ボンクレーが『ときメモ2』の世界に転生したようです 作:越後屋大輔
愛紗
「馬超……聞いた事がある……もしかしてあの
馬超
「おっ。あたしって結構有名なんだな」
愛紗
「ああ。旅人達が噂していた。見目麗しく、義に篤い西涼の姫。その槍捌きは白銀の流星と謳われ、一騎当千の強さを誇る……と」
馬超
「う!そ、それは言い過ぎだと思うな……背中が痒くなってくる」頬を赤く染める馬超に、愛紗は穏やかな笑みを称えて続ける。
愛紗
「民が謳うという事は、それだけ実力があるという事だ……錦馬超。貴女に逢えて嬉しく思う」
馬超
「そ、そうか?そりゃ良かった、ははは……それよりさ、あたしの事は良いから、あんたの名前、教えてくれよ」
愛紗
「我が名は関羽。字は雲長。徐州州牧劉備が一の家臣にして、彭城の青龍刀」
馬超
「関羽っ?!あんたがあの有名な、
愛紗
「び、美髪公?なんだそれは……そんな呼び名は初めて聞いたのだが」
馬超
「西涼では既に伝説扱いだぞ?艶やかな黒髪をなびかせ、悪を討つ正義の武将。その槍は闇をも切り裂く……って」
愛紗
「ううむ……私の知らないところでそのような事が言われていたとは……」今度は愛紗が照れてうつむき勝ちになる。
馬超
「有名人にはよくある事さ……それにしても、徐州にいるハズのあんたが、どうしてこんなところにいるんだ?それも軍隊を引き連れて」
愛紗
「……色々と事情があってな。しかし馬超殿こそどうしたのだ?西涼に居るハズの貴女が、少数とは言え兵を引き連れて益州に居るとは」
馬超
「こっちも色々と事情があるんだよ」
愛紗
「そうか……」
馬超
「……話、進まないな」
愛紗
「そうだな」
馬超
「腹の探り合い……やめないか?」
愛紗
「……ふふっ、そうだな。私も相手の腹を探るような交渉は出来ん。素直に。状況の説明をしよう」
馬超
「それはあたしもかな……こっちも素直に状況を説明するよ」
愛紗
「うむ。まず私達の状況だが……徐州を曹操に奪われてしまった」
馬超
「なにっ!曹操?!」
愛紗
「ああ。大軍団に国境を突破されてな……劉備様と劉備様を慕う民達と共に、この益州へと落ち延びてきたという訳だ。益州は横暴な太守により民は苦しみ、国内が乱れに乱れていると聞いていた。だから……」
馬超
「ぶんどっちまおうって訳か」
愛紗
「言葉は乱暴だが……飾っても意味はなしか……お主の言う通りだな」
馬超
「……そうだったのか」
愛紗
「ところで、そちらの事情は?後ろの部隊の中には馬騰殿の牙門旗は見えんようだが……」
馬超
「……馬騰は……死んだよ」
愛紗
「なにっ?!西涼の象徴とまで言われた、あの馬騰殿が……?」
馬超
「ああ……心の臓の患いに倒れてアッサリとな……豪傑な親父も、病には勝てなかったらしい」
愛紗
「……そうなのか」
馬超
「親父が死んで、一族は統制が保てなくなって西涼に内乱が起きて……あたしは親父の代からの少数の部下と一緒に逃げて逃げて……気がついたら、益州に入ってた……」
愛紗
「……これからどうするのだ?」
馬超
「分からないよ……今はとにかく糧食が足りないんだ。関羽殿。少しでも良い……何とか都合してくれないか?」
愛紗
「……それは無理だ。我らも流浪の身。この先どうなるか分からん」
馬超
「そっか……はは、やっぱりそうだよなぁ」
愛紗
「すまん……」
馬超
「良いんだ。あたしの方こそ無茶な事言ってごめんよ。でも……この先どうするかなぁ……はぁ……」困っている馬超に愛紗は1つの提案を持ちかける。
愛紗
「なぁ、馬超殿よ……もし行く宛がないのならば、我らのところへ来ないか?」
馬超
「へっ?」
愛紗
「我らの盟主、劉玄徳の下で働かないか?……そうしてもらえば食料も融通する事は出来る」
馬超
「食べ物と引き替えに、あたしを部下にするって事か?」
愛紗
「確かに形式上はそうなるかもしれないが……我らのところは、そういうモノではなくてな」
馬超
「どういう事だ?」
愛紗
「百聞は一見にしかず。口で説明するより一度、我らの主に会って話を聞いてみて欲しい。そのあとで、決めて貰えば良い」
馬超
「安売りする気はねーぞ?」
愛紗
「当然だ。馬超殿ならば、仕官の先は幾らでもあるだろう。だが……願わくば、我らに力を貸して欲しいと。私はそう思う」
馬超
「……分かった。じゃあ話を聞かせて貰うよ」
愛紗
