ボンクレーが『ときメモ2』の世界に転生したようです   作:越後屋大輔

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今回はいつもより長めです。何でこうなった?
前話の紫苑の最後のセリフをカット。今話の最初に持ってきました。


第三十五席成都城、落ちるのこと

 しばらく笑い合っていた3人。落ち着いたところで、紫苑が厳顔を勧誘する為の交渉に入る。

紫苑

「ありがとう、桔梗……分かってくれるのね」

厳顔

「礼を言われる事ではないな。儂は儂の誇りを守る為に劉備に抵抗したのだ。そして負けた……ただそれだけの事だ」

紫苑

「だけどあなたは生き残ってくれた……それだけで益州の民は救われるわ」

厳顔

「力なき人々を守る……仗助の言葉に昔を思い出したよ」

紫苑

「私達の原点……武芸を極め、軍人になろうと決めた時の、あの心」

厳顔

「うむ……歳は取りたくないモノだ。そんな簡単な事を忘れてしまうとはな」

紫苑

「だけど……今、私達の前に、あの頃の夢を実現しようと命を賭けている方が居る……あなたの力、その方に預けて欲しい」

厳顔

「しかし、刃向かった儂をそのままけ入れるとは思えんがな」

??

「そんな事心配しなくていーんです♪」業を煮やしたのか、桃香がすぐそこにやって来ていた。忍とれんげもゲッターから下りてきて、会話に加わる。

厳顔

「……なんじゃお主は」

桃香

「私の名前は劉玄徳!よろしくね、厳顔さん♪」

厳顔

「……このお嬢ちゃんが劉備だと?」

紫苑

「ええ。我が主よ。そしてこちらが……」

仗助

「改めて名乗ろう。俺は東方仗助。一応天の御遣いの1人って事になってる」

「同じく藤崎忍よ」

れんげ

「にゃんぱすー。ウチ宮内れんげなん」

厳顔

「ほう……天の御遣いが大陸に舞い降りたと聞いていたが、まさか三人だったとはな」

仗助

「……ん?もしかして知らねえのか?」天の御遣い3名が劉備と共に行動しているのは結構有名な話である。しかもゲッターというこの世界では異端な存在まで引き連れて、鬼と闘っているから噂はかなり広まっていると仗助は思っていた。

