方太守の暴政に耐えかねた民がさる宗教の指導者に率いられて武装蜂起して、官庁を襲うという事件が起こった。大陸の、それも地方で起きた事件。官軍に鎮圧されて、事はそれで終わるかに見えたが―現実はそんなに甘くなかった。鎮圧に向かった官軍が反撃されて全滅、それをきっかけに暴徒共は周辺の街へと侵攻を開始した。やがてあっという間に大陸の約3割が暴徒達に乗っ取られ、世は戦国時代を迎える。漢王朝は討伐軍全滅を知り、狼狽&驚愕して……最後は恐慌に陥った。官軍が頼りにならぬなら……と地方軍閥に討伐を命じたのが昨日、それが黄巾党だ。

白蓮

「仗助達も、この城に朝廷から黄巾党討伐の命が下ったのは知ってるな」

仗助

「おう」

「ええ」俺と忍は答える。

白蓮

「それで私は既に参戦する事は決めているのだが……」言い淀む白蓮に代わり、桃香が口を開く。

桃香

「白蓮ちゃんがね、これは私達にとって好機なんてじゃないかって」

仗助

「好機?」

愛紗

「我らが独立する為の好機という事だ」

白蓮

「黄巾党鎮圧で手柄を立てれば、朝廷より恩賞を賜るだろう。桃香達がその気になれば、きっとそれなりの地位につけるハズだ。そうすれば、更に多くの人々を守る事ができるだろう?」

 

 ~ここから忍視点~

 

 どうやら白蓮ちゃんはあちしや仗助達の扱いに迷い始めているみたい。既に星ちゃんとあちしという食客がいて、更に最近名を上げてきた桃香ちゃん達一行が幕下にいるのが面白くない……といったところかしら?1つのグループにリーダーより有能で名声を得た人間は必要ないと思うのも当然よね。なら功名をあげるチャンスがあれば、自分達で手柄を立てさせて独立させるのが一番無難な対処法だわ。まあ、人の良い白蓮ちゃんがそこまで意地悪く考えてるとも思えないけどねぃ。現時点で白蓮ちゃんに大陸全土を治める力はないし、それならあちしも最初の約束通りここを出て仗助達についていこうかしら。

仗助

「そっか……よし!俺達もそろそろ独立して、自分達で頑張ってみようぜ」

鈴々

「でも、鈴々達だけで大丈夫かなぁ?」

仗助

「ここいらが丁度いい頃合いだ、いつまでも白蓮の世話になる訳にもいかねぇしな」

愛紗

「そうだな……しかし、我らには手勢がない。それが問題だ」それは確かに切実な問題ね。

 

「手勢ならば街で集めればよかろう?」星ちゃんが仗助達に進言する。

白蓮

「おいおい!私だって兵を集めなければならないんだから、そんなの許せるハズ……」慌てて星ちゃんを止めようとする白蓮ちゃん

「公孫賛殿、ここが器量の見せ所ですぞ?」

白蓮

「うっ……」

「それに公孫賛殿の兵は皆勇猛ではありませんか。義勇兵の五百人くらい、友の門出にお贈りしては?その代わりと言ってはナンですが、私も有事には勇を奮って働きましょう……どうです?」

白蓮

「分かった……私もできるだけ限りの協力はさせてもらおう」

仗助

「ありがとう白蓮。この仮はいつか必ず返すぜ」仗助は白蓮ちゃんに深々と頭を下げる。

白蓮

「ふふっ、期待しないで待っていよう。星、兵站部(へいたんぶ)に手配して武具と食料を供出してやってくれ」頭を抱えつつも協力を惜しまない白蓮ちゃんにあちしは今後の彼女に幸多からん事を祈らずにいられなかったわ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




原作との違い
盗賊退治の後、主人公に声をかけたのは桃香→仗助に声をかけたのは忍。
闘いの直後、酒を呑むシーンはない→白蓮と桃香は大酒を呑んで泥酔
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