「うむ。……それでは案内しよう。我らが主、劉玄徳様の下へ……」
音々音
「最初からこうしていれば、もっと楽に移動出来ましたぞ」長坂橋の闘いで荷車を解体してしまった為、渡ってしばらくしてから民間人の荷物はゲッターが抱え、鈴々と呂布と音々音をそれぞれのコクピットの脇に乗せて、一路益州を目指していた。
仗助
「そう言うなよ。こいつは使い方次第じゃあ、大陸を丸々沈めちまうぐらい危険な代物だぜ」
忍
「曲がりなりにも兵器だもの。今回は特別よ」
れんげ
「その割には畑耕したりしてるんなー」
仗助
「……余計な事言うな」
鈴々
「それにしても……随分ゆっくりなのだなー。もっと速く歩けないのかー?」民間人の歩幅に速度を合わせてゲッターを進めていた仗助達に鈴々がボヤく。
忍
「ダメよ。ただでさえ疲労している民間人に全力疾走させる気?」
恋
「……みんなを担いで走る、とか?」
仗助
「振り落としちまうだろ……?」
れんげ
「みんな死んじゃうんよ?」
音々音
「安全第一ですな」
鈴々
「でも……あんまり遅いと桃香お姉ちゃんが心配するのだ……」
忍
「しょうがないわよ。それにこのまま何もなければ、今夜中には益州に入れるわ」
恋
「……我慢する」そして、忍の言葉通りに夜の内に益州に入った一行。
桃香
「仗助さんっ!」戻ってくるまでずっと気が気でなかった桃香は無事な姿の仗助に抱きつく。
仗助
「うわっと?!桃香っ!」
桃香
「仗助さん、仗助さん、仗助さぁ~ん……!」
仗助
「……ただいま、桃香」胸の中に飛び込んできた桃香の頭を、仗助はゆっくりと撫で付ける。
仗助
「心配かけてスマン……けど、約束通り、ちゃんと戻ってきたぜ」
桃香
「うん……うん……良かったよぉ……!」
仗助
「泣きすぎだ……」そういう仗助も若干目を潤わせている。
桃香
「ぐすっ……ごめん、でもね、嬉しくて……」
仗助
「ああ。俺も無事にみんなに会えて嬉しい……お疲れさん、みんな」
星
「お主こそ……それに鈴々、恋、ねね……ご苦労だったな」
鈴々
「もーまんたぁいなのだ!」
恋
「……《コクッ》」
音々音
「まぁこれしきの事、ねねにとっては朝ご飯前ですからのー」
星
「ふっ……頼もしい事だ。ところで再会の感動に浸っているところすまないのだが……」
仗助
「ん。今の状況の説明、よろしく頼む」
朱里
「はい。現在、私達は益州の国境近くにある、このお城に入城してます。そちらは速やかに、そして穏やかに進みました……思った以上に州牧である劉璋さんから人心が離れているという事でしょう」
忍
「戦闘にはならなかったの?」
星
「城内の住民達が諸手をあげて歓迎してくれた……もはや劉璋を認める者は居ないのかもしれん」
忍
「なるほどね……」朱里から現状報告を受けながら、ゲッターチームはある事に気付いた。
れんげ
「愛紗姉ぇと雛りんはどうしたのん?」
朱里
「愛紗さんと雛里ちゃんは、北方に現れた謎の部隊の確認に向かっています……定期報告の伝令は届いているので、まだご健在ではあると思いますが……」
桃香
「そうか。そういえば帰ってくるのが遅いね?」
星
「うむ……私が部隊を率いて迎えに行こうか」
??
「その必要はないぞ」
桃香
「愛紗ちゃん?!」
愛紗
「ただいま戻りました、桃香様。そして……お帰り、仗助、忍、れんげ」
忍
「ん。ただいま」
れんげ
「ただいまなーん」
仗助
「ただいま……約束通り、帰ってきたぜ」
愛紗
「ああ。信じて……いたぞ?」
れんげ
(何か妙な間があったん……)
忍
(不粋な事言わないの。れんちょん)
仗助
「愛紗が信じてくれていたから、ちゃんと戻って来れたんだ……ありがとよ、愛紗」
愛紗
「そんな事……無事で、なによりだ」潤んだ瞳を浮かべた愛紗が、仗助の胸にコツンと額を当てる。その愛紗の肩を抱きながら、仗助は労いの言葉をかける。
仗助
「愛紗も無事で何より……謎の部隊を確認しに行ったって聞いたぞ。ご苦労だったな」
愛紗
「あ……肝心な事を忘れてた」
星
「うむ……で、接触は出来たのか?」
愛紗
「出来た……部隊を率いるのは、世に名高い錦馬超だ」
鈴々
「おおっ?錦馬超って、その槍、白銀の流星の如く……とかって言われてるあの錦馬超ー?」
朱里
「でも、その錦馬超さんがどうして益州に?確か涼州州牧で元連合軍総大将、馬騰さんの娘さんじゃありませんでしたっけ……?」
??
