ボンクレーが『ときメモ2』の世界に転生したようです   作:越後屋大輔

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袁紹のおバカっぷりがよく分かるお話。といっても、作者のオリ展開ですが。
馬岱ことたんぽほですが、以降は漢字で『蒲公英』とします。


第三十三席袁紹、泥棒を計画するのこと

 ~ここで時間は昼頃まで遡る~

 

 八の字に開かれた城門をくぐり、桃香達は黄忠の居城へと入城した。

仗助

「何とか一息吐いたってトコだな……朱里、部隊の状況はどうなってんだ?」

朱里

「傷兵の手当を優先して行っています。無事な人はご飯を食べてますね。あと、後方から交代要員が来る事になっています」

桃香

「それじゃ今日は進軍はこれにて終了、かな?」

雛里

「はい。曹操さんに追われてからこっち、兵隊さん達に休息の時間はありませんでしたから、この辺で大休止をとった方が良いかと思います」

愛紗

「しかし、のんびりしていては、成都への道を塞がれる事にならないか?」

朱里

「確かにそれはあります……けど、疲れたままで進軍するのは大怪我の元です」

「それもそうね……じゃあ1日だけ休みを取って英気を養いましょ。あちし達は兵達が休みを取っている間に、次の闘いに向けて作戦を練る……そんな感じでどうかしら、桃香ちゃん」

桃香

「問題なーし♪……でも、次の闘いってどこになるの?」

白蓮

「成都までの道のりを考えると……巴郡(はぐん)江陽(こうよう)巴東県(ばとうけん)辺りになるかな?」

朱里

「その三つの進路が妥当でしょうね……でも紫苑さんの意見も聞いてみたいです」

桃香

「あ、そっか……聞いても良い?」

紫苑

「何なりと」

愛紗

「先ほど白蓮殿があげた三つの進路。その内、どの進路が与しやすいのだ?」

紫苑

「そうね……与しやすさだけで言うのならば、江陽と巴東の二つかしら」

「その言い方だと、巴郡には強敵が居るという事だな」

紫苑

「ええ。でも……桃香様にお勧めするのは、その巴郡かしらね」

仗助

「ん?でも巴郡には強敵が居んだろ?ならそこは避けた方が良くね?」

紫苑

「強敵だからこそ、桃香様に引き合わせたいのです……巴郡城主厳顔に」

桃香

「引き合わせるって……その人も仲間になってくれるって事?」

紫苑

「はい。元々懇意にしていた間柄ですから。説得の仕方によっては分かってくれると思います」

愛紗

「説得で済むのならば、確かに江陽や巴東を()くよりも早いかもしれんな」

紫苑

「いいえ。城を落とす早さで言うならば、江陽や巴東の方が早いでしょう。しかし、厳顔を説得出来たならば、成都へ向かう道々にあるお城は、ことごとく桃香様の物になるでしょう」

「それほど人望厚き人物なのか」

紫苑

「はい。ただ一つ問題が……」

れんげ

「問題?どんななん?」

紫苑

「実力、人望申し分はないのですが、そんな人物だからこそ頑固なところもありまして……素直に説得に応じるかどうかが分からないのです。恐らく、一戦して力を示せ、という事になるでしょう」

愛紗

「そこで我らの力を見せれば、説得に応じるという訳か……」

鈴々

「偏屈な奴なのだ」

「自分に自信のある奴は得てしてそういうモンさ」

白蓮

「でもまぁ、そういう、自分なりの判断基準を持っている奴の方が信用出来るけどな」

仗助

「白蓮の言う通りか……よし。じゃ紫苑の提案に乗るか。説得工作はよろしく頼むぜ」

紫苑

「御意」

仗助

「愛紗と星は休息後、明後日の出陣に向けて、部隊編成をよろしく」

愛紗・星

「「ああ」」

「朱里ちゃんと雛里ちゃんは城内の物資の確認をお願いするわ」

朱里・雛里

「「はい♪」」

桃香

「それじゃみんな。明後日の出陣に向けて英気を養おう♪仗助さんも、紫苑さんが仲間になったからってあんまり変な事しちゃダメだよ?疲れないようにね♪」

仗助

「しねーよ!」

紫苑

「あら。私は別に構いませんのに」子持ちの紫苑だが、女としての艶やかな魅力は衰えてはいない。むしろ桃香達にはない、大人の色気に溢れている。

仗助

「……(ゴクリッ)」

愛紗

「ゴホンッ!……紫苑よ。仗助を誘惑するのは止して貰おうか」

「そうだそうだー!ちょっと胸がデカいからって独り占めするのは良くないぞ!」

「仗助もよく考えなさい。アンタ璃々ちゃんのお義父さんになるつもり?」

仗助

「ちょ、お前ぇら何好き勝手言ってんだ!俺は別に誘惑されちゃいねえぞ!いやマジで!絶対ぇーにだ!」

「と、必死に言い訳をする仗助だった」

鈴々

「ちゃんちゃん、なのだ」

れんげ

「めでたしめでたしなん」

「……れんちょん、めでたくはないわよ?(呆)」

 

 この晩だが巴郡については先述の通り。ここではその翌晩、ちょっとした事件について語る。

??