紫苑

「ふふっ……益州は都からも距離があり、田舎ですからね。情報に疎いのは仕方のない事です」

れんげ

「この世界にはテレビもネットもないのん。知らなくてもおかしくないん」

「ま、当然と言えば当然よね」

厳顔

「どういう事だ?この大陸では今、何が起こっている?」

紫苑

「黄巾党の乱より始まった大陸の混乱。それが反董卓連合に繋がり、更に謎の化け物まで現れたのは知っているわね?」

厳顔

「バカにするな。それぐらいの情報はしっかりと把握しとるわ……だが、その後、どうなったかまでは益州には伝わってきてはおらんな」

仗助

「その後、董卓は敗北。それと共に各地で諸侯が群雄割拠を始めたんだ」

桃香

「だけど、それもそろそろ集約に向かっているっていうのが現状かな?」

厳顔

「どういう事だ?」

「反董卓連合に参加した諸侯の半数が、既に領地を失っているの。董卓を筆頭に、袁紹、袁術、公孫賛、それに亡くなった西涼の馬騰……」

厳顔

「なに?!袁紹と言えば、確か三公を輩した名門ではないか。その袁紹が滅亡したというのか?」

桃香

「滅亡じゃないです。だって袁紹さんは私達のところに居るもの」

厳顔

「どういう事だ?」

紫苑

「曹操に敗れ去った袁紹さんが、劉備様の領地をウロウロしている時に保護されたそうよ」

厳顔

「袁術は?」

「1度攻めてきたけど、何とか撃退したわ。因みに恋ちゃん……呂布が今、あちし達の仲間になってくれてるの」

厳顔

「呂布……天下の飛将軍と呼ばれる人物が、劉備軍に与しているのか……」

紫苑

「呂布だけではなく、董卓、公孫賛、袁紹……皆、自分の領土を失った後、劉備様の下に集い、その理想を手助けしているわ」

仗助

「袁紹は何の役にも立ってねえがな」

れんげ

「ウチ知ってるん。あーいうのゴクツブシって言うのんなー」

「……2人共、そんな話は後回しにしなさいよ」

厳顔

「ふぅむ……」

「今、大陸の趨勢(すうせい)は徐々に集約されていってるわ。北方を平定しかけている曹操。そして東方で勢力を伸ばす孫策。後は……」

厳顔

「益州の田舎に籠り、安穏としている劉璋のボウズか。しかし奴では国は守れんだろうな」

紫苑

「だからこそ、私は益州の未来を……そして大陸の未来を劉備様に賭けたの……あなたはどうする?」

厳顔

「……決まっておる。曹操孫策など、儂は知らん。だが刃を交えた劉備殿の心底は分かっておる。知らぬ覇者より見知った王者を選ぶ方が、助け甲斐があるというモノだ」

桃香

「あ、じゃあ……」

厳顔

「うむ。我が魂と我が剣。共に劉備殿に捧げよう」

桃香

「ありがとう!厳顔さん!」

厳顔

「ああ……我が名は厳顔。真名は桔梗。よろしく頼みますぞ、主殿」

桃香

「うん!私の真名は桃香って言うの。よろしくね、桔梗さん」

仗助

「俺達も真名で呼んでいいのか?」

桔梗

「当然だ。よろしく頼むぞ……それで早速だが、桃香様にご入城頂き、準備を整えてから成都に進撃する事になるだろう」

 

 こうして厳顔との闘いは、彼女が仲間になった事で終わりを告げた。朱里と雛里は、厳顔が降伏後、劉備軍に参加した事実を流布する為に斥候を放つ。その効果はあまりにも早く、そして、覿面(てきめん)に現れた。黄忠や厳顔といった歴戦の将が降った事を知った各地の軍が、次々に参戦を表明。劉備軍の軍勢はあっという間に膨れ上がった。後は益州州都成都を目指すのみとなり、厳顔改め桔梗の城で軍の再編成や兵站の準備を行ってから、劉備軍とゲッターチームは意気揚々と進軍を開始した。

蒲公英

「あ~あ。蒲公英あんまり活躍できなかったよぉ」ナゼか不満を口にする蒲公英だったがそこは誰も気にしなかった。

 

仗助

「とうとう来たな。蜀州都成都!」

「ええ。遂に来たわね、蜀州都成都!」

れんげ

「しょくしゅーとせーと!……言いにくいのんなー」

「三人揃って何バカな事言ってんだよ。闘い直前なんだから、あまり気の抜けた事を言うなよ?愛紗に怒られるぞ?」

仗助

「イヤ。なんか消化試合な気がしてよ」

「無理やり盛り上げてみたわ」

れんげ

「ウチもついつい乗せられてしまいましたん」

朱里

「確かに敵の動きは鈍重を通り越してますね。草を食んで午睡する牛さんよりも鈍いです」

「……何気にキツい事言うわね。朱里ちゃん」

仗助

「その通りだけどな……」

雛里

「この事実を見せられれば、民達が桃香様を求める気持ちも少しは分かりますね」

れんげ

「その桃香姉はどこなん?」

雛里

「今は前線にて愛紗さん達に指示を出しています……最近、げったあちいむが活躍しているので、自分も負けていられないんだそうです」

仗助

「俺達、別に活躍してねえぞ?」

「……そうよねえ」

れんげ

「ふつーにしてるだけなん」

朱里

「鬼の討伐だけでなく、的確な判断と大方針決定の迅速さ。それに果てしなく広い懐の広さ……充分ご活躍かと」

れんげ

「そうなん?それなら良かったん。何よりなんなー♪」れんげは珍しく、照れているような素振りを見せる。

仗助

(何つーか……戦略戦術の神ともいえる諸葛孔明に褒められるとはなぁ)

