ボンクレーが『ときメモ2』の世界に転生したようです 作:越後屋大輔
その後も忍は、件のスタンドを用いて劉備軍並びに曹操軍の兵士達にも弁当を配った。金の出所は曹操である。
忍
「お金を〇〇ほど出して貰えるかしら?天の食事を振る舞うわ」忍の口八丁に乗せられた曹操は、全員分の代金を気前良く出す。ジャック・バウアーを使い、弁当を購入すると仗助とれんげを連れて届けに再び曹操軍の元へやって来ると、そこに張遼の顔を発見する。
張遼
「お、それがさっきから噂になっとる天の世界の食いモンかいな?」
忍
「張遼!何でアンタが曹操軍に?」
張遼
「……その声は!あん時化けモンと闘ってた奴の1人かい!」
仗助
「ここに全員いるぜ」
れんげ
「それよりご飯持ってきたん、みんなで食べるーん」
張遼
「せやな。食べてからでも話はできるさかい、ほな頂こか」
兵士(モブ)
「このかれえとかいうの、色はともかく食欲をそそる香りだな~」
兵士(モブ)
「揚げた鶏にかかっている白いタレ、たるたるそおす?ってのが良く合うぜ」兵士達は一心不乱に弁当をかっこむ。
張遼
「これホンマ旨いわぁ~。後は酒があれば最高なんやけどなぁ……」円陣を組んだ形で仲良く食事を摂る張遼とゲッターチーム、そのセリフを受けた忍は
忍
「ジャック・バウアー。あちしら20才未満だけど、お酒買えるのかしら?」スタンドに問いながら、金を握らせると入れ替わりにビールを手渡してきた。
忍
「アラ、買えちゃったわ。こっちじゃ成人年齢とか関係ないみたいね」
仗助
「っんじゃ、俺にもくれ」
れんげ
「ウチはジュースがいいのん」
張遼
「何や、酒あるんかいな?」忍が張遼に缶ビールを一本投げ渡す。
張遼
「蓋がないやん。どないして呑めっちゅうねん」
忍
「こうよ」プルタブを開けて手本を見せるとそのまま喉に流し込む、張遼も忍の所作を真似てビールを一口呑んでみる。
張遼
「ウッ!何やこれ?」
れんげ
「ちょーりょーはさっきから『何や』ばっか言ってるんなー」
張遼
「そりゃ言うてまうで。こんなシュワシュワした酒、呑んだ事あらへん!」初めての喉ごしにビックリしまくる張遼を見て、大笑いする仗助と忍。この夜は洛陽への行軍、最後の休息という事もあり、連合軍一同は大いに食べて、呑み明かした。
~同刻、劉備軍~
さて、ゲッターチームが曹操軍と宴会に興じている頃、劉備軍が野営をしている草場の陰に呂布達の姿があった。
呂布
「……セキト」
セキト
「ワンッ」呂布の飼い犬であるセキトが空しそうに小さく吠える。
呂布
「……お腹減ったの?」
セキト
「ワンッ」そうだよ、と言いたげに返事?をするセキト。しかし……
呂布
「……そう。でもね……ご飯、ないの」
セキト
「くぅ~ん……」悲しそうな声を上げるセキトの頭にそっと手を置く呂布。
呂布
「……お腹減ったね」
セキト
「わふっ……」セキトが何かに反応する、呂布の手を離れて駆け出していくと、奇妙なモノを加えて戻ってきた。
陳宮
「それは何なのです?」既に配下の兵達は各方面へと散らばり、今は呂布の元にいるのは陳宮と犬のセキトの2人(?)だけとなっていた。
陳宮
「……何かの入れ物みたいですが……これは!さっきまで食べ物が入っていたようです。セキト、これを見つけた場所へ案内するのです!」
呂布
「……ちんきゅ」
陳宮
「はい!呂布殿」
呂布
「……ドロボーはダメ」
陳宮
「ウッ!分かってはいます。しかし……今のねね達はもう他に生きる手立てがないのです……」
??