「馬騰は死んだ。病に倒れてな」
愛紗
「馬超。待っていてくれと言ったハズだが……」
馬超
「あまりにも遅かったからさ。何か揉めてんのかと思って……ごめんな」
桃香
「ううん。大丈夫だよ……貴女が馬超さんだね。私は劉備。字は玄徳!よろしく♪」
馬超
「よ、よろしく」
星
「それで……その錦馬超がどうしてここに?」
馬超
「……身内同士の権力争いに負け、行き先もなく流浪している途中で関羽に会ってね」
愛紗
「勝手ながら我らの仲間にならないかと勧誘したのです。その為に一度、我らの主に会って欲しいと」
桃香
「そっかー……って、ええっ?!私に?!……私に会ってどうするの?」
愛紗
「どうって……自分の主に相応しいか判断する為にですよ。だから桃香様、少しはしゃんとしていて下さいね」
桃香
「う、うんっ!」愛紗の言葉に反応した桃香が、すぐさまシャキッと背筋を伸ばす。
星
「まぁ今更遅いとは思うがな」
愛紗
「……だな」
桃香
「ううっ、しょぼーん……」
れんげ
「……しょぼーんって、ホントに口に出して言う人、初めて見たのん」
忍
「ふふっ、ま、そういうにも含めての桃香ちゃんなんだから仕方ないわよ」落ち込んだところにれんげにトドメを刺された桃香をフォローしながら、忍は馬超と名乗る少女に自己紹介する。
忍
「あちしは藤崎忍。字と真名はなし。一応、劉備軍の客将みたいなモノをしてるの……よろしく」
仗助
「俺ぁ東方仗助。以下同文」
れんげ
「にゃんぱすー。ウチ、宮内れんげって言うん」
馬超
「……あ、あ、あ」
仗助
「……?どうかしたか?」
馬超
「イヤ、あ、あ、あ、あの、その……」
??
「クスクスッ、お姉様ってば、男の人に慣れてないから、お顔真っ赤にして恥ずかしがっちゃってぇ~♪」声の主へ目を向けると13才ぐらいの少女が、馬超にニヤケ顔で見ている。
馬超
「た、たんぽぽっ!余計な事言うな!」
??
「えへへ、はーい、ごめんなさーい♪」少女は馬超に嗜められるも、あまり堪えてないようだ。
愛紗
「馬超、この娘は?」
馬超
「ん?ああ、こいつは馬岱。あたしの従妹だよ」
ここから話は飛んで、曹操の城。長坂橋の闘いの後、匠は夏候惇、夏候淵に羽交い締めにされて曹操の座る玉座に平伏させられていた。
曹操
「……時に匠。あなた、張飛と闘って負けたそうね」
匠
「は、はいっ!……面目次第もございません……」
曹操
「別に良いわ。その件であなたを責めようとは思ってないの。寧ろ他の二人と違いその魏への忠誠心、天晴れよ」
匠
「あ、ありがとうございます!」
曹操
「それで、あなたに相棒を付けるわ。今後はその者と行動を共になさい」
匠
「はっ、慎んでお受け致しますっ!」
曹操「よろしい。で
貂蝉
「はぁ~い❤ア~ラァ~ン、貴方が匠ちゃんねぇ。ア・タ・シ・貂蝉よぉ。ヨロシクねん♪」曹操に呼ばれて現れたのは色黒でマッチョ、スキンヘッドで後ろ髪だけをツインテにした、ビキニパンツ一丁のオカマだった。パチッ♪匠にウィンクしてきた。あまりの不気味さに青褪める匠。
匠
「うっ!ば、化け物ぉぉぉーっ!」
貂蝉
「キャッ♪アタシ好みな可愛い子❤」
匠
「そ、曹操様ぁ~?」
曹操
「……二人仲良く戦果をあげなさい。期待してるわ(苦笑)」
匠
「そんなぁ~!助けてくれぇ~!(泣)」
貂蝉
「ィヤンもう。照れちゃってぇ❤」逃げようとした匠だが貂蝉の鍛えられた腕に捕まり、そのまま抱き締められて
ブッチュウ~ッ熱烈なキスをされる。哀れ、匠はこれから禁断の世界に足を踏み入れるハメになるのだった。
……最後、某海老名さんが大喜びしそうな展開に……(^_^;)?