(大本は、むしろあっちよね。あちしも諸葛孔明の活躍は本なんかで読んで知っていたわ)

れんげ

「……またウチをのけ者にしてないしょ話してるん(怒)」

「後で教えてあげるわよ。さて……とりあえず今の状況を報告してちょうだい」忍はれんげを宥めると、雛里に話を促す。

雛里

「はい。攻撃対象は成都城。立て籠っているのは、益州の州牧劉璋さんですね」

朱里

「敵勢は流石本城と言うぐらい、味方の軍勢に比べてかなり数が多いです。その数は約八万」

仗助

「……対してこっちは5万か」

「結構差があるわね……」

雛里

「兵数に差はありますが、圧倒的にこちらが勝っている点もあります」

れんげ

「そうなん?」

「将の質の差って奴さ。愛紗、鈴々、星……あたしもそうだけど、それなりに軍を率いて連戦してきた人間と、そうでない人間の差って結構大きいんだ」

朱里

「翠さんの言う通りですね。相手は益州に籠って内輪喧嘩を続けてきただけの人達ですから。私達の敵ではありません」

雛里

「油断は禁物ですけど、桔梗さん達や鬼との闘いに比べれば、随分と楽かと」

「じゃあ……安心して見ていられるかしら?」

仗助

「そっか。じゃ……桃香の手腕、しっかり見学させてもらうとすっか」

「ははっ、偉そうな言い方だな、仗助」

れんげ

「おっちゃん……最近、調子に乗ってるん」

仗助

「べ、別にそういう意味じゃねえよ……」

雛里

「でも益州制圧の最後の戦いですから。桃香様の手腕を皆に示しておくのは良い事かと」

仗助

「だな……よし。じゃ俺達は桃香の指示が着たらすぐに動けるように準備しておこうぜ」

朱里・雛里

「「はいっ!」」朱里と雛里。声を合わせて返事をしたところで、成都城の闘いが始まった。

 

 結果、成都城はあっさり落ちた。桃香は愛紗達に的確な指示を出していく。

白蓮

「桃香!城門が開いたぞ!」

桃香

「分かったよ!みんな今が好機!城門を突破して内部を制圧しよう!愛紗ちゃん、星ちゃん!よろしくね!」

愛紗・星

「「御意!」」

桃香

「白蓮ちゃんと蒲公英ちゃんは、城門突破を計る二人の援護を!」

白蓮

「応っ!」

蒲公英

「蒲公英にお任せー♪」

桃香

「鈴々ちゃんは遊軍を率いて裏門に回って!敵を揺さぶろう!」

鈴々

「了解なのだ!張飛隊、ついてこーい!」

兵士達(モブ)

「「「応っ!」」」

桃香

「朱里ちゃん、雛里ちゃんは住民達に私達が城を攻めている主旨と、占領した後の身分や財産の保証を約束する旨、宣伝しておいてね!」

朱里・雛里

「「御意です♪」」

桃香

「えーっと、他には、うーん……」

仗助

「とりあえず、今、必要な指示はもう出したんじゃね?」

桃香

「そうかな?何か忘れてたりしない?」

「あちしが聞いていた限りでは、なかったと思うわよ」

桃香

「そっか。ふぅ~」

れんげ

「桃香姉、お疲れ様なん」

桃香

「はぅあぅ~、疲れたよぉ~……前線の指揮ってこんなにも大変な事だったんだねぇ~……」

「前線で体を張ってくれるみんなに感謝ね」

桃香

「ホントだねぇ~……後、仗助さん達にも感謝しないと」

仗助

「俺達に?何でだ?」

桃香

「だっていつも二人が的確に指示を出してくれるから、みんながサッと動けるんだもん……今回やってみて、その大変さが良く分かったよ」

仗助

「そんなに大変だったか?俺達ぁいつも、分かんねえ事は誰かに全部任せるって姿勢でやってっから、案外気楽なモンだぜ」

桃香

「ホントにぃ?……やっぱり二人は特別なんだなぁ」地球では世界的大企業の後継者候補として、日々教育を受けていた仗助と、転生する前の世界では裏社会を牛耳っていた犯罪会社の幹部だった忍。そういう意味では確かに特別であり、人を使う事に長けていると言える。

