ボンクレーが『ときメモ2』の世界に転生したようです   作:越後屋大輔

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う~ん、ちょっとタイミングが早かったかなぁ?


第七席鬼、恋姫世界に現れるのこと

 ~仗助視点(続き)~

 

 その後、俺達は朱里と雛里のアドバイスを受けながら作戦をまとめていった。

朱里

「そうですね……まず第一は、敵を陣地から引っ張り出す事」

雛里

「その後野戦に持ち込む事……ただし平地で対峙してはいけない事」

朱里

「数で負けているなら、数で負けない状況を作り出せば良いんです」数で負けねぇ状況か……大群相手に、平地で闘うのがダメってのは分かる。奴らを自由に展開させちまうし、包囲されたら苦戦は免れねぇ。けど……なら、どうすりゃその状況を作り出せるか、だ。

仗助

「そうか!道が狭い場所を利用すりゃ良いんだ!」

朱里

「はわわ……仗助さんスゴいですぅ~」

雛里

「あわわ……先に言われちゃいました……」

桃香

「おおー!仗助さん、正解だったみたいだよ!スゴいねー♪」ナゼだ?桃香に誉められてもあんま嬉しくねぇ。

愛紗

「しかし仗助。我らの行く手に狭間など、どこにある?目の前には果てしなき荒野が広がるのみだが」

雛里

「あ、あの、あ、ありますよ。ここより北東へ二里ほど行ったところに、川が干上がってできた谷があります」

桃香

「ええっ、でも地図にはそんなところ載ってないよー?」

「その地図、市販のものよね?」

桃香

「う、うん。お店で買ったモノだけど……」

朱里

「なら、正確な地図ではないですね」

桃香

「じゃあこの地図って偽物?」

朱里

「いいえ、正真正銘の本物ですよ。ただ、市販の地図には旅人や商人の隊がよく使う道とか、山しか書いてないってだけです」なるほど。そういう連中が良く通る道だけでも、地図としては成立するか。

「あちしが調べたところ、正確な地図は漢王朝や官軍しか持ってないそうよ」

雛里

「はい。地図というのは戦略戦術を決定する上で一番大きな要素となります、地理に詳しくないと作戦は立てられませんから……」

朱里

「最近力をつけてきた地方の諸侯も、独自の力で地図を作ってるみたいです」

「生憎、白蓮ちゃんはそこまで気が回っていなかったみたいね」

桃香

「うー……白蓮ちゃんって時々、そういう大ポカをやらかすんだもんなぁ……」

鈴々

「お姉ちゃんが言うななのだ」鈴々に突っ込まれてヘコむ桃香に噴き出したが、すぐ本気(マジ)モードに戻り朱里達に続きを促す。

朱里

「……幸い、私達は水鏡先生のツテで正確な地図を見る事が出来ました。だからおおよその地理は覚えてますよ」

仗助

「覚えてるって、もしかして大陸全土の地図を丸暗記してんのか?」

雛里

「……(コクッ)」無言で頷く雛里。

鈴々

「す、すごいのだぁ……」

朱里

「エヘヘ、それほどでも……」テレテレと顔を赤くしながら、恥ずかしそうに身体をよじる2人。そういや忍も地理を把握しているらしいが

仗助

「忍。お前ぇはどうやって地理の情報を手に入れたんだ?」ゲットマシンで探索?しかし下手すりゃ悪目立ちしてるだろ、俺だってそのくらい分かるのにこいつがそれを考えないハズねぇんだが。

「簡単よ。白蓮ちゃんのトコに朝廷から使者が来たじゃない。コッソリ露伴さんに化けて記憶を読ませてもらったの」なるほどな……こいつの変身能力なら、それも可能って訳か。

れんげ

「しのぶん、えげつないん!カッコイイのん!」目を輝かせて絶賛するれんげ。けど、『えげつない』は誉め言葉じゃねぇからな……。

 

 ~忍視点~

「じゃあ、その辺の狭間に敵を誘い込むとして。どうやっておびき出すの?」呆れる仗助と何かを勘違いしているれんちょんを一先ず放っといて、雛里ちゃんに作戦の確認を取るあちし。