「お弁当ならあげるん……」いつの間にか喧騒を離れて、2人のやり取りを聞いていたれんげが新しい弁当を陳宮に渡す。
陳宮
「ムムム……て、敵の情けは受けないのです!」
れんげ
「なら仲間になるん。ウチ交渉しに来たん」
陳宮
「イヤなのです!」意地を張る陳宮、だがすぐにそれもムダになった。
セキト
「キャウン♪モシャモシャ……」セキトが既に地面に置かれた弁当箱に顔を突っ込んで、その中身を貪っていた。
陳宮
「こ、これセキト!勝手に食べては……」
れんげ
「ワンちゃん相手にそんな事言ってもしょうがないん。それより2人も食べるん」
呂布
「……いいの?」
陳宮
「呂布殿!こいつは劉備軍の者ですぞ!何か裏があるに決まってるのです」
れんげ
「……疑ぐり深いんなー。んで、食べたらみんなのトコへ行くん」
陳宮
「食事と引き換えに降伏して、配下になれと?」
れんげ
「ムリは言わないのん。どっちにしろお弁当はあげるん」
呂布
「……ちんきゅ」
陳宮
「呂布殿?」
呂布
「……劉備軍に降る。ドロボーするより、ずっといい」
陳宮
「ウウ、分かったのです」
れんげ
「こーしょーせーりつなんな、ところでこーしょーせーりつって何なん?」ガクッ!ズッコケる陳宮。
陳宮
「意味も知らない言葉を使うなです!」
れんげ
「ウチ、仗助のおっちゃんに『交渉成立させてこい』って言われただけなん」
呂布
「……
れんげ
「?」
陳宮
「呂布殿?こんな奴に真名まで預けるのですか?血迷ってはいけませんぞぉー!」
呂布
「……ねねも」
陳宮
「おおっ?!ねねも真名を預けなければいけませんかー?」
恋
「……それが信頼」
陳宮
「ムムっ……それは分かりますが」呂布改め恋は無言で陳宮を見つめる、恋自身にその気はないが、それが陳宮にプレッシャーを与えている。
陳宮
「分かりました……姓は陳、名は宮。字は公台!真名は……ねねね!」
れんげ
「ねねねねね?言いにくいのん」
陳宮
「ねねね!真名を間違えるなどと、失礼にもほどがありますぞー!」
れんげ
「そんなん言われても、ウチ真名も字もないから良く分からないん」
陳宮
「音!音!音!音が三つで音々音なのです!」
れんげ
「そんじゃねねねんなんな。今度からそう呼ぶ事にするん」
音々音
「それよりお前も名乗るのです!」
れんげ
「ウチ宮内れんげなん。改めまして、にゃんぱすー」相変わらず意味不明な挨拶をかますれんげに
音々音
「……何で劉備軍はこんなけったいなチビを交渉人に選んだのですか?」半ば呆れた陳宮改め音々音は眉間を押さえながら、誰ともなしに呟く。
恋
「……れんげ」
れんげ
「どうしたのん?」
恋
「……お代わり」気が付くと恋は幾つもの弁当を平らげ、空にしていた。
れんげ
「今ので全部なん。みんなんトコ帰ったら、またしのぶんに出して貰うん」
恋
「……じゃ、行く」
音々音
「恋殿ぉ~!待ってほしいのですぅ」恋と音々音を桃香達に引き合わせるれんげ。桃香達は2人を暖かく迎え入れ、互いに真名を預け合った。そして劉備軍にまた、新たな仲間が加わる事になった。
~時間は少し遡り、洛陽城~
??
「
董卓
「……恋さんや
賈駆
「二人共どうやら戦場を離脱したみたい。洛陽に戻ってくるかは微妙かもね」
董卓
「華雄さんは?」悲しそうな目で賈駆に尋ねる董卓。
賈駆
「行方不明だそうよ」
董卓
「……」言葉に詰まる董卓だが、その悲しげな瞳が全てを物語っていた。
賈駆
「ゴメン。連合軍を甘く見ていたのはボクの責任……月、今度こそ洛陽を捨てよう」
??
