ボンクレーが『ときメモ2』の世界に転生したようです 作:越後屋大輔
陸上部の夏合宿三日目、この期間中は部員が当番制で食事を用意するんだけど今日の晩ごはんは光ちゃんが担当しているのよ。だから周りには気付かれないようにしているけど今日のあちしは気も漫ろ、練習にも一段と気合いが入る。
その日の練習が終わって光ちゃんの美味しい手作り晩ごはんが部員みんなに振る舞われた。このまま今年の合宿もつつがなく終わる、そう感じていた、まさかあんな事が起こるなんてこの時のあちしは知るよしもなかったわ。
「藤ぴ~」美幸ちゃんがあちしを呼び止めた。この合宿所は帰宅部以外の生徒全員が寝泊まりしている、だから彼女に会うのも不思議じゃない。
「あ~の~ね~、美幸ね~、パ○コ持って来てるの~。一緒に食べよう~」アイスとかお菓子の持ち込みは禁止でしょ?先生に見つかったら大目玉よ。と、心中で突っ込むけどふと何かが引っ掛かる。
「よく見つからなかったな」冷蔵庫にコッソリ入れておくの難しいハズよ、ひびきの高校はその辺は結構厳しめなのよね。
「ウン、ずう~っとバッグに隠しておいたからね~」オイコラ、ちょっと待ちなさいよ。
「じゃ溶けてないか?それ」
「ガーン!」イヤ、声に出されてもあちしにはどうしようもないわよ。
「うぅ…せっかく藤ぴ~と食べようと思って頑張ったのにぃ」この娘頑張る方向性がズレてるわね。
「溶けてたっていいさ。見つからない内に食っちまおうぜ」つーか飲むんだけどそこは気にしちゃダメな気がするわ。
「アリガト~、藤ぴ~優しいね。小学生の頃思い出すなぁ」
「小学生の頃?」
「駄菓子屋で買ったお菓子、犬に盗られちゃってね。美幸が泣いてたら同じくらいの年齢の男の子が自分のを半分分けてくれたんだぁ」アラ、身に覚えがあるわ。
~回想シーン~
「オバチャ~ン、宇宙アイドルラブラブスターチョコちょうだ~い」
「あちし、じゃなくて僕超戦士ドラゴンチョコ~」
「ワンワン!」
「あっ!」
「え~ん、ラブラブスターチョコ盗られた~っ」
「僕の半分あげるよ」
~回想シーン終わり~
そんな事あったわね。今まですっかり忘れてたわ、あの時の女の子って美幸ちゃんだったのね。
「それって宇宙アイドルラブラブスターチョコじゃないか?」念の為、確認するあちし。
「えーっ!何で藤ぴ~が知ってるのォ?」
「多分その男の子、俺だから」人間って意外なトコで繋がっているのね。この日から美幸ちゃんがやたらあちしに懐いてくるようになって光ちゃんがご機嫌ナナメになるんだけどその事は語らないわよ。
ひびきの市の花火大会が近づいた。この日も土曜日だけどバイトは早上がりさせてもらう事にした。だって光ちゃんにお誘いを受けちゃったもん、茜ちゃん達には悪いけど後は3人で頑張ってもらいましょ。
光ちゃんがあちしを連れに家に来た、浴衣姿も素敵ね。
「早く花火見に行こ」
「ちょ、光っ。引っ張るなって」バイト帰りのあちしはほぼ着の身着のまま光ちゃんに腕を引かれて河川敷にやってきた、そしてその細い腕をあちしの脇に押し込むように絡める。
「あっ花火が上がるみたい」
Hyu━━━━━Do.Don!Pack.Parn!
「花火ってさ、見てると胸がドキドキしてくるよね」その一言を聞いたあちしの心に一瞬、悪魔が忍び寄る。
「よし、俺が確認してやろう」って、何言ってンのあちしったら!あぁこりゃ絶対嫌われたわね。
「…いいよ、何てね。そんな訳ないでしょ、忍君のエッチィ、もしかして期待しちゃった?」すいません、思いっきり期待しちゃいました。でもまあ、冗談半分に執ってくれて助かったわ、これが水無月さんとかなら本気で怒るわね、多分。
ン?佐倉さんじゃない、一人で花火見物にきたみたいね。何やら慌てて引き返して行ったけど何かあったのかしら?