雛里

「敵が構築する陣の前に全軍で姿を表して……後は逃げるだけです」

愛紗

「敵に追尾させるという事か……」

朱里

「そうです。幸い……と言うのも変ですが、私達の軍はどうみても正規軍には見えませんから」

鈴々

「白蓮お姉ちゃんから武器とか貰ったけど、後は着の身着のままの義勇兵達だもんなー」

雛里

「そういう事です。目の前に弱そうな敵がいたら……黄巾党はどう考えるでしょう?」

愛紗

「我らを舐めきって、皆殺しにしようと獣のように襲いかかってくるだろうな」

雛里

「はい……元々明確な主義主張があるのは黄巾党の中心にいる一部の人達だけで、後は食い詰めた農民達が欲望のままに動いている……それが黄巾党の正体ですから」

仗助

「殺し尽くし、奪い尽くし、焼き尽くしってか。……獣でもそこまでしねぇよ」あちしらが闘っていたのはその獣にも劣る存在だけど……と、喉まで出かけたセリフを呑み込む。

桃香

「だからこそだよ。だからこそ、私達がコテンパンにやっつけないといけないの!」強い光を瞳に宿した桃香ちゃんが、拳をきつく握りしめながらいつになく力強く言い切る。その声があちしの……イヤ、あちしらの心に日を付けたわ。

「……そうね、作戦は決まったわ。後は行動あるのみよ!」

仗助

「愛紗は前衛を率いて状況を見て反転、狭間を目指す。鈴々は後衛」

鈴々

「えーっ!鈴々は先陣を切りたいのだ!」

仗助

「今回は我慢な。愛紗が反転したら、移動する部隊の殿(しんがり)を守ってくれ」

鈴々

「むぅー、そういう事なら仕方ないのだ。でも次は鈴々が先陣なのだ!」

仗助

「おう約束な。んで、鈴々の補佐は朱里に任せていいか?」

朱里

「了解です♪」次々に適格な指示をだしていく仗助。普段はおちゃらけてんのに、こういうのは得意なのよね。

仗「桃香は本陣だな。その補佐として雛里を配置、状況に合わせて即応できるようにしておいてくれ」

雛里

「はいっ!」

桃香

「仗助さんはどうするの?」

仗助

「俺らは最後尾で様子を伺う。ゲットマシンで出撃しても、却って奴らを潜伏させる機会を作っちまうだけだしな」

れんげ

「そんなモンなん?」

「確かに。悪目立ちしない方が得策ね」

桃香

「じゃあ決定って事で、みんな敵さんめがけて微速前進~♪」随分気の抜けた掛け声ね、部隊のあちこちで失笑されてるじゃないのよ。まあおかげで軍全体がリラックスした雰囲気になったからよしとしますか、後はあちしらの頑張り次第ね。

 

 荒野を吹き抜ける風に『劉』の旗をなびかせ、威風堂々と敵陣めがけて進軍していくあちし達。

兵士(モブ)

「前方、黄巾党陣地に異常あり!」事前に放っておいた斥候兵が、状況報告に戻ってくる。アラ、たった1人?前方には結構な数の斥候がいるハズだけど。

愛紗

「異常だと?!一体何があった?」

兵士(モブ)

「そ、それが敵陣内に黄巾党らしき者達の死体がゴロゴロと……そこには見た事もないような化け物が!他の、仲間の斥候もそいつに食い殺されて……」この斥候さん只1人、命からがら逃げてきたのね。あちしは戦慄を覚える、やっぱりあいつら(・・・・)がこの世界にも現れたと思って間違いないわね。

仗助

「ちっ!全軍一時退却!桃香達も下がれ!俺らは敵陣に突っ込む、行くぜ忍、れんげ!」仗助は舌打ちしながら、軍を撤退させる。黄巾党相手ならまだしも義勇兵を奴らの餌にする訳にはいかないわよね。

「行っくわよぉーっ!鬼共!」

れんげ

「鬼ぶっ飛ばすーん!」

仗助

「覚悟しやがれ!」あちしらはゲットマシンを起動させて、合戦の予定地だった敵陣へ飛び出していった。

 

 ~視点なし~

 

 仗助、忍、れんげはゲットマシンを発進させる。桃香達は1人生き残ったものの、かなりの深手を負った斥候の治療に当たろうとしたが彼は仗助のクレイジー・ダイヤモンドで既に復活していた。

兵士(モブ)