「らんらんら~んらんらんら~ん♪さあ猪々子(いいしぇ)斗詩(とし)。今夜計画を実行しますわよ」夜も更けてみんなが寝静まる中、通称3バカのボスである袁紹は配下の文醜と顔良を連れて城内のある場所へ忍び込んでいた。

顔良

「麗羽様……本気なんですか?げったあを盗むって……」

袁紹

「本気も本気、大本気ですわ。あれさえ手に入れれば我が袁家の再興も叶い、わたくしが大陸全土を支配するのも夢じゃありませんわ」

文醜

「さっすが麗羽様!まさに天下無双ってヤツっすね!」文醜こと猪々子は袁紹の発案にノリノリだったが、3人の中では一番まともな顔良(真名は斗詩)は呆れてため息を吐く。

顔良

(そう上手くいくかしら?)そうこうしている内にまずはれんげの寝室に着いた3バカ。髪をほどいて小さく寝息を立てるれんげを尻目に、早速ゲットマシンが収納されているシュシュを寝床の脇にあるサイドボードっぽい、小さな引き箪笥のうえに発見する。

袁紹

「この中に例のヤツが入ってるハズですわ」

文醜

「それにしても……何でこんな小さい髪留めにあんなでけーのが?どうなってるんすかね?」

袁紹

「天の国の技術なのでしょう?そんな事は後回しにして……気付かれる前に逃げますわよ」

顔良

「ホントに良いのかなあ?」3バカはれんげの寝室を後にして、今度は仗助の部屋に忍び込む。

仗助

「ガァー、グゴゥー」大いびきをかいて寝ている仗助、流石に寝ている時は髪をリーゼントにはしていなかった。袁紹達が入ってきても、目を覚ます様子はない。難なくブレスレットを盗むのに成功した3バカは最後に忍の部屋に来た。家捜しを始める袁紹と文醜だが、アンクレットは一向に見つからない。

文醜

「……こいつ足の輪っか、どこに隠してんすかね?」

袁紹

「猪々子、あまり音を立ててはなりませんわ。ひょっとして付けたまま、寝てますの?」慎重に布団を剥がし、足を確認しようとする袁紹だったが……

顔良

「やっぱり!麗羽様、文ちゃん。げったあを盗む気だったんですね!」布団から飛び起きた顔良が袁紹と文醜にジト目を向ける。

文醜

「えっ?!ええ?斗詩?!」

袁紹

「何で貴女がここで寝てますの?」

文醜

「たった今まで一緒だったろ?」

袁紹

「と、いう事は……嘘?!」

??

「嘘じゃないわよ」その声に2人が振り向くと、さっきまで顔良がいたハズの場所に忍が仁王立ちしていた。

袁紹

「騙してましたのね!」

「こっちのセリフよ!」実は袁紹からゲッター奪取計画を聞いた顔良、これを阻止しようと昼間の内に桃香達に全て打ち明けていた。そこでゲッターチームが中心になって一芝居打とうと、夜になって顔良に化けた忍が2人を引っ掛けながら見張っていたのだ。

 

 ゲッター奪取計画がバレて、起きてきた桃香達に囲まれた袁紹、文醜のバカ2人。

白蓮

「……全く。袁家も地に落ちたな」

「お家の滅亡には同情するが、盗みはいただけないな」

「……ドロボーは悪い事」

鈴々

「サイテーなのだ!」

「愚かな奴らだとは思ってたけど……ここまでだったとはな」

蒲公英

「……ププッ(嘲笑)バカなの?ねぇ、バカなんでしょ?」

愛紗

「桃香様。こいつらどう始末なさいますか?」

仗助

「そんなに欲しけりゃ、いっそゲッターに練り込んでやろうか?」思いっきり凄んで2人を睨む仗助。

袁紹

「ヒィッ!」青褪める袁紹。

文醜

「イヤ、仗助のアニキ。それはホント勘弁っす!(半泣)」

「アンジェロ岩みたいに?みっともなくないかしら?」

仗助

「……確かに乗りたくはねえな」

桃香

「もう良いじゃない。結局盗まれなかったんだし」ただ1人、袁紹達を庇う桃香。

「ダメよ桃香ちゃん。悪事を働いたんだから、それなりの罰則を与えなくちゃ。でないと示しがつかないわよ」

仗助

「それが組織を運営する人間の義務ってモンだ」

桃香

「う~ん……」悩んでいると、れんげに寝間着の裾を引かれる桃香。

れんげ

「桃香姉。ウチ思い付いた事あるん」

「あれやらせるの?」

仗助

「おっ。丁度良いな」

桃香

「あれって?」

「明日の道すがら説明するわ」

仗助

「今日はもう遅えしな。みんな、騒がせちまってスマねえ。改めて休んでくれ」

 