「特別じゃないわよ。お気楽なのよ、あちし達……桃香ちゃんと同じで?」

桃香

「あ、酷い」

仗助

「各分野は得意な奴に全て任せる……何も知らねえ奴が口を出してもロクな事にならねえよ」

桃香

「そういうモノなのかな」

「多分ね……ところで桃香ちゃん。このお城を占領したら益州平定はほぼ完了になるわよ……これからどうするの?」

桃香

「今はとにかく、この国の人達が安心して暮らせるようにしないとね。その為には治安の回復と税制の改革が必要だと思う」

仗助

「おっ……勉強してんだな、桃香も」

桃香

「朱里先生と雛里先生がいるもん♪」

「最高級の先生よね……じゃあその後はどうするのかしら?」

桃香

「その後?……うーん、分かんない」

仗助

「分かんない?」

桃香

「うん。今のこの大陸の状況じゃ、天下統一平和♪みたいにはならないと思うし」

「確かに……集約された勢力が巨大すぎるわね」

仗助

「曹操然り、孫策然り……か。ヘッ」そう呟いて仗助は軽く舌打ちする。

桃香

「うん。だから今はこの国をしっかりと建て直して、誰にも負けないぐらい強くしないと……曹操さんが来たって、今度はやっつけてやるんだから」

仗助

「その意気だ」同じ頂を目指していても、登る道が違う。仗助と忍はこの世界に来た頃とは大きく変わった勢力図を頭に描く。劉備、曹操、孫策。それぞれが目指すゴールは同じところにあっても、歩いてきた道が違い、歩こうとする状況も違う。だからこそ、闘いは起こる。

桃香

「私ね、曹操さんから逃げるように徐州から逃げ出した時、分かったの。理想を、夢を、信念を。貫こうとすればするほど、力が必要なんだって」

「……そうね」いくら綺麗な言葉で聞き心地の良い理想を語っても、力がなければ誰もついてこない。結果を残さなければ誰も賛同してくれない、それが現実である。

桃香

「だから、こうやって益州の人達に請われて、この国にやって来て……まず一番に考えたいのは、この国を強くするって事なの」

仗助

「ああ。それには俺も賛成だ……桃香のやりてえようにやってみろよ」

桃香

「仗助さん……助けてくれる?」

仗助

「当然。俺の持ってる力を全部使って、桃香を助けてみせるぜ」

れんげ

「おっちゃんだけじゃないのん。ウチも桃香姉を助けるん」

「勿論あちしもよ。お邪魔にならない程度にね♪」目を輝かすれんげと含み笑いを浮かべる忍。途端に顔を赤くして俯く仗助と桃香。

桃香

「うん♪頼りにしてるね、仗助さん♪」赤くなったままの顔を上げて、嬉しそうに笑った桃香。その笑顔を守ろうと、仗助は己の役割を定義した。桃香だけでなく、仲間達みんなの笑顔を守る。その一事に全てを賭ける。ゲッターチームは自らの存在理由をそう決める。

 

 一方、開いた城門から突入した愛紗達も、やがて玉座の間を占拠。こうして益州は桃香達の国になった。

 

 

 




原作との違い
・やはり魏延の登場シーンは全カット。その為、原作では何かと絡む蒲公英がボヤいている。(メタです)
次回は孟獲とその仲間達、そして鬼の謎が明らかになる?
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