「仗助様が例の妖術で治して下さいました」と証言する斥候。

愛紗

「人体の怪我も治せるのか」呆気に取られる愛紗。

朱里

「はわわわ!どういう事ですか?」クレイジー・ダイヤモンドを知らない朱里と雛里は訳が分からない。

桃香

「仗助さんも忍さんもスゴい術が使えるんだよ♪」桃香と愛紗が説明する。

愛紗

「仗助は破壊されたモノを修復したり、作られる前の状態に戻したりできる。忍はありとあらゆる姿に化け、その能力も真似る事が可能だ」

雛里

「そういえば……れんげちゃんも幻覚の火事を作ってました」

鈴々

「やっぱり天の人達はスゴいのだ!」彼女達は大いに誤解している。天即ち、現代世界でも彼ら3人はごく少数の限られた人間である。とはいえ、その少数の内3人がこの世界にまとめて現れたのだからムリもないが。

 

仗助

「いたぜ」仗助が視線で指し示すのは一見人間のようだが、その額には鋭い角が這えていて、下顎からは牙が剥き出しの醜い顔立ち、人間ならばありえない赤や青い色をした肌、そして極めつけは身の丈30メートルはあるだろう巨大な身体をした化け物である。これこそゲッターチームの敵、鬼であった。この場に3体いた鬼達は黄巾党の兵をスナック菓子でも喰うように、頭からバリバリかじっていた。

仗助

「とっととケリつけるぜ、チェンジ!ゲッター1!」仗助が乗るイーグル号が人型の頭と腕に、忍のジャガー号が腹部と翼を、れんげのベアー号が足となり、3体が連結して鬼と同格の大きさを持つ人型が完成する。ゲッターロボが、今ここに推参した。

 

 ゲッターロボが鬼と激戦を繰り広げている中、黄巾党の別動隊を追い詰めるさる一派がその様子を遠目に眺めていた。

??

「何だアレは?」

??

「斥候の話を聞いた時は流石に信じられなかったけど……本当にあんな化け物がこの世にいたとはね」

??

「しかもその化け物に正面切って闘いを挑む者達がいたとは……」

??

「あの連中はどこの諸侯が雇っているのでしょうか?」

??

「まさかとは思うけど……この頃噂になっている天の御遣いとかいう連中の可能性も否めないわね」

??

「ふむ……一度顔を見てみたいわね」

??

「向かいますか?」

??

「そうね、だけど今は目の前の事を終わらせましょう。春蘭」

??

「はっ!」

??

「秋蘭」

??

「は……」

??

「躾のなってないケダモノに、恐怖というモノを教えてあげなさい」

??・??

「「御意‼」」

 

仗助

「うぉぉぉりゃぁぁぁーっ‼」ゲッター1が肩から取り出した斧の一撃を喰らい、鬼は息絶えた。しかし鬼は全部で3体いる、その内1体が物凄い速さで突進してきた。

仗助

「オープン・ゲット!」ゲッター1は再び3体のゲットマシンに分裂し、連結する順番を入れ換える。

「チェンジ、ゲッター2!」今度は頭からジャガー号、ベアー号、イーグル号と繋がる。そして相手の鬼より速く走りだし、右腕のペンチでその首を引っこ抜く。狂乱した最後の1体はドスドスと地面に穴が開くほどの足音を立てて相撲の張り手の要領で、ゲッター2に迫ってくる。

「オープン・ゲット!」三度(みたび)分裂したゲットマシン。水平になるジャガー号の背にイーグル号が突っ込み、その上にベアー号が重なる。

れんげ

「チェンジ、ゲッター3!」蛇腹のように伸びた腕が迫る鬼を捕らえる、そのままキャタピラ状の下半身を回転させて空へ向かって投げ飛ばす。

れんげ

「大ぃぃ雪ぅぅ山ァァーん、下ろしぃぃぃぃーっなん‼」こうして、ゲッターロボにより3体の鬼はホンの10分足らずで倒されてしまったのだった。

 

 

 

 

 

 

 




原作との違い(恋姫サイド)
作戦を決めた後、黄巾党と闘う→黄巾党は鬼に食われた為、ゲッターロボ出動
(ゲッターロボサイド)
鬼は人間より1回り大きい程度、ゲッターと直接闘う相手は『鬼獣(きじゅう)』と呼ばれる→この辺りの描写はカット、鬼獣そのモノを鬼とします

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