「ちょっと待った」たちまち城の兵士に囲まれる2人、これを指揮しているのは、既に死んだハズ
張讓
「そう何度も逃げられたら困るんだよ。董卓には反乱を締める為の生け贄になって貰わないとな」
賈駆
「……下衆がっ!」
張讓
「何とでも言え、私は自分さえ助かればそれでいいのさ。お前達、董卓を牢に放り込んでおけ。今度は逃がすなよ」兵士達に告げると下卑た笑みを浮かべ、余裕綽々でその場を去る張讓。
董卓
「……詠ちゃん」目に涙を貯めるものの泣くのを必死に我慢している董卓、それを見るのが何より辛い賈駆だった。
洛陽に到着した連合軍、しかし様子がおかしい。これから攻め込もうというのに、董卓軍は全く動き出す気配がない。
曹操
「ふむ……この静けさはどういう事かしら?」目ざとい曹操がこれに気付かぬハズもなく、怪訝な顔で洛陽城を睨む。
夏侯淵
「どうかされましたか?」夏候淵が問うと、
曹操
「洛陽に来たのに、何も起こらない……気にならない?」
夏侯惇
「そういえば……動きがありませんな」
曹操
「気になるわね……霞」曹操は自軍に配下ごと取り込んだ張遼を呼びつける。
張遼
「ん?何?」
曹操
「董卓軍の内部事情を説明してくれるかしら?」
張遼
「内部事情?……内部事情なぁ……」言い淀む霞。
夏侯惇
「どうした?まさか『昔の仲間を売るのはイヤ』とでも言うんじゃないだろうな?」
張遼
「そら仲間を売るのはイヤや。けどウチかてアホやないんやから、今の主人に不利になるような事はせんわい」
夏侯惇
「なら、何を躊躇しているのだ?」
張遼
「内部事情ってモンがないから、何を言うてええのか分からんねん」
曹操
「内部事情がない?」
張遼
「せや。元々、董卓は涼州でノンビリ暮らしてた。せやけど、前の帝位継承争いの時に、董卓の軍事力を利用しようとした張讓に騙されて、洛陽に進駐する事になってん。その時に諸侯……というよりも、張讓と対立していた何進の片腕、袁紹と袁術にハメられて、いつの間にやら洛陽を占領した悪人に祭り上げられてもーたって訳や。んで、気付いたら諸侯連合が出来てて。降りかかる火の粉を払おうとして、氾水関、虎牢関に兵を容れて……って感じやからな。内部事情云々なんて殆どあれへん。そもそも、董卓の傍にいる人材らしい人材っちゅーたら、呂布を筆頭に、陳宮やろ、ウチやろ、んでもって猪の華雄に軍師の賈駆ぐらいや。賈駆は董卓を愛しとるから、反乱なんて絶対に起こさん。これは保証するわ……他の奴らは、逃げるなり、戦死するなりしとるからなぁ……」
曹操
「ふむ……内部に混乱や波乱が起こる可能性は少ないという事か」
張遼
「そういうこっちゃ。唯一考えられるんは……」
曹操
「洛陽を捨て、涼州へ帰るか……董卓にとってはそれが幸せかもしれないわね」
張讓
「帰れるんやったらな……」
曹操
「どういう事?」
張遼
「これは箝口令が下っとったんやけどな……もうウチには関係ないから言うわ。張讓の奴、生きとるで」
曹操
「何ですって?!」ここに荀或がわって入り、こう進言する。
荀彧
「しかし華琳様。世論は既に董卓を悪とし、連合を善としています。もはや涼州へ帰れたとしても全てが終わるという段階ではないかと」
曹操
「そうね……茶番とはいえ、何らかの終幕を迎えなければ劇にもならない……董卓はこの茶番を終わらせる贄となる、か」
夏侯淵
「どこまでも追いかけられて、ですか……不憫ですな」
曹操
「不憫であれど、それは自らの不明によって招かれた事……同情の余地はないわね」一見冷たく言い放つ曹操、だが、これも乱世故である。ところで、この会話を1人盗み聞きしている者がいた。
忍
(そういう事だったのね……張讓、アンタはあちしが絶対に許さない!何としても董卓ちゃんを助け出してやるわ!)曹操の頭上を飛んでいた一匹の蜂が劉備の元へ去っていった。
忍が張讓にムカついてるのは、今回の他にも訳があるみたいです。