ボンクレーが『ときメモ2』の世界に転生したようです   作:越後屋大輔

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前回から一週間以上のブランクを経て、やっと本編更新です。


第二十一席華雄、保護を求めるのこと

愛紗

「何事だ?!」

兵士(モブ)

「ただいま城門に元董卓軍の……か、華雄殿が!」

仗助

「何っ?」

れんげ

「あいつ生きてたんなー」

「それで、州牧就任のお祝いでもしてくれるのかしら?」

兵士(モブ)

「いえ、それが結構な数の兵を引き連れ、劉備様に保護を求めていらっしゃるのです!」

桃香

「ほ、保護?!」

鈴々

「何かあったって事かなー?」

仗助

「さあな。とにかく華雄から直接聞こう……ここに通してくれ」

兵士(モブ)

「はっ!」

桃香

「華雄さんが保護って……どういう事だろう?」

「あの闘いの後、何かあった。そういう事でしょうな」

「今は華雄に事情を聞きましょ」推察でモノを言う事に危険を感じた忍は皆の発言を一時的に制止して、華雄が来るのを待った。

 

 やがて、兵士に先導された華雄が、彼らの前へとやってきた。

桃香

「華雄さんっ?!その姿は?」紫に飾られた鎧のところどころに、黒い煤や赤い返り血を認めた桃香が華雄に走り寄る。

華雄

「ううっ、劉備……すまん。かつての敵に頼るのは癪だが、今の私はここで死ぬ訳には……」

桃香

「仗助さんっ!」

仗助

「……分ぁってる」クレイジー・ダイヤモンドで華雄の傷を治す仗助、連れていた負傷兵は城の全員で治療に当たっている。

賈駆

「華雄!無事だったの?」

「華雄さんっ!良かった……」話を聞いた月と賈駆が駆け込んできた、怪我が回復した華雄は死んだと伝えられていた元主君の姿に驚く。

華雄

「賈駆か?……それに董卓様!連合軍に処刑されたのでは?」

「この人達のお陰で助かったの」ゲッターチームに顔を向ける月。そこまで聞いた華雄は月の手を取り、感激のあまり目から涙が溢れる。

華雄

「……董卓様。よくぞご無事で……」

「……華雄さん、私はもう太守の地位も、董卓の名も捨てました。これからは真名の月で呼んで下さいね」

華雄

「はっ。しかしそうなると処刑されたのは一体……?」

仗助

「張讓を身代わりにした」

れんげ

「自業自得なん」

「まあ、その件に関しては追々話すとして……何があったの?」

華雄

「……あの闘いの後、私は部下達と、流れ者として当てのない旅暮らしをしていた。そしてある山岳地帯で突如、鋭い角と巨躯を持った怪物に襲われた……部下の何人かは私を逃がす為に犠牲になり、命からがらここまでやってきた訳だ……情けないだろ?」自嘲する華雄を嘲笑ったり、軽蔑する人間はここには誰もいなかった。

仗助

「……華雄。そこまで案内しな」

「仇ならとってやるわよ」

れんげ

「鬼なら任せるーん」華雄は目をパチクリさせて

華雄

「本気か?」信じられないといった表情を見せる。

桃香

「この人達なら大丈夫だよ」

愛紗

「言わば鬼退治の専門家だ」

仗助

「そういうこった。すまねえが、奴らが出てきたとなると一刻の猶予もねえ」

れんげ

「……おっちゃん、華雄は疲れてるん。ムリさせちゃダメなのん」

華雄

「イヤ、死んだ部下の無念は晴らさねば。それに董……月様の命の恩人とあらば、断る理由などない!奴を倒す為なら何でもする」

「人里に降りてきたら一大事よ。さっさと始末しないと……とにかく行ってくるわ」

鈴々

「行ってらっしゃいなのだ!」

「武運を祈っているぞ」

仗助

「オウ!」華雄を連れて鬼退治に向かうゲッターチーム、残された桃香達はさっきまでの話をまとめていた。

朱里

「それじゃさっき言った通り、基本方針を忘れずに内政をしていきましょう……皆さん、宜しくお願いします」

愛紗

「了解した」

「御意」

鈴々

「応なのだ!」

雛里

「はいっ!」

桃香

「おーっ!」話の輪に月と賈駆が入ってくる。

「……私にも何か出来る事があれば、お手伝いさせて下さい」

賈駆

「し、しょうがないから、一緒にやってあげるわよ」

「相変わらず素直ではないな。賈駆」

鈴々

「そんなんだかられんちょんが『賈駆は何が言いたいのかよく分からないん』って混乱するのだ」れんげにしてみれば、ツンデレも只の変人である。

賈駆

「うっさいわね!」一頻り大笑いする桃香達だった。

 