 2日後、厳顔の住まう巴郡へと進軍を開始する為、城を出る一行。

仗助

「準備は良いか?」

愛紗

「ああ。出陣の準備は整っている」

朱里

「兵站の方も、忍さんが補強してくれましたので、ほぼ万全の準備が出来てますよ♪」

桃香

「ありがと♪それじゃ皆さん、次の目的地に向かってしゅっぱーつ!」巴郡に向けて進軍する劉備軍。その後方では、袁紹と文醜が大量の荷物を乗せた荷車をヒーコラ言いつつ押している。荷車には2人の監視役としてれんげも乗っていた。

袁紹

「全く!なんでわたくしがこんな荷運びをしなければなりませんの?」

れんげ

「悪い事したから当然なん!文句言ってないでさっさと運ぶん!」

文醜

「ところで荷は何だよ?後、斗詩は?」

れんげ

「しのぶんが用意した非常食なん。後、斗詩姉はく○くる○ーじゃないからみんなと一緒にいるん」

(誰がく○くる○ーだ!)

袁紹

(このチンチクリン!後で覚えてらっしゃい!)

 

 ~軍の中心では~

 

仗助

「……袁紹と文醜のアホ共、今頃ボヤきながら荷運びしてんだろうな」

顔良

「すみません。二人がご迷惑を」

「気にしないで。貴女は悪くないわ」

白蓮

「これで少しは懲りてくれると良いんだがな……」

「それはないだろう」

「バカもあそこまでいくと、救いようがないのよね」

鈴々

「『バカは死ぬまで直らない』って昔から言うのだ」

「あいつらの場合、死んでも直らないような気がするなぁ」

桃香

「袁紹さんには幸せ回路がついてるんだよ、スゴいねー」

鈴々

「お姉ちゃんとどっこいなのだ」

桃香

「酷っ!私ってそんなにお気楽じゃないモン」

仗助

「ああ。お気楽というより極楽だな」

桃香

「……仗助さん、もうお仕事手伝ってあげない」

仗助

「桃香の事を極楽とか言ったの誰だ?ぶっ飛ばしてやる!」

愛紗

「何をバカな事を言っている。全く」

仗助

「けどよ桃香が仕事手伝ってくれねえって……」

鈴々

「うわっ、お兄ちゃん、愛紗に言いつけているのだ。子供っぽーい」

仗助

「鈴々に子供って言われた……」

「どっちも子供よ。仗助も桃香ちゃんもいい年齢をして……」

「まぁ、確かに仗助って子供っぽいところあるよなぁ……そういうところが魅力ではあるけど

「ほおほお。その小声の部分をもそっと詳しく聞かせて頂こうかな」

愛紗

「何だ?翠がどうかしたのか?」

「こやつが小声で仗助の事を……」

「うわぁぁぁ!てめ!星、このやろ!それ以上言ったら秘蔵しているメンマの壺、全部ぶっ壊してやるからな!」

「ふっ、やってみせれば良い。ただし……その後の事を覚悟しているならばな」

鈴々

「うう、星、怖い顔なのだー……」闘いの前だと言うのに、彼らの会話は普段と代わり映えもしない。そんな様子を見て、

紫苑

「ふふっ……」紫苑は穏やかな笑いを溢す。

仗助

「ん?何かおかしいか?」

紫苑

「いえ。心地よい空気だなと。そう思いまして」

「……恋と同じ」

「恋ちゃんも紫苑さんと同じ事、いつも思ってるの?」

「……《コクッ》……仗助や忍、れんげのまわり、あったかい。桃香のまわり、ホッとする……だから好き」

紫苑

「本当に……これがあなた達の力なのでしょうね」

仗助

「そっかぁ?……自分じゃよく分かんねえよ」

紫苑

「仲間と仰っていた意味が、今、分かったような気がしますわ」

「そう?それなら良かったわ」手放しの言葉がこそばゆく、素っ気ない答えしか返せない仗助と忍。

紫苑

「皆……お二人の事を愛しているようで、何よりです」紫苑がからかうように言葉を繋いだ。と、その時!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




原作との違い
・巴郡へ進軍中、袁紹は暢気に高笑いを上げている→ゲッターを盗もうとした罰で、文醜と荷物持ち。当初、別のネタがあったのですが結局止めました。閑話とか書く気になったら、その内投稿します。
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