ボンクレーが『ときメモ2』の世界に転生したようです 作:越後屋大輔
~忍視点(続き)~
朱里
「新参者の私達が、意見を言っても良いのでしょうか……?」あちしは遠慮がちな朱里ちゃんの肩に手を置いて励ます。
忍
「当然よ。2人共これからは仲間なんだから」
朱里
「……は、はいっ!」弾むように頷いた朱里ちゃんが言うには……
朱里
「私達の勢力は、他の黄巾党討伐に乗り出してる諸侯に比べると極小でしかありません。今は黄巾党の中でも小さな部隊を相手に勝利を積み重ね、名を高める事が重要だと思います」
愛紗
「敵を選べというのか?」愛紗ちゃんに睨まれ縮こまる朱里ちゃん。
朱里
「あぅ……そういう事ですけど。えと」言葉を繋ごうとして戸惑う朱里ちゃん、そういえば自己紹介の途中だったわね。
忍
「この娘は関羽、字は雲長よ」続いて桃香ちゃんと鈴々ちゃんが名乗りを上げる。
桃香
「私はね、劉備玄徳!真名は桃香だよ。これから桃香って呼んでね」
鈴々
「鈴々は張飛って言って、鈴々は真名なのだ。呼びたければ呼んでも良いのだ」
愛紗
「ウム。皆が真名を許すなら、私も許さなければならんな。我が名は関羽、真名は愛紗と言う。宜しく頼む」
朱里
「は、はい!宜しくお願いします!」
雛里
「あぅ……!」頭を下げた朱里ちゃんに倣って、雛里ちゃんも慌ててペコンッと頭を下げた。
~ここから仗助視点~
仗助
「さて、自己紹介も済んだな……愛紗、俺は朱里のいうことも尤もだと思う」未だ渋い顔をしている愛紗に、俺は諭すように告げる。
愛紗
「お前もか?しかし些か卑怯では……」まあ、こいつプライド高そうだもんなぁ。けど背に腹は変えらんねぇし、無理にでも納得させなきゃならん。
仗助
「お前の気持ちは分かる。でもよ、今の俺達はどう足掻いても弱小勢力であるのに変わりはねぇ。なら出来るのは朱里の言う通り、名を高めて義勇兵を募るぐれぇだ。ただ……」
桃香
「ただ……どうしたの?」キョトンとする桃香。
仗助
「食料事情だ。兵が増えるのは良いが、常に補給出来なきゃすぐ兵に逃げられる。そうじゃね?」
忍
「『腹が減っては戦は出来ぬ』なんて言葉もあるくらいだしねぃ」
鈴々
「気合いでどうにかなる訳でもないのだ……」忍や鈴々は俺と同意見らしいな。
仗助
「そういうこった……どうすっか?」頭を掻きながらみんなに助け船を求める俺。
朱里
「名を上げつつ、付近の
雛里
「敵の補給物資を鹵獲するしか、今のところ解決方法はないと思います……」しゃーねぇ、その路線でいくか。
れんげ
「ろかくって何なん?」れんげが相変わらずの無表情で質問してきた。
忍
「敵対組織から武器や食料を横取りする事よ」忍が教えると首を回して、目を輝かせて雛里を見つめる。
れんげ
「そうなん?雛里、難しい言葉知ってるん……偉いんなー!」
雛里
「エヘヘ……」れんげに誉められ気をよくしたのか、軽くはにかむ雛里。
仗助
「んじゃ、決を取るぜ。反対意見のある奴はいねぇか?」
愛紗
「ああ。状況を説明されれば、それしか方法がないのだと分かる。私に否はない」愛紗が納得してくれりゃ問題ねぇな、後は忍と桃香と鈴々だが……
忍
「それしかないわよね」
桃香
「私もなーし♪」
鈴々
「鈴々は別に何でも良いのだ♪」何でも良いって……まあ鈴々らしいな。
仗助
「よっしゃ!そうと決まれば早速行動すっか」新しい仲間が加わった俺達は白蓮の治める地に別れを告げて、意気揚々と出発した。
果てしない荒野を進軍しながら、各方面に間者を放って黄巾党の動向を探る。……と言うと俺がすこぶる名将のようだが、実際は全部朱里と雛里がやってくれてるんだから楽といやぁ楽なんだよな。―と、のんびり構えていると
兵士(モブ)
「申し上げます!」前方から走り寄ってきた1人の兵士が、俺達の前に跪く。
兵士(モブ)
「ここより前方五里のところに、黄巾党とおぼしき集団が陣を構えております!その数約一万!」い、10000?多過ぎやしねぇか?対してこっちは約6000,……兵数を考えれば、苦戦は必至だな。かといって、ここで進路を変更すれば黄巾党討伐という大義名分を掲げた事で集まった義勇兵はほぼ確実に俺達を見限るだろう。転進するのは、初めに決めた方針ではあるが……俺はどうしたモンかと頭を捻る。
雛里
「あ、あの……」朱里の背に隠れていた雛里が緊張した声で、俺の袖をクイクイ引っ張ってきた。しっかしこいつ、俺や他の連中とはかなり打ち解けてきたのに愛紗だけは未だ警戒しているんだよなぁ。
雛里
「だ、だいじょぶです。きっと勝てます」オイオイ、勝てるって何か根拠があるのかよ?相手はこっちの倍近くいるんだぜ。
雛里
「それくらいなら大丈夫です……」ビクつきながらも、雛里は俺の目をしっかり見て大きく頷く。
朱里
「私達には勇名を馳せている愛紗さんと鈴々ちゃんがいますし、義勇兵の皆さんの士気も高いですから……」そうはいうが、数は力だ。基本味方1人に敵2人当たるんだから、苦戦するのは目に見えてる。