華雄

「な、なんだこれはぁーっ!」ゲッターチームを鬼の襲撃を受けた場所へ案内する事になった華雄はイーグル号に同乗していたが、今まで体験した事のないそのスピードにパニクっている。

仗助

「あんまり叫んでると舌噛むぜ」

「それで、この辺りかしら?」ようやく落ち着いた華雄が、未だ息を乱したままで告げる。

華雄

「……ハァハァ、ここだ。ゼィゼィ……間違いない」一見すると影も形もないと思ったが、途端に地面が盛り上がり、黒い肌の鬼が姿を現した。

れんげ

「チェンジ、ゲッター3!一気に決めるん!」パンチの連打、前回の闘いで失敗したタックル&踏んづけ攻撃を食らわすと

れんげ

「オープン・ゲット!」

仗助

「チェンジ、ゲッター1!バトルウィングッ!」ミキサーの要領で、敵の外周を回転しながら背中の翼を立てて切り刻む。

仗助

「オープン・ゲット!」

「今回はあちしがトドメを刺すわよ!ドリルハリケーン!」左手のドリルが発生させた竜巻に呑み込まれ、そのまま躯が雲散霧消する鬼。

華雄

「う、嘘だろ……あの化け物をこんなアッサリ倒すとは……」唖然とする華雄に対して

仗助

「あ~終わった終わった♪」

れんげ

「一暴れしてスッキリしたん♪」

「そんじゃ帰りましょ♪」あくまでマイペースなゲッターチームに華雄の開いた口はしばらく塞がらなかった。

 

 ~その頃、孫策軍~

 

周瑜

「雪蓮。今、間者から情報が……」

孫策

「袁術が劉備の国に攻め入ろうと、城を出たって事でしょ?」

周瑜

「……どうして知ってるのよ?」

孫策

「だって私達を監視してる間諜の数が、昨日から大幅に増えてるもの」

周瑜

「……ホントに?」

孫策

「気付かなかったの?多分、予防線を張ってるんでしょうね」

周瑜

「……はぁ。貴女の軍師をやっていると、どんどん自分が無能だって思えてくるわ」

孫策

「そんな事ないってば……だって冥琳は私に動き方を教えに来てくれたんでしょ?」

周瑜

「そこまで見透かされてると、腹が立つ以前に呆れるしかないわね」

孫策

「うふふっ、私ってば天才だしー♪」

周瑜

「自分で言わないの……それよりも。この好機を逃さず、私達も動きましょう」

孫策

「いよいよ反撃開始って事ね」

周瑜

「ええ。各地に散らばる呉の旧臣には、既に早馬を出しておいたわ。この動きに必要なのは、拙速とも言える速さよ」

孫策

「了解。じゃあ冥琳は祭達に召集を掛けておいて。私は興覇と共に間諜共を皆殺しにしてくるから♪」楽しそうに物騒なセリフを吐く孫策、しかしこれも戦国の世の所以であろう。

周瑜

「貴女自身が行かなくても……」

孫策

「うふふ……こんな楽しい事、他人(ひと)に譲りたくないの。いいわよね、冥琳?」

周瑜

「……分かったわ。じゃあ実務の方は私が準備する。いつでも出られるようにしておくから、気が済んだらすぐに戻ってきて」

孫策

「はいはい。じゃあ、冥琳。また後でね」

周瑜

「ええ」

 

 ~同じ頃、袁術軍~

 

袁術

「七乃ぉ。まだ劉備はやっつけられんのか。妾は暇で仕方ないのじゃが」年齢の頃は鈴々や朱里と大差ない、いかにも我が儘そうな少女が呟く。よりによってこれが袁術である。

張勲

「流っ石にそんなのムリですねー。城を出たのってちょっと前じゃないですかー。劉備の元にはあんな恐ろしい化け物を相手にする連中もいますし、そんな簡単には倒せませんよぉ~」袁術付きの軍師で、お守り役の張勲(ちょうくん)こと七乃が能天気に返事をする。

袁術

「そりゃそうじゃが。妾はこんな砂っぽいところはイヤなのじゃ。お風呂に入りたいのじゃ!」

張勲

「もぉ~。そんな我が儘言わないで、もうちょっと我慢して下さい~」

袁術

「むぅ……誰ぞ、蜂蜜水を持ってくるのじゃ!」

兵士(モブ)

「……はっ!」袁術軍兵士の1人は返事をしたものの、その顔には《付き合いきれん》と言いたげな様子がありありと出ている、尤もこのおバカ2人がその表情を読み取れるハズもない。

