ボンクレーが『ときメモ2』の世界に転生したようです 作:越後屋大輔
~視点なし~
忍
「そうだわ……曹操と取引しましょ♪」
桃香
「へっ?曹操さんと取引?何の?」
忍
「兵糧ちょうだいって」
愛紗
「そ、それは流石にミジメ過ぎるのでは……」
鈴々
「忍お兄ちゃんに誇りはないのかー」
仗助
「情けねぇ……」
忍
「何とでも仰い。誇りも重要かもしれないけど、今は一杯のお茶碗が大切だと思うわよ……」
れ
「ウチら、あのクルクルには貸しがあるん。ご飯分けてくれたって良いハズなん」
朱里
「……忍さんの言う通りかもしれません。まだまだ闘いは続くんですから、兵の皆さんには何とか残ってもらわないといけませんし」
雛里
「ご飯が食べられないと分かれば、兵士さん達はみんな逃げちゃうと思います……」
愛紗
「うーむ……背に腹は代えられんか」
桃香
「はぁ~……貧乏部隊の悲哀だねぇ」
愛紗
「何をノンビリ仰っているのです。全く……」
桃香
「あははっ、ごめんね。でもね、下を向いていたって事態は好転しないんだし。なら落ち込むだけ損ってモノでしょ」
鈴々
「……お姉ちゃんはノーテンキなのだなぁ」
桃香
「うっ、鈴々ちゃんに言われると、スゴーく落ち込むんだけど」
鈴々
「にゃはは!気にしない気にしない~♪」
れんげ
「どっちもどっちなん……」あまりにバカバカしい言い合いをしている2人の姿に大きな笑いが巻き起こっているところへ
曹操
「あら、賑やかにしているわね。勝利の余韻に浸っているのかしら?」お供を背後に引き連れて、戦装束に身を包んだ曹操がやって来た。
仗助
「違ぇよ。これからどうすっか悩んでたら、いつの間にか笑いが起こってたってトコだ」
曹操
「……??良く分からない状況ね」
忍
「そうかしら?あちし達にとってはこれが普通よ」
れんげ
「いつもの事なーん」不思議そうに首を捻る曹操に、ぶっきらぼうに言い返す仗助と肩を竦めて答える忍と、ナゼか自慢気なれんげ。
仗助
「それより、このままここにいるのはマズいんじゃね?」
曹操
「あら。気付いてたのね」
仗助
「一応な。……曹操達はこれからどうすんだ?」
曹操
「我らはこれから西方に向かい、渠帥の一人が率いる部隊を蹴散らすつもりよ」
仗助
「きょすい……って何だ?」
雛里
「あぅ、黄巾党の将軍みたいな人です」
忍
「なるほどね、それじゃ結構強敵なんじゃない?」ここまで話すと2人いた曹操の供の片割れ、髪の長い女がいきなり噛みついてきた。
??
「黄巾党如き雑兵が我らに敵うハズはなかろう!孟徳様の忠実な兵士達を見損なうな!」
仗助
「手前ぇにゃ聞いてねぇよ」
忍
「つーかアンタ誰よ?」本人に代わり曹操が答える。
曹操
「夏候惇よ、隣が夏候淵。最愛の従姉妹にして、我が両腕よ」
仗助
「なら教えてやるぜ、夏候惇とやら。闘いは観念だけでやってたら必ず負ける」
夏侯惇
「な……なにぃぃ―――――っ!」
曹操
「春蘭!落ち着きなさい、みっともない」
夏侯惇
「うっ……で、でも華琳様ぁ~……」
曹操
「東方達の言う事は尤もよ。で、その有り難いご助言の裏には何があるのかしら?」
忍
「アラ、やっぱり分かる?」
曹操
「分からない思われていたなら、それは私に対して侮辱以外の何物でもないわね」
忍
「流石にそうは思ってないけどねぃ。あちし達から1つ提案があるのよ……」
曹操
「聞きましょう」
桃香
「あのね、曹操さん。黄巾党との闘いが終わるまで、私達と一緒に行動しませんか?」
仗助
「俺達が提供出来るのは兵と、それを率いる将。……関羽や張飛の力はその目で直接見てただろう?」
曹操
「ええ。勇猛であり果敢……春蘭や秋蘭に負けず劣らず、とても良い将才があると見ているわ」
夏侯惇
「華琳様っ!私がこんな奴に負けるハズがありません!」
夏侯淵
「……落ち着け姉者。だから華琳様は、負けず劣らずで互角だと言っているのだ」
夏侯惇
「何?そうなのか?……ならばよし」
仗助・忍・れんげ
(((こいつ……!)))
仗助
(バカなんだな……)
忍
(バカなのね……)
れんげ
(バカなんなー)満足げに頷いた夏候惇が可笑しくて、噴き出さそうになるのを腹筋総動員で何とか堪えるゲッターチーム。
忍
「こんな言葉を知ってるかしら?『一頭の獅子に率いられた百頭の羊は一頭の羊に率いられた百頭の獅子に勝る』って」
仗助
(確かナポレオンの名言じゃなかったかな。忍……時代が違い過ぎやしねぇか?)