雛里
「だけど、えと……わ、私達が居ますから」
愛紗
「どういう意味だ?」愛紗が話に入ってくると雛里はピクリと身体を震わせて、ヨロヨロと忍の背中に隠れる。
鈴々
「愛紗、雛里を怖がらせたらダメなのだ」更に鈴々が雛里を庇うように両腕を広げて、愛紗の前に立ちはだかる。
愛紗
「ええっ?わ、私は別に怖がらせてなどいないぞっ?!普通に聞いただけではないか?!」こいつ、自覚ねぇのか。俺がため息を1つ吐くと、
忍
「あー、よしよし。大丈夫よ、怒ってる訳じゃないわ」忍は雛里の頭を、慰めるように優しく撫でる。
愛紗
「む、むぅ……私の口調はそんなにキツく受け取られるのか。仗助、どうなんだ?」振るな!そんなの俺が聞きてぇよ。
桃香
「あはっ、大丈夫大丈夫。愛紗ちゃんは別に怖くないよー、ただちょっぴりマジメ過ぎるだけ」桃香がフォローするつもりらしく、にこやかにそう言うが
愛紗
「助け船になってませんよ、桃香様……」ガックリと項垂れてしまった愛紗をよそに
朱里
「と、とにかくですね。こういう時にこそ、私と雛里ちゃんが役に立つと思うんです」場の雰囲気を変えようとしたのか、朱里が話題を元に戻す。
雛里
「本来なら、敵よりも多く兵士を用意するというのが正道ですけど……それが無理な以上、戦力の差を覆すのは策あるのみです。だからこそ、私達が勉強していた事が役に立つかと」
鈴々
「べんきょーしてたって、朱里達は何のべんきょーしてたのだー?」鈴々の問いに雛里が答える。
雛里
「えと、孫子、呉子、
桃香
「うわ……それ全部勉強して覚えたの?」桃香も目を丸くして驚いている、雛里は無言でコクッと頷く。
桃香
「スゴーい!愛紗ちゃん愛紗ちゃん。この娘達ってば、もしかしてとってもスゴい娘かも!」やけにハシャぐ桃香、だが何たって諸葛孔明と鳳統だからな。
愛紗
「そうなのですか?孫子の兵法書は私も読みましたが、その他の書籍に関しての知識はありません。一体どのようなモノなんです?」俺とれんげは話についていけず、今にも頭上?が浮かびそうだ。
忍
「九章算術の事なら聞いてるわ、実際読んではいないけどねぃ。πや√についても載ってる、現代数学にもひけをとらない数学書よ。後はあちしもよく知らないわ」だから忍、お前ぇはどこからそんな雑学仕入れてんだよ?
朱里
「はい。後、孫子、呉子、六韜、三略、司馬法……これらは全て兵法書です。呂子春秋は農政、山海経は地理書ですね」
鈴々
「ほえー、スゴいのだー。朱里達は完璧超人なのだなー」鈴々も口をアングリさせつつ感心している、つーかこいつにゃ絶対無理だな。
みんなに誉められたのが嬉しかったのか、朱里は慌てて謙遜しながらも頬を緩ませて微笑みを漏らす。こうしてみるとこいつ結構可愛いな、俺にゃロリの気はないんだが。
仗助
「よし、んじゃお前ぇらの数を覆す策ってのを教えてくれ」俺が促すと雛里は淡々とだが、元気よく説明を始める。
雛里
「はい!えっとですね、伝令さんからの報告だと敵軍は五里先に陣を構えているとの事ですが……ここから五里先は各方面に伸びた道が集束する場所になっています」つまり交通の要ってヤツか。そこに兵や物資を配置しとけば、各方面に進軍している部隊に素早く補給物資を送る事が出来る。
仗助
「そう考えりゃ結構重要な場所だな、そこに置く兵にしちゃ10000,は少なくねぇのか?」
朱里
「だからこそ、相手は雑兵なんだって判断できます。そして、そこが私達の狙い目かと」
桃香
「どういう事?」
雛里
「敵は私達より多くの兵とはいえ、雑兵でしかありません。またその雑兵が守っている地は黄巾党全軍に影響を及ぼす重要な地」
朱里
「そこを破れば、私達の名は否応なく高まります。だからこそ、これは千載一隅の好機」
雛里
「更に言えば、私達の兵は敵よりもかなり少ない。そんな部隊が前に現れたとしても敵は恐れないでしょう……そこが付け目なんです」
愛紗
「なるほど。敵を油断させ、策を持って破る……そう言いたいのだな」
雛里
「は、はひっ!」
愛紗
「……そんなに緊張しないでほしいのだが」
雛里
「あわわ……ごめんなさいです……」
仗助
「よしよし。愛紗は見た目と違ってスゴく優しいお姉さんだからな、怖がらなくて良いぞ」
愛紗
「……ホオ。私の見た目は怖いと、そう遠回しに言いたいのだな。お前は」あ、ヤベェ……愛紗、マジで怒ってやがる(焦)フォローしようと必死になる俺だったが
鈴々
「そんなのどっちでも良いのだ。とにかくさっさと方針を決めて闘うのだー!」長ぇ話に飽きたんだな、鈴々がウガーと癇癪を起こす。
仗助
「それで朱里、雛里。策ってのは?」何とかマジな顔を作って、2人に質問してみる。この時、俺は
今回こそ原作との違いは特にありません。(前話、前々話は後で違いに気づいて後書きを修正してます)幾らか原作のセリフに加筆修正、削除はしています。