張勲

「あんまりお水を飲むと、お腹イタイイタイになりますよ?」

袁術

「むっ……い、良いのじゃ。妾の腹はそんなにヤワではないのじゃ」

張勲

「ふーん。なら別に良いですけど~」

袁術

「……それより七乃よ。劉備に宣戦布告をせんでも良いのか?」

張勲

「あ、それなら大丈夫です。私達がお城のすぐ近くに姿を現した時に、使者が宣戦布告をする手筈になってますから」

袁術

「なんじゃと!……素晴らしい作戦じゃな」完全に不意打ちを狙っている、いわば武人にあり得ない行為だが

張勲

「でしょでしょー?やっぱり卑怯なのは良くないですからねー♪」

袁術

「そうじゃそうじゃ。卑怯なのは良くない。正々堂々とせんといかんのじゃ」

張勲

「ですよねー?せーせーどーどー!」

袁術

「うむ!せーせーどーどーじゃー。うははー!」

 

 その後、桃香達の待つ城に帰ってきたゲッターチームは、疲労と驚きでグッタリした華雄を休ませる。

桃香

「……華雄さんは?」

朱里

「しばらくお休みになられてましたが、今は目を覚まされていますよ。お呼びしましょうか?」

仗助

「ああ。呼んでくれると助かる。今後の事も相談しておきてえし」

朱里

「了解です。では」

「仗助、華雄に話?」

仗助

「おう。仲間になってくれんなら、華雄にどんな仕事を任せれば良いのかとか。その辺り、相談しながら決めねえとな」

「猪な部分は否めないが、兵の士気を高めるにはああいう将も必要だろうな」

??

「おいおい、みんな。私の事を忘れてないか?」

桃香

「白蓮ちゃん?」

白蓮

「……その様子だとスッカリ忘れていたみたいだな」

れんげ

「パイパイはそういう運命(さだめ)なのん、詳しくは原作かアニメを見てほしいん」

白蓮

「パイパイって……何を言ってるのかも理解できないな」

「れんちょん。メタなセリフは禁句よ」

「まあまあ。白蓮殿は、軍事も内政もこなせる稀少な戦力。あまり臍を曲げんで頂きたい」

仗助

「ああ、どっちも普通に回してくれんだろうな」

愛紗

「うむ。普通にこなしてくれるだろうな」

桃香

「だね。普通にねー」

鈴々

「ふつーふつー」

白蓮

「ふ、普通普通連呼しないでくれ……ちょっとヘコむじゃないか」

れんげ

「ふつーの何がいけないん?」

白蓮

「……うっ、それは……」れんげの正論に白蓮が言葉を詰まらせていると、そこに戸を叩く音がする。

仗助

「入ってくれ」そこには目を覚ました華雄がいた。さっきに比べて顔の血色も良くなっている、もう心配ないだろう。

仗助

「もういいのか?」

華雄

「うむ。おかげさんで体力も回復した。鬼とかいう化け物に殺された部下の弔い合戦も出来たしな。それで私に話とは?」

「……それで、アンタはこれからどうするか、当てはあるの?」

仗助

「なけりゃ俺達の仲間になんねえか?」

華雄

「……そうだな。私で良いならお前達の下に加えて貰えるか?」

鈴々

「それって、つまり鈴々達の仲間になるって事かー?」

華雄

「仲間というか、私は臣下の礼を……」

れんげ

「そんなん要らないん。家来とかじゃなくて仲間がいいのん、ダメなん?」れんげはややガッカリしたような目を華雄に向ける。

華雄

「……それで良いのか?」

仗助

「良いも悪りぃも……便宜上は主従になるけどよ、俺達も桃香達も実際、そんな風に思っちゃいねえ。だからお前ぇの事も家臣じゃなくて、仲間として迎えたい」

華雄

「……クックックッ……変な連中だな」苦笑する華雄。

「変かしら?」

桃香

「変じゃないよねぇ~?」

れんげ

「普通なんなー」

愛紗

「他と比べれば些か変ではあるがな」

「私達は桃香様にもっと主らしくして頂きたいのだが、ご本人はそういうのがお嫌いなようでな」

鈴々

「でも鈴々は今みたいのが好きなのだ!」

桃香

「だよねだよね?それじゃ、気にしなくても問題なーし♪」

「簡単ねぇ」

華雄

「……全く。面白い連中だ。では私もその仲間に入れてもらっても良いか?」

仗助

「オウ!」

桃香

「勿論だよ」そして、華雄を含めた全員で今後の方針を改めて語り合う。そこへさっきより更に慌てた様子でまたも兵が飛び込んできた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




・原作との違い
ここで桃香達の下へ現れるのは白蓮→既に白蓮は仲間になっているので、本来出番がない華雄が現れる。
どうでもいいけど、華雄と鈴々も中の人が同一人物(原作から)です。そこでおまけ話に入れようと思いましたが、本編で2人は闘っているのでボツになりました。

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