曹操
「ふむ?そんな言葉は初耳ね……だけど言いたい事は良く分かるわ」深々と頷いた曹操が
曹操
「……良いでしょう。あなた達の提案、受けてあげましょう。それで……あなた達に提供するのは、兵糧という事で良いのね?」全てを見透かしたかのように、彼らの欲しかった答えを提示してくる曹操。
仗助
「ああ」
忍
「……正解」
曹操
「ふふっ、そんな事だと思ったわ」
桃香
「あぅ……お見通しだったんだ」
曹操
「貴女達の軍には何が足りないのか……それを考えれば、この答えが導き出されるのは当然でしょう」
仗助
「けっ……そこまで見透かされてんなら、駆け引きなんて意味ねぇな」
忍
「そうね……じゃ改めて。兵糧と武具と、あと資材とかも頂けるかしら?」
桃香
「し、忍さん。開き直ったねぇ」
忍
「全部バレてんなら、遠慮したって仕方ないわよ……貧すれど、心を錦で飾ってればいいのよ」
曹操
「そのぐらいならば良いでしょう。あなた達には借りがあるしね、ただし」
忍
「……何よ?」
曹操
「その分はしっかりと働いてもらいますから、そのつもりでいる事ね」
仗助
「分ぁーてる。お手柔らかに頼むぜ」
曹操
「ふふっ、考えておきましょう……春蘭、秋蘭。戻ります」
夏侯惇・夏侯淵
「「はっ」」
忍
「ふぅ~、何とか取引成功ね」
愛紗
「あれが取引と言えるのかどうか……全てを見通すあの慧眼には、諸手を挙げるしかありませんが」
鈴々
「チビのくせにスゴいのだなー、あいつー」
朱里
「私達が抱える問題を的確に見抜く観察眼。そして全てを受け入れる事の出来る度量……流石に覇王を目指す人ですね」
桃香
「ホントだねぇ~。曹操さんってスゴいなぁ」
愛紗
「……桃香様、感心している場合ではありません。桃香様の理想を実現させる上で、あやつは大きな壁になるやもしれないのですよ?」
桃香
「だけど、どう逆立ちしたって私には勝てそうにないもん。それに理想を実現するにしたって、道は一つだけじゃないよ。きっと」
雛里
「ふふっ……桃香様の仰る通りかもしれませんね」
鈴々
「これぐらいノーテンキな方が、お姉ちゃんらしくて良いのだ」
桃香
「むぅ……そんなにノーテンキかなぁ、私……」
仗助
「愛紗の言いたい事もよく分かるがな。ま、何にせよ俺らが理想を語るには、もう少し実力を養わないと……って訳で朱里」
朱里
「はい?」
仗助
「曹操と共同作戦を展開する間、曹操軍の動きとか、組織の作り方とか出来るだけ情報を集めておいてくれねぇか?」
朱里
「あ、なるほど。それは勿論可能ですよ♪」
仗助
「じゃ、手配してくれ」
朱里
「御意です♪」
桃香
「えっ?えっ?仗助さん、どういう事?」
仗助
「曹操のやり方を真似て……イヤ、勉強させてもらって俺達の今後に役立たせようって事だ」
桃香
「……ああ!うわー、仗助さんあったまいいー!」
忍
「折角の機会を利用するのね」
仗助
「つー訳だ。愛紗、鈴々もそのつもりで頼むぜ」
愛紗
「了解した。曹操軍の強さ、しっかりと分析させてもらおう」
鈴々
「にゃあ~……めんどくさいなー」相変わらずの"らしい"言葉に、苦笑を漏らす仗助と忍。
忍
「まぁそう言わないの。頼むわよ鈴々ちゃん」
鈴々
「仕方ないなー。鈴々、頑張ってあげるのだ」
忍
「はい、アリガト。それじゃ雛里ちゃん、朱里ちゃんと一緒にあちしらに足りない物資の目録を作っておいてくれるかしら?」
仗助
「じゃ、すぐに移動しようぜ。落ち着ける場所に到着したら、目録を連中に渡して物資を受け取って……」
桃香
「新たなる闘いへ、って事だね」
仗助
「オウ!」
この乱が、一体いつまで続くのか―。
それは誰にも分からない。
だけどこの乱を上手く利用出来れば、桃香達は理想に1歩近付く事になるだろう。
……勝ち続ける事。今の彼らに必要なのは、その1事だけなのかもしれない。
攻め落とした陣地に火を放って全てを焼き尽くした後、彼らは曹操の軍と共にその場を離れた。
~仗助視点~
こうして俺達は、曹操軍と共同作戦を行う事となった。
各地に散っている大小様々な黄巾党の部隊を、協力して次々に撃破していく。……と言えば、連戦連勝の精鋭部隊に聞こえるけど、実際のところは集積していた兵糧を焼き払われた上、文字通りの意味で鬼共に兵を喰われて、既に軍という形も保てなくなった黄巾党を掃討するだけの事だ。
それでも義勇兵ばかりの俺達にとっちゃ貴重な体験だったし、桃香達も指揮のやり方なんかを必死になって曹操から盗んでいた。そんなこんなで、ほぼ半年程の間、黄巾党征伐に明け暮れて……桃香達はいっぱしの戦闘指揮官となっていた。
勿論俺らだって例外ではなく、この世界の文化や常識を覚えながら、様々な事を学び、実践し……少しは成長できたと思う。
そんな実感を持ち始めた頃―曲陽という場所で黄巾党の頭領、張角が討ち取られた、という情報が飛び込んできた。
長かった黄巾党の闘いが、これでようやく終わりを告げた―。
キリがいいので、今回はこれにて。